表現力と解剖学ー舞台で光るために

この前表現力セミナ―でお話したことを、ブログにします。 題名通り、表現力と解剖学。 セミナ―受講してくださった人達のグループ2は復習がわりに、グループ1はこういう見方もあるのか、という応用のために。 今回受講できなかった人は・・・うらやましーだろーって事で笑 バレエ解剖学 私の考えるバレエ解剖学はバレエテクニックを助けるための解剖学。 骨盤を正しいところに置くと、効率よく動ける=踊りがスムーズになる ひざを伸ばす筋肉が分かる=しっかりと伸ばされた膝に、強いジャンプ力が生まれる とか、解剖学がバレエの悩みやテクニックに直結するもの。   これは指導では絶対に必要なことだけれど、踊っている本人も先生の言うことを理解するためには必要。   足のアーチを上げて! といわれたときに、土踏まずだけあげればいいんだーってレッスンしてたら、 小指重心になって、軸の強さが生まれないだけでなく、 捻挫や第五中足骨の疲労骨折に繋がりかねない。   だけど、足のアーチっていくつあって、どこにあるのか?分かれば、 先生に言われたことが「安全に」できるわけ。   表現力って練習できるんですよ、って何度も記事にしていますが、 表現力もテクニックの一つだとしたら、解剖学が助けてくれます。 表情筋の筋トレ 表情を作る筋肉、つまり顔にある筋肉たちはたっくさーんあります。 どの文献を読むかにもよるけれど、一般的には30個以上、私は43個だと習っています。 すごい量だよね。   って事は、これらの筋肉を「コンディショニング」したら、すごい量の表情が生まれる。 つまり、表現の幅が広がるのです。  …

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自分勝手に踊るのは表現力ではないよ!

9月に表現力セミナ―を行うので、表現力に関する記事をいくつか作りました。 例えばダンサーの足と表現力という記事では、つま先を伸ばすっていうテクニックの部分がどうしてダンサーに必要なのかを考えてみました。 レッスンを「見る」技術という記事では、ケガや病気が理由でレッスンに参加できなくても、レッスンを見ること自体が勉強になると。 そしてその時にお友達のテクニックだけでなく、表現力や存在感なども研究することができるってお話ししました。   自分らしく踊るというのは表現力です、という記事では同じバリエーションでも、笑顔でも、自分らしさを追及することはコンクール、オーディションで非常に大事だってお話ししました。   今日はその反対、自分勝手に踊るというのは表現力ではないって話。   自分勝手な音の取り方 自分らしく音を取る。 ためるところやスピード、クレッシェンド・・・ それって表現する時に大事な部分です。   でもね、自分勝手に音を取ってたらそれは表現じゃないです。 ただの自己満足。   例えば、コンクールの予選。 振り付けを与えられたらその通りに動かなければいけません。 5でルティレ、6でバーから手を放し、7で5番ポジションルルベ、8でデトールネ。 だとしたら、あーバランスとれた!なんて喜んでホールドしてたらダメなんですよ。   この部分出来ていないダンサーを多く目にします。 普段のレッスンでそこまで見られていないのかしら? バランスさえ取れれば点数が良くなると思っているのかしら? 振付家の意図は気にしなくていいのかしら????   DLS冬期バレエ講習会では口をすっぱくして伝えているんだけど、 この部分、運動神経でもあるんですよ。 聞いた音楽に合わせて動くだけの体のコントロール、コーディネーション、それに伴う筋力。…

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自分らしく踊るというのは表現力の一部

日本の夏はバレエコンクールであふれているでしょうね。 コンクールでよく見る光景。 それは同じバリエーションが次から次へと流れてくる!! 1−2人はいいけれど、20人目のオーロラ姫とか、キューピッドとかね。   同じ踊りをする、というのはコンクールだけで見られる光景ではありません。 バレエ学校の現地オーディションは同じ振付け、つまりレッスンを大勢で踊ります。 ローザンヌ国際バレエコンクールは最近ライブでこのようなオーディション風景を見せてくれますよね。 それを見ても分かるようにすごい人数がレッスンを受講するわけです。   バレエ学校の試験もそう。 もちろん、振付けは前から練習していますが、同じ振付けを踊る、という部分は一緒ね。 表現力っていうのはただ笑顔で踊ればいいわけじゃないのよ。 よく表現しましょう=笑顔でおどりましょう、と思う人がいるんだけれど。 ローザンヌのレッスン風景をみてみて。 バーのプリエから素晴らしい笑顔で踊っている人たち?   真剣なまなざし、というのも表現力。 だって自分の強さ、集中力、意思力というのを表しているから。   もちろん、怒った顔して踊れってことじゃないですよ。 ただスタンプ押したような引きつり笑顔で踊る必要がないってこと。   オーディションの顔、っていうのはやっぱり存在するのですよね。 最近はYouTubeに色々な人のオーディションビデオが載っているから、それも観察してみてね。 同じ表現でも、舞台のサイズやオーディエンスのいる場所などを考えられるようになると上出来き。 大きい舞台では大きく踊らなければいけないけど、 スタジオパフォーマンスだったらどうだろう?   舞台メイクでオーディションに行かないように、…

