DLSポッドキャスト epi591 頭蓋骨のずれと線維性関節 関節の種類その1

小顔のために頭蓋骨矯正!? 

頭蓋骨にある関節の種類を勉強すると

何にお金をかけるべきか、怪しい商品は何か?を見極めることが出来るようになるはず。

一緒に関節の種類について勉強しましょう。

Transcript

日本に帰るたびにホットペッパーを利用する佐藤愛です。

ホットペッパーというサイト?ビジネス名?サービス?をご存じですよね?

私が日本にいたときは、コンビニとかスーパーに置いてある雑誌みたいな形で

中に入っているクーポンを切ってお店に持っていくというシステムだったと

記憶しているんですが、同世代の皆さん覚えてますか?

今はアプリやサイトになっていて、オンラインでレストランの予約から

ヘアサロン、マッサージなど、様々なサービスを予約できますよね。

日本の電話番号をもっていないし

ホテル生活が殆どになる来日セミナーの期間中は

オンラインで、時間に関係なく

当日や前日でも予約可能というサービスがすごく助かるんですよ。

予約しなかったとしても、内容や商品名から、時代やニーズを感じられて興味深くもあります。

今月は、関節についてお話しているDLSポッドキャスト。

先週は関節の基本知識と、何度も繰り返す必要性についてをお話しましたよね?

予習に良いかも?とお話したブログも読んでくれた?

関節 動きの生まれるところブログ

同じ記事をカバーしたポッドキャスト

今日の内容に進む前に、さっきお話していたホットペッパーより

関節に関係する商品名で、びっくりするものをいくつか。

  1. 骨盤矯正
  2. 骨格矯正
  3. 肩甲骨はがし
  4. 頭蓋骨の歪み解消
  5. 肋骨を閉めるマッサージ

ツッコミどころ満載なんですが、どうしてツッコミ満載なのかの話の前に

関節の種類を考えてみましょう。

3つの関節の種類

関節にも種類があるとお話すると、解剖学マニアの皆さんだったら

「ボールとソケットで出来ている球関節とかそういう感じ?」と思うかもしれません。

それは正しい!

でも、もっとマニアに&正確に見てみると

球関節とか、楕円関節などの種類は

「滑膜性(かつまくせい)関節」という関節の種類の中の種類なんです。

どう、通じた?

関節という大きなカテゴリの中に、滑膜性関節などの関節の種類に関するカテゴリがあり

滑膜性関節というカテゴリの中に、球関節などが続きます。

そして、球関節というカテゴリの中に、肩関節や股関節というものが含まれて

肩関節というカテゴリの中に肩甲骨やら上腕骨やら、肩関節を作る骨だったり

ローテーターカフという肩関節に関与する筋肉のグループが入っているんですね。

ロシア人形、マトリョーシカみたいな感じですよ。

一つの人形を開けると、その中に人形が入っていて

それを開けると次の小さな人形が入っている…みたいな感じ。

では関節の種類には何があるか?

先ほどからお話していた滑膜性関節のほかに、

  1. 線維性関節
  2. 軟骨性関節

があります。

バレエ解剖学は知識つめこみじゃない

ダンサーが知っておくとケガを予防したり、踊りやすくなるのは滑膜性関節のみ。

先生たちも、滑膜性関節の構造を理解すると

安全に指導できますし、危険な動きを辞めることもできます。

そのため先週のエピソードでお話していた関節もふくむ

DLSで「関節」とお話した際には、滑膜性関節の話をしています。

第一、滑膜性関節なんて言葉聞いたことがないでしょうし

英語でjoint healthと話す場合も、治療家に診てもらう関節も、滑膜性関節だけですから。

でもね、ホットペッパーの謎を解くためには、ほかの2つを知っておく必要があるんです。

私が今、ダンサーや先生に必要な情報と、噂話や商品をツッコむための情報を

2つに分けたことをしっかりと頭に入れてくださいよ?

ご存じのように、私はバレエ学校の解剖学講師から

DLSを通じてダンサーや先生たちへバレエ解剖学をお話しています。

本も何冊も出しています。

でもね、それらの中で今回お話している

滑膜性関節とか、線維性関節とかお話していないんです。

なんでかって?踊りに必要じゃないから。

私の考えるバレエ解剖学と、大学などで学ぶ解剖学の大きな違いは

「踊りで使えるか」「スタジオ、現場で役に立つか」。

ダンサーに必要でないなら、あえてお話していません。

2015年から1000人以上の先生たちが受けてくれている

教師のためのバレエ解剖学講座モジュール1でも

最初のスライドで「現場で使える解剖学」についてお話していますし

コアマッスルの1つに数えられることもある横隔膜についても

ダンサーが横隔膜が弱いという注意を受けないとか

横隔膜の柔軟性はオーディションで見られない

先生の注意で横隔膜は出ないなどの理由から

現場で必要ないから飛ばすよ、と話しています。

じゃないと、知識はあるけど踊り方や指導は変わらない

頭でっかちになっちゃうから。

この先、ダンサーが知っていても踊りは変わらない

2つの関節の種類についてお話していきますけど、

体ってこうなってるんだーとか、このサービス受けないようにしようとかの

興味に使ってくださいませ。

線維性関節

線維性(せんいせい)関節とは

強い線維性結合組織で繋がれている関節で、動きはほとんどありません。

線維性結合組織って言われても何?と思うと思うので

伸び縮みしない、繊維のカタマリが、骨と骨をつなげていると思ってください。

靭帯はヒモみたいな感じで、骨と骨をつなげているということは

みんな知っているでしょう?

