思ったように上達しない時に考えてほしいこと

伸び悩みの質問に答えた記事の後、うちの生徒だったらどうしようか?という事を考えていました。   簡単に復習すると 伸び悩み=「思うように向上・成長せずにいるさま、一定程度で停滞しているさま」 ということで、つまりは 自分が考えている成長と現実とのひずみがある場合に伸び悩みになる ということ。   この前の記事では「漠然と上手になりたい、と考えるだけでは伸び悩むだろう」って事で、 ゴール設定の見直しや何を基準として上達を測っているのか?を考えました。 また、今できない事に集中している=上達する努力ではないという事もガツンと考えました。   元記事にはいい事かいてありますからね、是非ダイジェスト版だけでなくそっちも読んでください。 (ただし鬼モードの佐藤愛が嫌いな人はやめておこう)   今日はその続き。 ゴール設定ができた。 何を基準としているのかも分かった。 ただ、それでも成長が止まっちゃうときがあるんだよ・・・ という人、つまり前回の記事の内容を全て考えてくれて、行動を起こしてくれた人達への続編って事で書いていきます。 トレーニングの法則を思い出そう! 2016年の記事(すごく古く感じるねー・・・)で「鬼の愛とオーバーロードの原則」ってのがあります。   これは超負荷の原則とも呼ばれるトレーニング界の言葉で、強くなるには負荷をかけなければいけないっていう事を表しています。 ただし、それとペアで考えてほしい原則が漸進性の原則=少しずつ難易度を上げるとケガをしない、っていう事ね。   この前と同じように、つま先が伸びない!っていう悩みを例にとりましょうか。 年齢に、もしくはバレエ歴に合わせたレッスンをしっかりと指導してもらっていればこの法則(原則)たちは絶対に含まれています。   初心者や幼い子達の場合、つま先をコツコツと、だけど少しずつ負荷をかけて育てるためにレッスンは作られています。…

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伸び悩み対処法

最近、ブログのコメントに若いダンサーたちがすっごくいいコメントを残してくれています。 嬉しいし、真剣なのが見えるから真剣に(ということは鬼の愛モードで)お返事したり、一緒に考えたりしています。   今日の質問はあまりにも素晴らしかったのでブログにもとり上げようと思いました。 まずは彼女からの質問ね。   初めまして。中学3年生。バレエ歴は11年目です。 私は沢山努力をして居残りレッスンもしています。 それでも納得いくような踊りができません。 いわゆる伸び悩みの時期です。 そんな自分が許せなくて泣きながらレッスンをしたりしています。 伸び悩みはどうしたらよくなっていきますか? 伸び悩みとはなんだ? メールを貰ったときのお返事ではこのように私は返しました。 ↓ 「いわゆる伸び悩み」って書いてありますがそういう時期があるというのは私は(巷で言われるけど、科学的には)分かりません。 誰に伸び悩みって言われたの?自分で決めちゃったの??   分かりません、って私セミナ―でもブログでもよくやるんだけど、分からなかったら分かりません、って言います笑 切羽詰まっている感じだったから早く返信してあげようと思ったのだけど、その後リサーチしてみました。   伸び悩みとは?と辞書で見てみると 三省堂 大辞林では「伸び悩むこと」と一言。 おいっっっ!!んな事わかっとるわ。   気を取りなおして。 日本語活用形辞書では「ま行五段活用の動詞「伸び悩む」の連用形、あるいはそれが名詞化したもの。 ・・・ ふーん。ありがとーございました。  …

