厳しいレッスンじゃないと上達しない?

伝統あるクラシックバレエ。 先生に怒鳴られながら、体中の痛みを押し殺し、毎日夜遅くまでのレッスンを乗り越えてきた人だけがプロとして舞台の上で輝ける… と思っている方は、この記事を読んで考え方を改めましょう。   臨床心理学のエビデンスをベースに、生徒が上達するレッスンについて考えていきましょう。   厳しいレッスンじゃないと上達しないのか? 厳しいレッスンが必要な時もあります。 が! 怖いレッスンは上達を妨げます。     怖い=恐怖や不安を引き起こすことを表現する単語 厳しい=物事や状況が非常に厳格であることや、要求や規則が厳しく守られることを示す単語   安全の為にも、規律を守ることは大切だし、 徹底した基礎への要求はバレエスタジオに必要です。   でも 失敗すると怒鳴られる ケガの事を伝えたら怒られる レッスン中に露骨に無視される という心理的状態で「しか」練習出来ない場合、 その環境でアーティストは育つのでしょうか?   答えはNOです。     恐怖を感じる環境ではダンサーは育たない  …

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ダンサーが体の声を聞かないといけない理由

  昨年からオンラインで継続しているボディコンサークルでも ブログ記事でも私はよく「体の声を聞く」という話をします。   でも「体の声を聞く」っていったい何を指しているのでしょうか? フィーリングワード?(何かの比喩?イメージだけ?) 本当に聞こえるの? 何の事を言っているの?(3年石の上に座って瞑想必要?) 才能が必要??   ダンサーに必要(だと愛さんが再三言っている)な体の声を聞くという意味を今日は考えていきたいと思います。   体の声とは? 「体は声を発するか?」と聞かれたら答えはYESです。 皆さんが喋る時に使う筋肉はのどの中にありますよね? 発音を左右する口の形や舌の場所なども筋肉だから、喋ることも筋肉を使う運動の一つになります。   だから歌手は歌を歌うためにトレーニングしますし、ウォームアップしますよね。 長くDLSをフォローしてくださっている人ならご存じのように、私はメルボルンにあるパフォーマー専用クリニックで働いていた為、 そこでオペラやミュージカルシアターの人達と仕事をする事もありました。   Vocal unloading というテクニックは、歌を使う時に使う筋肉の治療の一種。 Vocal hygineというのは声をいいコンディションで整えるために行う日々のケア。 大きな公演が続いた後は、voice rest、声を休めるという日を作るように説明されます。 でも「体の声を聞いて」というのはここじゃないんだよね。  …

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自信をもってレッスンを指導するために

  勉強すればするほど、自分の指導に自信がなくなってしまう。   この質問、悩みは2015年から行ってきた教師のためのバレエ解剖学講座も、最近のプログラムであるボディコンでも、 そして一番長い時間を私と過ごす、DLSインストラクターコースの小鬼たちからも聞きます。   勉強すればするほど、自分の間違いに気づいちゃうし 情けなくなっちゃうし、生徒に申し訳ないとも思ってしまう。 だから勉強しない(=傷つかないため)という人も実は結構多い。   ちょっとドキとしましたか?   スタジオ経営+クラス指導、レッスンプラン作りに保護者対応…忙しいから 今は発表会(コンクールが、コロナの対応が…)に集中しないといけないから 家族が小さくて手を離せないから   これらは全て言い訳ではありません。 真実です。   個人事業主で、クラス指導だけでなく裏方もやらなければいけなくて、しかもお家に帰ったら家族との時間もある。 これは嘘でもなく、弱音でもないです。 バレエの先生、というか、世の中の全てのsmall businessを運営している人達は大変なんだよね。   Small business ownerの私もよく分かります。 忙しくない日なんてないでしょ!? やることリストなんて作ったら、それだけで1日終っちゃうよね笑  …

