倒立をしたいダンサーへ

倒立!?

なんでそんな話を!?と思うかもしれません。

 

まー最大の理由は倒立、もしくは倒立の進化形(片手だとか、そのあとブリッジにいくとか、でんぐり返り、つまりは前転に繋がる)だとかは

コンテンポラリー作品で使われるテクニックで非常に多いからです。

 

バーサタイルにならなければいけない21世紀ダンサーだったらコンテは必須。

これは2015年のDLSオフ会のテーマでしたし、

FBで毎月行われる#愛さんに聞いてみよう でも何度も質問にきましたね。

 

 

DLSの2018年9月に行われる、表現力セミナ―キッズ、では最終日にコンテがあります。

これはやっぱり、表現の幅を広げるために必要だし、

コンテもある程度慣れ、というのが必要だから。

  • 海外のバレエ学校であれば、週に一度以上、コンテのクラスがあるのも、
  • ローザンヌなど大きなコンクールでコンテもやるのも、
  • いくら由緒正しいクラシックバレエ団でもコンテ作品を上演するのも、

すべて考えた上で、セミナーでも取りいれる必要を感じています。

 

そうそう、

コンテ経験ゼロですが、参加出来ますか?

という質問を何度もキッズセミナ―でいただいております。

大丈夫です、一緒に学びましょう!

 

キッズセミナ―は14歳までだけど、15歳以上でプロを目指してて、コンテも!という子達は

2019年1月に行われる冬期バレエ講習会に申し込んでね。

こちらでは毎日コンテがあり、最終日に作品を発表します。

 

ダンサーが倒立を行う危険性

肩関節は一番動く関節

=
脱臼しやすい。

 

特に体幹や腕の筋肉が弱い子供達はこのようなケガに注意が必要です。

 

  • 最近の子たちの筋力の弱さは数値として出ている(文部科学省)
  • 女の子の方が筋力が弱いこと、
  • そして成長期では一時的に筋力とコーディネーション力が落ちる

のはバレエだけでなく、日本人全体での事実ね。

 

 

ということは、

  • 体幹のエクササイズとして倒立をする

のは、

  • 一番怪我しやすい関節に
    全体重の負担がかかるポジションで

行われるエクササイズなのね。

 

それを

  • 大人数で、
    硬い床で(体操教室とかだったらマットがある)
    トレーナーでないバレエの先生がやる

というのは危険だと個人的に思います。

 

体操の先生や、こういうのを指導する人は

アシスト・サポートの仕方を知っています(ほら、オリンピックとかでも選手を鉄棒の場所に付けてくれる人とかいるじゃん?あーいう人)

他の国もそうかと思われますが、私はこっちで治療家・トレーナーとして働くために

毎年応急処置と人工呼吸のコースを修了しなければいけません。

万が一の安静位置とか、救急車の呼び方なども勉強するわけ。

 

倒立ごときで、救急車!?と思われるかもしれないけど、

骨折、脱臼、頭から地面に落ちるポジションなので、脳震盪や、頸椎損傷とかも意識しないといけないんです。

 

バレエをやっている子達の特徴

上で挙げた例はバレエレッスンでなくても、バレエダンサーでなくても全人口で言えること。

ではバレエをやっている子達はちょっと特殊なのか?というと。

うーん、ちょっとね、特殊ね。

 

肩関節・腕の筋力トレーニングはほぼ無し

例えば、いくら週に3,4回レッスンに来ていて、トレーニングもしている!といっても、

腕の筋力をつけることや、肩関節の安定エクササイズはバレエレッスンではほぼなしなんです。

 

バーレッスンでバーを握りつぶしていても、

肩のトレーニングになっているわけではございませんから笑

 

つまりある程度運動できちゃう、慣れてる子達が、いつもの調子で(だけど練習していない!)肩関節にも負担をかけたらそりゃ大変っすよ。

 

関節の可動域が大きい子達が多い

いくらバレエ界で体が固い、といわれても、普通の人達に比べたら体は柔らかい子達がそろうのがバレエスタジオです。

幼い時のレッスンに「絶対」入っているのは柔軟であり、筋肉を使う動きではございません。

残念ながら。

 

肘の過伸展、つまりサル腕になっちゃう子達も多いでしょ?

バレエの立ち方ワークショップでも四つん這いが出来ない子が多いんです。

 

手首、肘、肩関節

と真っすぐにして、体重を乗せるという練習をして来ていないから。

 

足首、膝、股関節

をまっすぐに!というトレーニングばっかりしてきている子たちなんだもの。

 

倒立で、肘が伸びすぎちゃうのをコントロール出来ないと、手首と肘に膨大な負担がかかる他、

上腕骨のアングルが変わっちゃうので、肩関節のコントロールはほぼ不可能です。

(ほら、さっきこの関節が一番動きやすく、ケガしやすいっていったじゃん?危険でしょ?

