DLSポッドキャスト epi622 中学生ダンサーがもっと上達するためにやるべきこと

バレエのレッスンやエクササイズ

目標に向かう努力の中で見落としがちな「自分で考える力」。

日々のレッスンの中で意図的に育てていますか?

プロを目指す中学生ダンサーなら絶対に考えておきたい

長期的な夢を実現するヒントをお話しました。

Transcript

オンラインエクササイズ先生からの留守電シリーズ その3

こんにちは、DLSの佐藤愛です。

今月のDLSポッドキャストでは、留守電シリーズと称しまして

私のもとに届いたボイスレコードのお悩み相談を行っております。

留守電シリーズ、思ったより楽しくて

毎月ではないけど、定期的に取り入れていったらどうだろう?

なんて思っておりますが

お聞きの皆さんは同じように楽しんでいただけていますか?

エビデンスベースの情報も、もちろん大事ですが

現場の声に対して、現場で使える回答をお届けするのもお役に立つかなと思っています。

もちろん、回答のベースはエビデンスも多くありますけどね。

留守電シリーズへの感想やフィードバックは

hello@dancerslifesupport.comへメールをいただくか

YouTubeのコメントで教えていただけると嬉しいです。

また、お役に立ったら、高評価も頂けるとやる気がアップします!

よろしくお願いいたします。

さて、今週の留守電を一緒に聞いてみましょう。

本日の留守電

もしもし、愛さんこんにちは!

DLSボディコンエクスプレス、水曜日朝8:00からと夜19:30からのクラスを担当しております

佐藤甘夏です。

今日は私のクラスに参加してくれている生徒さんから質問をいただきましたので

お電話しました。

中学生で、バレエをとても頑張っている女の子からの質問です。

この子は、普段のレッスンだけでなくトレーニングにも真面目に取り組んでいて

先生からいただいた注意をバレエノートにまとめたり

その日のエクササイズの記録を残したりしています。

私から見てもレッスン態度はとても良く、受け答えもしっかりしていて

本当に努力家の生徒さんです。

そんな彼女から

「レッスンもトレーニングも頑張っていて、バレエノートも書いています。

それでもさらに成長したい場合、何を意識したらいいですか?」

という質問をいただきました。

私自身、この子は本当によく頑張っていると思っていますし

だからこそ、次のステップとして何が必要になるのか気になりました。

愛さんから見て、この生徒さんに今必要なことや

さらに成長するためのヒントがあればぜひ教えていただきたいです。

よろしくお願いいたします。

では、またお電話します!さようなら!

こなしているからって、身になるわけではない

甘夏さん、ありがとうございました。

お答えする前に、ディスクレイマー。

私は、この中学生ダンサーが誰か知りません。

そのため、頂いた留守電だけを頼りに、お答えしていきますね。

彼女に今必要なこと、さらに成長するためのヒントの前に

1つカバーしておきたいことがあります。

それは、「こなしているからって、身になるわけではない」ということ。

Again、この子がダメ、って言っているわけではないですよ!

ただ、同年齢のバレエ学校の生徒たちを

10年以上、政府認定バレエ学校で指導してきた身として

このような子は、先生受けが良いって知っています。

質問の答えからかなーり離れた話だと思うと思うんだけど、まぁ、聞いてください。

私も含め、指導者という職業についていると

お仕事内容は目の前にいる生徒たちを上達させることとなります。

そのため、彼らが上達するために必要な情報、教育、アドバイスを、日々行っています。

そのために、私たちも必死で勉強し

稼いだお金でセミナー受けたり、週末を使って勉強会に参加したりします。

とはいえ、生徒たちに伝えたアドバイスを

生徒たち全員がやってくれることはありません。絶対に。

それは、彼らがまじめな生徒たちではないって言っているわけではありません。

時間がなくて、アドバイスした内容がこなせないこともありますし

先生に言われたことの意味が分からない子もいます。

また、やらなきゃいけない事がたくさんあって

どこから手を付けていいのか分からなくて、結局動けなくなってしまう子もいるし

オーバートレーニング症候群、バーンアウト症候群で

思ったようにこなせない子たちもいます。

これらは大人も同じですよ。

でも、今日のお悩みは中学生からなので、中学生へ向けてお話していきます。

でもね、やっているのと、身についているかは別なんですよ。

留守電では「レッスンもトレーニングも頑張っていて、バレエノートも書いています。」

とありましたが、頑張るってなんでしょう?努力するってなんでしょう?

