昔みたいに踊ることがリハビリのゴールではないよ

  ケガする前みたいにジャンプやポワントをしたい 昔みたいに足を挙げたい   こういった声をリハビリ中のダンサーから聞くことが多くあります。   先日この話をインスタライブでお話したのですが、 もう少し考えをまとめて文章化もしておこうと思いました。   今ケガしている人だけでなく 周りでケガしているダンサーをサポートする側(先生、保護者など)も 読んでもらえると嬉しいです。   完治と前みたいに踊る、は同義語ではない 19歳のバレエ学校留学中、プロを夢見る愛ちゃんがケガをしたとしましょう。   愛ちゃんは、長い間レッスンを見学していて 少しずつレッスンに復帰はしてきたけど、 まだターンアウトは少ないしバーレッスンだけ。   皆が自由に踊っているセンターやリハーサルを見て 「あー前みたいに踊りたいなぁ」 と思う事があったとしたら それはネガティブ思考とか、間違った考え方ではありません。   他の人(過去の自分も含む)が持っていて、今の自分にないものを 欲しいなぁと思う気持ちは当たり前でしょ?   でも、それは 完治したら前みたいに踊れる…

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ギプスでレッスン参加するときに気をつける事

  先月ボディコンサークルに参加している子が捻挫でギプス、ちょっと前に同じくサークルメンバーの教師の方が骨折でギプス。 その人達とメールでやり取りしている中で、ギプスしてレッスンする事について書いてないよねと気づきました。   という事で今日の記事は、DLSキッズから成長してきたKちゃんと、最近出会った(とは言ってもまだオフラインでお会いしたことはないけれど)宇宙人Sへお届けします。   *今日お話するギプスは足首周りにつけていると思ってください。 手、腕の場合はレッスンではあまり影響がでない 腰や大腿骨など大きな骨(骨の塊)の場合は、レッスン参加すべきでない という事で飛ばしていきます。   →テーピング、サポーターについての記事 ギプスの役割と種類 ギプスの役割はケガした部分を固定する事です。 当たり前っていえば当たり前なんだけど…   固定する事で組織修復をもくろんでいるため、「動かさない」がカギになると思ってくださいね。 よってこの記事でレッスン参加についてお話していくけれど、 ケガした部分を安全に動かす方法 をお話しているのではなく ケガしていない部分の筋力を落とさないためにはどうするか? ケガしていても指導しないといけない場合、一番いい方法は? を考えていきます。   ギプスにも種類がありますが、ダンサーにとってどのギプスが効果的か?を話している訳ではないので飛ばしていきましょう。   但し、 ギプス=完全に動かさないよう固定するもの サポーター=少し動きがあるがケガしている組織を補助する為に使うもの となるため、くれぐれも…

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結果が出なくて落ち込んでいるダンサーへ

*この記事は2015年に書かれたものを、より深く、読みやすくなるよう2021年にリライトしました。   最近、私の受け持っているダンサーたち3人が対面しなきゃいけないことがあって、それを考えてたらこの記事であげている考えにたどり着きました。   一人目:1年以上のけがが治らない。 スペシャリスト、手術医、スポーツドクター、フィジオ、カウンセリング…全部やっているのに中々結果が出てこない。   二人目:三角骨除去の手術失敗。 神経にダメージができ、それに関わる筋肉が委縮。 最初に約束されていた「バレエに戻れる日」が大幅にプッシュバックされる。   三人目:骨折が7か月たっても治らず。 骨が物理的にくっつくまでは大きな負荷をかけられないため、7か月、友達の踊っている姿を見続けている。   みんなバレエ学校の生徒なので、若い子たち。 いちばん若くて14歳で、こんなシチュエーション、環境、そして悩みと毎日向き合っているのです。 成功、ってなんだろう? 毎日頑張っているのに結果が出ない。 まっすぐな道のはずなのにどうして先が見えないんだろう?   ただでさえ、17,18歳で将来を決めなければいけない、という重圧があるのに、その上に長期の怪我。 リハビリに失敗した、手術に失敗した、などと言葉では表現するので、その反対である「成功」を見てみましょう。   ここでお話している「成功」というのは人生ゲームの成功!とかサクセスフルなビジネスマンとかそういう意味ではなくて、 上手くいっている、目標に向かって進んでいる、とかそういう感じのsuccessだと思ってください。   リハビリの過程を考えても、体の修復を考えても、ビジネスやそのほかモロモロのトピックでsuccessを見てみると、みんなが口をそろえて言う事。 それは成功は一直線ではないという事です。   左がみんなが考える「理想の成功」で、右が本当に起こっていること、もしくは本人が感じる事。…

