DLSポッドキャスト epi607 レッスンしてるのに、エクササイズも必要?

バレエのレッスンだけで本当に足りていますか?

現代ダンサーに求められる基準を、エビデンスベースで解説。

安全で効果的な指導を一緒にアップデートしましょう!

Transcript

こんにちは、DLSの佐藤愛です。

今月のポッドキャストでは

ダンスフィットネスについてをテーマにお話していきたいと思います。

ダンスフィットネスって何?と思いますよね。

特にフィットネスという単語を日本語にする場合

どうしたらいいんだろうと毎回悩みます。

というのも、「フィットネスとは?」というようなキーワードで検索すると

「運動」みたいな答えが出てくるんですね。

でも、ニュアンスがちょっとずれてしまう。

しかも、フィットネス=痩せるため、みたいな印象も強いもんだから困ってしまいます。

というのも、私がバレエ学校講師時代に指導していたクラスの1つに

「fitness」というクラスがあったんですが

プロフィールに書く時など分かりやすいように「エクササイズクラス」と呼んでいました。

フィットネスを運動と訳するのは問題ないですし

実際にエクササイズを指導するクラスだったので嘘ではないんだけど

フィットネスってもう少し広い意味の言葉なんですよね。

wikipediaによると、FitnessとはFitの名詞形であると書いてあります。

そして私はこっちの方がしっくりくる。

というのもfitという言葉の意味は

  1. 体力があり、健康である状態
  2. 健康を維持する活動、運動

というものだけでなく

  1. 何かを行うに適していること、適性

なども意味するんです。

そして、ダンスフィットネスと言ったら

ダンスをこなすにあたって、適しているだけの健康状態

と考えることが出来るのです。

ということで、今月は

「ダンスをこなすにあたって、適しているだけの健康状態とは何か?」

ということを勉強していきましょう!

レッスンしてるじゃん?

ダンスをこなすにあたって、適しているだけの健康状態になるためにレッスンしてるんだよね?

だからレッスンしてたらOKなんじゃないの?

愛さんのことだから、きっと「正しいレッスンが」と言うとは思うけど…

なーんて思いついた方、素晴らしい。

そうです、レッスンのゴールは、踊れる体を作ることですものね。

この考え方、間違ってはいないんです。

ちょっと古いけど。

IADMS、国際ダンス医科学学会のリソースペーパー、Dance Fitnessのイントロには

現代の振付作品が求める身体的要求に対して

身体的な準備を行わずにダンサーを育成することは、もはや許容されません。

と書いてあります。

”It is no longer acceptable”という単語が使われているので

昔は良かったかもしれないけど

現在ではAcceptable、受け入れられない、と書いてあるんですね。

このリソースペーパーは2011年、今から10年以上前に出されています。

10年前でさえ「許容されない」と書いてあるのだから

2026年の今だったらもっと強い意味になると思います。

イントロは

「バレエレッスンは長年にわたり

バレエに必要な技術的・身体的・美的要件をすべて満たす

トレーニングの基盤と考えられてきた」

とスタートしますが

「ダンサーの健康に関する研究が数多く行われ

その結果、多くのダンサーは思ったよりフィットで健康的ではないことが示されています。

と書かれています。

つまり、昔考えられていたレッスンの効果は

そーでもなかったということが分かったということです。

レッスン、リハーサル、本番パフォーマンスの間には

身体的な負荷に差があること

つまり、伝統的なレッスンだけでは

舞台に求められる身体的要素の準備が足りないと書いてある後に

このような研究結果が分かっていて

現代のダンサーのニーズも考えたら

「身体的なトレーニングなしで、ダンサーの育成は許容されない」

という文章に繋がっています。

さっきもお話したように、リソースペーパーは2011年に出されていますが

このペーパーは数多くの研究を基に書かれているわけですよね?

論文の一番最後に並んでいるレファレンス

つまり、この記事を書くにあたって参考にされた研究を見てみると

古いものは1984年ととびぬけていましたが、殆どは2005年前後の研究が多く見られました。

つまり、研究が発表され始めたのが2000年中盤だとして

ダンサー用に、分かりやすい言葉でまとめたリソースペーパーが出たのが

2011年だったということです。

ちなみに、このリソースペーパーは無料でネットからダウンロード出来ます。

英語ではありますが…

このリソースペーパーから、2000年中盤までのレッスンでは

「レッスンで足りるわよ」と言っている先生がいてもおかしくなさそうだけど

2026年の今だったら、その情報は古いということになりますよね。

座って仕事する人と同様の体力しかないダンサー

約1年前、ポッドキャストエピソード544でご紹介した研究

The dancer as a performing athlete: physiological considerations)で

バレエダンサーの最大酸素摂取量は

同年代の健康的な、座りがちな人々から得られる値に近かった、と書いてありましたよね?

最大酸素摂取量というのは、持久力や運動能力を計る数字で

マラソン選手はこの数字が高くなり、運動不足の人はこの数字が低くなります。

この研究も2004年に出されていたって話をエピソード544でしているので

まだ聞いていない人は今日のエピソードを聞いた後に戻ってみてください。

プロダンサーで、10代からトレーニングしてきていて、毎日踊っている人達でも

このレベルの体力だということを考えてみましょうよ。

5,6年前にコロナの外出禁止時期を過ごしていた

現在成長期な学生や大人から始めたバレエ生徒さんが

レッスンだけでなく、舞台に立ちたいと思ったら

しかも、現在のダンサー達に見られるテクニックで踊りたいと思ったなら

レッスンだけでは足りないという事がわかると思います。

今、「現在のダンサー達に見られるテクニックで踊りたいと思ったら」と言いましたよね?

