DLSポッドキャスト epi582 パンデミック振り返りと、DLSお休みの話

パンデミックから5年。

2020年から少しずつ改革してきたDLSのスタイルと起業家としての学びを振り返りながら、

大きな夢を持つダンサーと先生へのアドバイスをお送りします。

Transcript

世界で一番ロックダウンが長かったと言われるメルボルンに今年で21年目在住の佐藤愛です。

ロックダウンなんて言葉、久し振りに使いました。

世界が止まった2020年から5年。

皆さんの生活は、元通りになりましたか?

それともパンデミックを境に大きく変わりましたか?

私の生活は、パンデミックを境にガラッと変わりました。

2019年と2020年では全く違う人みたいと言えるかもしれないし、

2020年と2025年ではDLSは違うビジネスみたいとも言えるでしょう。

ポッドキャストを最近見つけた人は分からないかもしれないけど、

昔から聞いてくれていた人達は、過去のDLSの方が良かったと思う人もいるかもしれませんよね。

2019年の年末に、私はずっと働いてきた、母校でもあるバレエ学校を辞めました。

色々な理由があって辞めたのだけど、今日の話とは関係ないので飛ばしましょう。

オーストラリアをはじめ、南半球の学校は、

1月末~2月頭に新学期が始まり、12月中旬に1年が終わります。

ほら、ヨーロッパの学校が夏休みのあと、9月に新学期が始まるじゃない?

オーストラリアも夏休みの後に新学期が始まるの。

そうはいっても夏休みの時期が逆なので、変に感じますよね。

2004年に留学してきて、メルボルン在住時間を共に過ごしてきたバレエ学校から離れ、

さぁDLSで本格的に活動していくぜ!となった途端にパンデミックだったんです。

凄いタイミングだよね。

2020年1月は来日セミナーを行いました。

この時期は、なんだかインフルとは違うウイルスが流行ってるみたいよ、

というくらいの話でした。

でもオーストラリア、特にメルボルンのあるビクトリア州はそんなことより、

歴史に残る山火事との闘いの方が大きかった時期です。

私が日本にいる間、夫が送ってくれた写真では、昼間なのに、世界がピンクでした。

幸いにも山火事は遠くで起こっていたので、私たちの住居は問題なかったのですが、

そこから飛んでくる煙、塵でスモッグがかかっていて、ピンクに見える状態になっていたの。

コアラのマーチってお菓子は、皆知っているよね?

日本で売られているものだけみたいなんですが、

コアラのマーチの購入金額から幾分かが、コアラのサポートに使われるんですね。

その為、コアラのマーチをいっぱい購入して、セミナー参加者に配ったクラスもあったくらい。

「プリエ使えてますか?」本の先行予約者対象イベントで約300人の皆さんと会った後に、

メルボルンに戻ってきたら、すぐに次の来日セミナーの準備。

次は4月末から5月のゴールデンウィークにかけて、来日セミナーを行う予定でしたから、

先行予約は1月末、本格的な申込は2月から始まっていました。

セミナーは全席完売していたけれど、怪しい雲行きになっていき、

結果2020年3月に来日セミナーを全てキャンセルする発表をしました。

モジュールなどの座学のクラスはオンラインに移行するオプションも入れて、

希望者には全額返金し、

毎回セミナー会場で買えていたマッサージボールなどのアイテムも全部取り消し。

でもね、当初は珍しい判断だったんですよ。

セミナー参加者に送った資料を引っ張りだしてきたのですが、

The New England Journal of Medicineに発表された論文のリンクと共に、

「ニュースで取り上げられる内容や、政府の対応も国によって大きく異なるため、今回の判断は、発表されたエビデンスをベースに致します。ダンサーを守るだけでなく、そしてご家族や、皆さんの生徒さんを守るための決断をご理解頂けましたら幸いです。」

と書いてありました。

様々な噂話、推測、毎日異なった情報が流れてくるニュースではなく、

論文をエビデンスにして発表したところが、DLSらしいなと今でも思うのですが。

そして皆さんの記憶にあるように、ここから何年にもわたるオーストラリア鎖国が始まりました。

この時期にDLSを見つけたという人達が多い理由は、

この時期学校が休みになってしまった子達の為に、

インスタライブで解剖学授業など、週に2回お送りしていたから。

今やボディコンサークルなどのオンラインエクササイズ、オンデマンドセミナーが

いつでも、どこからでも、オンラインで学べる教師の為のライブラリ

オンラインでの試験もあり、ハイブリッド形式のインストラクターコースを行っていますが、

これらは、コロナ対策から生まれたものだったんです。

それまでは、年に3-4回来日し、様々な会場でセミナーをするという形でした。

バレエ学校を辞めた時、ようやくバレエ学校のスケジュールを気にせず、

日本の祝日に合わせたセミナーが出来ると思っていたんですから!

