DLSポッドキャスト epi495 柔軟性とストレッチは違う

柔軟性とストレッチの違い、わかりますか?

良かれと思ってしたことが予想とは逆の結果を生むなんてこと、避けたいですよね。

今回は、ある生徒のエピソードを例に挙げて、ストレッチ指導の注意点や誤解についてお話しました。

ダンサーや指導者、ダンサーの卵の保護者、治療家の皆さんにも知ってほしい内容となっています。

お聴き逃しなく!

Transcript

みなさんこんにちは、DLSポッドキャストへようこそ、佐藤愛です。お元気ですか?

 

ダンサーズライフサポート、通称DLSは”生徒の安全と将来の健康を第一に考えるレッスンを「当たり前」に。”を合言葉に、

元オーストラリアの政府認定バレエ学校専属セラピスト兼、セミプロフェッショナルレベルのダンサー向けエクササイズ、解剖学とケガ予防のクラスの講師を担当してきた佐藤愛が、

大好きなバレエを心ゆくまで続けたいダンサー、バレエの先生へ情報をお届けしています。

 

今日のポッドキャストでは、今年の小鬼合宿のテーマ、「expansion」のビハインド話をお届けする予定だったんですが、

柔軟性とストレッチは違うというお話を先にさせてください。

 

長年ポッドキャストを聞いてくださっている皆さんなら、

あーまた始まった、と思われるかもしれないけど、この前すごくショックなことがあったので

どうしてもポッドキャストで伝えたかったの。

かなーり昔の元生徒で、股関節の痛みに悩んでいる子がいたんですね。

そして、痛いんだから股関節のストレッチを辞めなさいってお話したんです。

良い子だから「はーい」って言ってったんだけど、バレエ学校の廊下でストレッチしているんですよ。

本人が気づかない間に。

 

友達と話しながら胡坐で膝をぎゅーと押してたり、

疲れて寝っ転がっているときに開脚してたり。

ほら、ストレッチしない!

って廊下で会うたびに話してて、気をつけるようになったら股関節の痛みがなくなりました。

 

時は経て…10年は経ってないかな、6、7年かな?

この前その子のインスタで、

「ストレッチを続けて、私もここまで足が上がるようになりました」って内容の投稿があったんです。

元々体の柔らかかった彼女は、足の高さに問題はありませんでした。

ケガしていて、ストレッチを辞めなさい、と私に言われていた時も、足の高さに影響は出ませんでした。

痛みがなくなったので、より高く上げられたことでしょう。

走るのが早い子と、練習しないと早く走れない子がいるように、

人間には自然と出来てしまう動きがあります。

 

彼女の場合は、柔軟な体は持っていたけど、それを安全に使いこなせるだけの強さがなかった。

そして、それが何度も学校の試験で指摘されたり、オーディションで問題になったりしていたわけです。

 

その経験をしている張本人なのに、このような投稿をしていてとても悲しかったです。

彼女に憧れて、生徒さんが集まるでしょう。

先生みたいになりたい!って思って子供達は憧れの目で先生を見ています。

だけど、先生は自分がケガした原因だと分かっている行動を、生徒に伝えるわけです。

 

もちろん、彼女が将来の生徒さんをケガさせようとは思っていないと思います。

自分の強みを前に出して、生徒を集めて食べていこうとしているのだろうし、

実際に開脚したいとか、リンバリングで脚が頭につくところまで上げたい、と願っているダンサーはたくさんいますから。

 

 

残念ながら、このような願いを持っている子達はプロではないです。

大体の場合、初心者がこのような憧れを持っています。

つまり、彼らに必要な動きではないということ。

 

だけど、正しいバレエテクニックに対しての知識もない人達なので、

憧れの先生や、雑誌のうたい文句を聞いてスタジオに来ます。

 

ケガしたら、バレエを辞めるでしょう。

怪我したら、自分の股関節はバレエ向きじゃないんだって諦めてしまうでしょう。

もしくは、ケガするってことは、硬いからだ!ってストレッチに励むでしょう。

何年前の彼女が、バレエ学校でやっていたように。

痛いから、詰まって感じるから、ストレッチしなきゃって。

 

先ほどお話したように、彼女は6,7年前の生徒です。

つまり昭和の古い先生ではなく、バレエ留学をした、若くてきれいな、まだまだ自分で踊れる先生です。

  1. レッスン直前はストレッチしないのが当たり前
  2. 足を高く上げるためには、筋力が必要
  3. ストレッチするなら、本当に必要な場所を吟味して、慎重に行う

というのは当たり前だと私たちは感じるじゃない?

