DLSポッドキャスト 628 対面でなく、オンラインのエクササイズでも効果あるの?

スタジオに行かずに、オンラインで受けても効果がない気がする…そんな思い込みはありませんか?

バレエレッスンもエクササイズも、焦らず続けることが上達への近道。

科学的な視点と現場での経験を交えながら、その理由をお話しします。

Transcript

こんにちは、DLSの佐藤愛です。

今月はDLSポッドキャストを聞いているんだもの、

エクササイズの大切さはすでに知ってるよ!という人たちでも、

どうしてエクササイズをしないのか?という、

皆さんに喧嘩を売っているようなテーマでお送りしております。

でも冗談抜きで、ダンサーにとって、レッスンはもちろんだけどエクササイズも必要。

2026年にそれを疑う人はいないと思います。

多くのプロフェッショナルダンサーの日常生活が簡単にみられるようになったSNS時代では、

プロダンサーがレッスン以外のトレーニングをしている様子が簡単にみられるから、

ダンサーはレッスンだけで十分!なんていうバレエの先生はいなくなったことでしょう。

そうは言っても、エクササイズをしないのはなぜか?

その理由を探っているのが今月のポッドキャストでしたよね。

エピソード625では、エクササイズを始めない理由にある心理的な部分。

「ついていけるか心配」「周りに迷惑をかけそう」という考え方についてお話しました。

そこで、ダンサーとして成長したいなら、先生として長く指導をしていきたいのであれば、

「できる場所」を探すのではなく「挑戦する場所」が必要だよという話をしましたよね。

エピソード626では、ダンサーによくある黒白思考。

エクササイズは大切だと分かったから、ちゃんとやりたい!みたいな感じで、

30分のオンラインエクササイズでは足りないと思っている人たちへ、

様々な論文を使って説明してきました。

15分でも多くのメンタル面が改善し、30分でピルエットやバランスが変わる。

そういった事実を知ったうえで、30分で足りないなんて思っているなら、

まずは行動しなさいよってお話してきました。

先週のエピソードでは、きついエクササイズじゃないと意味がないと思っているグループへ、

トレーニングの原理・原則や、ダンサーのケガの統計データと共にお話してきました。

「血を吐くような努力」「血がにじむような練習」みたいな、時代遅れはもちろん、

衛生的にもよくないシチュエーションが成長には必要だと思っている人たちは、

考え方を変えてほしいものです。

じゃ、最終回の今日は、どんな言い訳を潰してみるのか?

色々と考えたのですが、流れ的に一番良いかなと思ったのは、

「そうはいってもオンラインエクササイズじゃね…」というやつです。

オンラインエクササイズの普及

  • オンラインだったら効果がない気がする
  • オンラインクラスはやった気にならない
  • オンラインだと見てもらえてない気がする

こういった、「オンラインだから」という言葉を分析してみるためには、

いつからオンラインエクササイズが普及したのかを確認してみる必要がありますよね。

皆さんが想像できるように、

やっぱりコロナの時代にオンラインエクササイズは爆発的に人気を得たようです。

とはいえ、その前からYouTubeにはエクササイズを指導している動画がたくさんありましたし、

オンラインクラスの代名詞、zoomも会社としては2011年から存在していたようです。

そうはいっても、2020年に爆発的に利用者が増えたのも事実。

オンラインクラスが一般化した功績はzoomが大きく関係すると思います。

2020年4月から行われる予定だった来日セミナーをキャンセルし、

DLSは座学はオンラインセミナーに移動させました。

最初に使っていたのはFBグループ。

その機能を使って、ライブで授業を配信し、

グループにいる人たちだけが見られる+コメントできるという形を使っていました。

このころは、zoomを知らない人たちも多かったですし、

当時のDLSはFBが一番強かったから自然な流れでした。

それから6年。

今ではDLS公認スタンスインストラクターコース

アドバンスドコースのほとんどはオンラインで行われ、ライブ授業はzoomで行われています。

2021年からお送りしてきたボディコンサークル、ボディコンエクスプレスも、

zoomがなければ成り立たなかった商品です。

なんでこの話をしているかっていうとね、当時こうやってオンラインへ移行した時に、

一番多く聞いた言葉が「オンラインだったら受けている感じがしないから」という意見だったんですよ。

でも、面白いことにこの意見はオンラインクラスをまだ受けたことがない人たち、

キャンセルしたい人たちから聞いた言葉だったんです。

体験者ではないってことね。

もちろん、申込した際には東京で行われるセミナーだと思っていたわけだから、

ガッカリするのはよく分かるし、こちらとしても全額返金しましたよ。

でもね、オンラインの恩恵を受けている人たち「ではない」人たちから、

「事前に」ネガティブな意見をもらうことが、非常に興味深かったです。

効果が出る前に辞めてしまう

これね、エクササイズの世界でもそうなんですよね。

  • エクササイズは効果ないから
  • エクササイズクラスやってみたけど、別に何も変わらなかったから

という人たちの多いこと!