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バレエ留学で忘れてはいけないこと 2017年備忘録

  あと少しで2017年も終わり、私の働いているバレエ学校は明日、明後日に白鳥の湖全幕があり夏休みに入ります。 今年は多くの生徒達が途中で退学した年でもありましたが、来年学校に戻ってこなくていいよと言われた子達も多くいました。   ちなみに・・・ オーストラリア(南半球?)の学校は夏が12-1月に来るため年末が学期末になります。 ヨーロッパやアメリカは夏が7-8月なので9月が新学期ですよね。 日本はというと、皆さんご存知のように3月で学期末、4月が新学期となります。   ということで、1年の終わりに再確認しておきたい事、もしくは初留学で1ターム目が終わった子(ヨーロッパ、アメリカ系)が覚えておきたい事を書きますね。 もちろん、1-2月にオーディション巡りをして、来年の留学を目指している子達も聞いて下さい。   バレエ留学をしたら上手になるわけではない これは様々なセミナーでもお話していますし、12月30日に行われるダンサーの卵サポートセミナ―(本当にあと少しで来日ですよ!日本寒いね・・・)でもお話しています。   留学できたら後はOK!なわけではありません。 そこがスタート地点だと思ったほうがいいですよね、毎日踊る事になったり、様々なジャンルのダンスに触れることになったり、親と離れての生活になったり。   だからこそ、今までと同じでは通用しないという事をしっかりと覚えておきましょう。   日本人留学生だけでなく、地方からおおきなバレエ学校に入ってくる子達もそうですが、 「今までこんなことをしなかった・このやり方(ステップ)ではなかった」 「今までこんな注意をされなかった」 などと困惑することは多いです。   でもね、その為のバレエ学校なんですよ? 今までと一緒でよかったら、今までの場所(スタジオ、先生)にいればいいんだからさ。 環境を変える=自分を変える必要があるって忘れないように。   ホリディはしっかりと使いましょう…

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嫉妬心を味方につけて踊ろう!

*この記事は2017年に書かれた記事を最新の情報ともらった質問に合わせて大幅加筆修正しました。   今日は解剖学ではなく心のエクササイズについてお話しようと思います。  お題は「嫉妬心」。 ダンサーだったら感じた事のある感情だと思うし、演技する事もあると思うので脳科学の面から理解を深めていきましょう。   嫉妬ってそもそもなに? DLS歴が長い人はご存知の様に、まずはdefinition=定義づけから始めることで皆が同じ言葉の「意味」を理解できるようにしましょうか。   デジタル大辞泉によると嫉妬とは、以下の2種類意味があるそうです。   自分よりすぐれている人をうらやみねたむこと 自分の愛する者の愛情が、他の人に向けられるのを恨み憎むこと。やきもち。   1番の方がバレエスタジオでは見られやすいですよね。 いい役に選ばれた友達に嫉妬する感情とか、コンクールで自分だけ予選通過できなかったときの感情とかそういうやつ。   でも2番も結構あるんです。 愛する人っていうのはちょっとオーバーかもしれないけれど、尊敬している先生が贔屓にしている生徒とか、 いつもレッスンでしっかり見てもらえるOOちゃんとかそういうやつ。   嫉妬した時ってどうなってるの? 自分より優れた人がいいなぁーと思う気持ち、先生に贔屓されててずるいなーと思う気持ち。 それだけだったら大きな害はないと思うでしょ? でもそうじゃないんですよね。   2009年に米国科学誌「Science」に掲載された脳科学の研究によると   身体の痛みに関係する前部帯状回が心の痛みである“妬み”にも関与している と分かったそうです。…

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Self Pityという甘い壺

Self-Pity(セルフピティ)って言葉聞いたことあります? これね、日本語に訳すると自己憐憫(じこれんびん)って言うらしいです。 でもさ、漢字の方が難しいよねー   Self Pityというのを辞書で引いてみると、「自分のくるしみ(わがままな場合が多い)に対して悲しむこと」と出てきます。 自己憐憫の方を辞書で引いてみると、「自分で自分を可哀想だと思うこと」だと出てきます。   そういう感情です。 つまりね、いい感情か、悪い感情か、と言われたら悪い方。 しかも自分がベースなので、自分で変えられる=自分しか変えることができない 感情です。   怒られたとき、上手く行かなかった時、ケガしている時などによく顔を出します。   私、こんなに頑張っているのに誰も認めてくれないのねっっ! 失敗したのは私のせいじゃないのに、怒られちゃって可哀想な私っっ! ケガして踊れないなんて、人生最低だわーーーーーー!!   こういうのをSelf Pittyというって事です。 私が殴りたくなる人種の事を指します。   被害者だと思いこむこと 確かに!確かにさー、世の中理不尽なことはたくさんありますよ。 それは大人になれば(=この世の中で生きている時間が長くなれば)なるほど、感じます。 1か月以上前に言っておいた「この日、働けません」というので逆切れされるとか ボスの間違いなのに自分の責任みたいに言われたとか。 生徒のことを思って言っているのに、その親から怒鳴られるとか笑→笑えないね   そういう事はよくある事です。…

