DLSポッドキャスト epi450 ダンサーに表現力を指導するには?

DLSライブラリ内のクラス「スタジオで育てる表現力」より一部をお送りしたポッドキャストです。

表現力を育てる、という言葉を聞いたことがあっても、

具体的にどうしたらいいのか分からないという人達は、このエピソードを聞いてみてください。

 

”バレエの表現”に対する考え方が少し変わると思います。

 

 

聞きたい人はこちらから

 

 

みなさんこんにちは、DLSポッドキャストへようこそ、佐藤愛です。お元気ですか?

ダンサーズライフサポート、通称DLSは”生徒の安全と将来の健康を第一に考えるレッスンを「当たり前」に。”を合言葉に、

元オーストラリアの政府認定バレエ学校専属セラピスト兼、セミプロフェッショナルレベルのダンサー向けエクササイズ、解剖学とケガ予防のクラスの講師を担当してきた佐藤愛が、

大好きなバレエを心ゆくまで続けたいダンサー、バレエの先生へ情報をお届けしています。

 

 

今日のポッドキャストでは、ダンサーに表現力を指導するためには何を知っておくべきか?についてお話しているDLSライブラリのクラス「レッスンで育てる表現力」の一部をご紹介します。

そうなんですよ、ライブラリ内ではいつもダンサーのケガとか骨、筋肉の話をしているわけではありません。

表現力とか、レッスンプランとかそういったクラスもありますし、今後も増えていきます。

 

そうそう、ライブラリ内のクラスは随時増えていく予定です。

今年の1月1日からオープンしたばっかりで、既に100以上のビデオが入っているので、最初の数か月は今のままでも十分勉強材料が入っていると思うのですが、

勉強熱心な先生たちをサポートするため、今はライブラリにないケガで悩んでいるダンサー達のためにも増やしていきます。

こういう内容が勉強したい、というリクエストがありましたら、hello@dancerslifespport.comにメールして教えてくださいね。

 

このポッドキャストをリアルタイムで聞いてくださっているとすると、今日は2023年3月31日なんですが、今日は日本の最後のお仕事の日です。

プリ ドゥ ジャポンさんのエジュケーショナルワークショップで、ワガノワ、ボリショイ、ペルミ、ノボシビルクルスク、つまりロシア連邦国立のバレエ団の先生方に交じって、なぜか私がエクササイズクラスを指導するというご縁をいただきまして、そちらでダンサー達のエクササイズクラスを3本やってから、実家に向かいます。

その後南半球に戻るので、メールやDMのお返事が遅いとは思いますが、久し振りに日本で働いているんだなと思っていただけると嬉しいです。

クラスの見学もしようと思っているので、来日の様子や感じた事、学んだことはポッドキャストやメルマガでシェアしていきますね。

 

でも今日はライブラリの内容をお届けしましょう。

 

 

表現力についてよく言われることはこちら。

1つは、自然に出来るんじゃないの?

とか私は習ってきませんでしたけど、出来ましたよ、ってやつ。

ピルエットとかバランスも同じように自然に出来てしまう子がいますし、バレエだけでなく逆上がりでもそうですよね。

 

じゃあ、逆上がりが出来ない子は放っておきますか?

学校の授業についていけなかったらこの子は才能がないからって放っておきますか?

テクニックの練習が忙しくて、表現力を指導する時間や余裕がないって言う声も多く聞きます。

特に発表会前のリハーサルはただでさえやることがいっぱいなのに。

 

でもその裏には、テクニックの方が表現力よりも偉い、大切、重きを置くべきだという順位が存在してしまっている事に気がつきますか?

もしかしたら無意識かもしれないけれど、指導者の意識もしくは無意識は生徒に伝わっていきますよね。

 

発表会やコンクールで役がついてからお姫様はね…と表現力の話をしている場合も要注意です。

普段のレッスンでは表現力がいらないというメッセージになっていませんか?

役作り=表現力の全てではありません。

ビデオが始まって数分ですでにギブアップしそう…と頭を抱えなくて大丈夫です。

そんな目に見えないからこそ曖昧な、「表現力」というものの答えを探すためこのクラスがありますので、一緒に研究していきましょう。

 

 

バレエではなく「表現力」という言葉だけを辞書で引くといくつか出てきます。

デジタル大辞泉(だいじせん)によると、「表現する能力」という、そのままじゃんというツッコミを入れたくなるような答えが書いてありました。

ネット界の常識、wikipediaでは「自分の感情や思考、意思などを形として残したり、態度や言語で示したりすること」

また「ある物体や事柄を別の言葉を用いて言い換えること」

と書いてありました。

 

こっちのほうが表現する能力、よりも具体的なので今日はwikipediaの意味を使って勉強していきましょう。

 

「自分の感情や思考、意思などを形として残したり、態度や言語で示したりすること」

 

この一文をバレエに当てはめてみました。

 

ダンサーに表現したいもの、感情があり、それをバレエの表現方法で魅せ、受け取る側に伝わるようにする。

すごく簡単に言うと、これがダンサーの舞台の上での表現力になります。

バレエの言語、というと一番最初にマイムが頭に浮かぶと思いますが、それだけではありません。

 

