ダンサーにマッサージガンは効果があるの?
マッサージガン、最近流行ってますよね。これってどうなの?という質問はDMでも多いので、2020年のクリスマスライブQ&Aでもちょっと答えました。今日のブログはもう少し専門的に論文なども使いながらマッサージガンをダンサーが使うべきか?をお話していきましょう!マッサージガンとは何?ちょっと前?今も?フォームローラーがバイブレーションするやつあったでしょ?あいつと、マッサージガンはお友達です。筋肉を振動させるアイテムってことで。マッサージガンもその種類に入るそうです。つまり、マッサージガンと空港とかにあるマッサージチェアとは少し違うのね。ガン、鉄砲みたいな形だからマッサージする銃という名前ですが、それって怖くないか?と思うのは私だけ?マッサージガンとリサーチ皆さんがご存じのように新しいアイテムなので、リサーチがあまり存在しません。私が見た中では1つしかなかったの。この研究ではマッサージガンを5分ふくらはぎに使って、可動域に違いが出るか?筋肉の動きに違いが出るか?(Muscle performance)を見たそう。結果は、可動域は広くなったようだけど、筋肉の動きに違いはなし。よって(このリサーチの)お勧めの使い方はウォームアップでMuscle Performanceを落とさず可動域を増やしたかったら使うのはどうか?だそうで。私の疑問としては、誰かがダンサーのふくらはぎに5分ガンを当てる→アシスタントがいるのか!?一つの筋肉につき5分→どれだけウォームアップに時間がかかるのか?!体全体終わったときには、最初にやった部分は戻っちゃうんじゃないの?笑というのがありますが、リサーチも言っているように、まだ「早い段階なので分からない」。しかもこちらは成人男性16名しかテストしていないので、バレエ愛好家のようにもともと普通の人口より体の柔らかい人が多い、女性が多い、未成年だったらどうか?は分かりません。バイブレーションを使った場合はどうか?というのはもう少し研究がありました。例えばこちら。バイブレーションセラピーと普通のマッサージ行って筋肉痛(DOMS:こちらで詳しく説明しているよ)の変化をチェックしたところ、大きな違いはなかったそうです。こちらでは、バイブレーションするフォームローラーと普通のフォームローラーを使った場合、柔軟性、バランス、関節の安定に違いがあるのか?を調べていました。結果はどっちでも同じだってさ。そもそもマッサージが必要なのか?研究結果としてマッサージガンの効果はまだ立証されていないほかの振動をつかったツールVS普通のツールでは違いが大きくは見られないというのが現在の状況です。でもね、マッサージの前に考えなければいけないことがあるんですよ。それはなんで筋肉が硬く感じるのか?ということ。エクササイズが終わった後、筋肉が張った感じになることがあります。あー腕がパンパンだ!みたいな。これは使った筋肉への血流が増えている=血管が広がっているから当たり前です。少し経てば落ち着きますし、だからクールダウンで血流+心拍数を徐々に落としてあげるんだよね。ウォームアップも筋肉の動きを良くして、疲労を減らすことが分かっていると。だとしたら、ウォームアップ→エクササイズ→クールダウンした上で「まだ」筋肉が硬く感じるのであればセルフマッサージをする理由が見えますね。→ウォームアップについて→クールダウンについてまた、エクササイズクラスで1時間おしりの筋肉をターゲットにしてトレーニングした場合、弱い筋肉は硬くなりやすい、という事も含め使った部分、つまりおしりのリリース、マッサージが必要になるかもしれません。(余談。自分のおしりにマッサージガンを当てるのはかなり至難な業だけどね)でも栄養、睡眠不足で筋肉が硬い寒い(体が温まっていない)、動いていない(長時間椅子に座っている)などで筋肉が膠着している緊張から、体に力が入り筋肉が硬くなっている関節が不安定だから体が「あえて」筋肉を固める事でケガしないように守っているなど、筋肉が硬くなる理由はたくさんあります。原因が栄養+睡眠不足の場合、いっくらマッサージしても良くなりません。体が防御作業として固めている場合、素人がマッサージしたら、もっと不安定になりケガや痛みに繋がる可能性もあります。なので、マッサージガンだろうが、フォームローラーだろうが、筋肉が硬くなる原因をしっかりと理解する必要はあります。これはストレッチでも同じことが言えるのね。いくら寝る前にストレッチしても、筋肉の硬くなる原因に対処していなかったら結果はでません。自分のため、と思ってやっていたのにケガを助長させてしまったら悲しいじゃない?