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湿布とダンサー

この記事は2017年に書かれたブログを、新しい研究リンクなどを追加して大幅アップデートしました。     バレエ学校で働いていた時、殆どの日本人生徒「だけ」がしていた行動として「湿布を貼ったままでレッスンに出る」というものがありました。   今日は湿布について勇気を出して書いてみます。 というのは、私、湿布についてよく知らないんです…知らないからリサーチしてみました。 役に立つエビデンスを知っているよ!という方はhello@dancerslifesupport.comのメールアドレスに送ってくださいね。   湿布とは何? まずはここから始めたいのですが、序盤からリサーチの足(パソコンの前でリサーチしているので、足ではなく指、が正しい表現だろうけど…)が止まっちゃいます。   湿布とは何か?という定義が見つからないんです笑 見つからないというか、曖昧と言うか。   ネット検索の王様、Wikipediaによると 湿布(しっぷ)とは、ある程度の水分を含んだ布を意味し、主に物に効果を与えるために貼って用いるものである。 と書いてありました。 主に物に効果を与えるため…って何!?   同じくwikipediaの英語版で見ていると A poultice, also called a cataplasm, is a soft…

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ダンサーのケガ : 脱臼&亜脱臼

*このブログは2014年8月に書かれたものを2021年に大幅加筆修正しました。   全くもって自慢出来ることではないというのは、百も承知ですが、私は今までバレエ関連のたくさんのケガをしてきました。 でも、足首の捻挫はした事がない(らしい…physioの関節テストによる)のと、脱臼はしたことがありません。   あ、嘘です。 小さいころに、お父さんに腕を引っ張られて肩脱臼したらしいですが、 肩関節とは体の中で一番可動域が広い=ケガしやすい 小さい子供の骨や関節はまだ完成していない 外部からの力が加わっている(この場合は父親、遠心力、体重) という3点から、ちっちゃい子の肩脱臼は結構良く見られます(いいか悪いかは置いておいて…   ただ、股関節の亜脱臼はよく起こります。 亜脱臼と病院でレントゲン付きで診断されたことはないですが、 上手くはまっていないな、という感覚だけでなく体重をかけると痛みが生じる 痛みだけでなく、可動域が制限される なんらかの拍子でハマると痛みがなくなる 過去に股関節のケガをしている という部分から、勝手に判断しています。 良い子は真似しないでね。   なんで診断しないのか?というと、別に命に別状はないからです。 大体のダンサーはこうやって、自分の体の痛みを無視します。 良い子は真似しないでね(2回目)。   ちなみに私の場合、へんな風に座っていると勝手に外れるようです。 よく起こる場所は…飛行機内でした。 痛みで早く歩けないので、一番最後にゆっくりと飛行機を下りるとかしてましたが、最近はストレッチを徹底的に避けているのと、正しい姿勢で座るようにしているので頻度は減りました。 (この記事は、パンデミックのあった2020年後半に加筆修正しております)。  …

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治療「だけ」じゃ痛みなく踊れるようになりません!

