ダンサーに必要なタイムマネジメント

  この記事は2016年3月に書かれたものを、追加情報や編集をして2022年にアップデートしました。     タイムマネジメントって言葉を聞いたことがありますか? ビジネス用語として使われることが多いこの言葉ですが、 time=時間 management=管理すること   辞書の定義では タイムマネジメントとは、目標を達成するために時間を有効活用し、仕事を効果的・効率的に進めるための技術のことを指す。 日本語では、時間管理のこと。 スケジュール管理と混同されることがあるが、スケジュール管理は、どちらかというとスケジュールの管理や把握といった意味合いが強い。   と出てきます。   タイムマネジメントは、バレエの先生や、会社の話だけではなく、 プロのダンサーを目指す子たちにとって非常に大事な技術です。   留学する前にバレエと学業の時間をマネジメントするのもそうだし、 保護者がお迎えしてくれる、などがない留学先ではもちろん、 卒業し、自分でプランを立ててオーディション巡りをする場合だって大事。   ということで、今日はダンサーに必要なタイムマネジメントについて考えてみましょう。   オーディション巡りでのタイムマネジメント バレエ学校に入学した全員が、学校付属のカンパニーに入れるわけではありません。 ロイヤルバレエ学校の最終学年でもオファーがくるのは毎年2-3人程度だそう。   選抜されなかったクラスメイト達は外部へオーディションに行きます。…

Continue Readingダンサーに必要なタイムマネジメント

バレエレッスン、最大限に使ってますか?パート2

パート1では、レッスンを最大限に使うためのヒントとして、 ウォームアップ、バーレッスン、センターレッスンでできることをお話ししました。   やってみてくれましたか? レッスンの後の疲れ具合とか、汗の量、そして次の日の筋肉痛などに変化が出ているはずです。 ね、同じレッスンをしていても、効果が違うよね。 例え、バレエを趣味でやっていたとしても、みんな上達したいのよ。 そして上達するならば早く上達したいじゃない? 時間やお金の無駄にならないためにも、バレエレッスンを最大限に使いたいものです。   今日はその続きで、アレグロ、ポワント、そしてクールダウンを見ていきます。 アレグロ 2014年だったかな?メルボルンフェスティバルでシルヴィ・ギエムがメルボルンに来ていました。 その間オーストラリアンバレエ団でレッスン、リハを彼女とチームはやっていたそうですが、カンパニーのお友達にきいた事。 それは彼女は全てのグループで、全てのアンシェヌマンをやっていた。   アレグロは移動が多いので小さめのグループでおこなわれがちです。 ということは待ち時間が増えます。 つまり、レッスンを最大限に使うための時間がたくさんあるわけ!   簡単な方法としてすべてのグループで踊る、もしくは4グループあったら、最初と2番目で行う、 という事はできますが、これは場所があれば、の話。   ない場合、アレグロの中に入ってるステップをその場所で何度も練習する、 アレグロの音楽に合わせてカフライズや片足プリエなどを繰り返し筋トレに使う(他のグループを見る時間もできる) ポーデブラだけ行う、 などができます。   また、上級者、オープンクラス向けですが、つま先強化のためにデミポイントシューズでアレグロを行う、なんて手もあります。 つまり、バーレッスンやセンターではフラットシューズで足の裏の感覚、使い方を練習し、…

Continue Readingバレエレッスン、最大限に使ってますか?パート2

バレエレッスン、最大限に使ってますか?パート1

週に何回レッスンに通っているか? という質問は色々なところで使われます。   例えば、バレエ学校のオーディションやワークショップで聞かれることもあるし、 ケガすると治療家から聞かれるはず、トレーナーにつく時も聞かれているはずです。   ただ、誰も聞かない事。 それはレッスンの質。 もちろん、質が低くても週に5回レッスンに通うことでできる強さ、というのはあります。 だけどね、どうせ時間を使うんだったらレッスンを最大限に利用して上手になりたいもの。   この前スキマ時間を使ってバレエ上達を考えてみたけれど、今日はレッスンを最大限に使ってバレエ上達を考えてみましょう! ウォームアップ ウォームアップの大切さは何度も何度も書いていますから分かっていると思うけれど、 レッスン上達のためにも大事だって事はあまり知られてないかも。   例えばウォームアップで正しい筋肉を感じることができると、レッスン中に正しい体の使い方を意識することができます。 つまり、同じレッスンでも正しいところを強化していくことができるわけ。   ウォームアップでしっかりと体が動くように準備しておくと、バーレッスンから体の可動域をしっかりと使いこむことができます。 可動域、つまり動く幅が大きくなれば大きくなるほど、筋肉も使うし、運動量も上がる。 スタミナ向上、筋力向上、そしてダイエットにもお得です。   ウォームアップをしっかりと行うメリットはケガを防ぐことでもありますよね。 ということは、ケガで100%踊れない、という時間を短縮してくれます。 これを逆に言うと100%レッスンに参加できる可能性を最大限にあげてくれる。 嬉しいですよね。   もう一つ、当たり前だけれど忘れがちなこと。 それはウォームアップは運動です。ってことはね、1日の運動量も上がるって事。…