→教師が知っておかなければいけない柔軟性についてマッサージしてもケガは良くならないけがの治療のためにマッサージする、という人達がマッサージガンを買おうか悩んでいる可能性もあるので、この部分も説明しておきますね。ケガの種類にも大きく左右されますが、壊れている組織があったら、そこが修復されなかったらケガは良くなりません。どういう意味かって?折れている骨が修復されなければ、疲労骨折は治らない切れている筋肉が修復されなければ、筋挫傷(肉離れなど)は治らないということでございます。疲労骨折したエリアの筋肉をいくら柔らかくしても、骨がマジカルに治るわけではないでしょ?一時的にマッサージしたら痛みが軽くなったとしても、筋肉が切れている部分が修復されない限り、ケガは再発します。当たり前だって思うだろうけど、多くの人たちがせっせとケガした部分をマッサージをしている風景は見ているので、書いておきますよ。→疲労骨折についてはこちら→肉離れについてはこちらマッサージできない場所もあるこれも、すっごく当たり前に聞こえるかもしれませんが、私たちマッサージセラピストは(あ、知らない人もいるかもね。私はバレエ留学後、オーストラリアで理学マッサージセラピストの資格をとり、バレエ学校の専属セラピストをしていました。それだけじゃないけど…)筋肉の場所筋繊維の向き神経の場所を考えて治療します。腰が痛い!と言うクライアントが来た時に、痛みの原因が脊柱起立筋ではなく、腰方形筋の場合は腰ではなく脇腹エリアをリリースすることもあるし、腸腰筋が引っ張っている場合は、おなかを診ます。その人が服用している薬やケガ、病気の状態をみて治療が出来るか?を決めることもします。(例えば生理痛の薬をとっているから、いつもより痛みに鈍感かも、という可能性がある場合、手のプレッシャーを考慮します)さっきもお話したけど、関節が不安定→体が危険を察知して固めている場合は、筋肉マッサージの後に一緒にエクササイズして、保護する力や感覚を練習します。(マッサージが必要じゃない場合は、すぐにエクササイズにいく)そんな知識をバレエダンサーの皆さんに持ってほしいわけではないけど、硬いと思う場所→青あざになるまで押す!がマッサージなのではないということは頭に入れておいて下さい。まとめ:ダンサーにマッサージガンは効果があるの?現時点ではマッサージガンの効能が立証されてはいないマッサージガンの前に、どうして筋肉が硬いのか?を考えてマッサージしてはいけないシチュエーションもあると理解して新しいアイテムで、まだリサーチが多くないというのは「絶対にダメ」なアイテムだということではありません。今後もっと研究が増えてきたら、この記事の内容を変えるかもしれません。でも、現時点ではこういう感じ。マッサージガンを使うのであれば、自己責任で。お金もあって、暇だし、コロナ渦で外出を控えているから自分でマッサージするために、というんであればどうぞ。くれぐれも、素人が「やってあげるよ!」と誰かに使わないこと。特に保護者やバレエの先生!おまけ:バレエダンサーの生活とマッサージガンバレエ学校に10年以上務めていた身として、最後にアドバイスを。バレエ団で、自分のロッカーやスペースがある場合ホームシアターがあり、楽屋を自分の好きなようにアレンジ出来る場合を除き、ダンサーは自分の荷物を自分で運ばなければいけないと思います。オーディションで機内持ち込みだけで何か所も廻りつつ、知り合いのゲストルームをお借りする場合も多くありますし、サマースクールなどで1か月だけバレエ留学することもあるかもしれません。ロイヤルバレエ学校もそうですが、毎ターム事に学生寮の部屋が変わる場合だって必要最低限の生活アイテムしか持てないはずです。重い荷物をチューブで運んでいて肩こり+いつもと違うベッドで調子が悪い→上半身やポーデブラが思ったように動かないなんて事は嫌なんですよ。せっかく、プロになるチャンスをつかみに行くなら、一番いいコンディションでいたいでしょ?そうしたときには、マッサージガンや重たいフォームローラーを持って歩きたくないんです。もしスペースが余っているならもう1足トウシューズを持っていきたいんだから。使い慣れているマッサージボール1つで全身が出来るエクササイズバンドや空気の抜けるソフトボールあたり+シューズバッグ(たぶん一番重いもの笑)レオタードとタイツいくつか(カンパニークラスを見て、そこに合わせたスタイルを選ぶ必要があるかもしれないし、オーディションが進んだらコンテとかで着替えるかも)ウォームアップギア(空調が分からないもんね)水や食べ物(休憩が入るかも分からないし!)お財布、携帯、チャージャーなどをもってオーディション会場に移動するんじゃないかな。だからマッサージガンへの投資は果たして有効なのか?はしっかりと考えてね。Happy Dancing!