*この記事は2016年3月のものを大幅に加筆修正しアップデートしました。 DLSのセミナーに参加してくださる人やメール、SNSにくる相談などで目に留まるのが 「毎週整体に通っています」 「鍼治療を受けています」 というダンサーの声。   そして彼らの年齢は…小学6年生から痛みが始まってとか、現在13歳!とか。 これらのメールから分かることは、 年齢が若い 慢性の痛み 治療をしても結果、変わらない(多分、その直後は良くなるんだろうけどね)   メールには書いていなかったけれど考えられる点は バレエを頑張っている(当たり前ね、バレエのセミナーにくるんだから) 踊っているときに痛い(普通の生活はある程度できるのでしょう。バレエやっているんだから、普通の生活ができない痛みではないと思われる)   この記事では、習い事で治療に通わなければいけないようなケガをしていることと、治療だけでは痛みなく踊れるようになれない理由についてお話ししていきましょう。 バレエは痛いものではない 確かにね、バレエをはじめスポーツで体を使えば、ある程度の痛みが出るときがあります。 筋肉痛の痛みだったり、疲労が溜まってだるい、トウシューズが下ろしたてだから違和感がある、とかさ。 だけど、これらが週に3~4回、1回2時間のレッスンを受けているだけで「毎日」起こることはありません。   例えばバレエ学校に入ったばっかりで、いきなり毎日5時間、今までとは違うレベルで、違うジャンルのダンスも科目に入っているような、 踊る生活に体が馴染んでいなくて、痛いということはあるかもしれません。   プロになって毎日公演があるっていうときにも、振付の関係上、同じエリアを何度も使うから慢性の痛みが出ることがあります。   だけど、これらは小学生がバレエスタジオでやっているわけないんですよ。 成長期に体の回復が間に合わないくらいの練習量 偏った使い方で痛みが出る…

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ダンサーにマッサージガンは効果があるの?

