バレエの先生こそ、自分の体に目を向けてみませんか?
生徒の成長を願うなら、まずは自分のケアから。
DLSアドバンスドインストラクターでもあり、8月から毎週月曜日に
ダンサーに特化したオンラインエクササイズの指導をする中村良子さん。
「変われること」を体験した彼女の言葉が、
レッスンや生徒との関わり方に新しい視点を与えてくれます。
Transcript
今年のビーチホリディが終わり、たぶんメルボルンに戻ってきている佐藤愛です。
ビーチホリディ場所とメルボルンとの距離は、1000キロちょっと。
ネット検索したところ、東京から博多にいくのと同じくらいの距離なんですって。
東京から九州というと、とても遠く感じるけど、オーストラリアの感覚だと隣の州。
さすが、オーストラリアは日本の約20倍の面積があるだけあって
”近い”という言葉の定義がちょっと違いますよね。
さて、今回のエピソードが7月インタビューシリーズの最後となります。
今日のゲストは、中村良子さん。
4月後半に行っていた、インストラクターコースの卒業生インタビューで
彼女の話を聞いた方も多いとは思うのですが、もう少しお話を聞いてみましょう!
愛:
良子さん、DLSポッドキャストへようこそ。
甘夏さん、愛子さんに続いて3人目のご登場になりますが、緊張してますか?
良子:
もちろんです。
いつも聞いているあのポッドキャストに登場しているんだと思うと、
夢かなって思います。
このような機会をいただき、大変光栄です。本日はよろしくお願いいたします。
愛:
甘夏さんのボディコンエクスプレスは2023年1月から始まりましたし、
その後に愛子さんのクラスもスタートして時間が経つから、
お二人のことを知っているリスナーさんも多いと思うのですが、
どうして良子さん?と思われている方もいるかもしれません。
良子:
そうですよね、なんで?ってなりますよね。
実はですね、来月、2025年8月から、
ボディコンエクスプレスに新しい枠が登場します!
そしてそのクラスをわたくしが担当させていただくことになりました。
ポッドキャストリスナーさんに、改めて自己紹介をさせてください。
みなさんはじめまして!中村良子と申します。
DLSスタンスインストラクターの2期生で、
2024年の春にアドバンスドコースを修了しました。
現在は、ダンスの指導と、ダンサー向けのエクササイズ指導の両方を行っています。
私は中学生の頃にモダンバレエとモダンダンスを始めて、
そこからクラシックバレエやジャズダンスも踊り、もっと踊り中心の生活がしたいと思って、
日本女子体育短期大学の舞踊専攻に進学しました。
学生時代には、学校生活と並行してダンス公演やミュージカルの巡業公演にも出演していました。
短大を卒業してからはすぐに指導の道に進み、今に至ります。
踊ることの楽しさ、そして踊り続けるために必要な知識や方法を、
少しでも多くの方と共有できたらうれしいです。
愛:
実はアドバンスドコース1期生の試験が終わった2024年の春から、
良子さんにボディコンエクスプレスをやらないか?というお話をさせて頂いていたのですが、
色々と裏事情がありまして、延期に延期が続いてしまいました。
はじめにオファーが来たときの気持ち、覚えていますか?
良子:
はい、鮮明に覚えています!
アドバンスドコース試験後のアフターパーティーで、愛さんからサラッと
「ボディコンエクスプレスやりませんか?」ってお声がけいただいて…。
頭の中が試験のことでいっぱいだったので、「えっ!?」って聞き返しちゃいました(笑)
驚きと戸惑いでいっぱいでした。
それからは、じわじわと見込んでもらえたことの嬉しさが出てきたり、
「毎週が試験みたいになるんじゃないか…」って不安になったり。
延期って聞いて、自分の力不足かなって落ち込んだり、でもどこかホッとしたり。
感情がジェットコースターみたいでした。
そしてその間に、解剖学の学びを深めたり、
グループ指導の練習をして仲間からフィードバックをもらったりして、
少しずつ力を蓄えることができて、自然と「やってみたい」って気持ちが育っていきました。
焦らず準備する時間をもらえたおかげで、これから始まる挑戦へのワクワクを感じています。
愛:
元々は、コンテンポラリーダンサーや、指導をされていたので、
DLSのインストラクターコース2期生があってエクササイズ指導がスタートしたじゃない?
現役で踊っていた時は、エクササイズの大切さとか習慣はありましたか?