エピソード542 「バーレッスンの歴史と今の時代のダンサーが知っておきたいこと」

お話した研究であるように

同じバリエーションでも、時代と共に足の高さが変わっているんでしたよね?

1960-70年のようなバリエーションの踊り方で十分な人は

エクササイズは必要ないかもしれません。

レッスンが無駄だとは言ってない

今月は、ダンスフィットネス

つまり、「ダンスをこなすにあたって、適しているだけの健康状態とは何か?」

ということを勉強していきます。

理由は、今までお話してきたように

現代ダンサーに求められるレベルで踊るには

レッスンだけでは足りないということが研究で分かっているからです。

10年以上前、つまり、DLSが始まったばかりだったら

レッスンだけで十分だから、エクササイズは不要だというディベートが出来たと思います。

特に、まだスマホ普及しはじめたばっかりで

SNSでダンサーの動画が見られない時だったら。

そのため、来週からは話がエクササイズやトレーニングに進んでいきますが

その前に1つだけ覚えておいてください。

レッスンが無駄だとは一度も言っていません。

レッスンだけでは足りない、と言っています。

この違い、分かります?

レッスンの上にエクササイズやトレーニングが必要だってこと。

だから最初の方に、愛さんのことだから、きっと「正しいレッスンが必要」って言うよね?

と思いついた人は素晴らしい、って言ったんです。

土台となるレッスンすら正しくなかったら

その上にエクササイズやトレーニングを積み重ねていっても

舞台で踊れるようにはなりません。

正しいレッスンとは?となると話がながーくなってしまうのですが、簡単に

  1. ダンサーの年齢とレベルに合わせた
  2. 解剖学に基づいた
  3. アカデミックバレエレッスン

という括りにしておきますね。

これなら、どのメソッド、シラバスを勉強していても

どのバレエ学校を目指していても

「正しい」と言われる内容になるはずですから。

ということで、今日のポッドキャストはここまで。

来週からは、フィットネスというカテゴリに入るエクササイズの種類と

何がダンサーにとって一番大切なフィットネスになるのか?

をお話していきたいと思います。

終わりにする前に思い出話。

ご存じのように、2004年の1月に私は、オーストラリアへバレエ留学してきました。

さっきみた研究の時代を見て分かるように

英語圏のダンスサイエンスを勉強している人達の中では

レッスン以外のエクササイズの大切さが広がっている時だったと思います。

バレエ学校にもエクササイズのクラスがありました。

フロアバーみたいな感じで、今考えると理論的ではないですし

肝心の体力や筋力が育ちづらいものでしたけど。

当時は

  1. エクササイズは筋肉を太くするからストレッチすべきだ
  2. エクササイズするなら、走ったり泳いだり、有酸素運動なら細くなれる

みたいなことが当たり前みたいに言われていたので、私もそれを鵜呑みにしていました。

バレエ学校でエクササイズクラスを指導していた時

アンクルウエイト1キロと、リストウエイト500グラムを使い始めた時

バレエ学校の先生から

「この子は筋肉質だからウエイトはいらない」

と言われたこともあります。

同じ時期に研修させてもらっていたオーストラリアバレエ団では

ダンサー達が5キロ以上のウエイトを片足に乗せてエクササイズしている様子を見ていたので

知識や理解のギャップを感じました。

今のオーストラリアバレエ団には

素晴らしく施設が整ったウエイトトレーニングルームがあることを知っていますし

世界各国のバレエ団で、ダンサー達が

自分の体重くらいのバーベルを使ってエクササイズしている様子が

携帯から毎日見られると思います。

2004年から2026年、20年ちょっとの間に、これだけ変わったということですよね?

つまり、今レッスンを受けてくれている幼稚園児クラスの子達が

プロダンサーになる時には、常識は変わっていると思います。

さっき、私たちが研究を読みながら

「昔はこれで良かったけどね」と言っていたのと同じことを

言われちゃっている可能性が十分にあります。

私はこの世界の勉強をしているので、まだ受け入れやすいけれど

私より先輩の先生たちで、日本のレッスン、カンパニーだけを見てきていた場合

きっと困惑しちゃうと思うのです。

だけど生徒達の為にぜひ、オープンマインドで今月のエピソードを聞いてもらいたい。

私たちは引退して、指導しているだけかもしれないけれど

生徒達はこの後、世界中から集まってくる才能も知識もある子達と肩を並べて

国際コンクールに出たり、バレエ学校生活を送るのですから

その子達のために勉強してあげようって思ってくださいね。

このように研究、エビデンスをベースに

ダンサーに特化したエクササイズを指導したい人

科学的根拠のある指導法を身につけたい人は

DLS公認スタンスインストラクターコースをチェックしてみてください。

来月5月より、1年に1度だけのお申込みが始まります。

詳細をご希望の方は、hello@dancerslifesupport.comにメールして教えてくださいませ。

一緒に、生徒の安全と将来の健康を第一に考えるレッスンを提供してきましょう!

Happy Dancing!

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