DLSポッドキャスト epi581 愛さんのパーソナルアップデート

待っているだけではなく、今できることを100%やる!

過去の痛みや悲しみを原動力に続けてきたDLSの裏話と、

愛さんの近況アップデートをお届けします。

Transcript

今まで、自分でもびっくりするほど様々なケガをしてきた佐藤愛です。

6歳、初めてのバレエ発表会練習が始まっている時に右腕の骨折からスタートし、

中学生の時に腰椎すべり症、高校生の時からずっと痛かった左の足の甲の痛み。

これはバレエ学校時代のケガをチェックするレントゲンで、

「この部分も強い疲労反応が出ているんだけど?」

と言われて、初めてケガだったんだと気づきました。

それまでは、バレエをやっていたら、足が痛くて当たり前だと思っていたから。

足の甲が腫れていたら、少しはつま先が伸びているように見えるんじゃないかと思っていたから。

股関節のつまりは日常茶飯事で、両手でバーにつかまり、足をブンブンと振って

”外れた”感じにすると痛くなくなると学んじゃったもんだから、

問題を解決したり、使い方を変えたりするのではなく

股関節をギューッと使うから痛いんだ。だから股関節回りの筋肉は使わないようにしないと!

という意味の分からない理論と共に、

ストレッチと、ブンブン振りまわしを続けていた、残念な愛ちゃんでした。

その後はもちろん、バレエ学校に入ったのに踊れなくなった原因となった中足骨の痛み。

6か月以上踊っていなかったのに、

いきなり年末公演の「白鳥の湖」のリハーサルに参加し疲労骨折。

今ならこれは、ケガしている時の摂食障害行動と、

ちゃんと強化してからレッスンに戻らなかったから出たケガだと分かりますが、

当時は太っているのにジャンプしているから痛いんだと思ったり、

やっぱりバレエの才能はないんだ、と思ったり。

そしてバレエを辞めた後も、股関節の痛みはもちろん、

時には座っているだけで亜脱臼したり、

ビーサンを履いて夏場生活していたら、

サンダルに穴が空くぐらい、中足骨が落ちてしまっている事実。

かるーくランニングに行ったら、

過去の足のケガが戻ってきて数日歩けなくなるとかも普通。

これら全て、間違ったストレッチが事の発端となったケガですが、

靭帯は元に戻らないし、筋力はトレーニングを続けなければ落ちるので、

大人になっても、靴、歩く場所の制限や、痛みと一緒に生活しています。

でもね、これらの痛み、悲しみ、辛さがあったから、DLSを作ったんですよ。

そしてこの12年間続けてくることが出来ました。

今お話したケガの中で、唯一避けられないケガは右腕の骨折でした。

これは自転車に乗っている時に、近所のお兄ちゃんがぶつかってきたので。

急性のケガという分類に入ります。

それ以外は全て、100%、紛れもなく、知識があったら防げたケガです。

つまり、中学生以降、今年で40歳になった私が日々大なり小なり感じている問題は、

タイムトラベルして過去に戻って、

正しい知識とトレーニングをしていたら直面しなくて済んだことなんですね。

知識があってトレーニングしていたら、100%ケガしないと言っているわけではないですよ。

ただ、小さいケガで済んだはず。

大人になっても向き合わなければいけない問題にはならなかったはず。

遅れを取り戻さなきゃ!と焦るのではなく、既に強い体でケガから復帰できていたはず。

だからDLSをやっているんです。

知っていたら、予防できるから。

でもダンサーだけではなく、指導者の問題も大きいので、

「知らないことは指導できない」という考え方のもと、

生徒の安全と将来の健康を第一に考えるレッスンが「当たり前」になる世の中を目指して

情報発信をしてきました。

多分その強い気持ちというか、使命感?があったから、

2019年10月に緊急病院に運ばれて、11月に6時間以上に渡る子宮内膜症の手術を受けた4週間後、

日本に飛んで、冬期バレエ講習会や教師の為のバレエ解剖学など、

かなりヘビーな来日セミナーをこなしたんだと思います。

今日お話してきたケガの話は、

  1. バレエ留学でいきなり増えたレッスン量を補える体のケア方法を知らなかった
  2. ストレッチや痛くても当たり前、のような間違った知識
  3. 体重に執着し、リハビリやエクササイズなど復帰に必要な行動がとれていなかった

という問題が原因ですから、その部分さえカバー出来たら予防できたはず。

でも、子宮内膜症はバレエのケガではありません。

原因がまだはっきり分かっていないため、予防をすることも出来ないですが、

生理のある人の10人に1人がなると言われている病気です。

でもね、この体験も

たとえ原因が分からなくても、過去は変えられなくても、副作用などがあっても

  1. 自分の体の声を聴いて、メンテナンスを続けること
  2. 正しい知識を持ち、正しい方向に努力すること
  3. ケガや痛みは恥ではなく、体が出しているサインだからしっかりと耳を傾けること

を皆さんに伝え続けたいと思わせてくれた原動力になっていました。

今年の7月までは。

そうは簡単に行かない私の人生らしく、7月にまたまた、大きな転機がやってきたんです。

さぁ、そろそろ今日の本題が見えてきた人もいるかしら?