でも、1回しか受けたことがなかったり、自己流でやっていたら、そりゃー効果はないでしょうね。

バレエもそうじゃない?

体験レッスンに来た人が、

「このレッスンでは上達したと思えなかったので」と言ってきたらツッコミたくなりません?

才能があり、すごい倍率で選ばれたワガノワバレエ学校の子たちだって何年もバレエ学校に通うのに、

初心者のあなたが、数回受けただけで上達すると思うんじゃないよ、って話でしょう?

IADMSの研究者たちが集まって出したガイドラインでも、

ポワントレッスンを始めたかったらバレエを4年は習い、

週に2回はレッスンすること、と書いてあるわけじゃない?

週に1回で1-2年やっているだけだったら、まだまだ初心者なわけ。

昔のあなたと比べたら、できることがたくさん増えていると思いますよ、

だけどねSNSで見たプロダンサーのように踊れなくて当たり前だということを忘れないでほしい。

エクササイズもそうなんです。

ここでいうエクササイズはオンラインでも、オフラインでも同じ。

毎週続けていたら、1か月で違いを感じられるはずです。

でも、その違いは、長年の悩みだった股関節が完全に良くなりましたとか、

国際コンクールで1位になりました、とかではなくて、

過去の自分と比べて、強くなったということ。

そういった小さなwinを認めてあげる前に、

当初描いていたような”大きな結果”が出ないからって辞める人が多いと思うんですよね。

それってとても残念だと思う。

バレエだけでなく、どんなアート、ビジネス、趣味でもいいけど、

結果というのは時間がかかるものなんですよね。

だけどさ、きっと私たちは最近のSNSのスピードに慣れてしまっているんでしょうね。

  • 検索したらコンマ何秒で答えが出てくる
  • 2秒見て次に進む
  • 誰かのbefore afterが数秒のリールで見れる

という世界が普通になっていたら、コツコツ、長年続けて…なんて待っていられないんでしょうね。

今の話、先生たち、大人たちに向けて言っているよ。

だって、結果が出なくて焦るのは、ダンサーだけではなく周りの大人なんだもの。

そして、いろいろな理由を付けるわけですよ。

  • 才能がないから
  • 体型が変わったから

なんていう、ダンサーを責める系もあれば

  • スタジオが良くないから
  • 先生が良くないから

という環境を責める系もあるけれど、

見本となるべき周りの大人が、そんなに短期の結果ばかり追い求めていたら、

子供たちが夢を持てなくなってしまう理由が分かる気がするんですよね。

オンラインレッスンは、オフラインとそんなに違うのか?

話がずれちゃいましたので、戻ってきましょう。

オンラインのエクササイズクラスって、対面と比べて効果が違うんでしょうか?