Continue Readingバレエレッスン、最大限に使ってますか?パート1

出来ない事を放っておいても上達しません・・・

バレエ学校では毎週すべてのグループ(ハーフディといわれる若い子たち、1年、2年生)に 毎週フィットネスクラス、というものがあります。 これは私が受け持っているクラスで、昔はボディコンディショニングとか呼ばれていました。   日本語でフィットネス、というとフィットネスジムとかを思いだすかもしれないけれど、 英語でフィットネス、というと適合するとかの意味もあります。 つまり体の状態をバレエダンサーに必要なレベルにする、という意味ね。   2016年も後半戦になってきましたので、このクラスで行うエクササイズはかなり難易度が高くなってきています。 当然、できない子もいます。   それでね、「できなーい、できなーい」って言ってるの。 バカじゃないか。   できないものを放っておいてもできるようになりません。 これが今日のトピック。   できないって言っている子に聞く質問は決まっています。 どうしてできないの? 何をすればいいの?   それに答えられる子は、できなーいなんて叫んでいません笑 だってできるようになる術を知っているから。   どうしてバランスがとれないの? 軸足が弱いから。   じゃ、何をすればいいの? 軸足の足首を鍛えるエクササイズを行う。  …

Continue Reading出来ない事を放っておいても上達しません・・・

スキマ時間でバレエ上達をもくろんでみた。

私たち、忙しいです。 やることはたくさんあるのに、集中の邪魔になるものもたくさんあります。 インターネットのおかげで全てが繋がり、情報を探しやすくなったけれど、 FBに異常なくらい時間を使っているのも事実ですよね。 (だからって言ってDLSアップデートを見ない、なんて言わないでねー自分で自分の首を絞めているか・・・)   お母さんプラスバレエダンサーの卵のマネージャー、送り迎えばかりで自分の美容室アポイントメントさえとれない。 はよく見る光景だけれど、   買い物、洗濯、仕事プラスバレエの指導。 勉強しなきゃいけないって事はわかるけれど家族の面倒。 親の介護、仕事、仕事、仕事、仕事・・・また仕事!?とかね。   今日のテーマは、忙しくって週に1度しかレッスンに行けない!という時にどうしようか?というもの。 大人バレエトレーニーさん(大人でバレエレッスンを受けている方々をDLSではトレーニー「トレーニングする人」と呼んでいます)だったらよくある悩みだろうけれど、 バレエの先生で、指導はしているものの、自分のレッスン時間を作れない、という人も多いだろうし、 学生ダンサーでテスト前でレッスンの数を増やせなかったり、 スタジオが夏休みでクローズしちゃって、クラス数が減ってたり。   そういう人たちにも読んでもらいたい記事です。 レッスン自体の効率、効果を上げる方法はまた今度ご紹介します。     まずはやりたいことを明確に! 何を強化したいですか? 体力?知識?テクニック?筋力?リハビリ? それらをらまずは書きだしてみてください。 何から始めたらいいのか分からない人は知識・心・体の三角関係 上達へのヒントという記事を読んでみてね。 DLSにはテクニックを分析した記事やおうちでできるエクササイズの記事、解剖学の記事など色々あるのでそちらも参考になると思います。 (ということは!…