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何を”言わない”か?の大切さ バレエ界版

「注意が理解出来ない生徒に対し、どんな注意をしたら上手になるか?」 「どんな風に伝えたら、子供が聞いてくれるか?」 このような質問はほぼ100%の確率でセミナーの事前フォームや、クラス後のフィードバックフォームにある「今悩んでいることは何ですか?」のセクションに書いてあります。 何を言うか どうやって言うか も勿論大事なんだけど、今日のトピック「何を言わないか?」ってそれ以上に大切なんですよね。   自分が知っていたら現役時代が変わったのに、と思うと色々と伝えたくなってしまう先生や、 可愛い我が子が後で大変にならないように先に伝えてあげたい親心。 そういった愛情はいい方向で使いたいですよね! 今日は「何を言わないか?」について考えていきましょう。 何を言わないか?ダンサーの管理栄養士版 この記事のインスピレーションになったのはDLSフォロアーだと既に知っているはずで、私のブログの中でも「フミさん」というタグがあるくらい何度も登場する シドニー在住のダンサー専門管理栄養士の染原ふみさんのブログ記事。   フミさんの記事はDLSとは違って短く、1分ちょっとで読めちゃうはずだから元記事を読んできてくださいね。 (DLSの記事は長い事で有名だからさ笑)   彼女のブログのオープニングセンテンスはこちら どんなことを言わないか、でその人の本質が見えることはよくある   口先だけ良いこと(正論・相手が聞きたいであろうと思われる言葉)を言う人は皆出会った事があるでしょ? だけど行動を見ると…ねぇ。   フミさんが上げた3つの例を見ていきましょうか。 「甘さ控えめだから罪悪感無しで食べられます」 甘いものが好きか嫌いかは本人の趣味ですから、それが正しい、悪いではないです。 カンパニーダンサーへのアドバイスの一つに、パワーの必要な踊りの前はエネルギー量の高いもの(=カロリーが高いもの)で高GI(=すぐに使えるエネルギー)を取れ、というのがあるくらい シチュエーションによって使い分ける人もいます。  …

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上達してない…と思っているダンサーへ

2021年春のオンラインセミナーも終了し、3月から始まったボディコンサークルも順調に2グループ目が出来ました。   こうやって周りの人達が勉強している様子をSNSにアップしていたり、 新しく学んだ知識と共に指導の方向転換をしていたりするのを見ているときに 「私、上達してないじゃん…」 と思っている人もいるかもしれません。   もしかしたら、日々のレッスンの中で言われた注意通りに動けなくて やっぱり才能ないのかなぁ…なんて思っている人もいるかもしれませんよね。   今日のブログは上達が目に見えない時に読んでほしいことを書きました。 バレエ解剖学ではないけれど、とても大事な事だと思うので是非読んでみてください。 (読みやすいように軽く書いたけど、話口調の文章が嫌いな人はUターンしてくださいませ。お疲れ様でした) 良くわからない、は上達している証拠 「よくわかりませんでした」 「いまいち理解できていません」 という言葉を聞くたびに、おめでとう!と言ってあげたい子たちはたくさんいます。   学びには4つのステップがある、と言われるのね。 これはスタンスWSやターンアウトWSでも資料に載せてあります。 (もっと知りたい人やリソースは英語のwikiにリンクツリーがあります)   unconscious imcompetence(出来ないことも分かってないよ) ↓ conscious incometence(考えてるけど出来ないよ…) ↓ conscious competence(考えてれば出来るよ)…