2022年に出された研究では、

指導者付きのオンライントレーニングとスタジオで対面で行うトレーニングを比べました。

結果は、モチベーションや楽しさなど主観的なところも、筋力や体組成、

つまり筋肉量などの変化も、どっちも一緒だったんですって。

2024年の運動不足な社会人を対象とした研究でも、

筋肉量や体脂肪への影響はオンラインと対面、ほぼ同等であると報告されています。

ここでは、運動不足な社会人をテーマにしているので、忙しい現代人にとっては、

オンラインの選択肢があることで、

スケジュールの調整や運動習慣の定着がしやすいという風に書いてありました。

面白いことに、研究によってオンラインの方がクラスへの出席率が高く、

スケジュール調整がしやすい方が継続しやすい、と書いてあるものもあれば、

対面の方が孤独感が少なく、

スタジオに行かなきゃいけないというプレッシャーで続けやすいというものもありました。

つまり、この部分は対象者の生活や、性格に大きく影響されそうですね。

とはいえ、エクササイズのゴールが体を強くすることだったとしたら、

オンラインでもオフラインでも同じだというのが、コロナ後、

多くの研究がされたエリアでの共通意見のようですよ。

オンラインエクササイズをダンサーにお勧めする理由

10年以上、現地で、対面で、バレエ学校の生徒たちにエクササイズを指導してきた私が、

現在オンラインのエクササイズをダンサーに推している理由は、

今まで見てきた研究の理由とは異なります。

理由その1:鏡がないこと

バレエスタジオでなくても、エクササイズルームには鏡があります。

そしてダンサーたちは、鏡があったら、鏡を見て自分の体を見るのです。

そうやってレッスンで指導されてくるからね。

でもね、これは2つの理由で問題があります。

1つ目は、自分の体を感じるのではなく、鏡で見ることで理解する。

舞台には鏡がありませんから、

このような練習では、舞台で使える体の感覚を鍛えることが出来ません。

2つ目、そしてこっちの方が大きいのだけど、ダンサーが鏡を見ている時、

彼らは自分の腕の位置や、肩の高さ、つま先を見ているのではないんです。

大体の場合、自分とほかの人を比べているか、自分と、頭の中にあるイメージを比べている。

そして、大体の場合この比較はネガティブで、ボディイメージに悪影響を与えます。

ただでさえ、ボディイメージが低く、摂食問題、摂食障害の率が高いダンサーたちだからこそ、

不必要に鏡のある場所にいさせたくない、というのが、

私の治療家として、そしてエクササイズ指導者としての考えです。

理由その2:送り迎えが不要

私がオンラインエクササイズをダンサーにお勧めしている

理由の2つ目は、送り迎えが不要なこと。

日本のように比較的安全で、東京など都心など、

公共交通機関がたくさん存在するエリアでなければ、

子供たちが習い事に通うためには、保護者が送り迎えをしなければいけません。

この壁は、比較的安全で、しかもトラムや電車、

バスなどが結構本数があるメルボルンのバレエ学校で働いていたときにでさえ感じました。

クールダウンをせずに走って電車に乗らないと間に合わない。

ウォームアップの時間に来られない。

共働きのご家庭なので、学校の後に行われるエクササイズクラスを受けることができない。

日本の地方は同じような問題があると思いますが、

それに追加して夏は暑すぎるし、冬は雪がある。

エクササイズを受けてほしい子たちはケガしていることが多い…など条件を上乗せしたら、

コンスタントにエクササイズを受けるためには、オンラインの方が便利だ

ということが通じると思います。

理由その3:先生たちの威厳

10年以上、バレエ学校で対面でエクササイズを指導してきた私が、

今はオンラインエクササイズを推している理由3つ目は、先生たちの威厳です。

先生たちの威厳というのは、受講者の話なの。

今月最初のエピソードで、

大人の方がエクササイズを受けるべきだという話をしたの覚えています?

私は、エクササイズの効果はプロを目指すバレエ学校の生徒たちだけにとどまらず、

先生たちにも必要不可欠だと思っているのね。

というのも、バレエ、ダンスの先生というのは、他の職業よりも体を酷使します。

たとえお手本をそんなに見せなかったとしても、いつも立って、歩いている。

だからこそ、この職業を長く続けたかったら、動ける体が必要なんですよね。

ここでいう動ける体というのは、踊れる体とは言っていません。

脚は上がらなくていいし、ジャンプは出来なくていい。

そうじゃなくって、動ける体。

だからこそ、先生たちこそ、食べていくためにも自分の体をケアしなければいけないでしょう。

でもさ、先生だから。

対面クラスで、ばったり自分の生徒や、生徒の保護者と合ってしまったりすると集中できないし、

周りの人たちにも、「バレエの先生だから体柔らかいんですねー」なんて言われたら、

自分の体の声を聴いてエクササイズを続けるのが難しくなってしまいます。

オンラインだと、そういった周りの目を気にしなくていい。

そのため、先生の威厳をキープしやすいと思うんですよね。

どんな形でもエクササイズを取り入れよう

と、今までオンラインエクササイズをお勧めする理由をお話してきましたが、

最終的には私、どっちでもいいと思っています。

ただ、

  • ダンサーに特化したエクササイズであること
  • バレエっぽい形を真似するのではなく、
    ダンスサイエンスに基づいた、効果のあるクラスを受けること
  • 1,2回じゃ結果は出ないかもしれないけれど、エビデンスベースで考えたら、
    将来の役に立つという事実を忘れないこと

の3つが出来ていたら、あとはお好きなクラスをお選びくださいませ。

でもね、今月

  • バレエレッスンだけでは足りない部分があること
  • 長く、辛いエクササイズをすれば効果がでるというわけではないこと
  • エクササイズは、ダンサーの味方であること

が分かってくれたら嬉しいです。

ということで今日のポッドキャストはここまで。

来月も、バレエ医科学のエビデンスを見ながら、

ダンサーたちが安全に、効率的に上達するための情報をお送りします。

チャンネル登録して待っていてね!

Happy Dancing!

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