良子:
当時は、エクササイズはやらずに、ストレッチだけを習慣化していました。
開脚や長座で前屈したり、背中が硬いから反ったりブリッジしたりしていました。
今なら危険って分かるのですが、最大可動域まで、よっしゃ!っていきなりやっていました。
レッスンに参加する前に十分に伸ばすのが当たり前と思っていましたから。
エクササイズは必要と思っていましたが、それはレッスンでするものだという認識でした。
コンテンポラリーのレッスンは、床から高くジャンプしたり、片腕で全身を支えたりするので、
基礎レッスンとして筋力を養う内容が組み込まれているんです。
それらが、DLSエクササイズの『飛行機バランス』とか『マーメイドツイスト』
『サイドプランク』などに似ていて、全く同じじゃないけれど、重なる部分があります。
でも、自分に何が必要か考えてやる習慣もなかったし、
理論も分かっていなかったから、効果的じゃなかったです。だからこそ、
「DLSエクササイズをもっと深く知りたい」っていう気持ちが湧いてきたんだと思います。
愛:
今ではダンス指導や振付だけでなく、
オンライン、オフライン両方でダンサーにエクササイズを指導されていますが、
指導者として何か変わりましたか?
良子:
DLSでエクササイズ指導を学んでから、「生徒ファースト」という視点が私の中に根づきました。
どんなにガイドラインがあっても、
それが本当に目の前の相手に合っているか?
私が伝えたいことではなく、相手が今必要としていることなのか?
そして、受け取れる状態にあるかどうか?
指導の中心を“私”から“相手”へとシフトすることで、
ダンス指導そのものも大きく変わったと感じています。
また、オンラインで指導するようになって、
全ての指導スキルがレベルアップした実感があります。
触れずに効果を出すためには、言葉選び、全身の観察、
声かけのタイミングまで、とにかく頭をフル回転します。
足のエクササイズでも代償が起きていないか全身を見たり、
「今この声かけでいいかな?」と相手の集中力を妨げない工夫をしたり…。
画面越しでも伝わるように試行錯誤した経験が、対面指導にもすごく活きています。
近くにいるからこそ見落としがちだった部分にも、しっかり意識を向けられるようになりました。
愛:
大人になってから、というかこの数年で、
コースでの勉強、エクササイズで指導、ビジネスや指導の幅を広げる…など
多くのチャレンジをしてこられたと思うのですが、
大人になってもチャレンジし続ける勇気はどこから来るの?
良子:
自分の経験を通して、素直に正しく行動したら、
成長できるって実感できたことが強い勇気になっていると思います。
過去の話になりますが、聞いて頂けますか?
私ね、うつ伏せでカエルみたいなポーズができないんです。
床に骨盤をつけたら足が浮くし、反対に足をつけたら骨盤が浮きます。
シーソーみたいになっちゃうんです。
バレエが上手だなって人はターンアウトができていて、カエルポーズができてるから、
わたしもできるようになろうってやったんですけど、
頑張っても頑張ってもできないし、関節が壊れちゃう感じしかしなくて。
更には、小さいころからやっている子たちに、
もう骨は固まっちゃってるから無理だよーって言われました。
それで、中学生から踊るなんて無理だったんだって、、、
バレエはもう上手になれないって思いました。
憧れや上手になりたいって思う熱量と同じ分だけ、苦しくて嫌になりました。
でも、心のどこかで、自分が思い描くように踊りたいって気持ちを、
ずーっと諦めきれなくて、それが20年以上続きました。
そんな時にDLSに出会って、
「できないのは努力の方向性が違うだけ」ってことに気づけたんです。
ターンアウトは形じゃなくて動きだと知り、練習すればできるようになるって、
正しい情報を教えてもらいました。
それで、エクササイズをしたら、ずっと無理だと思っていた“ターンアウトで立つ”ことが、
40代後半の今、ダンス畑の私にもできるようになったんです!
願いが叶うって、こんなに嬉しくて楽しいんだって実感しました。
だから今は、「分かるようになりたい」「やってみたい」って気持ちに素直になれるし、
大人になっても、自分が成長できることが本当に面白くて仕方がないんです。
自分と同じように“もっと踊れるようになりたい”って思っている人をサポートしたい。
指導力も成長していきたい。
その人たちが笑顔になっていく姿を見るのがたまらなく嬉しいので、
それがエネルギーになってチャレンジし続けられています。
愛:
残念ながら、先生たちの中には
「年だから痛くても仕方ない」「この年から学べない」
という気持ちの人達が多い気がしますし、
そういう年齢に囚われた考え方をしている先生や保護者の下で育つ子供達も同じように
「この年だからバレエは辞めて受験すべき」「体が向かないからバレエは諦める」
というようなリミテッドビリーフ、考え方の偏りが見られる気がします。
そのような人達にアドバイスはありますか?