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ダンサーの足と表現力

やさしいダンスの解剖学という本はアマゾンによると1972年に原本が出版されたらしく、 もちろん内容もちょっと古い部分があるのですが、 70年代からこのような解剖学的アプローチが海外にあったということは画期的だったんでしょうね。 ちなみに日本語版になったのは1999年だそうで、言葉の壁というか、需要の壁というかを感じますが・・・   この本の第7章 足という部分の最初に書いてある言葉を引用します。   「・・・生まれつきの関節の形は変わるわけではないが、足については状況は違ってくる。 どのタイプのダンスにおいても、足にはかなりの役割が求められる。 特にバレエでは、特殊な役割が要求される。 足はしなやかで、かつ、手と同じように感受性豊かにならなければならない。」   9月に来日し、新しいセミナーたちをご紹介しようと思ったとき、おおきな壁がありました。 もちろん、それはこっち(バレエ学校やクリニック)の生活を犠牲にすること。 1月、5月、に引き続き9月のセミナー準備。 それに伴う仕事増加と、比例するストレスや、家族との時間の消失。   それ以外にも、こんなに来日したらみんなに飽きられちゃうんじゃないか?なんていう自信のなさも一つ。 これね、毎回そういうことを言うからスタッフに怒られます。 愛さん、ネガティブなこと言わないの!!って笑     どーしよーかなーとかなり長い間考えていたのですが、 ダンサーから足に対しての質問はおおいし 足のケガはダンサーにとって致命的で。(修復しない疲労骨折、手術の失敗、意味のないギブス・・・今まで実際に診てきたやつね。)   だけど、どうせDLSとしてダンサーの足セミナーを行うのならば、 足先が、甲が出るようになるマジックセミナー!! みたいなことは言いたくなかったし、形を追い求めたり、ただ解剖学を本から学ぶのは意味がないって思ってる。  …

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いきなり!を手に入れるために。

ダンサーとして生舞台に立っていると、いきなり!という現状に対面することがあります。いきなり飛んできたチャンスを自分のものにするためにも、毎日自分を磨いていきましょう。今日のあなたは、過去のあなたの努力が形になっているのだから、今頑張って、未来のあなたを変えていきませんか?

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バレエ教師の悩み事 生徒との温度差

  今日のテーマ、バレエ教師、と言っているけれど、 子供との温度差、でもいいし、 周りとの温度差、でもいいですね。   将来ダンサーになりたいのならば、もう少し真剣にレッスンしてほしい親だったり、 プロになりたい!って思っているのに、周りは真剣にとってくれない、 なんてシナリオもあると思います。   色々と応用してください。   今回の質問は、スタジオ訪問にお伺いした主催者の方からでした。 私を読んで下さる、ってことは解剖学に興味がある先生、ってことですよね。   だけれど、生徒はイマイチ(どころじゃない!?)大切さを理解していないみたい。。。 どうしたらいいでしょうか?   ってことですね。   この問題には大きく分けて2つの切り口があります。 時間差 理解差   これがあるから、温度差に感じてしまうのだと思います。     時間差   例えば。 教師のためのバレエ解剖学講座に来て下さる先生の中には、…