 

腰椎の柔らかさも危険材料に。
  • タックやダックになってしまう(骨盤を安定させられない)
  • 下向き腹筋ができない(腹圧コントロールができない)
  • アラベスクやカンブレデリエールで腰から反ってしまう(腰椎の伸展コントロールが苦手)

な子達が多いのもダンサーに多く見られます。

 

実はこれ、開脚など股関節の可動域を広げることにフォーカスし過ぎちゃうトレーニングをしてきたのも原因の一つです。

 

股関節を安定させることを学ぶ前に、股関節の柔軟ばっかりに目が行ってしまう。

そうすると、股関節(大腿骨+骨盤)がグラグラしちゃうから、

結果骨盤、そしてその上に乗っている腰椎もグラグラしちゃう、という連鎖ね。

 

→バレエダンサーの特殊な股関節について 治療家トレーナー

 

エクササイズとしての倒立

最初にお話したように

コンテではよく、倒立のようなポジションから次に移動するというフロアワークの振り付けがある。

 

トンベ、パドブレ、グリッサード。

みたいなよくある組み合わせの一部、って考えてくれると分かりやすいかも。

 

コンテのクラスで振り付けとしてやらなければいけない場合、

安全にこなすために練習しなきゃいけない。

 

そのために倒立だけ練習するっていうのはよく分かります!

ガムザッティーのソロの為に、アチチュードターンで斜めに下がる部分だけ練習しているって感じね。

振り付けの分析の一部ですもの。

 

ただ、いくらアチチュードターンの練習が必要さ!といっても、

  • アチチュードでオンポワントでバランスを取る練習をしたことがない子達だったら
  • フラットシューズでアチチュードプロムナードをやったことがない子達だったら

練習すべきエリアは多分、アチチュードターンプラスワルツ、ではないよね??

 

その前にやらなければいけないところがいっぱい!

上で書いたように、倒立!に行く前にやらなければいけない事がたくさんあるんだよ。

 

例えばバレエの立ち方ブックにもある四つん這い手脚上げ。

あのポジションで

  • 背骨
  • 骨盤
  • バランス

が出来なかったら、倒立は・・・・できると思う?

 

プランクが神エクササイズ、って言っている訳じゃないよ。

でも、プランク(停止時、クローズドチェーンエクササイズ)で自分の背骨を守るだけの力や肩関節の強さがなければ、

勢いのつく倒立(だって皆、地面を蹴ってそのポジションに行くよね?=動きの中、オープンチェーンエクササイズ)で怪我するリスクが怖いなと思う。

 

DLSブログで挙げた、壁腕立て肩甲骨のウイング

腕立て伏せ!

これらが出来てなければ、肩関節は全体重を支えられるだけの力はないと思う。

 

いかがでしょう?

 

倒立=体幹のエクササイズ、だったらラスボスレベル!

 

つまり、体幹のエクササイズ、とか腕のエクササイズ、というゴールでやってるんだったら、

倒立は相当難易度が高いって理解しようね。

 

ふくらはぎをストレッチするのに椅子を使ったオーバーストレッチ前後開脚で前の足フレックスする、

ってくらい難易度がジャンプし過ぎだよ(笑)

→そのストレッチ役に立っているの?ストレッチにも難易度がある話。

 

コンテは大事!

そして慣れも大事だし、ちょっと怖い動きにチャレンジする勇気も大事!

だけどエクササイズ、だったらゴールが何?とい視点で見ないと。

 

そういう形だから、といって練習するのは一番効率が悪く、一番ケガのリスクが高いと覚えておきましょう。

ストレッチの猿まねと一緒です。

 

倒立をコンテでやらなければいけない!

のならば、

  1. 立ち位置での肩甲骨コントロール
  2. 壁腕立て
  3. 四つん這い(肩関節で体重をささえるという理解)
  4. プランク(四つん這いよりも大変)
  5. 腕立て伏せ(プランクを動きながら)
  6. 座って、正しい姿勢を保ちながら、ウエイトをまっすぐ天井に持ちあげる(倒立で体重を支える形を軽量の重りで練習)

あたりができてから

  • ラスボス:倒立

にいきたいわけさ。

 

バーレッスン、センターレッスン、アレグロ、ポワント、バリエーション

の順番みたいなものよ。

エクササイズのゴール

プランクは私が昔からDLSでダンサー向けにお勧めしているエクササイズ。

これはバッシングが来ることが多々ですが、その度記事でお答えしていますので笑

 

プランクをやる理由が、踊っている時の体幹

であれば攻略本のように様々な形でチャレンジしないといけない。

最終結果として動きの中で使える強さが欲しいんだものね。

ただ、動く前に静止状態で練習をする、というのはやっている本人が間違いを確認しやすくて便利。

 