そんな感じなんだけど、ヒモではなく、もっと密で、短くて、たくさんある感じ。

お掃除で使うほうきをイメージしてみて、床を掃く頭の方っていうの?

そっち側みたいなイメージとでも言うんでしょうかね?

ヒモとは異なるというというのが通じたかな?

面倒なことに、線維性関節の中にも3つの種類があるんですよ。

  1. 頭蓋骨をつなげている縫合(ほうごう)関節
  2. 脛の骨、脛骨と腓骨をつなげている靭帯結合関節
  3. 歯の根っことあごの骨のソケット部分をつなげている釘植(ていしょく)関節

さっきマトリョーシカって言ったじゃない?

永遠に次の人形が出てくるわけですよ、解剖学の世界では。

だから必要な情報だけを選択しないと、一生終らなくなっちゃうってわけですね。

リスナーさんだったら、脛の骨が一番わかりやすいかな?

脛には、脛骨と腓骨の2つの骨があるのは知っていますよね?

上の方は膝関節へ、下は足首の関節になります。

でも、この2つの骨がバラバラになっちゃったら困るから

一応線維がつなげてくれているわけです。

同じ構造が、一の腕、つまり肘下でもいえます。

でもさ、脛骨と腓骨は骨で、骨と骨をつなげるのは関節だって言っても

腓骨と脛骨分けるストレッチなんてしないのはわかるよね?

腓骨と脛骨、分かれちゃったら大けがだっていうのも分かるよね?

また、さっきお話した、歯に関する釘植関節。

知っていても踊りに役に立たないっていうのは分かるよね?

縫合関節の動き

ホットペッパーで見た、頭蓋骨矯正。

頭蓋骨って動くんでしょうか?

さっきお話したように

頭蓋骨は、ほぼ動かないというカテゴリになる線維性関節の一部で

その中でも「縫合(ほうごう)関節」と呼ばれる種類になります。

縫い合わせる、と書いて縫合ね。

Physiopediaという、理学療法に関する様々な情報がまとまっているサイトによると

「頭蓋骨の縫合は機能的には**不動関節(ふどうかんせつ)に分類されます。」となっています。

例外は赤ちゃん。

出産がスムーズにいくように、赤ちゃんのみ

頭蓋骨の骨たちは結合組織の領域が大人よりもはるかに広く、柔軟性があります。

お母さんたちならご存じのように

生まれたての赤ちゃんは頭のてっぺんに穴が開いているように触れるんですよね。

そのおかげで脳みそも大きくなるスペースがあるとも言われています。

8歳までにはこのスペースは骨化され、みんなが知っている頭蓋骨になるんですね。

一応のところ、解剖学的には頭蓋骨がマルっと1つの骨になるわけではなく

模型や、解剖学の本のイラストにあるように、ギザギザとした縫い目みたいなのがあります。

でもね、これらの関節に動きはほぼないです。

病気や、生まれつきの問題があった場合は別ですが

そういうものがあったら、本人なら分かっているはず。

だって、頭蓋骨の仕事は、脳みそを守ることなんですもの。

動いたり、ずれたりしては困るわけです。

頭蓋骨は矯正できるの?

では頭蓋骨矯正とは何か?

この”治療法”はエビデンスベースではありません。

先ほどお話したように、関節の種類的にほぼ動かないだけでなく

関節が動くために必要な、関節腔(かんせつこう)がない。

関節が動くには、骨と骨の間にスペースが必要なんですね。

スペースが大きければ大きいほど動きが大きく出来て

スペースが小さければ小さいほど、可動域が狭くなります。

このスペースのことを、関節腔(かんせつこう)と呼ぶのだけど

頭蓋骨にある線維性関節には関節腔がないわけ。

だから赤ちゃんでなければ、動かすことはできません。

100歩譲って、頭蓋骨が少しだけ動くとしましょう。

頭蓋骨の中には何があるんだっけ?そう、脳みそ。

頭蓋骨を動かすことが出来ると仮定したら、その中にある脳みそに影響します。

それって危険じゃないかしら?

頭蓋骨矯正したら、脳が破裂する!って言っているわけではないですよ。

頭蓋骨付近、そして顔にある表情筋は、非常に薄い筋肉たちで

毎日表情を作ったり、話したり、食べたりするのに使われます。

だから、その筋肉たちのケアという面では問題ないでしょうし、気持ち良いと思いますよ。

首の骨、頸椎から頭蓋骨の後ろ側あたりにかけては

スマホ、勉強など下向き姿勢が長い現代人にとって

負荷がかかりやすい部分でもあるから、それらのマッサージも効果はあると思う。

だけど宣伝文句や、ちょっと齧っただけのエステの方

ネットの情報に踊らされないためには

自分に知識が必要だってことが通じたでしょうか?

今日は、関節の種類の1つ、線維性関節についてお話してみました。

エピソードの前半にお話したように、踊りが上手になる解剖学知識ではありません。

頭蓋骨の柔軟性がアップしても、踊りは上達しないからです。

でも、知識欲が満たされた感じがあったり

解剖学って楽しいなと思ってもらえたら嬉しいです。

DLSポッドキャストがお役に立っていたら

クリスマスプレゼントの代わりにポッドキャストにレビューを残してくれませんか?

分析によると、多くの人がiPhoneで聞いてくれているようだから

アプリ内のレビューをしてくださると

多くのダンサーや先生、保護者の皆さんにこのポッドキャストを知ってもらえます。

YouTubeで聞いている人は、いいねとチャンネル登録をよろしくお願いいたします。

来週は、残りの関節の種類を勉強していきましょう。

Happy Dancing!

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