マッサージガン、最近流行ってますよね。これってどうなの?という質問はDMでも多いので、2020年のクリスマスライブQ&Aでもちょっと答えました。今日のブログはもう少し専門的に論文なども使いながらマッサージガンをダンサーが使うべきか?をお話していきましょう!マッサージガンとは何?ちょっと前?今も?フォームローラーがバイブレーションするやつあったでしょ?あいつと、マッサージガンはお友達です。筋肉を振動させるアイテムってことで。マッサージガンもその種類に入るそうです。つまり、マッサージガンと空港とかにあるマッサージチェアとは少し違うのね。ガン、鉄砲みたいな形だからマッサージする銃という名前ですが、それって怖くないか?と思うのは私だけ?マッサージガンとリサーチ皆さんがご存じのように新しいアイテムなので、リサーチがあまり存在しません。私が見た中では1つしかなかったの。この研究ではマッサージガンを5分ふくらはぎに使って、可動域に違いが出るか?筋肉の動きに違いが出るか?(Muscle performance)を見たそう。結果は、可動域は広くなったようだけど、筋肉の動きに違いはなし。よって(このリサーチの)お勧めの使い方はウォームアップでMuscle Performanceを落とさず可動域を増やしたかったら使うのはどうか?だそうで。私の疑問としては、誰かがダンサーのふくらはぎに5分ガンを当てる→アシスタントがいるのか!?一つの筋肉につき5分→どれだけウォームアップに時間がかかるのか?!体全体終わったときには、最初にやった部分は戻っちゃうんじゃないの?笑というのがありますが、リサーチも言っているように、まだ「早い段階なので分からない」。しかもこちらは成人男性16名しかテストしていないので、バレエ愛好家のようにもともと普通の人口より体の柔らかい人が多い、女性が多い、未成年だったらどうか?は分かりません。バイブレーションを使った場合はどうか?というのはもう少し研究がありました。例えばこちら。バイブレーションセラピーと普通のマッサージ行って筋肉痛(DOMS:こちらで詳しく説明しているよ)の変化をチェックしたところ、大きな違いはなかったそうです。こちらでは、バイブレーションするフォームローラーと普通のフォームローラーを使った場合、柔軟性、バランス、関節の安定に違いがあるのか?を調べていました。結果はどっちでも同じだってさ。そもそもマッサージが必要なのか?研究結果としてマッサージガンの効果はまだ立証されていないほかの振動をつかったツールVS普通のツールでは違いが大きくは見られないというのが現在の状況です。でもね、マッサージの前に考えなければいけないことがあるんですよ。それはなんで筋肉が硬く感じるのか?ということ。エクササイズが終わった後、筋肉が張った感じになることがあります。あー腕がパンパンだ!みたいな。これは使った筋肉への血流が増えている=血管が広がっているから当たり前です。少し経てば落ち着きますし、だからクールダウンで血流+心拍数を徐々に落としてあげるんだよね。ウォームアップも筋肉の動きを良くして、疲労を減らすことが分かっていると。だとしたら、ウォームアップ→エクササイズ→クールダウンした上で「まだ」筋肉が硬く感じるのであればセルフマッサージをする理由が見えますね。→ウォームアップについて→クールダウンについてまた、エクササイズクラスで1時間おしりの筋肉をターゲットにしてトレーニングした場合、弱い筋肉は硬くなりやすい、という事も含め使った部分、つまりおしりのリリース、マッサージが必要になるかもしれません。(余談。自分のおしりにマッサージガンを当てるのはかなり至難な業だけどね)でも栄養、睡眠不足で筋肉が硬い寒い(体が温まっていない)、動いていない(長時間椅子に座っている)などで筋肉が膠着している緊張から、体に力が入り筋肉が硬くなっている関節が不安定だから体が「あえて」筋肉を固める事でケガしないように守っているなど、筋肉が硬くなる理由はたくさんあります。原因が栄養+睡眠不足の場合、いっくらマッサージしても良くなりません。体が防御作業として固めている場合、素人がマッサージしたら、もっと不安定になりケガや痛みに繋がる可能性もあります。なので、マッサージガンだろうが、フォームローラーだろうが、筋肉が硬くなる原因をしっかりと理解する必要はあります。これはストレッチでも同じことが言えるのね。いくら寝る前にストレッチしても、筋肉の硬くなる原因に対処していなかったら結果はでません。自分のため、と思ってやっていたのにケガを助長させてしまったら悲しいじゃない?→教師が知っておかなければいけない柔軟性についてマッサージしてもケガは良くならないけがの治療のためにマッサージする、という人達がマッサージガンを買おうか悩んでいる可能性もあるので、この部分も説明しておきますね。ケガの種類にも大きく左右されますが、壊れている組織があったら、そこが修復されなかったらケガは良くなりません。どういう意味かって?折れている骨が修復されなければ、疲労骨折は治らない切れている筋肉が修復されなければ、筋挫傷(肉離れなど)は治らないということでございます。疲労骨折したエリアの筋肉をいくら柔らかくしても、骨がマジカルに治るわけではないでしょ?一時的にマッサージしたら痛みが軽くなったとしても、筋肉が切れている部分が修復されない限り、ケガは再発します。当たり前だって思うだろうけど、多くの人たちがせっせとケガした部分をマッサージをしている風景は見ているので、書いておきますよ。→疲労骨折についてはこちら→肉離れについてはこちらマッサージできない場所もあるこれも、すっごく当たり前に聞こえるかもしれませんが、私たちマッサージセラピストは(あ、知らない人もいるかもね。私はバレエ留学後、オーストラリアで理学マッサージセラピストの資格をとり、バレエ学校の専属セラピストをしていました。それだけじゃないけど…)筋肉の場所筋繊維の向き神経の場所を考えて治療します。腰が痛い!と言うクライアントが来た時に、痛みの原因が脊柱起立筋ではなく、腰方形筋の場合は腰ではなく脇腹エリアをリリースすることもあるし、腸腰筋が引っ張っている場合は、おなかを診ます。その人が服用している薬やケガ、病気の状態をみて治療が出来るか?を決めることもします。(例えば生理痛の薬をとっているから、いつもより痛みに鈍感かも、という可能性がある場合、手のプレッシャーを考慮します)さっきもお話したけど、関節が不安定→体が危険を察知して固めている場合は、筋肉マッサージの後に一緒にエクササイズして、保護する力や感覚を練習します。(マッサージが必要じゃない場合は、すぐにエクササイズにいく)そんな知識をバレエダンサーの皆さんに持ってほしいわけではないけど、硬いと思う場所→青あざになるまで押す!がマッサージなのではないということは頭に入れておいて下さい。まとめ:ダンサーにマッサージガンは効果があるの?現時点ではマッサージガンの効能が立証されてはいないマッサージガンの前に、どうして筋肉が硬いのか?を考えてマッサージしてはいけないシチュエーションもあると理解して新しいアイテムで、まだリサーチが多くないというのは「絶対にダメ」なアイテムだということではありません。今後もっと研究が増えてきたら、この記事の内容を変えるかもしれません。でも、現時点ではこういう感じ。マッサージガンを使うのであれば、自己責任で。お金もあって、暇だし、コロナ渦で外出を控えているから自分でマッサージするために、というんであればどうぞ。くれぐれも、素人が「やってあげるよ!」と誰かに使わないこと。特に保護者やバレエの先生!おまけ:バレエダンサーの生活とマッサージガンバレエ学校に10年以上務めていた身として、最後にアドバイスを。バレエ団で、自分のロッカーやスペースがある場合ホームシアターがあり、楽屋を自分の好きなようにアレンジ出来る場合を除き、ダンサーは自分の荷物を自分で運ばなければいけないと思います。オーディションで機内持ち込みだけで何か所も廻りつつ、知り合いのゲストルームをお借りする場合も多くありますし、サマースクールなどで1か月だけバレエ留学することもあるかもしれません。ロイヤルバレエ学校もそうですが、毎ターム事に学生寮の部屋が変わる場合だって必要最低限の生活アイテムしか持てないはずです。重い荷物をチューブで運んでいて肩こり+いつもと違うベッドで調子が悪い→上半身やポーデブラが思ったように動かないなんて事は嫌なんですよ。せっかく、プロになるチャンスをつかみに行くなら、一番いいコンディションでいたいでしょ?そうしたときには、マッサージガンや重たいフォームローラーを持って歩きたくないんです。もしスペースが余っているならもう1足トウシューズを持っていきたいんだから。使い慣れているマッサージボール1つで全身が出来るエクササイズバンドや空気の抜けるソフトボールあたり+シューズバッグ(たぶん一番重いもの笑)レオタードとタイツいくつか(カンパニークラスを見て、そこに合わせたスタイルを選ぶ必要があるかもしれないし、オーディションが進んだらコンテとかで着替えるかも)ウォームアップギア(空調が分からないもんね)水や食べ物(休憩が入るかも分からないし!)お財布、携帯、チャージャーなどをもってオーディション会場に移動するんじゃないかな。だからマッサージガンへの投資は果たして有効なのか?はしっかりと考えてね。Happy Dancing!

