DLSポッドキャスト epi562 エビデンスベースでネガティブレビューを読んでみよう!

DLSでバレエ解剖学を学ぶ教師が増える中、「安全なバレエ=下手な指導?」というSNS投稿が注目を集めました。

今回のポッドキャストでは、その内容を客観的なデータや科学的な証拠に基づいて読み解き、

エビデンスベースとは何かを分かりやすく解説します。

指導者や保護者が知っておきたい、情報の読み取り方と伝え方の大切さも考察します。

Transcript

最近、クッキングゲームの「プレートアップ!」にハマっている佐藤愛です。

私はPS5で夫と共にやっていますが、任天堂スイッチでも出ているんですってね。

昔、オーバークックにもハマり、同じシリーズのオーバークック2も制覇しましたが、

協力して、時間内に料理を作るというゲームが、私は好きなようです。

毎晩、夫と共にやっております。

知っている人、これに似ているゲームをご存じの方はインスタにDMメールして教えてくださいね!

さて、今日のポッドキャストはDLS公認スタンスインストラクターコース5期生申込終了間近に皆さまの元へ届く予定です。

どういう内容にしようかなーと考えながら、最新のIADMSの機関紙を見ていたのですが、

アドバンスドインストラクターの1人から、スクショをもらいました。

スクショは、投稿した方や、投稿した場所が分かる形ではなかったのですが、

内容はDLSに関するネガティブにもとれる意見だったので、

今日はその内容を、エビデンスベースで読んでいきたいと思います。

先にお話しておきます。

この投稿を書いた方を否定しているわけではありません。

未だに誰なのか私には分からないからです。

この投稿トピックでは目と目を見ないかもしれないけど、

その他の社会情勢や、時事問題については、馬が合うかもしれません。

家族内でも、全ての意見が一致するわけではないですから、

赤の他人だったら、猶更、同じ意見になることがないかもしれません。

そうだったとしても、1つの意見が合わないからといって、相手の全てを否定するというのはいけないでしょう?

学校のいじめって、そういうところから生まれるのだと思います。

とはいえ、自分の意見を理路整然と伝える事

自分にとって大切なことは、周りの評価と関係なく、行動を起こすこと

も同じように大切だと思いますので、今日のポッドキャストをレコーディングすることにしました。

さて、肝心の投稿内容にいく前に。

エビデンスベースって何?と思われる人や

エビデンスベースって聞いたことがあるけど、ちゃんと説明してと言われたら言葉に詰まる、という人もいますよね。

辞書で調べてみると、

「エビデンスベースとは、単なる思い込みや経験だけでなく、客観的なデータや証拠に基づいて意思決定や行動をする考え方です。

日本語では「根拠に基づいた」や「証拠に基づいた」と訳されることもあります」

と出てきました。

もちろん、医学や文学の世界では、エビデンスベースというのは科学的根拠という意味になりますが、

客観的なデータや証拠に基づいて、OOしようとか、XXしないようにしよう、と考えること全体をエビデンスベースと言えるんですね。

では、元となるスクショを読んでいきます。

文字数の関係かスムーズでない部分もありますが、一字一句そのまま読んでいきますね。

「最近DLSとか勉強して、ストレッチしたら下手になる筋肉が落ちる!安全バレエとか歌っている教室が多いですが、9割は下手なスタジオですw

ストレッチするからケガをするのではなく、プロを目指すくらい真剣にレッスン量もすると、ケガしそうになるのはどの世界でも当たり前。

なんなら週1ではそもそもケガはしない。

ストレッチ否定論者はなんなんでしょうね、流行りですかね笑💦

体の柔らかさはどの世界でも必須ですし、バレエならなおさら💦

という事でした。

数値化してみよう

まずは、最初の1文

「最近DLSとか勉強して、ストレッチしたら下手になる筋肉が落ちる!安全バレエとか歌っている教室が多いですが、9割は下手なスタジオです」

から見ていきましょう。

DLSとか勉強して、という文章からDLSに対して、ではない事が分かります。

教室についてお話しているので、DLSで勉強している先生たち、という意味でしょう。

「最近」とも書いてあるのでここ半年くらいだと仮説を立てていきます。

この期間の中には、

だとします。

来日セミナーボディコンサークルは参加者の100%が先生ではありません。

ダンサーの場合もありますが、全てのクラスで半分以上は先生たちなので、

やはり少なめに換算して来日セミナーの200人+オンラインエクササイズクラスの175人=375人

インストラクターは全員先生ですから、約400人の先生たちがDLSで勉強したと計算します。

この数字の中には、教師の為のライブラリで勉強している先生たちは含まれていませんが、

セミナーやコースには重複している人達もいると思ったので、

ライブラリ分の人数は全て抜きました。

保守的な計算がしたかったので。

そうすると、400人のうちの9割が下手なスタジオです、ということですから

360個のスタジオが下手なスタジオという計算になります。

この方が言っている事を、データ化するとね。

それって結構ボールドな提言だと思うのですよ。

DLSはオンラインでもクラスを提供している関係上、日本だけでなく、世界各国から受講してくれているので、

その中の360個のスタジオが”下手”と確定するには、かなりの労力がかかります。

また何をもってして「下手」と定義づけるのかも難しいのではないでしょうか?