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脳の成長から考えた積極的テクニック上達

  なんだかカッコいいタイトルになってしまいましたねー でもそんなにかっこよくはないよ、ごめんね。   今日は前に書いたダンサーのポジティブに関する記事をもう少し掘り下げて、しかも脳の成長も一緒に考えてみよう!という壮大なテーマを掲げてみました。   私の考えるポジティブってのは「積極的」という意味。 つまり自ら進んで物事を行うという力。 そして、これは力なので育てていかなければいけません。 詳しくは元記事を読んで下さい。   逆に自分から考えられないダンサーの事を、私はロボットダンサーって呼びます。 これも記事に書いたけれど、言われたことをただやる、っていう一見いい生徒ちゃんって感じのダンサーの事。 でも自分で考えて、自分で行動する、そして反省する・・・ そういう力がなければダンサーとして成功することは出来ないと思う。 こっちが気になったらロボットダンサーになるな!って記事を読んで下さいね。     ダンサーに必要な「聞く」力 ダンサーの仕事は「聞く」という脳力がすごく大事になってきます。 レッスンの注意は黒板に書いてあるのではなく、言われます。 しかも踊っている最中に言われるし、すごく早く(もしくはざっと)言われることもある。   日本では綺麗な現役ダンサーがこんな感じ、って踊って見せてくれるレッスンが多いかもしれませんが、 海外だとそれは少なく、カンパニーになったら何時間もリハをしているディレクターやコーチが踊るわけないですものね。(年齢も考えて…さ笑) だからこそ、「聞く」という能力は大事。   DLSの留学や、英語についての記事でも書いていますが、 海外に留学したり、特別なレッスンやセミナーを受ける、という事はその人に注意され、インスパイアされたいからチャレンジするんでしょう? だってプリエ、タンジュっていうのはふつうのお教室でもできるもの。…

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鏡をみて踊る癖

この前、バレエ学校の生徒達の何人かが隣の州で行われたバレエコンクールに挑戦しました。 最初のテストは舞台上でのオーディションクラス。 そう、バーとセンターすべてを舞台の上でやるんです。 参加してきた子の一人が、「鏡がないって本当に違う!」と言った一言であー鏡について書く予定だったと思いだしまして笑   この赤裸々日記で「鏡を見て踊る、という事についてはまた今度記事にします」って書いてたのに!!!   「鏡を見て踊る」の研究 私がちょくちょく情報をシェアしているIADMSの鏡を見て踊る事について書かれた記事をシェアしましょう。 (元→Body Image and Mirror Use in the Ballet Class Sally A. Radell, M.F.A., Emory University, Atlanta, Georgia, USA) IADMSの2012年 Vol4に載っています) 題名通り、この記事はテクニックというより、鏡と体へのイメージ(ボディイメージ)についての研究ですが、そこに興味深い一言があったので。   high…

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習う&学ぶ 2017年春期来日ツアーで私が学んだ事

ご存知の様に、2017年春期来日ツアーも無事終わり、先週メルボルンに帰ってきました。 今回のツアーはクラス数も移動距離もDLS史上一番だったので、多くの人達とお話する機会があり、今後のDLSでとり上げるトピックや、みんなの悩みなどを知ることが出来ました。   セミナ―をしていてもそこから私が学ぶことってたくさんあります。 毎年参加してくれる人がいたらその人の様子から、どこが分かりづらかったのか、新しい悩みは、今はどんな状況なのか?など 初めて参加の人であれば、DLSの何に惹かれたのか、セミナー中にどのような質問があったのか、セミナー後はどのような感じなのか?など。 そこからボディコンディショニングのBプロが生まれたり、キッズセミナ―を2日に増やしたり、などという次回のセミナーへの修正を入れていっています。   別に私じゃなくてもいい 人の数だけ悩みがあり、同じエクササイズやストレッチでは解決できないように、同じセミナーだけでは全員を上達させることはできないと思う。 そしてそれがDLSのゴールではないんですよ。 もちろん、より多くの人達に安全に踊り続けてほしいという気持ちは変わらないのですが、 私(DLS)でなくてもいい、っていうのも事実で。   これは東京で行われた教師のためのバレエ解剖学講座でお話した事です。   「別に玉ねぎが嫌いだからって野菜すべてが嫌いではないように、“私の”解剖学バレエが嫌いだからって“解剖学”が嫌いなわけではないはず。 同じ玉ねぎでも、料理の仕方によって味が変わるように、“解剖学講座”という形が好きでなくてもボディコンディショニングセミナーのように実際に動いて体に落としこむ方が好きな人もいるだろうし、オンラインコースで一目を気にせず勉強したい人もいるかもしれない。ディスカッションができるマスタークラスのような形が好きな人もいれば、同じ料理を何度も何度も食べてそのたびに違う調味料(参加者)がくるたびにニュアンスが変わることや、自分の舌が肥えてきたのを喜ぶ人もいるだろうし。」   ニューヨークタイムスのベストセラー「better than before」の著者Gretchen Rubinが、人間は習慣を作るときに4つのグループに分かれる、といっているように、 勉強する方法、習慣を作る方法(エクササイズやレッスンでの習慣ね)も人それぞれ。   みんなに共通している学ぶ&習う ただし、どんな人でも、性格でも、勉強法や年齢が違っても言えることがあります。 自ら学ぶのか、それとも人に習うだけなのか?   これだけ毎年日本でセミナーをしているとその中での傾向を分析するだけで分かることだってあるんですよ(なんだか怖いねー)…