先週のポッドキャストでもお話したように、

2025年7月末に私はガンの診断を受けました。

このポッドキャストを皆さんが聞いてくれている時には、

手術など治療が始まっていると思うのですが、

準備している9月中旬時点では、まだ日にちの確定がされていません。

診断から公式発表までは3週間あったんですが、その間にチームに連絡、

今後の方向性決定、ボディコンエクスプレスの先生たちとの連携や

インストラクターコース生への変更部分準備などを行っていました。

パンデミックの時もそうでしたが、

発表する段階には、裏準備が完全に終わっている必要があります。

そうでないと、多くの質問が届いたり、お客さんを不安にさせてしまうから。

全ての準備を整えて、発表用投稿を作り…など準備をしている間、不安はあったか?

もちろん!骨が折れたとか、腰が痛いとかのレベルではなかったです。

子宮内膜があるべき場所でないところに増殖していて、

様々な臓器の手術が必要というニュースもかなりなものでしたが、

今回のはガンだからねぇ。

しかもね、7月末には指の手術も受けていたんですね。

病気とは関係なく、指にあった腫瘍を切り取るという単純な手術ではあったのですが、

指の関節の上にできていたので、今でもその指は曲げることができません。

左手は使えない。

体の右側はバイオプシとか、手術用のチップを入れるとかで何度も小さな手術がある。

そんな状態だったので、日常生活すら普通に送れない日々が続いたので、正直辛かったですよ。

でもね、パンデミック以降、オンラインにビジネスを移行してから

自分自身で誓っていることがあるんです。

皆さんご存じのように、ネット社会は便利なんですが、酷い場所でもありますよね?

サイバーいじめの問題、嘘ニュースのばらまき、文句のたまり場。

匿名だからといって、知らない人に酷い言葉をかけても許されてしまう場所にもなっているのが

現在のオンライン環境ではないでしょうか。

だからこそ、私はネガティブな投稿はしないと誓っています。

厳しいことや、バレエ界の事実は指摘するかもしれないけれど、

誰かの悪口、文句、愚痴には一切対応しないこと。

これが鬼の愛ルールです。

結局ね、辛い思いをしていることを、全世界にシェアしても意味がないわけですよ。

一時的な共感はあるかもしれないけれど、

それが病気を治してくれるわけではないですから。

文句を言わないとは言っていませんよ。

その為に家族や友達がいるんだから。

でも、オンラインは私の仕事場です。

私の仕事は、より良いバレエ界を作ること。

文句や愚痴は、より良いバレエ界を作りませんよね。

じゃ、なんで10月のポッドキャストでシェアしているか?

それには2つの理由があります。

1つめは、長年DLSを応援してくれている皆さんに、心配してほしくないから。

2つめは、今ケガや病気で思ったように踊れないダンサー達に、孤独だと思ってほしくないから。

今やることがいっぱいで、この前休みだった日を覚えていないようなバレエの先生たち、

好きな事を仕事にしていても、大変だよね、と一緒に認め合いたいから。

過去に「愛さんの留学記」というシリーズをお送りした時も、

インスタで#愛さんについていこう 投稿をしている時も、

皆が私の見ていること、体験してきたことを楽しんで、という言い方は変かもしれないけど

見たり、聞いたりしてくれる中で、勇気になったり、インスピレーションになったり、

通勤時間のエンターテインメントになったりしていると教えてくれているので、

今回も、そんなイメージでマイクに向かっています。

パンデミックでオンラインに方向転換をしていなかったら、

今回の診断や、どれだけ治療に時間がかかるのか読めない不安は、

大きな打撃になったと思います。

ラッキーなことに、DLSには

16以上のオンデマンドセミナーが入った「教師の為のライブラリ」や、

ハイブリッドで学べる「インストラクターコース」があり、

信頼できるファシリテーターの先生方と一緒に運営しています。

私が指導していたボディコンサークルは休止となりましたが、

ボディコンエクスプレスは継続しています。

DLSチームも、クラス運営がスムーズにいくように、

DLSがネットからいなくならないように、サポートしてくれています。

もちろん、経営的には毎週お客さんが来てくれるボディコンサークルを休止すること、

DLSで一番の収入源となる来日セミナーを辞めることの2つは大きな問題ではあります。

一応私もちゃんとした大人なので、ある程度何かあった時用のビジネス貯金はしてありますが

長期戦になると、それらが足りなくなる可能性もあります。

この気持ち、多くのスタジオ経営者の皆さんが分かってくれるんじゃないかしら?