  • プロダンサーを出す?

  • 留学生がいる?

  • コンクールで上位?

でも、体育大学に入学した場合は下手?ダンスの経験を使って、リハビリ系に進んだらダメ?

ダンス教室の友達がいたから、学校でのいじめに耐えられて、卒業出来たという子がいたら、それはどうなる?

側弯症の治療の一環で、基礎レッスンを受け続けて、手術なしで生活していたら、それもダメ?

ま、SNSはインパクトがある文章が好まれるので、

9割というのは、もしかしたらパンチのある言葉選びなのかもしれません。

ただし、私たちが喜ぶべき言葉が書いてあるんです。

「安全バレエとか歌っている教室が多い」

ポッドキャストを聞いてくれている皆さんならご存じのように、

先週のエピソード10年で0.5%しか成長できなかったように感じる…というお話をしたじゃないですか。

でもね、この方曰く安全なバレエを!と言っているスタジオが多いんですって!

それって大きな成長じゃないかしら。

だって、DLSをスタートした2013年には、安全バレエなんて謳うスタジオはなかったのですから。

事実かどうかを確認する

では次は、

「ストレッチしたら下手になる筋肉が落ちる!安全バレエとか歌っている教室が多い」

という部分を見ていきましょう。

私のことを知らない人が、このスレッドを読んだら

「まぁ!DLSはストレッチしたら下手になる、筋肉が落ちる!って言っているのね!」

と思うでしょうから。

 

簡単に調べる方法は、DLSサイトの検索バーにこれらキーワードを入れてみる事です。

「ストレッチ」と「下手」というキーワードを一緒に検索したところ、

これに該当する記事はない、と出てきました。

 

次に「筋肉が落ちる」というキーワードを検索したところ、

これに該当する記事はない、とやっぱり出てきました。

 

セミナー参加者の皆さんはご存じのように、

もう、ネタの様に全てのクラスで

「ストレッチがダメとは言っていないからね」

と繰り返す私を覚えていますか?

 

セミナーに参加していない人でも、直近の3月のポッドキャストではストレッチについて、エビデンスベースのポッドキャストをお送りしましたよね。

ここでいうエビデンスベースというのは、科学的根拠、実際に論文を読みながらお届けしました。

 

これらから考えるに、このスクショの文章を書いてくださった人は、

DLSのセミナーに参加した事はなく、ポッドキャストブログを読んでいる方ではないんだろうな、ということが分かりました。

 

確かに、文献などは英語で分かりづらいかもしれないけれど、

今やったように、サイトの検索は、日本語のキーワードで、無料で、すぐに出来るからです。

 

頑張る≠ケガ と知ってほしい

次の文章も読んでみましょう。

「ストレッチするからケガをするのではなく、プロを目指すくらい真剣にレッスン量もすると、ケガしそうになるのはどの世界でも当たり前。」

 

3月のストレッチポッドキャストでもお話したように、

2004年の研究によると、ストレッチとスタジオ内でのケガが繋がっていると出ているので、

これは、ちょっと違うんじゃないかな?とは思いますが、

全員が全員、論文を読みながらレッスン指導はしないですからね。

 

でもその後のところが問題だと私は思いました。

「プロを目指すくらい真剣にレッスン量もすると、ケガしそうになるのはどの世界でも当たり前。」

 

DLSのスローガンは生徒の安全と将来の健康を第一に考えるレッスンが「当たり前」に

でも、この方曰く、真剣だったらケガするのは、ケガしそうになるのはどの世界でも「当たり前」。

 

私は、安全が当たり前になってほしいけれど、もしかしたら真剣にやってたら痛くて当たり前、という考えの方が強いのかもしれません。

ほら、やっぱり0.5%しか成長していないかもしれないから。

そして、それはとても悲しいと思う。

 

舞台を見に行ったとき、ケガでダンサーが降板するのを見た事ありません?

プリンシパルやソリストレベルだったら、それが発表されるのだけど、

コールドだった場合、そのような張り紙をシアターで見ることはないでしょう。

 

ケガしていたら、オーディションにも参加出来ないし

痛みがあったら、バレエ学校生活も大変だし、

何度もケガするダンサーは、やっぱりキャスティングされづらい。

つまり、ケガしているダンサーは使ってもらえないわけですよね?

 

使ってもらえないから、痛くても言えない、ケガしていても伝えられない。

というダンサーが多いのであれば、それはそれで問題でしょう。

カンパニーは職場なので、そんなブラック企業を応援しては困ります。

 

など考えると、やっぱりケガしないダンサーが舞台に上がれるチャンスが増えるのではないでしょうか?

だからこそ、プロを育てたかったら、ケガしないダンサーを育てるべきではないでしょうか?