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メイクとオーディションとプライドと。

バレエ学校の試験に対しては何度も記事にしています。 私の働いているバレエ学校は、毎年何人ものプロダンサーを送り出していますが、 それでも規模で言ったら中堅どころ。   大きなバレエ学校になると、最終学年の試験に 様々なバレエ団のディレクターが見に来ることは知っていますよね。 つまり、試験だと思って挑むよりも、オーディションだ、と思って挑んだほうがいいんです。   そこでオファーが来る人も多いし、 その前に既に契約が決まってしまっている人もいます。 17,18歳で将来を左右する踊りを踊り、 そのプレッシャーに負けないだけの精神力を作らなければいけません。   これね、バレエの世界では当たり前なんだけど 普通の学校で言ったら高校2,3年生。 将来何がしたいか分からない、 とか、 大学受験が終わって遊ぶぞーなんて思っている子達の年齢で、 ディレクターと話し、契約書を読み、色々なところを一人で回ってオーディションをするのです。   という事は、毎年行われる学校の試験は、 オーディションの練習、って考えられますよね。   振付を覚える、注意を体に入れる。 なんて事はもちろん、   テクニックを完璧にこなす。 集中力を切らさない。 なんてところも練習できます。  …

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レッスン音楽のあれこれ

  レッスンで使う音楽。 素敵な音楽を使うと心が弾むし、 聞いた事がないCDはレッスンが新鮮になりますよね。 だけど、こういうメンタル的な事以外に音楽選びはもっと難しい。     これについて1月のバレエ講習会を行ったときにたくさん質問されました。 バレエ講習会をしたときにどうやって、選曲しているのですか?と。 そして今年の名古屋でも。   なので記事にしちゃいましょう!     レッスン中に使う音楽は、とっても大事です。 以上!   それじゃー意味がないので。     何で大事なのか?   へんな注意は無視できるし、 難しい振付はアレンジできるけれど、 レッスン場で流れている音楽は無視することが出来ないのです。   絶対的なパワーがあるわけですよ。   このパワー、上手く使ってあげると踊りを助けることになります。 だけど失敗するとダンサーのテクニックに響きます。…

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舞台裏からこんにちは ツアー中バレエ団から学んだ事

DLSのFBをフォローしてくださっている方々はご存知のように、 先週末、私は地下にもぐってツアー中のバレエ団の治療に励んでいました。   今日はそこから少しだけ、舞台裏をご紹介!     舞台裏で、って何をしているのかって?     普段はバレエ学校専属セラピストとして働いているので、 治療するのは生徒たちです。     でも、時々バレエ団に呼ばれてシーズン(ひとつの演目が行われている時期)に働きに行ったり、 舞台裏でスタンバイしたりすることがあります。     今回の仕事は舞台裏スタンバイ。 しかもメルボルンでのツアー期間が短いため、私は一度しかダンサー達に会いません。   つまり、リハビリでもなく、ただメインテナンスの治療を行います。     ツアー中ダンサーたちはとても疲れています。 毎日舞台。 時にはマチネとナイトショーもあります。 そして1、2週間後には次の街に行くんです。     カンパニーが小さい場合、怪我してもシーズン中は踊り続けなければいけません。…

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バレエを続けるべきか否か。

  バレエを続けるべきか?それとも辞めて他の道を選ぶべきでしょうか?   この質問、バレエをやっている人ならば、何度も自問したことのあるものでしょうし、 バレエを教えている人ならば幾度となく聞いたことのある質問でしょう。   10年前の今日、私はメルボルンにバレエ留学に来ました。   オーストラリアの学期は、日本と少し違います。こちらの1年は1月下旬から始まり、12月に終わります。 1学期の一番最初から学校に来たかったので、高校の卒業式には出る事が出来ませんでした。 成人式はもちろん、日本の大学生活を送ったことも、社会人を経験したこともありません。 (もうちょっと詳しく私の留学経験を知りたい人はシリーズにしてあります)   留学当時は、それをバネに「ここまで頑張ってきたのだから!」と踊り続けていました。 犠牲にしたものが大きいぶん、頑張らなければいけない・・・   10年前の私と比べ海外生活は長くなったものの、肝心のダンサーという夢も叶えていないですが、私は今の仕事、生活が大好きです。   舞台では踊っていないものの、パフォーマンスを助ける仕事ですし、たくさんのダンサーのお手伝いを出来る仕事です。 そして色々な人にお会いできる仕事でもあります。     この10年間に様々な事を学びました。 バレエ留学さえすればダンサーになれるだろう、なんていう甘い考えはもうなくなりましたし、 職業としてのダンサーと、生徒が考えるダンサーとの違い、というのも分かりました。   バレエ学校で働いていると、留学生だけでなく、様々な生徒が入学、中退、そして卒業するのを見ていきます。 ダンサーとしてのキャリアを積んでいる人なんてひとつまみだ、という現実も何度も見てきました。   私たちスタッフがダンサーになれる!と思って見守ってきた生徒がいきなり踊りを辞める、という事もたくさんありますし、…

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