8月中旬の発表でご存じの方もいると思うのだけど、実は今年7月下旬、私は癌と診断されました。

痛みや心配事があったわけでもなく、がん家系なので、

オーストラリアの素晴らしい医療システムを有効活用し、無料の検査に行った、というだけです。

初期で見つかったこと、他の部分に広がっていないことから、

手術が必要だということになったのですが、

このポッドキャストの準備をしている9月中旬、まだ正式な手術日は決まっていません。

手術が終わらないと、その後の治療法が決定しないので、

術後、放射線治療が必要なのか、必要だったら、どれくらいの長さ行うのか。

ホルモン治療が必要なのか、必要だったらどんな形になるのか。

などが全く分からない状況にいます。

なので、8月中旬正式に治療に専念するためボディコンサークルの休止と

来日セミナーのキャンセルなどを発表しました。

分からないから。

どれだけ長期戦になるのか、もしくはならないのか。

どれだけ体にダメージが来るのかなどが全く分からない状況なので、

このテーマをポッドキャストにアップするのも、これだけ時間がかかったんです。

もう少し待ってから、全てが分かってから伝えた方が良いかなって思ってね。

子宮内膜症の話をあまりしていない理由の1つは、

完治する病気ではないので、現在進行形で問題が続いているからというのもあるんですよ。

そうやって、「良くなってから話そう」としていたら、

こんなに時間が経ってしまいました。

もちろん、ダンサー特有の問題ではないので、

話をしてもあまり役に立たないと思っているところもありますが、

それは置いておいて。

でも、気づいたんです。

待っている、という”行動”は無駄だということ。

これは、2020年の春の来日セミナーをコロナの為キャンセルした時に

学んだ大きなレッスンでした。

そして、今振り返れば、コロナがあったから、今のDLSがある

という言い方、見方も出来るかもしれません。

でもその話は長くなるので、来週お話しましょう。

バレエ学校時代、ケガして、みんなのレッスンを窓から覗いて

1人寮に戻ってきて泣いていた時の愛ちゃんは、

「よーし、将来DLSでネタにしよう!」なんて思っていなかったです。

この仕事をするとも思っていなかったし、本を書くとも思っていなかったし、

12年も毎年1000人以上のダンサーや先生とセミナーで繋がったり、

”DLS公認”と看板を背負ったインストラクターが、

日本各地にいる状況になるなんて思っていなかったです。

あの時の愛ちゃんは、ただ

「痛みなく踊りたい」

「早く戻りたい」

だけ考えていました。

あ、それと

「痩せたい」

でしたね。

切実な悩みだったんですよ、彼女にとって。

だけど今は、南半球からポッドキャストで毎週多くの人達にお話しています。

「分からないことは、夢見れない」のかもしれません。

ダンサーは細くなきゃいけないと思っていたら、

体型に囚われず、プロとして長い間、強く踊り続けるという

キャリアのオプションを夢見ることは出来ないでしょう。

バレエは痛くて当たり前、と思っていたら

生徒が痛いですと言ってきたときに、トウシューズは痛くて当たり前、と伝え、

足の甲が腫れていたら、甲が出て見えてイイネ、と思ってしまうけれど、

痛みなく、健康でいることが出来たら、バレエは自然と上達する

という夢を見ることは出来ないでしょう。

将来に対する希望や、夢、野望?を持ち続けるためには

それが可能なんだという事実、知識を持つ必要があるんでしょうね。

だからDLSを通じて、ケガのこと、エクササイズのこと、正しい指導のことを学んでくれたら、

その人達の踊っていけるという希望や、

バレエ大好きな生徒が笑顔で通ってくれるスタジオという夢、

古いバレエ界を変えていくぞ!という野望を

応援出来るのかもしれません。

その為には「待ってるだけ」じゃ足りないんですよね。

  1. 良い役が来るのを待つ
  2. 生徒が増えてくれるのを待つ

これでは夢が叶うわけがありません。

7月末に診断を受けた直後はショックの方が大きかったです。

皆さんご存じのように、DLSは健康と安全を第一に考える、というテーマがあるので、

私自身も教科書通りの健康生活を送ってきていたはずなんですよ。

悲しかったし、不安もあるけれど、戻れない過去についてクヨクヨ考えたり、

まだ分からない未来について不安に感じるよりも、

今できることを100%やろうと準備を進めてきました。

ポッドキャストやSNSは事前に録音・予約投稿を整えているし

インストラクターコースとアドバンスドコースは、

出来る限りクラスの準備を終わらせて、ファシリテーターの先生たちと連携をとってあります。

まだ全部の準備が終わったわけではないですが、

待っているだけではなく、今、出来ることを100%やる。

そして、「出来ること」という括りには、

  1. やめる
  2. 休止する
  3. 休む

という行動も含まれていると、私は思っています。

SNSやメルマガの発表を見て、心配してくれている人達もいると思ったので、

今日のエピソードでは私のパーソナルアップデートをお送りしてみました。

お聞きいただいたように、私は様々な壁を乗り越えてきておりますので、

今回の壁も鬼らしく、今度ネタにしてやる!的な気持ちで突破していきたいと思っています。

とはいっても、このエピソードが皆さんの元に届くころには、

もう少し治療方針がクリアになっているかもしれませんが。

応援してるよ!というメッセージの代わりに、

ポッドキャストのレビュー、Youtubeでポッドキャストへいいね、

SNSのシェアなどをお願いできたら嬉しいです!

もちろん、ライブラリ購入、ボディコンエクスプレスへのご参加も

DLSを続けていくサポートになりますし、

アマゾンなどで、私の本のレビューを残してくれるのも、とっても助かります!

生徒の安全と将来の健康を第一に考えるレッスンが「当たり前」になりますよう

#鬼の居ぬ間に Happy Dancing!を広めるお手伝いをしてくださいね。

来週のポッドキャストでは、

コロナ期間に学んだことが、今回の治療専念にどれだけ役に立ったか

の裏話をお送りしたいと思います。

良かったらまた、愛さんのおしゃべりポッドキャストにお付き合いくださいませ。

Happy Dancing!

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