つま先、足首、アーチ…
なんとなく分かっているつもりになっていませんか?
レッスン中に注意されることが多い足先について
ダンサーと先生が知っておきたい必要最低限の知識をお届けします。
Transcript
みなさんこんにちは、DLSの佐藤愛です。
突然ですが、ダンサーの足セミナー受けたことあります?
アーカイブを見てみたところ、2013年4月下旬の東京セミナースケジュールの中に
「ダンサーの足」という名前のクラスがありました。
当時のクラスは2時間、現在行われているバージョンは2時間半が2日なので
だいぶアップデートされて、内容も変わっていますけど
骨組みというか、アイデアとしてはDLSがスタートした時からあったみたいです。
このクラスが10年以上続いている最大の理由は、私が足が好きだから。
というと、なんだか変態な感じがしますが
何を隠そう、私の得意分野というか、専門エリアは
プロダンサーを目指す10代のクラシックバレエ学校生徒で
股関節から下、特に足のエリアなんです。
大丈夫、今日のポッドキャストでセミナーの宣伝はしませんよ。
ご存じのように、今年は来日セミナーがありません。
そのため、ダンサーの足セミナーもいっくら参加したい!
と思っていただいてもお申し込み不可能です。
じゃ、なんで足の話をしてるかって?
好きだからですよ。
という冗談は置いておいて
バレエ解剖学を勉強してます!という先生たちから
つま先伸ばしなさい!と注意する先生まで
そして、うちの子、どうしてつま先伸びないのかしら?と思う保護者の方まで
「つま先を伸ばすというのは、どの関節が動くのだと思います?」
と聞いてみたら、答えに詰まってしまうと思うのです。
- 「つま先伸ばしなさい」という注意をするなら、それってどの関節の動き?柔軟性?
- 「つま先伸びなくて困ってます」と相談するなら、レッスンの中でどの部分を動かそうと意識しているの?
ほら、困ったでしょう?
大丈夫、だから今月は
今さら聞けないつま先について、こっそり学べるポッドキャストをお送りします。
ただね、音声だけで解剖学を伝えるのにはリミットがあるので
初めての人達は100%理解するために聞くのではなくて
こういう世界があるんだ、というイメージで聞いてください。
バレエを習ったことがないけど、バリエーションのビデオを見て
「あーバレエってこういう感じなんだ、衣装とか、舞台とか、こうやって見えるんだ」
みたいな感じとでもいうのかな?
ダンサーの足セミナーを過去に受けた人達は復習になるので
より理解がしやすいと思います。
ほら、自分が知ってるバリエーションのビデオを見たら
「ここが難しいんだよね」とか
「この人、ここの流れが良いな」とか理解しながら見られる感じ。
ビデオは変わっていないけれど
見ている人の理解力によって、受け取るものが変わるということだよね。
バレエも、勉強もそうだけど
学びとは螺旋階段のようだと私は思っているんですね。
ほら、小学1年生でも、中学3年生でも、高校2年生でも
算数、数学があるじゃない?
足し算引き算、掛け算割り算ってどのレベルでも使うでしょう?
方程式とか覚えたと思うのですが、使わないと忘れちゃうよね。
でも言われたら、あー勉強した気がする!と思わない?
そのため、自分が螺旋階段のどの高さにいるかによって
同じ情報を聞いていても理解が異なると思うのです。
確かに、ダンサーとつま先って切っても切れない仲だから
ポッドキャストだけでも何十回と足についてお話してきています。
DLSが始まって3年くらいのエピソード100付近で既に
外反母趾とターンアウトについてとか当時流行っていたポワントボールについてなど
お話しているようですし
トウシューズのフィッティングについてやポワントになる前に必要なことなども
耳ちくわになるくらいお話してますよね。
伸び縮みするポワントリボンについてのエピソードもありましたけど
トウストレッチャーについてはまだお話していないみたい。
毎年新しいつま先関連の商品が出るし
時代によって何が流行るかが異なるみたいですが
ダンサーの足の骨の数は変わりません。
そのため今月のエピソードを聞いている中で
既に知っている言葉がたくさん出てくると思います。
でもね、”知ってる”と”やってる”は違うからね?
プロダンサーでもプリエから始めるように
大事なことは繰り返してくださいね。
ダンサーが知っておきたい 必要最低限のつま先の知識
昔、DLSが毎回来日セミナーで特別Tシャツを作っていた時に
「7,5,14、∞」というTシャツを作ったことがあるんです。
この数字が何か分かりますか?
これね、足の骨の数なんです。
漢字は異なるけれど、レッグとフット、日本語だと両方とも「あし」になってしまうじゃない?
そのため、足首から下の部分を、私は「フット」と言い換えることが多いです。
ですが、今月のポッドキャストではフットのことしか話さないと思うので
私が言及していなければ足と言ったらフットのことだと思ってください。
さっきの数字に戻ります。
7,5,14、∞とは何か?
