芸術的な引き上げ!?


芸術的な引き上げ!?

今までDLSでは様々な角度からバレエレッスンで言われる注意ナンバー1のひきあげを見てきました。

 

引き上げて、引き上げて、引き上げて!という記事では

3つの引き上げをご紹介しました。

  1. 筋肉が働いていない
  2. 筋肉を短く縮めて使っている
  3. 背骨の上に「座って」しまっている

 

そして、背骨のカーブを勉強していたところだったので、

3つ目の背骨の上に座ってしまっている、

または乗っかっている、なんて言われ方をする体の使い方をお話ししました。

 

次に引き上げと脊柱起立筋、という記事では、

その背骨カーブを引き上げるもの、つまり動きを生むから筋肉、を見ていきました。

だって骨だけでは動けないでしょう?

 

筋肉の名前はそのまま、脊柱起立筋。

脊柱=背骨を起立=まっすぐにする、筋肉の説明をしましたね。

そしてこの筋肉は実は背骨を下に引っ張ることで、

背骨を引きのばしている筋肉でした。

 

ダンサーの腹筋事情シリーズで、ドローインと引き上げ、というものも考えてみました。

腹筋を使って内臓を中に収め、それをさらに伸ばしたら引き上げになるよ、

という、背骨や解剖学ではなく、エクササイズの視点から引き上げの練習をしたんです。

 

バレエではおなかが出っ張ってたら下っ腹を引き上げなさい、なんて注意をされるからね。

ここらへんで引き上げ=骨、ではない事に気づきます。

 

ここらへんで便利になってくるのが、バレエ注意の考え方の記事

ここではフィーリングコレクション、とアクチュアルコレクション、といった2種類のバレエ注意を説明しました。

 

フィーリングコレクションというのは感覚で分かる注意。

イメトレもこの部分に入ります。

 

アクチュアルコレクションは、実際に(actual)に起きている注意。

解剖学注意はこの分類に入りますって説明しましたね。

例えば腰椎を縮めないとか、股関節から大腿骨を回すなど。

 

ということは、背骨を引き上げるというのは実はフィーリングコレクションの部類にはいる

と鋭い人なら分かるはずです。

だって、脊柱起立筋を勉強したときに分かったことは、

この筋肉は背骨を下に引きのばす、って分かっているから。

 

実際に解剖学的に筋肉をみたら、背骨は引き下げられている、ということになり、

アクチュアルコレクションだと、「背骨を引き下げて!」なんてなります。

 

何が言いたいか?といいいますと。

引き上げ、というのは(私は)フィーリングコレクションの一部だと思っています。

確かに解剖学的に正しい部分もありますよね。

背骨で見たときに分かるように。

ただ、そこだけに囚われてしまったら踊りにならないと思うし、

すべての「ひきあげ」の注意のつじつまが合わなくなってしまいます。

 

最初に挙げた引き上げの例をもう一度見てみましょう。

 

  • 筋肉が働いていない
  • 筋肉を短く縮めて使っている
  • 背骨の上に「座って」しまっている

 

筋肉が働いていない時に、背骨を引き上げると筋肉が働くのでしょうか?

背骨の周りは分かるけれど、大腿四頭筋を短く縮めて使っているときに、

背骨を引き上げて直るのでしょうか?

 

引き上げて踊る。を深く見るという記事で書いたように、

引き上げるということは、固めることではない。のです。

だけれど、本当に解剖学に忠実に考えると、筋肉を使うと

(たとえそれがコンセントリックだろうが、アイソメトリックだろうが)筋肉は固くなります。よね?

 

 

じゃあ、何を指しているのか?

答えは一つではないけれど、

上の記事で上げた例を使ってみましょうか。

 

上に伸び続けるエネルギーが舞台の存在感、伸び、超人間的な表現に繋がるのです。

つまり、この注意は最終的に体のポジションを注意しているのでもなく、

骨のプレースメントを話しているのでもなく、

舞台での表現力、存在感、そして役作りに必要だってことなんですよ。

 

ジゼルのミルタ。

あの、凛とした強い体を表現する時に、筋肉がヘロヘロだったら泥臭いでしょう?

妖精なんですよね、そして強い意志を持っている。

 

同じくジゼルのアラセコンドから、アラベスクに入ってプロムナードする場所。

2幕ね、バレエを知っている人ならばすぐに頭に思いつくでしょう?

あそこでも伸び続ける脚、すっと入った完璧なフォームのアラベスク。

そして超人間的なスムーズなプロムナードに繋がっていく…

ああ、彼女はもう生身の人間じゃないんだな。

1幕と2幕の振り付けの違いで感じるわけです。

 

海賊のグラン・パ・ド・ドゥの最後。

どんなバージョンでも(パドトロア版でも!)アリもメドーラが直立不動なわけがないですよね。

だけれど、音楽もそうだけれど、伸びを感じる背骨のエクステンション(そり)で終わる。

あれも引き上げ。

背骨カーブだけで見たら、それをできる限り直線に戻してこよう!という意思は全くありませんが、

伸びを感じますでしょう?

 

 

解剖学を勉強すると、解剖学に縛られてしまうことがあります。

私もそうです。気を付けないとだめだって時々自分を止めることも。

解剖学は踊りを助けてくれるツールだけれど、

バレエのバイブルではない、つまり解剖学が絶対ではないんですよね。

 

だからこそ、21世紀の今でさえ、解剖学辞書を片手に振り付けをするのではなく、

代々引き継がれてきた表現や、解釈をバレエミストレスから勉強するのでしょう?

 

そういうところも考えて、今日は引き上げて!という言葉を考えてみました。

次回のレッスンで考えるきっかけになったら嬉しいです。

 

 

Happy Dancing!

ai

 

 

 

 


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