木曜日:トムに学ぶ注意の受け方


 

学校シリーズ4日目 木曜日:トムに学ぶ注意の受け方

トムは今年の新しく入学した1年生です。

最初に会った時からなんだかしっくりと来ないものがあるなぁ、と思っていました。

でも何がしっくりこないのか、私もよく分からない…

,

男の子のエクササイズクラスを教えていた時の事。

「重心が後ろにありすぎるから、前に持ってきて」

という注意で、彼が「そんなことをしたら前に転んでしまう」と言いました。

 

そこで私が「前に転ばないようにするためにはどうすればいい?」というと

「重心を後ろにするしかないじゃん」っとぼそっと言うのです。

 

んー

そうなんだけど。

 

その後「OK,重心を前に持ってきたまま、転ばないようにするにはどうすればいい?」

と聞くとこっちも見ずに「不可能。」と一言。

そして黙々と同じエクササイズを間違ったままで繰り返しています。

話を続けたくないのは丸見え。

 

あーこれがしっくりこない原因だ。とその時分かりました。

彼は注意の「受け方」を知らないのだ。

 

殆どのバレエ生徒は注意を受けるのが好きです。

 

言葉にすると変でしょう?

だけど本当。

注意されていると、見てもらえている、と思うから「もっと頑張ろう!」という心理に繋がります

そしてこのような生徒ばかりスタジオに残るので

私たち教師はそれが当たりまえに感じるようになるのです。

 

でもこれをスタジオではなく、教室に置き換えてみましょう。

教室で注意されると生徒は反抗する、聞かない、聞き流し…

 

本当に色々な態度をとるのですが、その態度の殆どはネガティブです。

その理由は、注意=ネガティブだ、と思っている、またはそう教わっているからです。

注意=自分の糧になるもの!という理解が出来ていない、とも言えます。

 

将来バレエを続けるか否かは別として、バレエがお稽古事に向いている理由の一つは、

注意をしっかりと聞く子供になる、というところ。

そして注意されてもめげずに頑張れる子供になること。

 

でもそれはトレーニングであって、バレエをやったから皆そうなるわけではありません。

バレエをやった子が皆の姿勢が素晴らしく良くなる訳ではないのと同じように。

 

トムは注意の受け方を習ってこなかったのだ。とこの時分かりました。

 

注意されると、それが個人的なアタックだ!と考えてしまい、いきなり防御の姿勢に出るのです。

それが目を合わせない、納得しなくてもハイって言っておけばいいという態度、

注意されていること自体が居心地悪くて仕様がない、という態度に繋がります。

 

人によってはこの態度が「攻撃的」になる事があります。「反抗的」とか。

全て、防御の姿勢の一部なんですよね。

私が子供だった時は「攻撃的」でしたし、妹は「必殺聞いたふり」の天才でした。

 

そこで私はクラスをいったん止め、クラスメイトもひっくるめて話し合う事にしました。

どうして体の前でウエイト(重い物)を持った時にダンサーは重心を後ろにしてはいけないのか?

 

物理と重力の話では、前にあるウエイトの重さ分、

体の重心を後ろに持ってくることでシーソーのようにバランスを取るのが自然ですね。

 

でもそうしたら、パドドゥの時、女の子たちはひっくり返ってしまいます!

そしてパートナーの重心が後ろにくると、彼女たちはトウシューズで立つことが出来なくなってしまうし、

男性は腰を痛めるなどのケガのリスクにつながります。

 ,

必要性が分かったところで実践を話し合いました。

どの筋肉が支えてくれる?

 

重心が後ろに逃げる事で分かったことは、

体と脚の後ろ側の筋肉たちがもっともっと強くならなければいけない事でした。

それが分かったところで、やっとどうしてこのエクササイズをするべきか、が分かるようになるのですね。

そして注意をされたら、一度立ち止まって考える必要がある事。

 

その後私は男の子たちに言いました。

私のクラスで質問は大歓迎だよ、と。

分からないでステップを踏むのは無駄。

間違えているところが分からなければ、直すことは出来ない。

 

そのために、話し合う必要があるのなら、もっと細かい説明が必要なら、いつでも聞いていいよ。

そして質問できるような環境でなければ、後で聞きに来ればいい。

教師はツールだから、使いなさい。

 

毎日のように誰かが私の部屋のドアをノックしに来ます。

「ねぇ、Ai,今日○○先生に言われた注意なんだけど…」

注意の受け方。

皆さんはどうでしょう?

 

 次回は学校シリーズ最終日「金曜日:シリーズを終えて」をお送りします。

 

関連記事として

教師と生徒の温度差について

のリンクを付けておきますね。

教師の頑張りと生徒の無関心(にみえる態度)を考えた記事です。

 

Happy Dancing!

ai

 


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