クラシックバレエ特有の動き、例えばターンアウトやジャンプの着地など、

クラシックバレエでしか使われないポーデブラや目線、クロワゼなどの体の方向。

こういったものは、クラシックバレエ以外出てこないんですよね。

 

日本語が日本特有の表現方法だとしたら、これらクラシックバレエで求められるテクニックは、クラシックバレエだけの言語ということが出来るはずです。

そしてオーディエンスはその部分を見て、バレエの良さだったり、ストーリーを理解するんですよね。

 

そうはいっても、芸術は時代と共に変化します

 

様々なバレエ団で踊られる白鳥の湖が芸術として成り立たないわけでもなく、多様化しても全く問題ないはずです。

ただし、バレエ団でプロダンサーの舞台をマウントしているのではなく、

スタジオでバレエを学びたい人たちを指導する場合には、クラシックバレエの表現方法や形式を指導すべきです。

それを求めて生徒さんが通ってくださっているんですから。

 

ちなみに、日本語の表現力は曖昧な感じがしますが、英語で表現力を訳してみるとExpressionとなります。

そして同義語を見てみると、もう少し表現力がカバーする内容のイメージが膨らむかもしれません。

衣装やメイク、かつらなどの見た目、スモークなどの舞台装置は物語を観客に伝える術として自然に表現する力として使っていませんか?

そう考えると、表現力がちょっとだけ身近に感じられるかもしれません。

とはいっても、今日のクラスではお客さんを感動させる衣装を作る方法ではなく、レッスン内容を考えるのがゴールです。

 

 

このクラスでは3ステージに分けて、表現力を考えていきます。

ピラミッドで見て分かるように、土台がステージ1、その次にステージ2、最後がステージ3となります。

 

ステージ1は表現力の基礎、感情です。

先ほど辞書の定義で見たように、伝えたい感情を表現したり、オーディエンスに感動、つまり心が動く感情を受け取ってもらうのがゴールだとしたら、

この部分がなければ表現の題材がないということになりますよね。

そしてこの部分はスタジオの外で学ぶことが多いとは思います。

 

続くステージ2はバレエテクニックと表現力の繋がりについてを具体的にどのようにレッスンに取り組んでいくかをお話していきます。

この部分が今回のセミナーで一番ボリュームがありますので、頑張ってついて来てくださいね。

 

最後のステージ3では、役作りやオーディション、コンクールなどの表現力についてお話していきます。

それぞれのステージはこれから細かく見ていきますが、ダンサーの表現力というとこのステージ3の部分、役作りだと思われがちですよね。

ただ、これはピラミッドの一番最後であり、一番小さい部分です。

そこに行く前にステージ1と2が出来ていなければいけないというのを頭に入れておきましょう。

 

 

ステージ1から勉強していく前に、先ほども取り上げた「自然に出来ちゃう子もいるよね」って言う話をもう少し見てみましょうか。

逆上がりの例でもお話したように、自然に出来てしまう人も存在しますが、自己流になってしまう可能性も大きいです。

バレエ学校では、自分では表現しているつもりだった子が試験の結果で「いつも目を細めて踊っている」と書かれたこともありました。

彼女の中では柔らかくアダージオとか、雰囲気を出すというと、目を細める癖があったのです。

地元の先生に指摘されたこともなかったみたい。

地元の先生が好きでも、ディレクターが嫌いな場合もあります。

 

時々オディールやキトリなどが出来たら表現力があるダンサーだと思っている人もいますが、

強いキャラクターが出来るから、表現力があるわけではないということは指導者として頭に入れておいてくださいね。

 

 

いかがでしたか?

 

表現力の話をしていると、いつも思い出すバレエ学校のエピソードがあります。

パドドゥクラスでの話。クラスのみんなはもっと表現しなさい!と言われていたのですが、「愛は表現はいいからターンアウトしなさい」と言われました。

踊れるからいいじゃん!表現できるし、舞台映えするからいいじゃんなんて思っていた18歳の愛ちゃんが、

ターンアウト本を書いた将来の佐藤愛と出会ったら、ケンカになる事でしょう。

 

今の話から分かるように、私はラッキーな事に表現で悩みませんでしたが、バレエ学校で10年以上講師をしつつ、試験官を務めていると、表現力についての評価も仕事の一部になってきます。

そして、この子は表現が上手くできないから、コーディネーション力を鍛えてとか、腕を強化して、とか校長先生や他の先生からリクエストを受けて、

エクササイズプログラムを作るという仕事もしてきたため、表現力は鍛えるものという学びをしっかりと出来た気がします。

 

ライブラリ内にある「レッスンで学ぶ表現力」クラスは解剖学の話が少ないため、まずはここからスタートするのもいいかもしれません。

また1クラスパスで、このクラスだけ購入して1か月表現力について学んでみるのも、ダンサーにはお勧め。

どうぞ、ライブラリを有効活用してくださいね。

 

ということで今日も最後まで聞いてくださってどうもありがとうございました。

また来週のポッドキャストでお話しましょう。

 

Happy Dancing!

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