DLSポッドキャスト epi577 基礎に戻ってプリエを勉強しよう

生徒にプリエをどう説明する?

今さら聞けない疑問を、解剖学と運動分析の視点で考えてみました。

知識があれば、次のレッスンで注意する部分が変わるはず!

Transcript

2019年に「プリエ使えてますか?」という本を出版した佐藤愛です。

私が本を書いていることを知らない人がいるはずはない!

とレギュラーさん達は思うかもしれないんだけど、実は多いんですよ。

インスタのDMの会話などで、私がオーストラリアにいることを知らない人も多いし

本があることを知らない人や、ブログがあることを知らない人達もいると気づきます。

そりゃそーだよね。

最近フィードに流れてきて、フォローしてみたら「鬼の愛」なんて言ってるし。

だけど、この人何してるの?ってなりますよね。

この前「側弯症についても書いてください」ってリクエストがあったのね。

だから、この件はブログにも、本にも、教師の為のライブラリにもあるので、

リンク等を送ったんです。

長くフォローしてくれている人で、来日セミナーにも何度も来てくれる人に

「私は、オーストラリアのバレエ学校で働いていたけど、

”オーストラリアバレエ学校”で働いていた、とは言っていないよ」

と修正しなければいけない事もありました。

オーストラリアには、多くの政府認定バレエ学校があります。

オーストラリアバレエ学校、も存在します。

オーストラリア「の」という一言だけの違いですが、この2つは一緒ではありません。

ちょっと今日のテーマからずれるのですが、

腰椎にカーブがあるって知らない人が多いのね。

これ、私も衝撃だったのですが、

インスタの投票で私をフォローしてくれている人達の中ですら、

腰椎にカーブがあるのが普通って知らなかった人達が多かったの。

DMやストーリーでの投稿などから、毎回学ぶことは、

やっぱり大切な事は何度も言わなきゃいけないんだ、という事実。

相手が知ってるって、勝手に思っちゃいけないんですよね。

確かに私は、12年前から自分がどこで働いていたか、

どんな仕事をしてきたかをDLSでお話しています。

6年前にプリエの本も書いてます。

10年以上ポッドキャストをお送りして、現在エピソード577。

1エピソードが10分くらいという単純計算で、

ボーナスエピソードも出しているため、

100時間くらいの音源を、無料で、勉強したい人達に届けています。

でも、この2-3か月に私を見つけた人は、分からなくて当たり前だよね。

シルビィギエムを知らない若いダンサー達がいるんだからさ。

なーんて、DLSと世界のシルビィを比べたらバチが当たるでしょうから、

この話はここまでにしましょう。

今月のポッドキャストは初心に戻ってプリエがテーマ。

既に100ページ以上に渡る本を書いてますよ。

既にポッドキャストでもプリエをいくつか取り上げていますよ。

教師の為のライブラリにもプリエの浅い子に対する指導用クラスがありますよ。

だけど、基礎は何度繰り返しても皆の役に立つし、

何より、知らない人が多くいるんだ!ということを忘れないでいきたいですよね。

1回目の今日は「基礎に戻ってプリエを勉強しよう」

というテーマでお送りしたいと思います。

プリエって何?

プリエって何?と聞かれたら、皆さん答えられます?

どう答えます?

もし、プリエってこういう動きだよ、と見せるんじゃないかなと思った人は

動きを見るだけで分かるのでしょうか?

プリエってバレエのステップの1つで、凄く大切だよ。

と答えた人は理論的にはその通りだけど、

その説明で初心者の生徒さんは「分かった!」となるんでしょうか?

