ダンサーの腹筋事情

 

腹筋について、インターネット上では様々な人が実にたくさんのことを書いています。

だから 今まであえてDLSブログ内では書いてきませんでした。

 

でも、新しくバレエ学校に留学してきた子が慢性腰痛持ちで、

「おなかを使って踊る」だったり、
「腹筋を使って脚を上げる」ということへの理解がほとんどありませんでした。
(彼女はまっすぐ椅子に座ることもできなかったの!)

 

自分も痛みを抱えたままなのに、解剖学はもちろん、バレエ用語やステップの意味を知らずにレッスンを指導する先生やアシスタントさんがいる、というのは毎回来日するたびに聞くし、

腹筋が弱いんです、体幹が弱いんです、どうしたらいいですか?という質問はDLSにたくさんくる。

ということは、ダンサーの腹筋事情は、かなり手ごわいんじゃないか?と。

なので、このシリーズを書き始める前にどのような形でお話しするのが一番良いのか?って考え込んでいたんです。

 

だって、

  • インターネット上に情報はたくさんある
  • 腹筋という筋肉について知らない人はいない
  • 腹筋という言葉を口にするバレエ教師はたくさんいる

なのに、現実として

  • 正しいタンジュデヴァンができない
  • ダンサーにおける慢性的な腰痛はなくならない
  • おなかがぐにゃぐにや、軸がないダンサーは減らない
  • ネバーエンディングの注意「腹筋強くしなさいっ!!」

 

このギャップはとこから生まれるのだろう?と頭を抱えていたら、問題は何層かに分かれてい ることに気がつきました。

1. 「机上の解剖学」になってしまっている
2. 「深みのない、ロボット的な注意」になってしまっている
3. 「踊りにおけるプライオリティ(優先順位)」に問題がある

ここでは、この3つの問題を紐解いていきましょう。

机上の解剖学

参考書で勉強した、
コースを受講した、
このように自分はトレーナーから習った…

それは素晴らしいことなんだけど、

腹筋の名前や場所、役割を勉強したところ「まで」で終わってしまうケースを、文字通り机の上で終わってしまっている解剖学と私は呼んでいます。

 

DLSのポッドキャストでは骨盤のプレースメントを取り上げた月間を作ったし、ブログでも様々なエクササイズをご紹介してきました。

だから、骨盤のプレースメントを正しくキープして動こうとすると、腹筋を使わなければいけない!ってわかります。

腹筋の役割をしっかりと理解したら、椅子に「正しく」座っているだ けで腹筋運動になるんです。

 

たとえば「腹筋が弱いからアラベスクが上がらないのか?」

スタジオで聞かれることがありますでしょ?
(もしくは先生に言われたことがある注意じゃない?)

そしてこれにちゃんと答えることができますか?

アラベスクは背中が反るのに、腹筋は 背中丸めるでしょ?

 

ここまでわからないと、いくら腹筋の起始点や停止点を暗記しても、スタジオで「使える」解剖学にはなりませんよね。

でも当の本人にとっては「すでに知っていること」なのでこれ以上深く勉強しない。
もしくは 勉強しても効果が出なかったから、解剖学が嫌いになる。

 

ダンサーが舞台の上で「使える」ためには、机上の解剖学では足りないのです。

深みのないロボット的な注意

  • 自分が言われてきたから
  • お偉い先生がおっしゃっていたから
  • バレエ雑誌に書いてあったから

という習慣から

  • デベロッペデヴァンで脚がキープできない子 =腹筋が弱い
  • ピルエットで軸がずれてしまう子 =腹筋が弱い
  • センターでバランスが取れない子 =腹筋が弱い

という考えが定着しすぎてしまっている。よって、同じ注意を繰り返すだけのロボット先生。

だけと結果は出ない。

 

「最近の生徒たちったら、努力しないし、怠けているのね。
一日腹筋100回やりなさい!
腹筋が弱かったらダンサーになれないわよ!!」

 

先生に言われた通りに頑張る生徒たち。

3ヵ月後、レッスンでの成果が見えず… 受験期が来てタイムオーバー。
勉強に集中するためにこれから週に1回のレッスンにします、って言われてがっくり。

だって結果が見えないんだもの、踊っていても楽しくないよね?
お家で努力していても同じ注意ばかりされているんだもの、私にはオ能がないんだって思ってしまうよね?