 

ストレッチだけが柔軟性アップ方法ではない

最後の文章も読んでいきましょう。

「ストレッチ否定論者はなんなんでしょうね、流行りですかね

体の柔らかさはどの世界でも必須ですし、バレエならなおさら」

 

先ほどもお話したように、360個のスタジオをベースにお話しているとしたら、

私も全員が「ストレッチ否定論者」だとは調べることが出来ません。

 

DLS公認スタンスインストラクター、通称小鬼たちだったら、

10ヵ月一緒に勉強していますし、彼らの投稿内容は見ることがありますが、

それでもコース内でストレッチを学んでいます

ストレッチが試験にも出ますので、否定論者にはならないと思います。

 

もう1つの問題は、「体の柔らかさはストレッチでしか手に入らない」となっていること。

「体の柔らかさはどの世界でも必須」というのは私も同意です。

一度も体が硬い方がよい、とは言っていないので!

 

ですが、体の柔らかさとは、静的ストレッチでしか手に入らないのでしょうか?

 

まず、体の柔らかさというのは、関節の柔らかさの話だと思います。

そして、関節の柔らかさ、つまり関節可動域を制限するものには、様々な種類があります。

靭帯、骨の形、関節包、皮膚、神経など。

 

殆どのものは変えられないため、関節の柔らかさを「作る」時に注目されるのは、筋肉です。

筋肉は、性質上伸び縮みするようになっていますし、

関節を動かすパワーも持っているので。

 

筋肉を柔らかくするためには、ストレッチも1つの手ではありますが、

  • 部屋の温度、体温

  • ストレスや緊張など精神的なもの

  • 水分や栄養

  • 休息

なども影響します。

 

つまり、ストレッチは筋肉を柔らかくする1つの方法でしかない

 

しかも、ストレッチの中にも様々な種類があり、

IADMS、国際ダンス医科学学会や、様々な論文が、危険性やタイミングなどをお話しています。

 

この部分をもっと詳しく知りたかったら、

まずは3月のポッドキャストをチェックしてください。無料ですから。

 

そして、その後に、教師の為のライブラリにある、「柔軟性」クラスを受講してください。

1クラスだけ、単発でも受けられます。

 

矛盾を見つけること、自分の意見を見つけること

ということで、頂いたスクショをデータと共に読み解いてみましたが、

ここである矛盾に気づきましたか?

 

「ストレッチがケガに繋がらない=ストレッチを否定すべきではない」

という意見は分かりましたが

 

「上手になりたいならレッスン量が必要で、練習量が多い事がケガに繋がる」

という意見もあるわけですよね?

 

でもケガしていたら、必要な練習が出来ない

骨が折れていたら、ジャンプは出来ないし

ルルベが痛かったら、ピルエットの練習は出来ない。

腰が痛かったら、アラベスクにあげるのは大変。

 

だとしたら、上手になるためのレッスン量に満たない、となってしまいます。

ケガが多いと練習量は減るのです。

 

じゃ、どうするの?

この答えは、私は既に出してあります。

 

エビデンスベース、論文や科学的根拠はもちろんのこと、

10年以上、バレエ学校でプロダンサーを夢見ている子達と仕事をしながら、

何度も世界各国からプロダンサーが集まるガラコンサートの裏側で

バレエ団の医療チームの意見を聞きながら、

日本のバレエ関係者と12年セミナーを通じて話を聞きながら、

もちろん、自分自身の経験から。

 

単なる経験談かもしれないけれど、

それでも、成功したダンサーの裏には涙した100人がいるのではないかと思っているので、

その人たちの現場の声を聴きながら、私が出した結論は、

生徒の安全と将来の健康を第一に考えるレッスンが、プロを育てるということです。

 

もちろん、プロダンサーだけでなく、健康な大人を育てるとも思います。

 

でも、バレエに関わっている人達は、自分で考えてみましょう。

根拠、データと共に。

 

「子供の安全と健康を考えない親はいないよね」

というインスタストーリーに、私と同じバレエ学校を卒業した、今はお母さんになっている人からコメントをもらいました。

「子供の安全と健康を考えない親はいないです。身体の安全、心の安全いつも気にしています。

真剣にしていたらケガするんですと言っているお教室に入れたいとは思いません!」

 

彼女の意見は、データではありません。

でも大切な娘さんを守りたいお母さんの声です。

そして、自分自身もプロを目指し、バレエ学校に留学した経験のある人です。

 

  1. あなたの考えは何でしょう?

  2. 何を当たり前にしたいですか?

  3. たとえ、世界全体に浸透していないかもしれないけど、ご家庭で、自分のスタジオで、どんな風景を当たり前に見たいですか?

  4. そしてそのためには、どのような勉強や、練習、変更が必要ですか?

 

もし、このポッドキャストを聞いてくれている先生たち、治療家、トレーナーの方で、

生徒の安全と将来の健康を考えるレッスンが当たり前になるべきだよね!

と思ってくれた人たちがいたら、DLS公認スタンスインストラクターコースの5期生の詳細をご確認ください。

 

ちゃんと、コースに合わない人についても言及してありますので、コースに向いてるか?テストもやってみてください。

自分がコースに向いてると分かったら、1年に1度の成長のチャンスをお見逃しなく。

 

お申込みは今週末5月25日までです。

 

Happy Dancing!

佐藤愛

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