Continue Readingスキマ時間でバレエ上達をもくろんでみた。

片手バーVS両手バー 使い分けの方法

片手バーVS両手バー。 なに言ってるのかさっぱり分からない人がいたらメールください。 どうやってDLSを探したのか知りたいです笑   さてさて。 今日はバレエ教師の方からいただいた質問、片手バーと両手バーどこからはじめたらいいのか分からない、というものについて。 すっごくシンプルに言ってしまうと 両手バーからでございます。 で終わっちゃうので、バレエレッスンでのバーの使われ方、エクササイズ的にみる方法、そして自主練の時の使い分け(もしくは指導の時のヒント!)という感じでこのトピックを見ていきましょう。 バレエレッスンでのバーの使われ方 私はバレエ史専門でないので深いことはお話できません。ご注意ください! という免責を書いておいてからはじめましょっか。   ルイ14世がバレエをやってて足の5番ポジションとか作っていた時にはバーレッスンはなかったようです。 その後、バレエダンサーを作る学校が色々な国でできて、そこでテクニックを育てるものとしてバーレッスンが活躍したみたい。 だから、どんなバレエのシラバスをみてもバーレッスンが入っています。 シラバス、っていうのはプロのバレエダンサーを育てるために作られたシステムだからね。   シラバスについての深い話は既にしているので、気になった人はそちらを読んで下さい。   うちの校長先生(彼女についての記事はこちら)はACBシラバスというのを作った人。 ACB=the Australian Conservatoire of Balletの略でうちの学校の名前です。 ワガノワメソッドをベースにしていますが、ワガノワでは扱われない3,4歳のダンサーがレッスンにくるオーストラリアやアジアのために、若い子たちのレッスンまで書きこまれています。 彼女によると、最初に両手バーではじめるのは当たり前だけれど、 シラバスの途中で新しいステップが出てきたら、両手バーに戻るように作られている、といっていました。  …

Continue Reading片手バーVS両手バー 使い分けの方法

自分勝手に踊るのは表現力ではないよ!

9月に表現力セミナ―を行うので、表現力に関する記事をいくつか作りました。 例えばダンサーの足と表現力という記事では、つま先を伸ばすっていうテクニックの部分がどうしてダンサーに必要なのかを考えてみました。 レッスンを「見る」技術という記事では、ケガや病気が理由でレッスンに参加できなくても、レッスンを見ること自体が勉強になると。 そしてその時にお友達のテクニックだけでなく、表現力や存在感なども研究することができるってお話ししました。   自分らしく踊るというのは表現力です、という記事では同じバリエーションでも、笑顔でも、自分らしさを追及することはコンクール、オーディションで非常に大事だってお話ししました。   今日はその反対、自分勝手に踊るというのは表現力ではないって話。   自分勝手な音の取り方 自分らしく音を取る。 ためるところやスピード、クレッシェンド・・・ それって表現する時に大事な部分です。   でもね、自分勝手に音を取ってたらそれは表現じゃないです。 ただの自己満足。   例えば、コンクールの予選。 振り付けを与えられたらその通りに動かなければいけません。 5でルティレ、6でバーから手を放し、7で5番ポジションルルベ、8でデトールネ。 だとしたら、あーバランスとれた!なんて喜んでホールドしてたらダメなんですよ。   この部分出来ていないダンサーを多く目にします。 普段のレッスンでそこまで見られていないのかしら? バランスさえ取れれば点数が良くなると思っているのかしら? 振付家の意図は気にしなくていいのかしら????   DLS冬期バレエ講習会では口をすっぱくして伝えているんだけど、 この部分、運動神経でもあるんですよ。 聞いた音楽に合わせて動くだけの体のコントロール、コーディネーション、それに伴う筋力。…

Continue Reading自分勝手に踊るのは表現力ではないよ!