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ダンサーが自分の体を信頼するために。

2021年1月7日、各地で再度緊急事態宣言が出されました。 (ようやくだね、っていう海外組の反応は置いておいて…) 舞台がなくなった人も、バレエ団のレッスンがなくなった人もいました。 またオンラインレッスンに戻ってしまうんじゃないかと心配している生徒さんや保護者、もちろんバレエ教師もいたと思います。   そんなダンサーの生活をサポートする為に、 セミナー期間が終わった、と一息つく前に「緊急事態宣言中ダンサーサポートエクササイズクラス」という(なんとも名前の長い…) 投げ銭スタイル、エクササイズクラスを計6回お送りしてきました。 ご参加くださった方、サポートしてくださった皆さん、どうもありがとうございました♡   トピックを見て分かるように、今回は筋肉とか、バレエのテクニックにフォーカスするのではなく、 キーワードに沿ってエクササイズをしてきたのね。 Emotion creates motion and motion creates emotion=感情が体を動かし、体の動きが気持ちを作るから。   今日はキーワードの中でも一番大切だと思うもの、「trust」について書いていきたいと思います。 2月1日のメルマガを読んでくれた人は、ブログ用に新しく追加した下から2つ目の「舞台で信頼できる土台を作るには、体の強さが必要」だけ読んでくださいね♡ なんで「Trust」が一番大切なキーワードなのか? ダンサー=体を使って芸術を表現する人 だと仮定すると、ダンサーが自分の職業ツール(もしくは表現の道具、舞台でコントロールできる唯一のもの)を信頼していないっていうのは大きな問題になると思いませんか?   でも、自信をもって「私、私の体を信頼してます!」っていう事ができる人はとても少ないと思うのね。 そして「体はあなたを信頼しているか?」なんて考えたことがない人も沢山いると思う。   この記事の中では、Trustを「信頼」と訳していくけれど、…

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レッスンがなくても上達し続ける方法

  バレエの先生に喧嘩を売っているような題名でしょうかね。 そういう意味ではなくって、このブログを書いている今、Covid-19の影響でレッスンがお休みになってしまっているスタジオがたくさんあるから、そういう子達に書いています。 ケガしている時にレッスンに出られなくても出来ることがあるよ!とお話している記事もDLSにはたくさんありますが、今回はCovid Edition。   体力作り なによりもここから始めよう。 体力がありすぎてケガすることはありません。 体力がありすぎて筋肥大だったり、テクニックで出来なくなるものもありません。   その逆。 バレエでは、体を使って踊ることが求められるのならばその土台になっているのは体力でしょ。 基礎体力があればあるほど、レッスンに戻った時に上達が早まりますよ! 何故かって?   だって体力があれば アレグロを大きく踊ることが出来る レッスンを安全に受講ができる(バレエ学校のようにたくさんクラスがある場合) 他のグループが踊っているときにマーキングや、グループに入って何度も踊れる   他にも、疲れると人間不機嫌になりますよね。 ご機嫌でレッスンをこなすためにも(ポジティブ、集中してレッスンが受けられるようになる)、 人間的に嫌な奴にならないためにも大事です。   折角レッスンが出来るようになった!という時にゼーゼーしないためにも、 最初のレッスンでいきなりケガしないためにもとっても大事ですからやっておこうね。   過去記事で、ダンサーのスイミング、ダンサーのランニング、ちょっと古い記事ですが縄跳びについても紹介しています。 #愛さんとエクササイズ というインスタライブもしているので、私の掛け声とともにエクササイズをするのもアリ!…

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バレエの先生に痩せなさい、と言われた時

DLSのインスタをフォローしてくれている人、youtubeに登録してくれている人、ポッドキャストを聞いている人はすでに見た(聞いた?)かもしれませんが、 ふみさんに質問をしたミニシリーズ(計7つ)をアップしていました。 このブログではそのビデオをご紹介しつつ、Key takeaway、重要なポイントをご紹介していきます。   既にいろいろなところでアップしてるじゃん!って私も思いましたよ笑 だけど12月いっぱい行っていた愛さん駄目だしアンケートの結果によると、SNSでフォローしているものは人それぞれで、年齢層によっても大きく違いがある。 特にふみさんの話、ダンサーの「踊れる体をつくる」食事の話って日本ではほかにないので、色々なところでシェアさせてもらっています。   DLSをストーカーしている人にとってはウザいかもしれないけど、難病指定で、ダンサーは普通の人の2-10倍なりやすい摂食障害を少しでも予防できるならば、 つまりHappy Dancingにつなげられるならウザい事もやります。ご了承ください。 もう私は読んだよ(聞いたよ、みたよ)という人はぜひシェアしてもらえると多くの人達に情報を届ける事ができます。 よろしくお願いいたします♡   ダンサーにとって大事な情報がたくさん詰まったふみさんのサイト、DDDはこちら DLSのインスタはこちら ダンサーが摂食障害になりやすい理由   ふみさんからのKey Takeaway ダンサーの摂食障害率は一般人より2-10倍高い 摂食障害とは遺伝、性格、環境の3要素が複雑に絡み合って発症する 摂食障害になりやすい性格の一部…完璧主義、白黒思考、ルールに従うのが好き、自分より他人を優先、自分に厳しいetc 痩せを崇拝する社会や周りの人に囲まれている環境も問題 いいダンサーほど摂食障害になりやすい性格を持っているが、性格を変える必要があるわけではない 摂食障害について理解し、どうやって予防するかの知識を持つのが大事。 摂食障害は長引くと5-10年治療にかかるので、なった場合は早く対処する意識をもって。   愛さん編集後記…

