「股関節からのターンアウト」の落とし穴

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前回の記事では

 

股関節の外旋、つまりターンアウトは脚の付け根から生まれるけれど、

点と点原理で考えればわかるように、動きは骨盤と脚の付け根の後ろ側、つまりおしりの下の部分で生まれる、

 

という話をしました。

(何を話したか?の説明だけでもなんだか複雑ですね・・・)

その部分に存在する隠れ6人衆の外旋六筋のご紹介をちらっとしました。

 

今日はその

「股関節からターンアウトする」という注意がうまく伝わらないとどうなるか?という事を見ていきましょう。

そしてどうしてそれが危険なのか。

 

ターンアウトを上達させるために行われる「ストレッチ」の代表はうつ伏せカエルのポーズではないでしょうか?

そして2番ポジションスプリッツ、または開脚、と呼ばれるもの。

frog stretchside splits

私のところにも様々な質問がやってきます。

カエルのポーズは完璧に出来るのにターンアウトが出来ません。何がいけないのでしょうか?

開脚すると180度開くのにターンアウトが出来ません。バレエに向いていない体なのでしょうか?

 

このような質問に答える前に考えてみましょう

1)どうしてこのストレッチがターンアウトに影響するのでしょうか?

2)どうしてストレッチがターンアウトを「強化」してくれるのでしょうか?

 

カエルのストレッチ、そして開脚をするときに「のびてるー」と感じる筋肉はどこでしょう?

内転筋ではないでしょうか?

太ももの内側の筋肉。

 

この子たちの仕事は何でしたっけ?

大腿骨を内転させる事。

つまり脚をそろえる事、脚を体のセンターに持ってくること。

 

それをストレッチすると?

大腿骨の外転がうまくいきます。

 

脚をデヴァンにデベロッペ(大腿骨の屈曲)したければハムストリング(大腿骨の伸展をつくる筋肉)のストレッチをするでしょう?

それと同じ原理。

 

脚をアラセコンド(外転)したければ内モモ(大腿骨の内転をする筋肉)をストレッチする。

つまり動かしたい「動き」と反対の動きをする筋肉をストレッチするってことです。

 

ここでストップ。

ターンアウトって外転?それとも外旋?

 

外旋

 

外旋したければ股関節を内旋する筋肉をストレッチし、外旋する筋肉を鍛える必要があります。

 

分かりますか?

動きを止めてしまう筋肉を伸ばし、動きを作ってくれる筋肉を強くする

ということです。

 

 

カエルのポーズや開脚でこれができますでしょうか?

 

答えは否。

 

 

ここが私の考える「股関節からターンアウトする」という注意の落とし穴だと思うのです。

股関節からターンアウトする」という言葉があちこちに飛び交っているけれど、説明がついてきていない。

 

そして説明がないと股関節の前側を開けばいいのね!

という事ばかりが先歩きしてしまって、

前回お話しした点と点原理のターンアウトを「作る」筋肉を忘れがちです。

 

でも愛さん、それって確かにターンアウトにはつながらないかもしれないけれど、所詮ストレッチ。

体は柔らかい方がいいんでしょう?どうして危険なの?

 

よくぞ聞いてくださいました。

それは股関節の中にある股関節唇というものを知る必要があります。

 

こかんせつくちびる!?

 

こかんせつしん、と読むそうです。

そして靭帯についても知っておく必要があります。

 

 

これは長くなってしまいますが、股関節の痛みを持っているダンサーが非常に多いことと、

靭帯をけがするダンサーが非常に多いことからみて、しっかりとそれぞれを見ていく必要があると思います。

 

 

この事、踊っている時はもちろん、解剖学を勉強し始めた時も話されることがありませんでした。

けれど、バレエ医療師たちと働いてからぞっとしたのを覚えています。

特に小さいこども。

 

 

今後説明をしていきますが、今日見て分かったように、ターンアウトには無意味なストレッチです。

やるな!とは言えませんよ、ストレッチはストレッチです。

柔らかい体はケガをしにくいことも事実。

 

ただしこれがターンアウトを作るとは考えない方が良い、という事。

だって、ターンアウトをする筋肉を鍛えているわけではないからです。

 

また、股関節や膝関節のケガに繋がる危険性が高いので十分気を付けてください。

 

 

次回は「踊りだすとターンアウトをキープできないのは何で?」をみていきましょう!

 

Happy Dancing!

ai

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