自分らしく踊るというのは表現力の一部

日本の夏はバレエコンクールであふれているでしょうね。 コンクールでよく見る光景。 それは同じバリエーションが次から次へと流れてくる!! 1−2人はいいけれど、20人目のオーロラ姫とか、キューピッドとかね。   同じ踊りをする、というのはコンクールだけで見られる光景ではありません。 バレエ学校の現地オーディションは同じ振付け、つまりレッスンを大勢で踊ります。 ローザンヌ国際バレエコンクールは最近ライブでこのようなオーディション風景を見せてくれますよね。 それを見ても分かるようにすごい人数がレッスンを受講するわけです。   バレエ学校の試験もそう。 もちろん、振付けは前から練習していますが、同じ振付けを踊る、という部分は一緒ね。 表現力っていうのはただ笑顔で踊ればいいわけじゃないのよ。 よく表現しましょう=笑顔でおどりましょう、と思う人がいるんだけれど。 ローザンヌのレッスン風景をみてみて。 バーのプリエから素晴らしい笑顔で踊っている人たち?   真剣なまなざし、というのも表現力。 だって自分の強さ、集中力、意思力というのを表しているから。   もちろん、怒った顔して踊れってことじゃないですよ。 ただスタンプ押したような引きつり笑顔で踊る必要がないってこと。   オーディションの顔、っていうのはやっぱり存在するのですよね。 最近はYouTubeに色々な人のオーディションビデオが載っているから、それも観察してみてね。 同じ表現でも、舞台のサイズやオーディエンスのいる場所などを考えられるようになると上出来き。 大きい舞台では大きく踊らなければいけないけど、 スタジオパフォーマンスだったらどうだろう?   舞台メイクでオーディションに行かないように、…

Continue Reading自分らしく踊るというのは表現力の一部

アレグロと運動能力 アレグロ大作戦 パート3

アレグロ苦手克服大作戦!パート3の今日はアレグロに必要な運動能力を考えていきましょう。   パート1ではアレグロって一体なに?どうしてそんなに難しいの?という事を考えましたね。 そこで分かった事は アレグロとは早い音楽での跳躍。 アレグロには大、中、小のサイズがある 大、中、小、というのはダンサーのレベルによって様々である ということ。 そしてそれをダンサー流に考えると   アレグロをしっかりと踊るためには早い音楽についていけるだけの運動能力、音楽性、跳躍力が必要である。 アレグロをしっかりと踊るためには、プチ、ミディアム、グランアレグロ全てをマスターする必要がある。 アレグロを上達させるには、プチ、ミディアム、グランの順番で自分の苦手ジャンプを練習していく必要がある という事が分かりました。   パート2ではアレグロのレベル(サイズ)を説明するプチアレグロ、ミディアムアレグロ、グランアレグロっていうのをアッサンブレという超基本な動きで考えてみました。 そしてそこから分かった事は、 ダンサーのレベルによって、アレグロのレベルも変わってくるってことでしたね。 つまり、苦手なステップがあったらそのステップの1段階前に戻って練習する事で克服できるって分かったわけ。   苦手克服にちょこっと近づきましたね。   今日は、運動能力とアレグロを考えていきます。     テクニックというのは練習で上達するエリアです ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説によると、 運動能力(motor ability)とは…

Continue Readingアレグロと運動能力 アレグロ大作戦 パート3

努力しているんですが・・・努力する才能パート2

生徒だろうが、セミナーであった人だろうが、メールで相談してきた人だろうが。 よく出てくる言葉の一つは「頑張っているんですが・・・」「努力しているのですが・・・」   努力の大切さや、成功している人は努力しているんだよという話は既にしていますから、 今日はこの「頑張っているんだけど・・・」を研究してみましょう。 →パート1はこちらからどうぞ。     自己満足努力 きっとなんでもそうだけれど、努力というのは、自己満足ではダメです。 自分の中で成長した、とか昔と比べて上手になった!というのは素敵なことだし、 それを自分で感じたり、先生が分かるようになるって素晴らしいこと。   ただね、オーディションでも発表会でも、コンクールでも周りの子たちがもっともっと努力していたら、あなたの努力じゃ足りないんですよ。   今までエクササイズしたことなかったから毎日寝る前に10回腹筋と背筋を3か月続けました! っていうのは素晴らしい努力です。 ゼロから3か月続けたんだからね。   ただね、同じ実力の子が、30回ずつ腹筋と背筋、しかもトレーナーさんにしっかりと正しい方法を指導してもらい、様々なアレンジをしながら3か月続けた、という努力をしたら、 たぶんその子の方が上達していますよ。   レッスンをたくさん受けたら努力なのか?といったら違います。 先生の注意を聞かず、同じように踊っていたら上達しません。 レッスンの振り付けを間違えてたら脳トレにさえなってません。     ベクトルの違う努力 これは成功って何なのか?っていう話でもお話ししましたね。 上手になりたい!って思いながら同じことを繰り返しても、結果は同じ。…

Continue Reading努力しているんですが・・・努力する才能パート2