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バレエ上達のアドバイスから行動まで

2019年の頭の方に、「脱!質問ヘタッピ 上手に先生に質問する方法」という記事を書きました。 時々ね、英語で記事書いて、生徒たちに配ろうか、って思う類のものがあるんだけど、 この記事は特にそう笑   あと少しでバレエ学校の最終学期が終わりますが、今日はそこから3人の生徒を例にとってこの1年の成長を見ていきましょう。 ミリー、ジョー、チャーリー(あ、全部仮名ですよ、実在の人物なので)は1年生。 年齢もかなり近く、ハーフディでも同じクラスにいたので皆2年以上の知り合いです。   同じ学校、年齢も近い。 でも成長はかなり違います。   一番伸びたのはチャーリー。 身長も、テクニックも笑 でもね、彼女は去年の終わり頃、身長が伸びたせいで側弯がかなり目立つようになってしまいました。 その前から知っていたんだけど、側弯は身長の伸びが激しいときに、角度がひどくなる傾向があるため、それが出たみたい。   でもこの1年、彼女は側弯スペシャリストに言われたエクササイズをすべてこなし、 暑い日でもコルセットを装着し、 先生に言われた注意を直すために何をしたらいいか?という質問をほぼ毎週私に聞いてきていました。   側弯の角度はかなり減り、気を付けて観察しないと外からは見えないほどに改善。 テクニックも伸びたおかげで、年末公演ではソリストに抜擢されています。   チャーリーの偉いところは、言われたエクササイズをやっていて、そのうえで 「簡単になってきたから難易度の高いものを」 「効くべきところに感じないので確認を」 「やっているけど同じ注意をされるから、エクササイズのバリエーションを増やしたい」 など、やった上でしか聞けない質問が出てくるのね。 これ、質問ヘタッピ記事でも書いたけど、やった後の質問の重さが感じられるよね。  …

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セミナーを受けない理由

毎回セミナーを行う度に、そして月一勉強会やボディコンサークルのようなレギュラークラスのページにも、 参加条件というのを記載してあります。   DLSには誰でも参加できるよ! 100人超えて参加できるよ! というクラスはめったにありません(イベントとかであれば別ですが…)   そしてメールやDMで相談を受けても 「このクラスは向きませんよ」 「OOが目的だったらいいけど、そうじゃなかったら来ない方がいいよ」 とお答えします。 セミナーを受けない理由、というのは受ける理由より多いと思うのね。   今日は受けない理由をお話していきましょう! 受けない理由:今必要ないから 勉強しなきゃいけないことはたくさんありますよね。 私もそう。 日々勉強しないといけないもの、勉強したいエリア、もっと知りたいことが山積みです。   でも、「今」の私に必要な事はなにか?と考えると答えは明確になってきます。   勉強はメルボルンでも、オーストラリアでも、日本でもできる。 私は、解剖学やエクササイズなどはこちらで勉強したため、 英語で勉強した方が頭に入るので、英語圏だったらどんなセミナーでも受講できることになります。   だからこそ、日本に行ける時間があったら日本のダンサーたちをサポートする活動をしたくて、 バレエ学校のスケジュールや、働いている舞台の関係上、日本に行けない時間を使って、メルボルンで週末にセミナー受講した方がいい。   オーストラリアバレエ団のメディカルチームトップ、Sue Mayesは私にとって勉強のアイドルなんだけど、…

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