片足には、7つの足根骨(そっこんこつ)と、5つの中足骨(ちゅうそくこつ)
そして、14の趾骨(しこつ)があります。
この数字には、親指の下にある種子骨や
時々持っている人がいる外脛骨、三角骨などは含まれません。
7,5,14の後の∞とは何か?
ダンサーの足は無限大の可能性があるから、という意味なんですね。
たくさん関節があるので、無限大の動きのバリエーションがあるとか
ダンサーのケガしやすい部分ナンバーワンなので、無限大の問題があるという意味とか
様々な解釈が出来るとは思いますが
私の中では無限大の可能性がある、と思っています。
片足だけで、骨の数も背骨と匹敵しちゃいますし、構造も難しい。
筋肉も山ほどついているし、足のアーチも考えなければいけない。
そのため、ダンサーの足を勉強し始めると、止まらなくなってしまうのだけど
最初に必要最低限の解剖学的知識だけお話します。
- 7つの足根骨、5つの中足骨、14の趾骨がある
- 3つのアーチがある
- 内在筋と外在筋という2種類の筋肉グループが関与する
それだけ。
その上でバレエ解剖学という目線で見てみると
- つま先を伸ばすというのは、能動的な動きだから筋力が必要
- 人間として自然な動きではないオンポワントの動きの前に、人間として必要な正しく立つ、片足で立つ、片足でジャンプやルルベなどが安定して出来る
- 7歳以下の子供達に足のアーチはまだ出来ていない
- 12歳以下の子供達にトウシューズを履かせるのは、国際ダンス医科学学会は反対している
という知識があると素晴らしい!
→エピソード184 11才まではトウシューズは履かなくていい!YAGPの記事
来週からのポッドキャストでは、今お話した3つの解剖学知識
- 足根骨、中足骨など足にある骨の話
- 足のアーチについて
- 内在筋と外在筋という2種類の筋肉グループ
についてをより深く見ていきたいと思います。
ですが、特に指導者ではなくダンサーだったら
必要最低限の知識さえ分かっていたら、踊っていく上では十分足りると思います。
指導者だったら、もう少し体の構造が分かっていると
安全に指導が出来ると思いますし
保護者だったらネット上の変な情報に踊らされちゃう前に
基礎知識を頭に入れておいた方が良いとは思いますけどね。
人間は偏平足で生まれる
足のアーチを作る筋肉や構造については、後ほどエピソードにしますが
ダンサーのつま先を理解するうえで、知識があるととっても助かる
足のアーチの基礎知識をお話させてください。
人間は、生まれた時に足のアーチがありません。
みんな、フラットフット、偏平足で生まれるんです。
その後、成長と運動で足のアーチが育っていきます。
今、成長と運動ってお話したの、覚えておいてくださいね。
「土踏まずが落ちてしまう」「私は偏平足だからつま先が伸びない」
なんて悩んでいる人達用に
今月は今さら聞けないアーチについての話もしていきたいと思います。
生まれた時は持っていなくて、成長と共にアーチが育つ…
この知識、体の他の部分でも当てはまるのですがご存じですか?
そう、背骨のカーブだね。
生まれた時、私たちの背骨は丸いです。
第一湾曲、なんて言われ方をすることもありますが、方向としては後湾しています。
そこから、腹ばいで首を持ち上げたり、ハイハイしたり…などと
成長や動きと共に、頸椎と腰椎の前湾が生まれていきます。
これを第二湾曲なんて言ったりします。
としたら、足のアーチは種類的には第二湾曲と同じカテゴリなんですね。
ちなみに、アナトミートレインで有名な、Thomas Myersは
1997年に出されたマッサージマガジンの9,10月号で
人間の体のカーブはカウンターバランス
つまり平衡、つりあっている、と話しています。
- 頭蓋骨の丸みが後湾→
- 頸椎の前湾→
- 胸椎の後湾→
- 腰椎の前湾→
- 仙骨・尾骨の後湾→
- 膝関節の”前湾”→
- 踵の丸みが後湾→
- 足のアーチが”前湾”
なんとなく前、後ろ、とカーブが続いている感じが伝わりました?
でも膝関節と足のアーチだけ、ちょっと分かりづらかったですよね?