 

このような代々受け継がれてきた、大先生の(よくわからないが、誰も怖くて本人に質問できない)注意の本質を理解せず、ロボットのように繰り返すという現象がダンサー界の腹筋最強説として流れています。

あれができない、だったら腹筋が弱い
ここが痛い、だったら腹筋が弱い
覚えが悪い、それも腹筋のせい(嘘ですよ!)

 

あなたの脚が上がらない理由は?柔軟性を深く見るという記事で書いたけれど、

脚が上がらない、
バランスが取れない、
軸がしっかりしない、

という原因はひとつではありません。

この原因を探り、様々な言葉や方向からバレエの動きを見るために解剖学からヒントをもらう べく勉強しているはず。

 

しかし現実は、

1層目の「机上の解剖学」 + 代々受け継がれる「ロボット的注意」

によって同じことを叫び続ける先生、叫ばれ続ける生徒、という構図のままです。

踊りにおけるプライオリティ(優先順位)

これはレッスンでの優先順位が問題で、ダンサーのテクニックに変化が見られないという、私がバレ工学校で目にしてきた腹筋事情の一番の問題でもあります。

 

  • 腹筋という筋肉についてはある程度理解がある 。
  • 腹筋「だけ」にフォーカスすれば、簡単なアンシェヌマンを正しく踊りこなせるだけのカもある。

 

だけと踊りのプライオリティ(=優先順位)が

  • 脚をとっても高く上げる
  • 何がなんでも回る
  • 実力と比べて難易度の高すぎるステップを必死でこなす

になっているため、「正しいテクニック」を練習「し続ける」という優先順位が落ちてしまったケースです。

 

ちなみに、ダンサー自身が「こっちの方が大事!」と勝手に判断している場合と、
先生が求めているものの視点がずれている場合もアリ。

知識があったとしても、踊りで使えるだけ体にしみ込んでいないので、ほかの事を考えていたら忘れてしまうってことだね。

 

もし「本当に」今まで勉強してきた机上の解剖学が正しくて、
ロボット的注意を繰り返しているならば、
腹筋最強説に則って腹筋がプライオリティになるはずなんだけど、おかしいなぁ…

言動の不一致が見えてきますね。

ディープに繋がっている腹筋問題

  1. 「机上の解剖学」になってしまっている
  2. 「深みのない、ロボット的な注意」になってしまっている
  3. 「踊りにおけるプライオリティ( 優先順位)」に問題がある

この3つのポイントってつながっているんですよ。

だから最初に問題は「何層かに」分かれている、って書き方をしました。

 

憧れのバレエを始めました!ステップの名前なんて分からないけれど、踊るのたのしー!

から始まって、上達したい気持ちからだんだん体について興味が出てくる 。

 

頑張って勉強したんだ!という達成感と共にぶつかる壁が「机上の解剖学」。
(例:腹筋を使うと体幹が安定するので踊りやすくなると勉強した…ところで終了。)

 

長年のレッスンで自分の言われてきた注意をよくわからないまま、お経のように自分でも繰り返すようになる。
(例:おなかを使って踊らないと脚だけ太くなりますよ!と言われてきたから、脚が太い私はおなかが弱いんだ、と何の疑問もなく考えている。)

 

勉強したという安心感なのか、 「もう、分かってるもんねー」という傲慢な気持ちなのか、それとも努力の方向性が間違っているまま、回数だけこなしているのか…

頭ではわかっていて、いっぱい言われて&言ってきて、だけどやっぱりできていない現実。
(例:腹筋エクササイズだけ、タンジュだけだとしっかり踊れるのに、センターになったらぐにゃぐにゃ)

っていう層。

 

ダンサーの腹筋事情、そして腹筋最強説が本当なのかとうかを調べるために、実際に「腹筋」と呼ばれる筋肉たちを勉強していきましょう!

頭で考えていたことと、実際の腹筋にギャップがあるかもよ?

 

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ai

 

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