プロのバレエレッスンを見学して

  話はちょっとさかのぼりますが、2019年の8月は福岡インターナショナルバレエフェスティバル(以下FIBF)という団体のガラコンサートをサポートしていました。   このガラコンサートには福岡のいくつかのバレエスクールからオーディションで選ばれた子達(現地の子達)と、 福岡出身のプロダンサーとダンスパートナーが一緒にステージを作るというイベントで、 地方のスタジオの壁を取り払い、コンクールのように勝ち負けでなく、 みんなで舞台を作り上げるというコンセプトがDLSのハッピーダンシングと似ているので応援に駆け付けたのですが、 そこで前日、当日の舞台上でのレッスンも含め、プロと現地の子のレッスンを見学する機会がありました。   今日のブログでは、あまり見ることが出来ないであろう、プロのレッスン風景を見て驚いた3つの点をシェアしようと思います。 どんな様子だったか?というのはビデオにまとめてあるので、こちらを見ながらブログを読むとより背景が分かりやすいと思いまーす! ウォームアップがある あったりまえでしょ、と言われそうですねぇ。 現地の子達はFIBFの責任者であり、実際に海外の様々なバレエ団でプリンシパルを務めていたフランクからウォームアップとストレッチの違いを説明され、 しかもこうやってウォームアップするんだよ、というクラスを受けたことがあったそうです。   が、私が見学にいった舞台3,4日前から舞台当日まで。 バーにぶら下がるストレッチだったり、床でカエルだったり、 そして友達とずっと喋っている姿が見られました。   これはその子達が悪い生徒だ!と言いたくて書いているんではありません。 生徒たちって、指導されたとしても「毎日の癖」が出ちゃうんだよね、ということと、 特に疲れてくると(夏休み中毎日リハーサルが続いていたそう)、エネルギーを使わない動きであるストレッチや、頭のエネルギーを使わないこと、つまり習慣が出てきてしまうっていう事実。   実際に、本番の後現地の子達に自分がやっているウォームアップを書き出してみてね、というセミナーをやった時にほとんどの子達がストレッチ「だけ」を書き出していたのを見て分かっています。   プロの人たちが全くストレッチをしていなかったか?と言われたら答えはいいえ。 だけど「ストレッチだけ」の人はいなかったのと、 喋っている量は子供たちの方が多かった。  …

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常に100%ってどういう事?

  発端はこちら。 まずはDLSのオフィシャルインスタの一枚を見てください。   私はこの言葉が好き。 FBでいっぱいもらったコメントでもたくさんの人が共感してくれていました。   が、その一方で「そんなことをしたら燃え尽きちゃうよ」とか「頑張りすぎはよくない」などの意見もあります。 (というのをネットで見ました、というだけで、別にDLSにそういったコメントが来たわけではないよ。)   先日最終学期が始まったバレエ学校で生徒と話していて、これに通じるところがあったので記事にしてみようと思います。 100%でプレーするとは? 2019年春、2018年春、両方のキッズセミナーで「やりきる」とはなにか?をお話しました。 昔記事にした気がするんだけど…私が見つからないということは知らない人も多いと思うのでもう一度。 (ってか、DLSには1000に近い数の記事があるから探すのも大変ですよね。 まとめられるように計画中です…遠い目…)   レッスン中に「やりきる」ことができるもで 可動域を使い切る。 ピルエットなどで回りきる。 というのはすぐに分かりますよね。   逆に「やりきっていない」ダンサーは アダージョでキープは辛いから「自分があげやすい」ところまでにしておく。 毎回のタンジュでつま先を伸ばし切らない。 ピルエットでちょっとバランスを崩したから、フィニッシュまでやらない。   アンシェヌマンもそう。 バーレッスンの振り付けが終わったら、「はい」とか「反対」と言われるまで動かないはずなのに、 すぐにポジションを崩す。…