最初にお話したように、このトピックは私は何年もカバーしてきているから、

DLSを長くフォローしてくださっている人達なら「またかー」って思うでしょ?

 

でもね、留学経験や年齢、治療家やエクササイズとの出会い、

自分の体の痛みなどと関係なく、

このような考え方は根強く残っているんですよ、という例になっていたら嬉しいです。

だから私は何年も同じ話をし続けます。

柔軟性とストレッチは違うよって。

 

ジャンプの時につま先伸ばしたい?

だったら、床を蹴り、空中にいる短い時間でつま先を伸ばせるだけの筋力がないとね。

 

アダージオで軸足の膝を伸ばしたい?

だったら片足で自分の体重を支え、どれだけ大きく上半身を動かしてもブレない軸足の強さを作らないとね。

 

バリエーションの中でターンアウトしたり、足を高くあげたい?

だったら、舞台の上でコントロールできるだけの股関節の強さがなくっちゃ。

 

確かにストレッチが必要な場合もあります。

長い間ギプスしていたから動きづらい足首は、強化エクササイズの前に動かすことに慣れていく必要がありますよね。

とはいえ、ずっとギプスしていた箇所を、

いきなり最大可動域にぎゅーっと曲げて、上から押さえつけないのも分かるでしょう。

徐々に、ゆっくりと丁寧にほぐしたり、動かしたりしていくと思いません?

ケガしていたのだし、ずっと同じ形で固定していたのだから。

 

ギプスの例は分かりやすいですが、同じく

  1. 長時間同じ姿勢でお仕事をしている
  2. ずっと使っていない関節、今まで使った事がない関節

は、やはり硬く感じます。

ターンアウトをしたことがなかったり、つま先を伸ばして動くという事をやったことがなければ、

そりゃ最初は出来ないでしょう。

昔バレエを習っていたけど、受験の後、数年やっていなかったら、

最初のレッスンでは体が硬く感じるはずです。

 

でも先ほどのギプスの例と同じように、

いきなり自分が出来る最大で止めたり、体重をかけてギューギューしたりしないでしょう?

もちろん、傷口を絆創膏で留める代わりに、ぎゅーっと引っ張らないよね?

だからケガしている箇所は、傷口を開いてしまうかもしれないので引っ張りません。

このような判断が出来ないなら、ストレッチは指導しないでくださいね。

 

知らない事は指導できません

自分の体で大丈夫でも、貴方ではない生徒達は危険かもしれません。

 

たとえケガしていない、痛くないと言っていても、

先生に痛みをちゃんと言える子は少ないでしょう。

昔の皆さんが、先生に言えなかったように。

 

そして、喉元過ぎれば熱さを忘れる、ではないけれど

自分のケガや辛かった思い出を忘れてしまって、

昔からこうやってきた、という指導はしないでくださいね。

 

 

使える股関節の柔軟性とは何なのか?と思った方は、

3月3日、日曜日13:00ー14:30に東京にて行われる、解剖学エクサクラスをどうぞ。

理論、実践そしてQ&Aと充実した1時間半のクラスになっています。

 

もちろん、このクラスを受講したからといって、

エクササイズの先生になれるわけではありません。

バレエの講習会に1回参加したからって、バレエの先生になれないのと同じです。

でも、バレエを体験したことすらなかったら、バレエの先生という職業が分からないように、

ダンサー向けエクササイズというものが何かを体験したことがなかったら、

  1. 生徒達が行っている動きが大丈夫なのか?
  2. この先生に指導を任せていいのか?
  3. この人のアカウントをフォローすべきなのか?

など日ごろの疑問に答えることが出来るはず。

 

詳細やお申込みは、DLSサイトより。

こういうケガしているけど受けられる?という質問は hello@dancerslifesupport.com へご連絡くださいね。

会場でお会いできるのを楽しみにしております。

 

 

来週のポッドキャストでは、今日お話する予定だった、「expansion」について。

2024年の小鬼合宿のテーマでもあるこの言葉の裏話をお届けします。

お楽しみに!

 

Happy Dancing!

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