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ポテンシャルを広げるためにはポテンシャルを知る必要がある!

potential noun latent qualities or abilities that may be developed and lead to future success or usefulness.   ポテンシャルとは将来性、可能性、っていう言葉です。 ダンサーの場合、身体能力の可能性や、将来プロになれるかどうか?という時に使われる言葉。 今日は将来ダンサーになるポテンシャルを広げるためには何が必要か?ってことをお話ししようと思います。   ってさ、題名で、「ポテンシャルを広げるためにはポテンシャルを知る必要がある!」って書いちゃってるから笑 何が必要か?と言われたら、「知ることが必要ですね」で終わっちゃいますね。   ダンサーになるのに必要な資質って何?と英語でグーグルさんに聞いてみると笑 学生が進学校を探すために使われるサイトを見つけました! ということでスタディ.comによると、   学歴は関係ない…

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動画で振り付けを覚える 最近のダンサーに必要なテクニック

YouTube。 今やなくてはならない存在になってませんか? 暇つぶしはもちろんの事、発表会、コンクールの振り付けやら、勉強ツールやら。   これね、2005年に作られたそうです。 そう考えると新しいんですよね、結構。 何の話をしているか?といったらビデオから振り付けを覚えるという事について書きたいから。 動画を見て振り付け? そう、昔じゃ考えられないけれど、動画をみて振り付けを覚えなければいけないシチュエーションってかなり多くなっています。 言葉で、ではなく動画で説明されることが多いのが視覚芸術。   ローザンヌ国際コンクールを始め、コンクールで規定された振り付けがある場合はよくありますね。 バリエーションだけでなく、コンテの振り付けや、オーディションのフットエクササイズなど。 その団体が見たい動きを説明されている事があります。 モデルに選んだ、という事はその踊り(人、表現)が好きだから。 という事は振り付けだけでなくそのモデルがやっている些細なところまで意識を向けたいところ。 音のとりかた、ため方、顔の付け方、タイミング・・・そんな部分まで勉強できちゃうツールが最近の子達はあるって事なんですよ。   ちなみにピアニスト、オペラ歌手は聞くことをメインの練習法にしている事が多いですよね。 やはり職業によって左右されるんですねー 海外にゲストで呼ばれたらこの部分も必要になってきます うちのバレエ学校では毎年プロのダンサーにゲストになってもらう他、他のバレエ学校の上手な子や、コンクールの奨学金の一部として、ゲスト出演をお願いしている事があります。 その場合、他のスケジュールもありますから、毎回リハーサルがあるたびにその人達が来られるわけがない。 なので、バレエ学校は前のパフォーマンスを送り、覚えてきてね、と説明しています。   バレエ学校内のバリエーションクラスや、コンサートの内容なども、 振りわたしの時間はあるものの、この振り付けをやるよ、とDVDを見ておきなさい、といわれることが多いです。   覚えられていたら、最初のリハーサルからしっかりと自分を魅せられます。 ということは、いいポジション、役をもらえるチャンスがふえるって事です。…

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