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カエルを食べてしまえ! ダンサー編

ついに、佐藤愛の頭もここまで狂ったか。 立ち方「だけ」で本を出した時は正直度胸あるなとは思ったけど、 ダイエットはダンサーに必要ないとか、 ストレッチしなくても柔軟性が上がるとか、 毎回変なことをブログ発信したり、めちゃくちゃ早口のポッドキャストはやっているけど、 カエルを食べる?! カエルを食べてしまえ!は本である。 ご存知の方もいるかな?かなり有名ではあるしね。 私は知らなかったんだけど、毎回来日でお馴染みになっているうちの近所のBookOff通いで見付けたの。 *日本だけでなく、メルボルンもそうなんだけど本屋さんの数が減っているよね。 ブックオフの方が近所の本屋サンより品揃えがいいっていう…   表紙にでっかい緑のカエルがついててさ。 へーんなのって思って、買った。 元々は英語版で2002年に出版されたらしく、英語版のカエルの方が個人的には好きです。 好みの問題だけどね、おめめぱっちりで可愛いよね笑 英語版の表紙で見えるように、サブタイトルは 「Get more of the important things done today」ということでビジネス書(自己啓発書?)なんですね。 新たなダイエット本ではないよ?   ページ数も136で、私の本シリーズは144あたりだから読みやすいと思う。 比較としてよくあるビジネス書は300-400ページが多い気がする(うちにあるのはそんな感じ)。 期待していなかっただけに笑 内容はとっても良かったです。…

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DDDセミナ―で学んだ10の事

DDD=Dancers Don't Diet バレエダンサーならば、というかダンサー自身ももちろんだけど、特に教師や親御さんに読んでもらいたい情報がいっぱいつまった、愛しのふみさんのブログですね。 もーいいでしょ、彼女の説明は。 →彼女のインタビュービデオも含まれているふみさん紹介ブログ   2019年1月に行われた、本邦初となるふみさんのセミナ―(ダンサー向けと教師・トレーナー向けの両方)を受講した私が学んだ、 10つの事をご紹介しますね(もちろん、10個以上学んだんだけど笑) 1 炭水化物をとらないダンサー程ケガが多い 考えるエネルギー不足=集中力低下 ケガは集中力が落ちている時に起きやすい。 炭水化物を抜いてきた私、バレエ学校時代もそうやってダイエットしろと言われてきたし、 当たり前のようにメディアでも取り上げられていた「炭水化物は敵」という考え。   ふみさんに出会って、食に対して自分の中にまだまだ残っている偏見というのに毎回気づかされます。 2 ダンサーが必要とするエネルギーは遺伝子にも左右される しかも80%くらいはすでに遺伝子で決まっちゃうんだってさ。 昔うちのバレエ学校ではなかったけどクライアントでいたダンサーで、 「私はイタリアンだからいくらパスタを食べても太らないけど、同じだけお米を食べたら太る」 と言っていた子がいたのね。   その当時は、へーとだけ思っていたけど、今思うとケガも少なく、体型維持も出来ていた彼女は 自分の体の声を聞いていたンだなぁと感心します。 他の人がこれを食べているから、あれをしているから、っていうのや ダイエット本に流される必要がないっていうのも分かるね。 3 鉄分不足は生理スタートから1年ほどで落ち着くケースが多い…

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レッスンVS睡眠時間 成長期ダンサーが気を付けたいこと

  ダンサーの卵サポートセッション、通称卵の日で絶対にくる質問でもあり、 スタンスやターンアウトWSでも大事だって伝えている「睡眠」。   だけど記事にはした事がなかったので、セミナー参加者の復習や、確認のため書いておこうと思いました。 (それと、前に#愛さんとティータイムで、私が8時間ねるよ、と言ったら驚かれたのもあって笑) 睡眠時間はどれだけ大事? 睡眠は大事ですよーっていうのは、信号無視しちゃいけませんよー的なもので みんな知っている事だと思うのね。   だけどさ、歩行者信号が点滅していて引き返す人がいないように…笑 睡眠ゼロ!はいなくても(=信号無視)睡眠削って、という人はいるよね。   でもね、ダンサー特に成長期ダンサーだったら絶対に大事な事だし、 もしかしたら週末のレッスンよりも大事かもしれないんです。   なぜか?というと レッスンを受けても、トレーニングをいくらやっても、睡眠中にしか筋繊維は修復されないから。 つまり寝る事で、 レッスンの効果を最大限にしてくれる レッスンで使った部分を強くしてくれる エクササイズで頑張った事を文字通り「身に付けてくれる」 わけでございます。   ね、大事でしょ? そして、身長が低くて悩んでいるダンサーたち、成長ホルモンが分泌されるのは夜なので、 ちゃんと寝ていなければ身長も伸びません。 身長が伸びないという事は、身長制限のあるバレエ団のオーディションが出来ない!って事です。 つまり、将来ダンサーとして不利になる可能性があるわけ。  …

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続・バレエレッスンを最大限に使ってますか?