良子:
日本の先生たちって、夜遅くまでレッスンをして、朝起きたらまたスタジオへ行く。
そこに行事が入ってくると、デスクワークや振付時間も増えて、
とても忙しいイメージがあります。
そんな生活サイクルの中では、自分のケアはどうしても後回しになりがちですよね。
心も体も疲れちゃって、つい「もう年だから仕方ない」と思ってしまうのも、
無理はないと思います。実際、以前の私もそうでした。
でも、ほんの数分でも背骨を動かすと、
呼吸がしやすくなって落ち着きを取り戻せたり、
骨盤周りをちょっと鍛えるだけでも、
重心が高く感じて、足取りが軽く気持ちも前向きになれます。
年齢による変化はおきて当たり前なので、
こうした自分のためのケア時間を取り入れるのも当たり前になると、釣り合いがとれますよね。
そうでないと、いつか本当に仕事が続けられなくなってしまうかもしれません。
だから私は、先生にこそ「自分のケアを優先していい」って伝えたいんです。
そして、子どもたちも同じです。
体が向いてないからできない、勉強が忙しいからできない、と思いがちですが、
それって本当は、理解の仕方や体の使い方、時間の使い方で大きく変わるんです。
私自身、一生できないと思っていたターンアウトが、
エクササイズをして、できるように変われたんです。
家族と住んでいて仕事があって、今が一番自分の時間を作りづらいけど、
勉強も自分のケアも当たり前のものとして習慣化してしまうと、継続できるようになります。
だからこそ、「この体だから無理」とは決めつけてほしくない。
そして何より、その言葉を先生自身が言わないでほしいんです。
先生と生徒が一緒になって努力できる、そんな関係性があるスタジオは、
きっとこれからもどんどん成長していけると、私は信じています。
愛:
7月15日からお申込みが始まった、ボディコンエクスプレス月曜日。
初クラスは8月4日からとなります。
良子さんの強い希望で朝6時半から7時という、
ボディコンシリーズ史上一番早い時間なのですが、
意気込みやメッセージはありますか?
良子:
朝の30分を有効活用してほしくて、愛さんに強く!お願いしました。
今お話ししてきたように、自分の体を自分で調整できるようになることは本当に大切な力です。
先生方、朝から誰かのために動く前に、
まずは自分の体をメンテナンスすることを最優先してみてください。
一人ではなかなか続けにくいからこそ、8月の1か月間だけでも一緒に試してみませんか?
学生ダンサーたちにも、エクササイズの効果をもっと知って欲しいのですが、
放課後はレッスンやバイト、土日もリハーサルが入ったりしますし、
自分で継続的にやるのはハードルが高いですよね。
でも、日曜の夜に少し早く寝て、月曜朝に30分だけ早起きする。
これならできそうかなって思えませんか?
やってみると、体が軽く感じたり、気持ちに余裕が生まれて、
学校やお仕事にもスムーズに入っていけると思います。
8月は調整系エクササイズからスタートします。
発表会やコンクールで片側ばかり使っていた体を整えたい方や、
レッスンがお休みで基礎を補っておきたい方にぴったりです。
夏休みにダンサー用のエクササイズをする習慣を身につけて、
少しずつでも自分をレベルアップしていきましょう!
愛:
良子さん、どうもありがとうございました。
良子さん担当の新クラスは、毎週月曜日朝6時半から。
この夏休みに早起きの習慣をキープして、2学期に備えるのもとても良いと思うのですが、
海外組の皆さんで、時差の関係上、オンラインでもボディコン受けられないという人達には、
もしかしたらすごくマッチするクラスになるかもしれませんよね。
スケジュールやお申込みは、
DLSサイトよりボディコン、と検索して頂くと詳細ページに飛びますが、
良子さんをもう少し知っておきたいとか、クラスについて様子を見たかったら、
相談したかったら、インスタでryo.body.alignment と探してみてくださいね。
DLS12周年を記念してのスタートとなるボディコンエクスプレス月曜日。
是非、良子さんを応援しにきてください。
よろしくお願いします!
来週のポッドキャストでは、DLS12周年についてをもう少しお話するのでお楽しみに。
Happy Dancing!