バレエノートに書いたからって、頭に残るのでしょうか?

そして、頭に残ったからって、踊りに影響するのでしょうか?

学校の勉強もそうだけど

授業中、きれいにノートを書いたからって

テストの点数がよいわけではないですよね。

可愛いノートになるから、モテるとは思うけど。

私が彼女を担当していたら

私たちが言ったことをやるって、そんなに大切なのか?を包括的に考えると思います。

そのうえで、このように先生に言われたことをこなすことで

彼女の「自分で考えて成長する力」が育っているかを十分吟味すると思います。

もう一度言います、私は彼女のことが分かりませんので

もしかしたら、ちゃーんとこういう部分もやっているかもしれません。

ただ、多くのティーンを見てきた経験から

特にこの子のように、なんでもしっかりこなす子の場合は

彼女もそうだけど、私たち指導者も十分気を付けなければならないな、と感じました。

この年齢に一番必要なのは休息

では話を本題に戻しましょう。

中学生で、バレエをとても頑張っている女の子

レッスンも、トレーニングもすでに行っていて

先生に言われた注意や、エクササイズの記録をノートにメモするまじめな子。

彼女がもっと上達するために何をすべきか?

答えは、休息です。

中学生という時期は、体も心も大きく成長する年齢です。

そのため、彼らがバランスよく成長し、より深いアーティストになるためには

今の時期に様々な経験をしておく必要があります。

体の面では、成長期は骨が先に成長するため

筋肉が硬く感じたり、コーディネーション力が落ちる時期でもあります。

また、骨の成長とは、長さが出来てから強さが出来るため

今の時期、靭帯や腱の方が骨よりも強く

無理すると骨をはがしてしまうような剝離骨折の方向へ進んでしまいます。

これが、成長期スポーツ障害、俗にいう「成長痛」ってやつの正体です。

骨の密度も、今の時期に急激に増えます、健康に過ごしていたら。

そして、20代後半から30代あたりから減少傾向になります。

そのため、今の時期に骨の中身を増やしておかないと

将来小さな転倒や捻挫で、骨折してしまうなどの問題に陥ってしまうことも。

このあたりの知識は、先生用だったら教師のためのライブラリにある様々なクラスで

保護者だったら、「保護者が知っておきたい成長期の体」セミナーでお話しているから

大丈夫だよね?

このような骨の話をすると、無理なダイエットとつながる感じがするのですが

Red-sといって、運動量が多い場合、相対的にエネルギー量が足りなくなり

気が付いたら体にガタが来ていたということもあるんです。

そのため、食べる量とか摂食関連の問題とは関係なく

運動量との相対的エネルギーも考えなければいけない年齢なんですね。

だから、私が一番最初に確認するのは、しっかりとした休養が取れているか。

2003年に出されたIADMSの発表によると

14歳の子だったら週に8.5時間以上、15歳だったら週に10時間以上トレーニング

つまりレッスンとエクササイズ、リハーサルなど身体的な活動をしていると

オーバーユーズのケガのリスクが高くなると言われています。

これって、週に4回レッスン(計6時間)と週末にリハーサル2時間

週に2回トレーニングを受けていたら(計2時間)

あっという間に超えてしまう数字なんですよね。

アーティストとしての教養

次は、精神的な部分も考えていきましょう。

ダンサーとは、身体表現をするアーティスト、芸術家です。

芸術家ということは、自分の中に創造性

つまり、クリエイティブな部分がなければいけないですし

様々な役をこなすということは、役者のように多くの感情を理解する必要があります。

特に古典バレエには、歴史的背景が強く反映されるものも多く

西洋文化への理解も必要になってきますから

そのような部分の知識がなければ、深い表現はできないでしょう。

多くの保護者やまじめなダンサーたちが

バレエに集中するために、友達と遊びにいかない、というような判断をするようです。

でも、バレエ学校は「学校」であり、バレエ団は「会社」です。

いくらAIが進んでも、バレエのような身体表現は

人間が行わなければいけないですし、舞台を作る作業も共同作業となります。

この子のような年齢に、そういった社会的な立ち回り方というか

人間関係、距離感、というものを学ぶことが出来ないと

孤立した、人間として浅い大人になってしまう可能性も高いです。

オフィスで、自分の机で、パソコンに向かって仕事をする人と異なり

ダンサーたちは毎日、スタジオで人間と顔を合わせ、肌がくっつく距離で仕事をします。

いくら踊りが好きでも、人間関係がうまく出来ない子たちにとって

そんな毎日って辛いだけになってしまうんじゃないかしら?