昔バレエレッスン、最大限に使ってますか?という記事をパート1とパート2に分けて書きました。 1回のレッスンをぼーっと受ける、とか下手な鉄砲じゃないけど、週に5,6回レッスンを受けているから上達するだろうと思っている子達に、 どうやったらその1回、1時間半、4千円のレッスンを最大限に活かせるか?というヒントを書いた記事たちです。 パート1はでレッスン前に出来る事からバーレッスン、センターまで。 パート2はアレグロ、ポワントなど。   今日はその続きで、レッスン前後、空いている時間に出来る事を集めました。 2019年5月に行われたDLSキッズで「あーもったいないなぁー」と感じた事をまとめてみたので、 子供達でも、バレエ歴が浅くポワントまでやっていなくて、 ケガしていてアレグロ出来なくても出来るポイントです。 失敗しないがゴールではない DLSのインスタグラムを見ていた人はご存知のように DLSキッズでは骨盤にペットボトルを載せて行うエクササイズをしていました。 でもね、ゴールはペットボトルを落とさない事、ではないんですよ。 まーもちろん落ちない方がいいんだけど。   でも、ペットボトルはフィードバック。 嘘をつかない中立の立場のもの。   特に骨盤の微妙な傾きや、重心の揺れなどを察知して貴方に教えてあげるためにあるわけです。 ということはね、落とさないようにしよう、と考える事が悪いのではないけど、 落とさないように「だけ」考えていたらダメなのね。   例えば落とさないようにすーっごくゆっくり動く。 最初はそれでいいかもしれないけど、それじゃアレグロは無理だよね。   手足をちっちゃく動かす、自分の可動域を最大限に使わない。 踊りがちっちゃくなっちゃう人もそうだよね。 こじんまりまとめるだけ、失敗しないだけだけど、 ダイナミックさがないし、自分にチャレンジしてもいない。…

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パドドゥをするから痩せなきゃいけないの?

もう、18,9年前の話。(うわー年寄りに感じるね…) バレエスタジオの発表会でジゼルのペザントのパドドゥをやる事になりました。 でも、発表会バージョンだから俗にいうペザンパ(Peasant pas de deuxの略で英語ではこの発音になる。カタカナにすると間が抜ける笑) ではなく、メインのカップルがいて、私と友達は1名の男性をシェアという、パドドゥ+パドトロアだったんだけど。   そこでお友達が先生に痩せろと言われました。 それを覚えているのではなくって、その時の私の対応を今でも、スタジオのどこに先生がいて、どんな気持ちだったかまで鮮明に覚えてる。   「先生、私も痩せた方がいいですか?」 床に座って、CDの片付けをしながらノートに書いてある発表会振り付けメモを読んでいた先生に向かって私はこう言いました。 そして先生に「愛ちゃんは別にいいわよ」と言われて優越感があったのを覚えています。 この時、身長168、体重51。 自分史上、2番目に”よかった”体型。 一番目は小学6年生、162㎝、39㎏。   こうやって覚えているもんだね、数字。 一番太っている時ももちろん覚えている。 踊りの上手下手ではなく、どれだけ数字に執着していたか?がよく分かりますよ。 同じ時期の学校の授業をこれだけ覚えていたら、どれだけ良かったか!!   痩せなくていいよ、が優越感になるって事。 これは今の私だったら「だれかこの子をカウンセリングに連れていってあげて」レベルだと分かるんだけどさ。 こうやってブログのために記憶を掘り下げていくと、恐ろしいですな。 パドドゥをするから痩せなきゃいけないの? これが今日のお題です。 このような質問が来たののではなく、 「パドドゥのために痩せなさい」と言われたのが引き金となり摂食障害になった。…

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舞台を楽しんで、ってどうやるの?

