芸術性のための筋トレ

芸術的な引き上げ、という記事は不思議な記事だったと思います。 解剖学的に引き上げを説明していた、と思ったら実はフィーリングコレクション、 つまり感覚で理解する注意だったりね。   解剖学はツールであり、言語であり、ルールである。 最近、とっても感じることの一つです。   解剖学はツール。 例えば、一見バレエに向いていないような生徒をより早く、確実に上達させるツールになります。 体の構造をしって、どうやってバレエで使うのかを理解しレッスンでできるようになったら、 ただ、真似して動けるように見えるナチュラルダンサーよりも 上手にさせちゃうこともできるツール。   また、ケガをした時のリハビリでも早く復帰をするためのツール。 体を理解し、どうやって動くのか?を考えることで、自分のケガを理解することができるし、 そこから復帰するためのガイドラインにもなります。 この関節はここまで動くはずだから、まだ100%ではないんだな、とかね。   解剖学は言語です。 この部分は色々な記事で説明してきました。 お医者さんと話す時に同じ言葉を使えると便利だし、 インターネット検索や、参考書を読む助けにもなります。 言葉は知っていれば知っているほど自分の幅が広がるよね。   解剖学はルールです。 事故ゼロを目指せ!という記事で書いた通り、 交通ルールをみんなが守れば事故が減るのと同じ。 教師もダンサーもみんな解剖学的、つまり生理的に正しい訓練をすれば、 ダンスから来るケガが減りますでしょう?  …

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ダンサーの腹筋事情 おなかを使って脚を上げるってどういうこと?

ダンサーの腹筋事情を改善すべく、何層にもなっている問題について少しずつ紐解いて勉強しています。 腹筋は脚にはついていないけど、腸腰筋っていうグループは脚を上げるサポートをしてくれることは分かった。 でも、腹筋と腸腰筋ってどう関係するの? そして何よりも腹筋最強説や 「おなか使いなさーい!!」 「腹筋がないから脚が上がらないのよっ!」 という注意って嘘だったの?ということを調べていきましょう。   この記事はパート4です。まだ読んでいない人はパート1から順番に読んでくださいね。 腹筋はいらないのか? 前回勉強したように、腸腰筋は脚を前と横に上げてくれます。 そして、この筋肉は腰椎の前にあります。   ということは、 「おなか(の深部)を使って脚を(前と横に)上げなさい」という注意 は、解剖学的に成り立ちますよね?   では、「腹筋を使って脚を上げなさい!」という言葉は正しくないのかしら? これはYESでもありNOでもある、グレーゾーンに入ってきます。   その前に。 ここでいう脚を高く上げる、というのは 「クラシックバレエにおける」脚を高く上げる、ということだと思ってくださいね。   だってダンサーのに求められるものは、脚の高さだけではなく、 軸足はターンアウトされている 背骨は引き上がっている(アライメント) 肋骨や骨盤は正しいところにある(プレースメント) 上半身に力みがない(芸術としての美しさ) もちろん上がっている脚はターンアウトされ、つま先も伸びています。…

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筋膜ってなんだ? 

筋膜。 言葉は何度かこのブログにも出てきましたね。 一番よく紹介されているのは 「筋肉の勉強を始める前にシリーズ 第一弾」。 この記事から引用してみましょうか。   筋膜というのも、ダンサーにとって大事な一部です。これは特にストレッチをするときやセルフマッサージをするときなどに知っておくと便利。 筋膜、又は結合組織、と呼ばれるものは筋肉のストッキング、だと思ってください。脱いだ後に脚の形になっているでしょう? あれが筋膜。   筋肉を形通り覆っている丈夫な組織です。   なんでストレッチをするときに筋膜を知っていると便利か? 筋膜は弾性繊維とコラーゲン繊維でできているのです。 なんだそれ?   分からなくても大丈夫。 コラーゲン繊維はゼラチン状のもので、温めると液体状になります。 そしてそれが滑らかな筋肉の動きを助けてくれるのです。   という事でした。 ダンサーならば、それくらい知っていれば大丈夫です。 また、固くなりやすい筋膜をほぐす方法を知っていたら上出来です!   今日はもう少し深く知りたい人へ、筋膜の仕事を考えていきましょう。 筋膜はただのストッキングではありません。 ただ、履いていればオシャレ。 なだけではなく、 着圧、骨盤ガードル付き、矯正下着系のストッキングのようなものです。   色んな仕事をしてくれますから、ちょこっと知っていると便利です。…

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筋肉を固めないで使うってどういう事? 筋肉の収縮

*このブログは2014年に書かれたものを2020年に大幅加筆修正しました。   筋肉を使う、これはダンサーにとって当たり前ですよね? 筋肉を使わないで踊れないでしょう? (とスタートしたは良いけれど、未だに筋肉を使わずに踊れると信じて、筋肉を緩めることに命をかけている時代遅れダンサーがいるのも事実だしなぁ…)   でも、バレエ界の摩訶不思議な「事実」として伝えられている  筋肉を遠くに伸ばして! 踊っているとき、筋肉を固めないで!!   いや、間違っていないんですけどね? でもこれらの言葉をしっかりと理解できないと、 正しく指導はできませんし、危険すぎます。 バランスのゴールは「止まる」事ではない よくよく考えてみると、バレエの振付、 アンシェヌマンの中で「止まる」事はないんですよね。 たとえ「バランス」をとっていても。    例えばピルエットの後、バランスをとって止まる、という美しい見せ方がありますね? これも、ルティレでがちっ!って止まってしまうのではなく、 止まっているのに伸び続けるエネルギー、みたいな。   スピードが落ちているけれど、止まっていないっていうの? 視覚的?感覚的??には動きの余韻が残っているような、そういうバランス。   でもバランスとは、停止という意味じゃないでしょ? 調和、つり合い、均等が取れた様子ってことじゃない?   そういう意味で「筋肉を固めないで」と言われているのならば意味が分かりますよね。  …

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筋肉の勉強を始める前に

*このブログは2013年に書かれたものを2020年に大幅加筆修正しました。   コアマッスルがどーの、とか体幹の筋肉を鍛えて、内転筋を強化… そういった筋肉一人ひとりの話をする前に、ダンサーが知っておきたい筋肉についての基本をお話していきましょう。   ちょっと面倒だし、必要ない気もする部分もあるけれど、バレエレッスンでステップ(パ)の名前を知っていると、そのステップに必要な動きの質が深く理解できるじゃない? アダージオは優雅に、とかフォンジュは溶けるとか。 そんな感じで、解剖学用語を知っておくと、筋肉への理解も深くなると思います。 参考書も読みやすくなるしね。   →筋肉の前に骨を知っておく →関節について復習しておく 筋肉は3種類ある 人間の体に筋肉が3つしかない、って言ってはないですよ。 大きく分けて3種類の筋肉があるって話。 骨格筋(こっかくきん・skeletal muscle) これが一般的に「筋肉」と考えられているやつ。 文字通り骨についていて、関節の動きを作る子たちね。   骨格筋は、自分の意思で動かすことが出来ます。 なんて当たり前な!と思うかもしれないけれど、この後出てくる残り2つの筋肉たちは、いっくら努力しても自分で動かすことが出来ません。   自分で動かすことができる、つまり思ったように動く時に使われる骨格筋の事を随意筋(ずいいきん・voluntary muscle)とも言います。 心筋(しんきん・Cardiac muscle) 文字通り、心臓の筋肉です。 そう、心臓は筋肉なんですね!そして、心臓は自分の意思で動かすことは出来ません…よね?  …

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