そのため、さっきお話したように身体的な部分から

休息することと、その時間を友達関係や映画を見たり、本を読んだり

教養っていうのかな?その部分につかう必要があると思うのですよね。

部活やオリンピック選手とダンサーを一緒に考えない

「そうは言っても愛さん、部活に打ち込んでいる子たちや、オリンピック選手とかは

この年齢からガッツリトレーニングしているじゃないですか?」

と思いますよね?

よく分かるんだけど、バレエと部活、オリンピック選手を一緒に考えないようにしよう。

部活は、いくら打ち込んでも高校3年生で終わります。

オリンピック選手も、ほとんどのケースは新体操とか、フィギュアスケートとか

バレエに似ていて、日本で人気のスポーツと比べていると思うのだけど

彼らの選手生命は、10代後半から20代前半で終わります。

プロダンサーは、それくらいの年齢から職業を探し始めるんです。

そして、バレエ学校を卒業し、10年だけカンパニーにいたとしても、28-29歳なんですよね。

ささっと行ったネットサーチによると、プリンシパルダンサーの平均年齢は26.7歳だけど

大きなバレエ団になってくると、その年齢は30歳以上になるそうです。

そのレベルで踊るのが夢だったら、その年齢まで、健康に踊れないといけないわけ。

だから、短期結果の人たちとは比べないこと。

そして、周りの大人たちは

彼らが「今」上手になる方法を考えるのではなく

「将来」どうなりたいか?を考えるべきだと思うのです。

休むのが怖いダンサーたちへ

でもね、このようになんでも頑張っていて、夢に向かって努力していて

しかも、そのうえで「他に何をしたらいいですか?」と質問するような子に

  • 休みなさい、遊びなさい

と伝えても、聞いてくれないと思うんです。

きっとインスタのお勧めには

これをやったら上手になるっていう種類のトレーニング動画がいっぱい流れてきて

フォローしているプロダンサーが、レッスン以外にジムに行っている様子を見ていて

YouTubeを開いたら、ダンサーの生活みたいなvlogが流れてきて

毎日色々こなしているのを見ていると思う。

国際的なコンクールのアカウントもフォローしていると思うから

自分と同い年の子たちの踊りもいっぱい流れてきて

もっと頑張らなきゃ!って思うと思うの。

そういう子たちにお勧めしたいのは

レッスンを減らして、エクササイズに変更すること。

本当は休んでほしいんだよ?

でも、それが怖いなら、まずは変更からやっていこう。

そしてエクササイズクラスでは

難易度の高いエクササイズや、より重いウエイト、回数を行うのではなく

体の声を聴く練習をすること。

そして、その中で自分で考える力と勇気を育てること。

今日のエピソードの最初の方でお話したように

この子のように先生に言われたことをしっかりとやってくるダンサーは

人に言われたことをやるのは本当に上手なんですよ。

だから今まで上達してきたのだと思うし、その性格は素晴らしい!

