DLSポッドキャスト 636 背中を使いたいダンサーが知っておきたい背骨の構造 その4 背骨周りの靭帯と椎間関節

バレエでは体が柔らかい方が有利だから、幼いうちから柔軟しないと!と思っていませんか?

ブリッジやエビぞりをさせる前に、

先生や保護者は、背骨の構造と正しい知識の上で練習する大切さを学んでください。

Transcript

こんにちは、DLSの佐藤愛です。

背骨シリーズ、今日で4回目となります。

でも、まだまだ私たちは背骨の構造のサワリしか勉強していません。

そりゃそーだ。

体幹であり、軸であり、体中の神経を守る入れ物でもあり、

上半身の動きをつくる場所でもある背骨の構造は、複雑なんですよね。

インストラクターコース、

特にコースを卒業してからの小鬼勉強会や合宿でもお話していますが、

学びとは螺旋階段のようなものだと私は思っています。

時計の12時からスタートし、1周回って、また12時に戻ってきちゃった…

勉強していると、そんな経験がありますよね。

もう分かっていると思っていた背骨だけど、

今月のポッドキャスト聞いてたら、また振り出しに戻っちゃった感じがする。

解剖学やっぱり難しいから、私には無理かな…

そう諦めちゃう前に、少し遠くから、そして違う角度から見てみてください。

時計だと思っていたけれど、実は螺旋階段だったんです。

つまりね、12時に戻ってきていることは事実だけれど、少し高さがあるのです。

そして何度も12時に戻ってきます。

だけどそのたびに、少しずつ高さが増えます。

これが学びだと私は思っているんです。

12時というのは、その時に学んでいること。

今月だったら背骨ですが、

もしかしたらターンアウト、アラベスク、バレエ指導、なんていう”12時”な場合もあります。

成長していないように思っても、また振り出しに戻ってしまったと感じても、

実は成長している。

そしてこのような勉強ができるのは、ネットが普及し、安全な国に住んでいて、

バレエという習い事に本気で向き合えるだけの余裕がある私たちの特権だとも思います。

現に今だって、戦争の真っただ中にいる人たちもいます。

女の子は勉強してはいけないと言われるところもありますし、

習い事や、将来の夢なんで忘れて、

明日食べていくために働かなければいけない子たちもいます。

だからね、勉強できるって幸せなことなんですよね。

そして、勉強できる環境にいるからこそ、

私たちはしっかり勉強し、正しい指導を次の世代に伝えていかなければいけないとも思います。

権利と責任ってやつですね。

背骨の隠れた関節、椎間関節

今日最初にお話する関節は「椎間関節(ついかんかんせつ)」と言います。

構造が複雑なのと、音声だけで説明するのが難しいエリアなので、

ゆっくり進んでいきましょう。

エピソード634で、クリオネの頭、腕、しっぽについて説明したの覚えています?