不安じゃない、と言ったら嘘になるし、

サポートしてくれているチームや先生たちには、

しっかりとお給料を支払い続けなければいけないという責任感が重く感じる時もあります。

でもそういう時こそ、先週のエピソードでお話したように、

今できることに100%集中することが大切なんだと自分に言い聞かせなければいけないですよね。

パンデミックでセミナーキャンセルすると発表したから、

来日出来るかなぁ、どうしようかなぁ…と心配する時間をなくし、

オンラインセミナーの提供に集中することが出来たし、

全額返金などの事務作業を任せられるチームがいたから、

その分私は、表に立って、インスタライブで解剖学シリーズをアップすることなどが出来ました。

  1. やらないと決定すること+決定したことにコミットすること
  2. チームを育てること

この2つは、パンデミックを乗り切った時に学んだことですが、

今回もやっておいて良かった…と思えることです。

将来に対する不安はなくなりませんが、軽減は出来ると思うのね。

このままポッドキャストを終わらせると、

愛さんのおしゃべりポッドキャストで終わってしまうので、

一応学びらしいポイントを作ってみました。

ダンサーだったら、「ケガしてるけど、トウシューズで踊れるかな」「このコンクール出れるかな」

と考えているより、潔く舞台に出ないという決定を下してみたらどうでしょう?

そうすれば、マーキング程度でレッスンに参加したり、

心配しながら100%ではないリハーサルなど、

自分が上手になることはない時間の使い方を辞めて

リハビリエクササイズを徹底することが出来るでしょう。

その方が、6か月後良く踊れるようになっているというのは、簡単に理解出来ますよね?

スタジオオーナー兼先生だったら、お金がないとか時間がないとか言わずに、

チームを育てることをビジネスオーナー仲間の私からお伝えさせてください。

チームと言っても、別に大人数でなくて良いし、週に1-2回午後だけかもしれません。

どんなサポートが必要かによって、

アシスタントの先生を育成するのかもしれないし、

事務作業を手伝ってくれる人を探すのかもしれないけれど、

いくら才能がある人達でも、練習なしに舞台に立つことは出来ませんよね?

アシスタントの先生も、事務の方も、

どの形で仕事をすべきなのかを練習しないと、本領が発揮できないと思います。

よく、バレエの先生たちから

アシスタントの先生や頼める先生がいないという相談を受けますが、

彼らにお願いしたいお仕事が書類化されてます?

どんな養成期間やサポートをしてます?

と聞くと答えられない方が多いと感じます。

そうは言っても、私もこの部分が弱かったです。

最初は特に、忙しいのを言い訳に書類化していなかったのですが、

パンデミックの時から少しずつ準備していたから、

今回みたいに長期いなくなっても、頼れるチームがカバーしてくれるところまで来れました。

先生方、特にスタジオオーナー兼指導者の皆さん、本当にお勧めします!

先生だけじゃなく、ダンサーも、オーディションとか急な配役など、チャンスを掴みたかったら、

その前から準備を始めなければいけないってことをお忘れなく。

簡単にまとめると

  1. ケガしていない時から、体のケアや強化エクササイズをする
  2. 生徒が少ない時から、週に1回でも、資料作りでもチーム作りを始める

そうすれば、何かあった時に、

今まで全人生をかけて育ててきた夢や、スタジオを潰さずに済むんじゃないかと感じます。

ということで、今週のポッドキャストは5年前を振り返りながら、

あの時必死で作ったことが、今になって役に立ったという話をお送りしました。

バレエ上達と同じように、

何年も思ったような変化、効果、結果が出ないことが多いのがビジネスですが、

エクササイズと同じように、クラス直後はテクニックが大きく変わらなくても、

長年の積み重ねがあると、後から助かることがあるんだと思います。

積み重ねは、積み重ねないと出来ないですから、今からスタートしておきましょう!

来週は今回病気の発表をするのに一番心配した点と、私がとっても嫌いなこと、暴露します。

また金曜日にお話しましょう。

Happy Dancing!

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