でもね、あるレベルを超えたら、ダンサーたちは自分で考えなければいけなくなります。

世界的に超有名な振付家が、バレエ学校に来て

彼女バージョンのコッペリアをマウントしたことがあります。

作品をマウントする、というのは過去に作られた作品や、新しい作品を

新しいダンサーやバレエ団に向けて、再構築することを指します。

よくバレエ界で使われる英語だから、知っていると便利ですよ。

2回か、3回公演だったので、配役も2パターンあったんですが

その際彼女はソリストレベルのダンサーたちのバリエーションのリハーサルで

それぞれ違う指導をしていました。

というのも、技術があって、振付をこなすのは必要最低限で

ソリストたちはその踊りを「自分のもの」にする必要があるから。

「自分のものにする」というのは、ほかの人と同じではない、ということです。

つまり、自分の踊り方やテクニック、体型や役への解釈など様々なエリアから

自分にとって一番良い踊り方を模索するってことなのね。

そして、それは先生に言われたことをやるレベルを超えて、自分で考えなければいけません。

バレエ団に入ったら、もしくはアパレンタスなど、準団員になったら

その日の仕事のボリュームと体調に合わせて

自分のレッスン内容を調整しなければいけなくもなりますし

バレエ学校の最終学年でも、受けたいオーディションのスケジュールに合わせて

レッスンやトレーニングを調整する必要が出てきます。

だって、このレベルになったらレッスンで上手に踊ることが目的なのではなく

仕事をこなすことが目的だから。

そのため、彼女の年齢から

自分の体の声を聴いて、体調を理解し、自分のスケジュールを加味した上で

今日はどれくらいプッシュすべきか?と考える力を育てていかなければいけません。

調整する≠怠けている

時々、このように調整してね、と言うと

「でも、やればできるのに、数を減らしたり、難易度を落としたら

怠けていることになるんじゃないの?」と思う子たちがいます。

そうやって教えられてきたんでしょうね。

もしくは、そういう先生たちに指導されてきたり、そういうご家庭環境だったり

憧れの先輩がそういう人だったりしたんでしょうね。

こういった考え方は、他者から学んでくるので。

だからね、もし私のアドバイスを聞いてくれるなら

「常に、すべてのレッスンやトレーニングで、プッシュすることが偉いのではない」

ということを学んでほしい。

  • 今週は週末に長めのリハーサルが入っているから、エクササイズはプッシュしないでおこう
  • 昨日はよく眠れなかったから、いつもよりゆっくり目に体を動かそう
  • 今日は足の調子が良くないから、ピルエットは完璧な2回転に徹底して、グランアレグロは休もう

と自分で考え、行動を選び、周りとは異なることをするのは、勇気がいります。

だからさっき、「自分で考える力と勇気を育てること。」とお話したの。

でも、こういった判断をするためには

まずは自分の体の声が聴けるようにならなければいけません。

だからね、エクササイズクラスの時間を使って、自分の体と対話してほしい。

バレエノートには、今日言われた注意だけでなく

今日の体調と、それに対してどう対応したのか?のメモをしてほしい。

エクササイズの回数やプランのメモだけでなく、休息、バレエ以外のアクティビティ

睡眠時間やレッスン量に合わせて食事量を増やす対策なども書いてほしい。

それが、あなたにとって、長くて充実したバレエ人生を作ってくれるはずだから。

レッスンの代わりにエクササイズ

もし、このポッドキャストを聞いて

  • 疲れてても、痛くてもプッシュすることが上達だと思ってた
  • レッスン時間を延ばすことが、真剣にバレエに向き合ってる証拠だと思ってた

と思ったダンサーや、保護者にお勧めなのは

さっきもお話したように、レッスンを減らしてエクササイズに変更することです。

甘夏さんの水曜夜19時半からのクラスは30分

お家から受けられるオンラインエクササイズクラスです。

  • 1時間半のレッスンから30分のエクササイズに変えることで、オーバーユーズのケガを防ぎ
  • バレエに特化したエクササイズで、必要な筋肉は育て
  • 周りの子や、鏡に惑わされず、自分の体に集中する時間で、体の声を聴く力を育てる

そんな”努力”の練習をしてみませんか?

放課後、友達と遊びに行く余裕もできるし、早めに、お腹いっぱい夕飯も食べられる。

おうちから受けられるので

20時にクラスが終わったら、そのままベッドに向かうことも可能です。

週の真ん中で食事と睡眠を増やし、回復に時間を使ってみましょうよ。

筋肉や記憶力、コーディネーション力や運動神経など

ダンサーが上達するのに必要な項目は、レッスン中には育ちません。

レッスンやトレーニングの後、回復の時間に作られます。

その事実を忘れないでください。

DLS13周年を記念して、すでにお申込みが始まっている

8月からのボディコンエクスプレスは、全クラス13%オフでご購入可能です。

もちろん、”善は急げ”だから、来週から受けてほしいけど

すでに予定が決まっているなら来月から、新学期に備えて

理論的に一番上達できるように、スケジュールを調整してみてくださいね。

10年以上バレエ学校で、プロを目指していた子たちを指導してくると

バレエ学校まで来たのに、プロになれなかった子たち

途中で燃え尽きてしまった子たちを見てきます。

今までの人生のほとんどをバレエにかけてきた子たちが

こういった知識不足で夢をあきらめる姿を見ていくのは本当に心が痛い。

だからこそ、このエピソードを聞いて行動を移してくれる子たちがいるといいなぁ。

そうはいっても、私も同い年くらいのときは間違った方向へ、必死で努力していました。

来週のポッドキャストでは、そんな学生時代にやっちまったーという話を

様々な先生にお聞きしたので、一緒に笑ってやってくださいね。

Happy Dancing!

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