もちろん、見せて説明する先生がいけないわけではないですし、

プリエとはバレエのステップという説明が間違っているわけではありません。

凄く大切だよ、というのも100%正しいよね。

プリエが入らない振付はありませんから。

私の本では、このように説明してあります。

プリエとはフランス語で”曲げる”という意味の言葉で、

デミ・プリエとグラン・プリエがあります。

片足プリエのことを、オン・フォンジュとも言いますが、

バーレッスンでフォンジュと言われる場合は、バットマン・フォンジュのことを指します。

日本語でフォンジュというと、このバットマン・フォンジュが頭に浮かぶと思うので、

この本では、プリエ=両足で行う動き。片足プリエ=片足でのプリエ、

つまりバレエで言われるオン・フォンジュだと思ってください」

多くのダンサーや先生が、プリエが浅くて悩んでいるという話をするんですが、

私の本の説明にも、日本バレエ協会が出している「バレエ用語辞典」にも、

プリエはこの深さである、という指定はないんです。

ちなみに、この本ではドゥミ・プリエという表記になっていますが、

私は英語圏にいるため、ドゥミという発音ではなく、デミになります。

引き続き、このように説明していきますが、ドゥミが不正解なわけではなく、

たぶんですけど、元々のフランス語に近い発音なんだとは思います。

同じ理由で、私はアラセコンド、と言います。セコンド、2番という英語です。

でも何語でレッスンしているかによって、アラスゴンドと読む人達もいますよね。

確かに、「バレエ用語辞典」のデミ・プリエの説明には、こう書いてあります。

「かかとを床から離さず、アキレス腱を伸ばして膝を曲げる」

これね、不思議だなーと思うのは、

他のパの説明にはアキレス腱をはじめ、筋肉や腱の名前が書かれていないんです。

だけどプリエ、しかもデミプリエだけ書かれている。ただ、深さの指定はない。

これって、先ほど私が皆さんに聞いてみた

「プリエって何?と聞かれたら、皆さん答えられます?」の質問と繋がると思うの。

プリエって説明しづらいんですよね。

だから、バレエ用語辞典でも説明が曖昧で、”アキレス腱を伸ばして膝を曲げる”という

どうしてここだけ解剖学なの?的な答えが書いてあるのかもしれません。

解剖学的なプリエ

説明が難しいけど、バレエをやっている人達なら全員知っていて、

大切だと思っているプリエ。

でもこれは、パ、つまり動作なので動作分析をすることが出来ます。

解剖学的には、プリエで動く関節は

  1. 股関節
  2. 膝関節
  3. 足首の関節とフットの部分

そして、動きの種類は受動的屈曲となります。

まぁ正確には足首の場合、屈曲の中の「背屈」という分類にはなりますが。

受動的屈曲と言われても分からない人もいるよね。

受動的というのは、自分がやろうとしたのではなく、

何か、誰かがやってくれること。

例えば、手でギューッとつま先を伸ばすのは、

受動的につま先を伸ばしたことになりますし、

バーに足を乗せて、リンバリングしていたら、

バーが持ってくれることになるため、受動的に行っていることになります。

その反対は、能動的。

能動的と言うのは、自分の意思で、自分の力で動かすこと。

さっきの例では、つま先を自分でのばすこと。

バーに足を乗せるのではなく、自分でデベロッペして、ホールドすること。

もちろん、舞台で使うのは、ダンサーに必要なのは

受動的ではなく、能動的な動きになります。

プリエの股関節、膝関節、足首とフットの部分は受動的に屈曲するって説明したけど、

プリエとは下がる動きだけではなく、戻ってくる動き「まで」を指すはずなので、

戻ってくる動きは、能動的になりますよ。

足のアーチとプリエ

さっきから、「足首の関節とフットの部分」という説明をしてきたけど、

何それ?と思う人もいますよね。

足首が動くのは分かるけど、フットの部分って何?

日本語では、足フット、と脚、レッグが同じ発音なので、

ポッドキャストもそうですが、セミナーなど言葉で皆さんに伝える際に、

私は脚とフット、と言い換えることがあります。

今回のケースもそう。

フットの部分、つまり、足首から下の部分を指しています。

関節の名前で言っていない理由は、たくさんあるから。

気になる人の為に一応リストはお伝えするけど、

これを知っている必要はないからね?

足首の方向から、つま先にかけての順番で

  1. ショーパール関節もしくは横足根(おうそっこん)関節
  2. リスフラン関節もしくは足根中足(そっこんちゅうそく)関節
  3. MP関節もしくは中足趾節(ちゅうそくしせつ)関節

です。

この部分、つまり足のアーチを作る関節も受動的に動きます。

そう、プリエをするときは、足のアーチが落ちるんです。

いつでも足のアーチを引き上げておくのが正しい

と思っているダンサーや先生たちがいるんですが、

それは正しい体の使い方、安全なプリエではありません。

もちろん、過剰なロールインはダメですよ。

でも、ダンサーの足セミナーで、

ロールインとアーチの動きの違いは説明しているから

もっと知りたい人は、そちらのセミナーを受講してください。

2日間で、自分の足やつま先について、

「なんでこんなこと知らなかったの!」という内容を勉強してくださいね。

ただ、今日はプリエがテーマなので

つま先についてはここまでにしましょう。

プリエが浅くて困ってる?

さっきもちらっとお話したように、

「プリエが浅くて悩んでいる」という人からは相談を受けますが、

プリエが深すぎて困っているという人からは声をもらいません。

でもね、存在するんですよ、プリエが深すぎてジャンプが出来ない人達。

そっちの方がトレーニングが難しいです。

膝を”しならせる”、つまり膝の過伸展が出来なくて

悩んでいる人達向けのストレッチはたくさんあるけど、

膝が過伸展してしまう人達のコントロール方法の情報は少ない。

こっちの人達の方が大変なんですけどね、インスタ映えしないのかもしれません。

来週のポッドキャストでは、

プリエが浅くて悩んでいる人達への情報をお届けしますが、

今日お話した中で、覚えておいてほしい事。

それは、プリエの定義の中には、深さの指定はない。

ではどうして、何をもって、プリエが浅いと判断するんでしょうか?

どうして、プリエが浅いといけないんでしょうか?

プリエが浅いんだったらアキレス腱を伸ばせばよいのでしょうか?

プリエが浅いなら、バレエを辞めるべきなんでしょうか?

でも、今日読んだ「バレエ用語辞典」によると’アキレス腱を伸ばして膝を曲げる’のだから、

アキレス腱の長さに関係なく、伸びているんだったらOKなのでしょうか?

ダンサー達は、こういう事を考えて、

理論的にトレーニングやストレッチをすべきですが

先生たちは「知らないことは指導できません」。

プリエが浅い、と生徒に言うのであれば、

どこまでプリエが出来たら浅くない、つまりOKになるのかを

明確に説明できなければいけません。

また、様々な年齢を指導しているなら、

どのレベル、何歳ならどこまでの深さなのか?

まで考えなければいけない可能性もあります。

もしプリエの深さを注意するんだったら、ね。

先生たちは、来週までにこの部分を考えておいてくださいね。

このテーマについてもっと勉強したい人は、私の「プリエ使えてますか」本をどうぞ。

アマゾンレビューを残してもらえると、

エビデンスベースの安全なダンス知識を多くのダンサーに届けることが出来ます。

ご協力お願いいたします。

先生たちは、「前方インピンジメント&プリエが浅い子」という

教師の為のライブラリクラスもおススメです。

ライブラリ、3か月とか1年とか要らないけど、このクラスだけ興味あるなという人は、

1か月ご視聴可能な1クラスパスもありますので、

自分の勉強スタイルと、コミットメントに合わせて選択してくださいね。

Happy Dancing!

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