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トウパッドの選び方 足に合うトウパッドって存在する?

2013年から始まったDLSでは様々な角度からバレエを研究しているのですが、トウパッド「だけ」に一度もフォーカスを当てたことがなかった…ということに2020年のクリスマスライブで頂いた質問で気づきました。 ポワントで踊るダンサーだったら絶対に使うアイテムなのにね!   ダンサーの足セミナーというDLSでも1,2位を争う人気セミナーでがっつりお話しているのでブログで書いたつもりになっていたのでしょう。 ということで、今日はトウパッドの選び方をバレエ解剖学や文献などと共に考えていきましょう。 トウパッドって何? DLSブログ常連さんであれば、私が常にdefinition、定義付けからブログを始めるのに慣れていると思うのですが、トウパッドだって同じように定義を探しましょう。   英語ではtoe pad、時々ouch pad、toe capなんて言われる事もあるトウパッドは、 ポワントシューズを履くときにつま先部分の保護と、シューズ内での足の安定のために使用する布(だったり、ジェル状のものだったり、綿だったり…)です。   バレエを長年やっている方ならば当たり前だろ!と言われそうですが、 知らない人もしくはお店の人に必要だからと言われて購入したけど「なんで」必要なのか?が分からない人はたくさん存在するので書いておきます。   昔はただのピンクの布だったのが(なんでピンクなんだろうね?)、今では実にたくさんの種類が出ています。 バレエショップのサイトで調べたら驚くほどの種類が出てきて困ると思いますが、こちらの記事にも様々な形のものが写真付きで書いてあるので見てみてください。 その記事のトップに書いてあるメーカーの「perfectfit」というものはカスタムメイドのトウパッドで、お値段を見るとビックリします… (カスタムメイドだから仕方ないのか、パテント・特許がついているから値段が高いのか…) 文献に見るトウパッド 様々な形のジェル、違った素材のトウパッド、カスタムメイドまで存在するのに、 トウパッド素材の違いとケガ予防やテクニック向上のコネクションを調べる研究は殆ど見つかりませんでした。 私が見られる限り(=英語、もしくは日本語で一般アクセスのあるもの)では1つだけ!   比較的新しい研究ではあったんだけど(2019年)、この研究では10人のプロダンサー(年齢18.6±3.8)という小さなサンプルサイズなのと 普通のトウパッド(STC、standerd toe cap)…

