数字で見る日本のバレエレッスンとコンクール

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数字で見る日本のバレエレッスン

 

ようやくFacebookでのローザンヌ熱が冷めてきました。

もー毎日毎日、だれかがブログを書いているし、

写真はアップされてくるし。

Facebookではなくってバレエ情報誌かと思いましたよ。

 

ローザンヌの素敵なところ。

前にもこの記事で書きましたが、

このコンクールは本当に生徒のためを思ってくれているところ。

 

言語のサポートもしっかりしているし、

医療チェック、特に摂食障害についてしっかりしています。

そして有名な先生に教えてもらえるなど、

コンクールではなくって大きなセミナーみたいになっていますよね。

 

そしてしっかりと将来に繋がるように手配されているのも素敵。

 

このようなコンクール、年齢があえば絶対に試してみるべきです。

その練習だけでも、とてもいい勉強になるでしょう。

 

私が日本で踊っていたときと比べ、

今のコンクールの多さにびっくりします。

猫も杓子もコンクール!!

 

前のブログにも書きましたが、私は「意味の分からない」コンクールが嫌いです。

目的がない、というかゴールがさまだって居ないというか。

 

そして誰かがいつも儲かっている、というビジネスの部分を全く考えていない。

(コンクール開催者、衣装屋さん、スポンサー、そしてコンクールレッスンで儲かる先生とか。)

 

このあたりの話はもう既に前にしてあるので、

今日は現実を数字で見てみようと思います。

ナンバーは嘘をつかないのでね。

 

 

(音声で聞きたい人は一番下へ。ポッドキャスト・YouTubeで再生できます。)

 

 

 数字で見る日本のレッスン時間

 

日本で普通にレッスンしている子達の平均レッスン量は

週に4回、一日3時間程度でしょうか?

そのうち、普通のバレエレッスンは3分の1ほど自分が踊っていない時間があると思います。

 

振付を覚えている時間。

バーレッスンとセンターレッスンの間。

順番待ちをしている時間。

 

ここらへんはスタジオによりますが、

まー人間が集中していられる時間とは20分程度が限度だそうで。

(最近の研究結果で8秒しか集中できない、とも言います。

これって金魚よりも低いらしい・・・)

だから3分の1は集中していないって言って過言でないでしょう。

 

よって1日につき2時間踊っている計算になる。

 

 

1年は52週間ありますが、

そのうちクリスマス、お正月に2週間お休み。

お盆休みが1週間程度。

カゼを引くかもしれないし、学校のイベントがあるかもしれないから2週間。

 

そうすると

52-5=47週間。

 

先ほど考えた週に2時間踊っているとした計算だと

 

2時間×47週間=94時間。

 

1年に94時間しか練習できないんです!!

この計算、一番いい状態で計算しています。

 

集中力がない日もあるし、

怪我して踊れないかもしれない。

家族旅行にいくかもしれないし、

インフルエンザで寝込んだり、

テストのためにレッスンを休んでいない。

という換算です。

スーパーヒューマン並みってことです)

 

普通だったら、こんなに集中できないと思いますが・・・

 

この数字、どういう事か分かる?

1年間に3日とちょっとしかレッスンする時間がないってことなんです。

 

どーなの、それ?

 

この中でテクニックをしっかりと勉強しないといけないわけです。

 

でもまって。

ここに発表会の練習を入れたら?

自分へのレッスン時間がとっても減ってしまうことに気づきましたか?

 

 

 

私は毎日休まずにレッスンしています!

という人のために週に7日踊っていると考えてみましょう。

休みなし、っていうのは変だと思うけどね。

 

この計算によると

7日×2時間×47週=658時間

27日。

つまり毎日踊っても1ヶ月ない・・・

 

こんなに短い時間でテクニックがしっかりと身につくのだろうか?

それが私の疑問です。

 

 

コンクールの写真をみているだけで怖い

ジャンプの着地での膝の方向

トウシューズに乗っかっちゃっている、引き上げなし。

ターンアウトがキープできず

アラベスクもアラベゴンになっちゃっている。

 

のだったら、3日間のレッスンでこれらを直し、リハーサルをしないといけないんですよ。

それっていくら有能な先生でも大変じゃない?

 

(もちろん、才能のある子、って存在しますが

そういう生徒を持っていたらちっちゃなコンクールなんかよりも早く

世界に手放してあげたほうが彼女のためになると思う。)

 

バレエ学校で普通な、

レッスン→ポワントレッスン→キャラクター、コンテンポラリーなど他のジャンル

→リハーサル・テクニッククラス→自主練・ボディコンディショニング

なんて時間の取れない日本の学校環境で、

 

どうやって素敵なダンサー、

なによりも先に健康なダンサーを育てることができるのか?