ターンアウト本先行予約イベントの、質問ボックスに入っていた質問の一つに、 「どうしても舞台で緊張してしまいます。緊張することは悪い事ではない、と愛さんが言っていましたが、いい緊張と悪い緊張ってあるんでしょうか?」 という事が書かれていました。   これは、舞台慣れしたらダンサーとしてまずいんじゃないの? という会話をふみさんとビデオでしていて、 なんらかの形で、イベントでもそのビデオの話になったんですね。 私たちの「舞台慣れ」についての意見はそちらのビデオを見てください。 緊張することは悪い事? 最初に言っておきます。緊張することって悪い事ではありません。 でも、緊張のせいで、自分の100%を出し切ることが出来ない、というのはよくないですね。   まず最初に、 緊張=自分の力を出し切れない ではないという事を覚えておきましょう。   集中力が切れていても 痛みがあっても 体力が残っていなくても 自分の力は出し切れません。   もちろん、練習不足でも100%の力は出せないね。   だから、緊張しちゃダメなんだ!ではないし、 緊張したから力が出し切れなかったんだ、でもないです。   もしかしたら、当日前夜、夜遅くまで荷造りをしていて寝る時間が短くなってしまったのかもしれないし、 毎日続くリハーサルで体力消耗していて、一番疲れた時に舞台にあたってしまったのかもしれないし。 色々な原因があるはずです。 いい緊張は存在する…

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アンシェヌマンを覚えるのが苦手…

振り付けを覚えるのは絶対である。という記事を書いてからはあまり(私の前では?)聞かれなくなった 「私、アンシェヌマンを覚えるのが苦手なんです」 という声。   でもやっぱり、レッスンお悩みランキングでは上位の方にある質問ですよね。 (勝手な感想より。数値的バックアップはゼロでございます笑) 振り付け覚えろよ!って言いながら、「HOW TO」の部分をお話していなかったら、根性論になってしまうので、今日はその部分をまとめておきます。   上手な子はアンシェヌマンを覚えるのが早い、と思われがちだけど、 アンシェヌマンを覚えるのが早い「から」上達が早まるンだよね。   どうして振り付けを覚えるのが絶対なの? 振り付け覚える=レッスンでしょ? と勘違いしている方はこちらの記事を勉強してから戻ってきて下さい。 無料ですから… ステップ(パ)は単語、アンシェヌマンは文章 あ、今このブログページ閉じようとしたでしょ? あと少しだけ聞いて下さい笑   バレエのステップは単語って考えて下さい。 アンシェヌマンはsentence、もしくはstoryだと思って下さい。   卒業スピーチを暗記して、皆の前で読まなきゃいけない!!ってしようか。 そしたらさ、スピーチの内容が理解できている、繰り返し練習する、っていう前に、 スピーチが読めなきゃいけないよね? 読めない漢字が出てきたら調べないといけないし、発音が微妙だったら確認する必要があるかも。   それと同じで、アンシェヌマンを覚えるときに、ステップ(パ)が分かっていなかったら やっぱり難しいのですよ。  …

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意外に目立つダンサーの顔の癖

毎回バレエ学校の試験官をやっていると、そして冬期バレエ講習会やDLSキッズをやっていると思うのですが、 顔の癖って意外と目立つんだよね。 集中すると口が開く 引き上げようとすると眉毛が上がる 失敗するとニヤッとしてしまう 表現しようとして目を細めてしまう 苦手な振り付けが来ると唇を噛みしめる 真剣な時の顔で口角が下がる あ、おでこや眉間にシワが寄るって子もいるよね。   こうやって上げると、あーこの子、そうだなって思い浮かびません? そしてね、これが目についちゃうと、その子のよい部分が見えづらくなってしまうンですよ。 態度が悪く見える癖 レッスン場での態度、という記事は3千以上のいいねがついている、DLS史上トップ3とかに入る記事なんですが、 見た目やボディランゲージの大切さをお話しています。   おでこや眉間のシワ、失敗したときに表情がニヤける、というのは いい印象を与えません。 態度が悪く見えます。   自分は頑張ってやっているつもりなのに、口角が下がっていると、不満を持っているように見えます。 口呼吸を直して、という記事で書いた通り、半開きの口はアホに見えます。 これってすごく不利でしょう? 早く直しておいた方がいいですよね。 表現力を妨げる癖 態度が悪く見られるだけでも不利だけど、 ダンサーの表現力を止めちゃうケースもあります。   引き上げようとすると眉毛が上がる、って驚いた役ならばいいかもしれないけれど笑 そうでなければ表情が幼稚に見えますよね。…

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