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五十肩(肩関節周囲炎)とバレエ

2020年の秋セミナーではこの質問を様々な教師用クラスで聞かれました。 五十肩の生徒さんをどう指導したらいいのか分からない   今までの来日セミナーではなかったので、取り上げたことはなかったんだけど、今日のブログでは五十肩っていうヤツにフォーカスを当てて考えてきましょう。 五十肩って何? まずね、私はこの五十肩って名前が嫌いなの。 すっごく嫌い。なんで年齢なの?(この答えは後で出てきます…)   しかもこれ、ちゃんとした診断名でもないんだよね。 ぎっくり腰=急性腰痛の総称(もしくは診断するのが面倒)とか肉離れ(筋挫傷の総称、でも重軽度は確認していない)とかと同じ類な気がします。 ご存じの方がいたら教えてくださいませ。   英語ではfrozen shoulderという俗称で知られるんですが、正確にはadhesive capsulitisです。 肩関節の関節包(joint capsule)の炎症(ーtisとつく)って意味で、 adhesiveというのは粘着性とかと言われるもの、つまり関節が動きづらくなることを指します。   日本語では肩関節周囲炎というみたいですね。   日本整形外科学会のサイトによると 中年以降、特に50歳代に多くみられ、その病態は多彩です。 関節を構成する骨、軟骨、靱帯や腱などが老化して肩関節の周囲に組織に炎症が起きることが主な原因と考えられています。肩関節の動きをよくする袋(肩峰下滑液包)や関節を包む袋(関節包)が癒着するとさらに動きが悪くなります(拘縮または凍結肩)。 とあります。   そう、一言に五十肩といっても、いろいろな問題・症状があるんですよ。 四十肩と五十肩は違うの? いいや、違わない。  …

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ダンサーのリハビリeBook 2nd Edition

  今ケガをしていて、ほかの人のレッスンを見学しなければいけない人へ 手術しろと言われたけど、そうすると踊れなくなっちゃうんじゃないかと不安な人へ 自分の生徒がもしくは子供が、ケガをしているのでサポートしたいと思っている人へ このeBookはそんな人たちのために書きました。 ご購入はこちらから   私がバレエを辞めたのは、長期にわたるケガのためでした。 その後、どうしてケガをしたのか知りたくて解剖学を学び、Diploma of Remedial Massage Therapyという治療家の資格を取り、バレエ学校で働き始めたけれど、 ケガしてくる子たちを「治療」するだけでは、完治ではないし、舞台復帰にはならない、という事に気づきました。 そこからピラティスを学び、オーストラリアバレエ団のボディコンディショニングスペシャリストについて研修し、10年バレエ学校で専属セラピストやフィットネスクラスの講師をしながら ケガ予防(もしくは小さなケガから大きなケガになるのを予防)がどれだけ大事なのか 的確なリハビリがどれだけダンサーの復帰に繋がるか を痛いほど学びました。   文字にすると当たり前ね。 だけど、これが出来ているダンサーやスタジオはほとんどなく、バレエ学校やカンパニーでさえ規模によっては難しいようです。   バレエ指導、治療家、トレーナー。 この3点からダンサーのリハビリに必要な知識部分をまとめたのがこのeBookです。   同じケガの症状や、病名でも、ダンサーの数だけリハビリ方法がある。 だからこのeBookであなたのケガを100%完治させることは出来ないけれど、大きなサポートになってくれたら嬉しいです。 ダンサーのリハビリeBookが向いている人 今ケガをしていて、ほかの人のレッスンを見学しなければいけない人 手術しろと言われたけど、そうすると踊れなくなっちゃうんじゃないかと不安な人…

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