国際コンクールではそのような環境で育っている子達と肩を並べるんだ、

という事をお忘れなく。

 

世界での日本ダンサーの比率と成功率

世界各国のバレエ団に日本人ダンサーがいる程、

日本人ダンサーの質は高くなっています。

だけど、日本ほどバレエ人口の多い国も珍しい。

 

だからこそ%で見たときに、

もっともっと踊れる子を育てる環境があるのではないのか?

と毎年留学してくる日本人の子達をみて思います。

 

テクニックはこなせるのにパドブレが汚い。

立ち姿が変。

怪我しっぱなし・・・

 

 

 

これから夏のコンクールに向けて練習を始める子達が多くなるでしょう。

コンクールにでる目的をはっきりしてから

練習をして欲しいなって思うのです。

 

前にも書いたけれど、コンクールから学べることはたくさんあります。

素敵な舞台経験になること間違いなし!

 

アドバイスシートが出るから。

今年は発表会がないから舞台慣れするために。

同級生で踊っている子が居ないので刺激がないから。

大きなコンクールで踊るためのバリエーションを準備するために・・・

 

というコンクール参加はとっても素敵だし、

練習のゴールを作るのにも役に立つよね。

 

ただね、

将来何をしたいのか?

それを考えないと、時間が無駄になっちゃうと思うな。

 

なんでこのコンクールなのか?

どうしてこの経験がプラスに繋がるのか?

何が上達していくのか?

 

自分で分からなければ、先生に聞いてみましょう。

もし、彼女からしっかりした答えがもらえないとしたら、

スタジオの方針に疑問を持ってしまいます。

結局、コンクール上位の生徒をだすって宣伝になるわけでね。

 

特に「解剖学に力を入れています」といいつつ、

小さい子供にトウシューズを履かせ、

元々プリマが踊るように作られたバリエーションを躍らせる・・・

って解剖学、学んだんですか?

って聞き返したくなっちゃうね。

 

 

 お金という数字とコンクール

そしてダンサーって家族が金銭的にサポートしてくれているわけ。

もし講習会に行きたいのなら。

短期留学したいのなら。

現地オーディションしたいのなら。

 

そういうところにお金をかけるためにも、

しっかりと家族会議したほうがいいと思いますし、

そのための練習法、時間の使い方って言うのがあると思う。

 

コンクールレッスンに大金を払い、

先生に謝礼を出して、

衣装代を払って・・・

という金額が果たして自分の糧になっているのか?

それともそのお金で短期留学を体験したり、

地方から出てきてマスタークラスや講習会を受けたりするほうが

勉強になるのか?

 

金銭と今後プランって言うのは早いうちから練習しておいたほうがいい技術だと思います。

特に留学を目指していたら、

お財布管理は自分になるし、

ダンサーは自分のマネージャーとして動かなければいけない職業だから。

 

シルビィ・ギエムでさえ、現役の頃自分でマネージャをしている、

とインタビューで言っていました。

お仕事の調整から、お給料交渉まで。

 

 

バレエ団の順番、という数字

幾ら大きなバレエ学校からバレエ団に入ったとしても、

最初に始めるのはコールドバレエ。

そしてソリスト。

一生プリンシパルに上がれない人がいるのは周知の事実。

 

だとしたら、

コールドバレエのバリエーションがしっかり出来ていないのに

いきなりプリンシパルの振付に挑戦するのはいかがなものか?と。

 

 

周りとあわせる技術。

音のとり方、タイミングを鍛える技術。

舞台間隔、スペースを考える力。

正確なテクニック・・・

 

 

そういうところから勉強できることってたくさんあると思うのは

私だけでしょうか?

 

 

なんだかバーレッスンをしないで

ポワントでいきなりフェッテの練習を始めるみたいな

そんな無茶を感じてしまうのだけれど・・・

 

 

 

何度も言うように、この記事で書いたように。

コンクール自体がダメなんだーじゃないです。

 

ただ、あなたのゴールは何ですか?

 

ってこと。

生徒も、先生も、ご両親も。

みーんなが考えなくてはいけない事ですよ、って話。

今回の文章を音声で聞きたい人はこちらから

YouTubeにもありますよ!

 

Happy Dancing!

ai

 

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