記事は足についてがメインだったので
膝関節については細かく書いてありませんでしたが
膝関節は前に曲がる関節で、本来なら膝を押し込んで立っていないから
少し前湾して見えるという意味だと思います。
足のアーチが”前湾”という表現も分かりづらいかもしれませんが
腹ばいで寝っ転がっている時の足首を考えてみてください。
もしくはトウシューズで立ったイメージ。
そうすると、足のアーチは”前湾”の方向になるのが分かると思います。
このようにカウンターバランスして、つりあっているはずのアーチが崩れている場合
他の場所に問題があるのではないか?という事が考えられるので
足のアーチの問題は、立ち方、姿勢に影響される可能性が十分あると思いますよ。
ダンサーが知っておきたい足首の話
今日のポッドキャストを終わりにする前に
今さら聞けない、必要最低限の足首についての話もしておきましょう。
足首とは、
- 脛の骨とかかとの骨がぶつかるところだ
- かかとの骨、踵骨があるように、くるぶしという骨がある
- 足首は様々な方向に動く
と考えている人達がいるのですが
これは正確には正しい解剖学知識ではありません。
俗に言われる足関節、足首関節というのは、3つの骨で出来ている関節です。
- 脛骨
- 腓骨
- 距骨
内くるぶし、外くるぶし
解剖学用語では、内果、外果という部分は、脛の骨の終わりなんですね。
内くるぶし、内果は脛骨の終わり
外くるぶし、外果は腓骨の終わりです。
足首をつくる骨の最後、距骨は
私の3冊目の本「プリエ使えてますか?」で
「一匹オオカミ系」とご紹介したので
名前を知っている人達も多いかな?
この子は触ったり、目で見たりすることが出来ないので
イメージが付きづらいと思うんですが
位置的にはさっきお話した脛の骨2つの骨の下
踵の骨の上に乗っている骨なんですね。
脛の骨の下、というと語弊があるかもしれません。
言葉で説明するのが難しいのですが、私も説明を頑張るので一緒について来てください。
左手をぐーにします。右手の親指と人差し指を使ってカタカナのコの字を作ってください。
今からグーの上に、カタカナのコの字を載せますよ?
まずは左手グー、手の甲側を自分の顔の方に向けておいてくださいね
そこからグーを作った左手の人差し指側に右手親指が
グーの小指側に人差し指が来るように重ねてみてください。
出来た?
これが左足首の関節シンプルバージョンです。
左手のグーが距骨
右手の親指が脛骨の終わりとなる内果
人差し指が腓骨の終わりとなる外果となります。
さっき、「脛の骨の下、というと語弊があるかもしれません」と言ったじゃない?
今自分の手を見て分かるように、左手の上に右手は乗っています。
つまり、距骨の上に脛の骨たちがある。
とはいえ、親指と人差し指はグーの隣にあるよね?
そのため、上に乗っているというより、今やったようにかみ合っているという形になります。
足関節、解剖学的には距腿(きょたい)関節はヒンジ関節とも呼ばれますが
蝶番関節ですので、ドアを開け閉めできるように
足首もフレックスとポイントの方向に動くことが出来るんですね。
ちなみに、解剖学用語では
足首をフレックスの方向に動かすことを背屈
ポイントの方向に動かすことを底屈と言います。
関節の形と動きについては、去年の12月にポッドキャストで取り上げましたので
復習が必要な人はエピソード590に戻ってください。
関節の形状から、ピュアに解剖学的な見方をすると
距腿関節は一方向にしか動きません。
でもダンサー達は分かっているように、足首をフィッシュにしたり
タンジュデヴァンからかかとを前に送って4番ポジションにすることができますよね?
私の本でも、ターンアウトをする際に動く関節として
股関節、膝関節、足関節と挙げていますもの
ひねることが出来るんじゃないの?と思うでしょう?
それは、一般的に考えられている足首が
距腿関節だけでなくその下にある距骨下(きょこつか)関節
つまり距骨とかかとの骨、踵骨で出来た関節をひっくるめていることが多いからです。
でも今月はフットの話、つまり足首の下にフォーカスしていきたいので
足首の話はここまでに致しましょう。
まとめ ダンサーが知っておきたい必要最低限の足の構造
今日のポッドキャストでは、今更聞けないフットの話をしてきました。
難しい骨の名前や筋肉の名前は放っておいて、まずは
- 7つの足根骨、5つの中足骨、14の趾骨がある
- 3つのアーチがある
- 内在筋と外在筋という2種類の筋肉グループが関与する
という足首周りの解剖学的知識があると素晴らしい。
それに追加して
- 足のアーチとは年齢と共に成長する
- 足のアーチ「だけ」を考えるのではなく、体全体、立ち方を考える
というのが分かっているとボーナス。
ただこの部分は
ポッドキャストのレギュラーリスナーさんだったらたぶん知っている事だよね?
足首については
- くるぶしとは脛の骨の終わりである
- 足首の関節、距腿関節は脛の骨2つと、距骨で出来た関節である
と分かっていたら素晴らしい
ボーナスとして
- 距腿関節は蝶番関節なので、フレックスとポイントの方向にしか動かない
- 距腿関節の下に、距骨下関節という距骨と踵骨で出来た関節もあって、そちらが多くの動きを作る
と分かっていたら100点満点です。
来週は、もう少し細かく足の骨についてを見ていくことで
バレエで必要なつま先を伸ばす動きは、どこから来ているのか?
を見ていきましょう。
エピソードを聞き逃さないように、
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Happy Dancing!