腕の弱さをどーにかしたい場合

肩関節、腕の周りに感じて超オッケー👌

倒立へ進むため、コンテでフロアワークをやるのが目的だったら、もちろん!腕に感じていいんですからね。

 

最初にあげたように、女性、バレエのキーワードであれば、腕が弱くて当たり前。

だから一番弱く、慣れていない部分に筋疲労を感じるのは当たり前なんですよ。

 

エクササイズするという習慣づくりがゴールだったら

同じ物を毎日やり、楽になるという経験をさせてあげるのが大切。

そうすると、頑張ると楽になるんだ!という希望とポジティブさを指導できる。

 

確かにエクササイズは同じことをやっていると体が慣れてきます。

だからトレーニングとしての効果は下がります。

なのでプランク攻略本でも3か月用プログラムを私が応援している音声ファイル付きでご紹介していますが、

1週間毎エクササイズが違いますもの。

 

*そういうエクササイズの基本を知らずにエクササイズを教えるのはちょっとね、と思うし、

ストレッチがどれほど大変で、危険がいっぱいなのかを知らず教えるのもちょっとね、と思う。

この前インスタで、小学校中学年、高学年かな?がペアになって、開脚の上に乗っかっている、という動画があった。

乗っかるだけでなく、上でバウンスしていたり。

恐ろしいし、悲しい光景。

 

なんの話だっけ?

そうそう、慣れ。

 

でもね、おうちでエクササイズをやる!という習慣作りをさせたい場合、

簡単になってほしいのよ!!

  • ほら、強くなった。
  • やったら結果がでる!!
  • 貴方でもできるんですよー

というのを教えてあげたいんだもの。

 

辛くても、他にやりたいことがあっても、30秒だけは頑張る、とういう

努力の仕方を教えてあげているンですもの。

 

ここで、いきなり難しく変えますーってやったら

一生「やりきった幸せ」を味わえなくなっちゃう。

小さなwinを積み重ねることが、努力を楽しめる人間になると思うンです。

 

脳震盪とその他のリスクについて

そして最後に。倒立で失敗し、頭を打ったとしよう。

concussion(脳震盪)は一度だけでもアルツハイマー病に繋がると研究が出ているわけ。

→Meb MDページ
モチロン、やった瞬間は分からないよ。こういうものは何十年もして出てくるんだから。

 

レッスンで皆で鏡に向かって倒立!ではこの可能性はほぼゼロだと私は思います。

ただ、指導者は知っておかなければいけないと思う。

知りませんでしたーではいけないと思う。

1000分の1、チャンスがあるのならば。

 

ストレッチも、早くからのポワントも、ウォームアップせずに踊る事も。

全員が全員100%絶対にケガします!!

ではないです。

そうじゃない子達も多いです。

 

ただね、

  • リスクがあるんだったら、避けたくないですか?
  • リスクがあるんだったら、それを知っておくべきではないですか?
  • リスクがあるんだったら、指導者は対処法や見極める目まで育てなければいけないと思いませんか?

そして何よりも、

  • の彼女に絶対に必要なことかしら?(ダンサーとして必要かしら?)
  • 他にできることがあり、その方が安全に踊り続けるサポートになるんじゃないかしら?

 

まとめ:倒立したいダンサーへ

めちゃくちゃ長くなってしまったので、3点でまとめます。

  • 振り付けでやるならば、安全に練習してね
  • エクササイズでやるんだったら、その前のエリアを攻略してから。
  • 運動の危険性、体の構造の弱い部分を理解しよう。

 

表現力は体に負担をかけず、ケガしていても練習できます。

だけど、バレエというアートには絶対必要な力です。

 

ダンサーに求められる動き、例えばちゃんと閉めた5番ポジションはひざも、足首もひねります。

それが危険だから!ってやらなかったらバレエになりません。

バレエの中で「やらなければいけない」ものを「安全に」こなすという注意が必要です。

 

でもね、バレエの中で「やらなければいけない」のではないところ

  • オーバーストレッチ
  • 不必要な柔軟性
  • 早くからのポワント歴
  • オーディションでも出てこない32回転

などでケガして、夢を諦めなければいけない、となったら悲しいじゃないですか!!

そのためにも自分の知識(もしくは未成年を守る親、教師の知識)をしっかりと頭に入れておきたいね。

→その他の9月来日セミナ―

→自分で考える力の育て方

 

Happy Dancing!

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    体の声を聞く練習と共に、弱点を克服し踊り続ける事、長く指導し続ける事が出来る体を育てるボディコンサークルは毎週日曜日にZoomにて行われています。

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    DLS教師のためのバレエ解剖学講座モジュール1&2を受講された方々向けに、毎月ダンサーに見られやすいケガ予防とレッスンの作り方についてを勉強する「教師のための月一勉強会」があります。

    モジュール受講者は毎月のテーマとスケジュールをこちらからご確認くださいね。

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