「椎弓、つまりしっぽ部分には7つのでっぱりがあります。

先ほど私が先走っちゃった、棘突起と、左右のでっぱりである横突起です。」

とお話したところです。

そして、ちらっと

「残りの4つは上関節突起の右左、下関節突起の右左ですが、今日は割愛していきます。」

とお話しました。

今日はようやく、この関節突起達にスポットライトが当たります。

実はね、上下に並ぶ2つの椎骨の間には、3つの関節があるんです。

1つは今まで勉強してきた、ザ・背骨という感じの関節。

椎体、椎間板、椎体、となっていて、

オレオのクッキー、クリームの部分、オレオのクッキー、みたいなイメージの場所です。

背骨というと、皆が考える関節だよね。

この部分は、正確には椎体間(ついたいかん)関節と言うそうです。

言うそうです、と私が言った理由はね、この仕事をDLSでは13年以上、

バレエ学校も入れるともっと長い間解剖学を指導してきた私でも、

この関節の名前を調べなきゃいけなかったんです。

この名前を知らなくても、踊れます。

この名前を知らなくても、指導できます。

ただ、これから出てくる椎間関節との区別をつけたいので、正式名称で呼んでいきましょう。

さっき勉強したオレオ関節である椎体間関節のほかに、

クリオネのしっぽの方、椎弓には2つの椎間関節があります。

例えば、今私たちは腰骨を見ているとしましょうか。

腰椎の1番と2番です。

腰椎1番のクリオネのしっぽには、上関節突起が2つあります。

右側と左側。

名前通り、この骨は上向きに出っ張っています。

つまり腰椎1番だったら胸椎12番の方に向かって出っ張っているということね。

同じように、下関節突起も右側と左側があります。

この子達は下向きに出っ張っているので、

腰椎1番だったら、腰椎2番の方に向かって出っ張っています。

腰椎1番の下関節突起右側と、腰椎2番の上関節突起の右側が手を組んで1つの椎間関節を、

腰椎1番の下関節突起左側と、腰椎2番の上関節突起の左側が手を組んで1つの椎間関節を、

作っているというわけですね。

ということで、腰椎1番と2番には

  • 椎体間関節、オレオ関節
  • 右の椎間関節、クリオネしっぽの方
  • 左の椎間関節、クリオネのしっぽの方

という3つの関節があるんです。

Again、ダンサーが名前を知っておく必要はありません。

でも背骨のストレッチをする際にカギになるので、

今はこの3つが協力して背骨の動きを作ってくれているんだなーと思っておいてください。

背骨をつなげる靭帯

関節があったら靭帯も存在します。

背骨周りにも、今勉強した3つの関節にも、靭帯があるんですね。

背骨の靭帯たちは2つのグループに分けることが出来ます。

  • 1つ目が、背骨全体を結ぶ長いグループ
  • 2つ目が、2つの椎骨を結ぶ短い靭帯グループ

です。

これ以上先に進む前に、ささっと靭帯の復習をしておきましょうか?

靭帯とは、骨と骨をつなげる複数の線維のカタマリで、

特殊な子を除いてほぼ伸びない組織です。

この子達のメインの仕事は、骨と骨をつなげ、関節を安定させること。

靭帯を無理やり伸ばしてしまうと、

部分的に切れてしまったり、完全に切れてしまったりします。

これを捻挫とか靭帯損傷、もしくは靭帯断裂と言うんですね。

靭帯は一度ケガしてしまうと、100%回復することがありません。

捻挫してしまったら、その部分の靭帯がやってくれていた安定が部分的に、

もしくは完全に、なくなってしまうのです。

つまり、ケガの再発リスクは上がるし、踊りも不安定になってしまう。

だからストレッチする時は十分に気を付ける必要があるんでしたよね?

背骨全体をつなげる長い靭帯

靭帯の復習が終わったところで、背骨の靭帯に話を戻しましょう。

1つ目のグループは背骨全体をつなげる長い靭帯で、

このグループには3つの靭帯が所属しています。

前縦靱帯(ぜんじゅうじんたい)は頭の付け根から骨盤の仙骨まで、

椎体と椎間板の前側を縦に走る靱帯です。

前に縦に走るから、前縦靭帯というんですね。

前があったら、後ろもあります。

後縦靭帯(こうじゅうじんたい)は第2頸椎から仙骨まで、椎体の後側を縦に走る子。

そして3人目は棘上靭帯(きょくじょうじんたい)と言って、

第7頸椎付近から仙骨の、棘突起(クリオネのしっぽ)の先端を走っている靭帯です。

  • 前縦靭帯は後ろに反る動きのブレーキとして
  • 後縦靭帯と棘上靭帯は前に背骨を丸める動きのブレーキとして

大切な仕事を担っています。

2つの椎骨を結ぶ短い靭帯

もう1つの靭帯グループは短い子たち。

黄色い靭帯と書いて、黄色靭帯(おうしょくじんたい)と読む靭帯は、

隣り合う椎弓板(ついきゅうばん)をつないでいます。

棘間靱帯(きょくかんじんたい)は、隣り合う棘突起、クリオネのしっぽをつなぎ、

横突間靱帯(おうとつかんじんたい)は、隣り合う横突起、クリオネの手をつないでくれています。

体を側屈させるとき、

つまり横にカンブレするような動きをする時に、ブレーキとなる子が横突間靱帯なんですね。

Again、これらの名前を知っておく必要はないです。

靭帯と椎間関節。だから何?

愛さん、今日の話は難しい名前が多いし、

毎回「名前を知っておく必要はない」って言うけれど、どうして勉強しているの?

そう思う方もいらっしゃいますよね。

今まで時間をかけて、難しい名前の組織をお話してきた最大の理由は、

背骨という構造を知ってほしかったから。

オレオ関節だけでなく、クリオネのしっぽの方にも関節があり、

様々な方向から靭帯が、背骨の様々な部分を結んでくれています。

だってね、背骨がずれちゃったり、不安定になったら、とても危険だから、

体も動けるけれど、不安定にならないように様々な工夫をしてくれているってわけ。

こういうことを知らず、子供たちの方が体が柔らかくなるからって

ブリッジ、エビぞり、極端な前屈などをしないでほしいのです。

先ほど復習したように、靭帯は伸びません。

ブレーキという言葉で説明したように、彼らは過度な動きを止めることを仕事としているので。

そして、ケガしてしまったら、修復されたとしても、昔と100%同じ状態には戻りません。

バレエをやっていると、柔軟な方がよいと思われがちで、

確かに可動域が広いことは、表現の幅が広がるから良いことでもあるんですが、

それは正しい訓練を、時間をかけて行った「結果」であり、

無理やり、人工的に、作るものではありません。

もうすでに、私たちは背骨のアーチの成長や、

子供たちに起こりやすい背骨の疲労骨折についてを勉強してきているじゃないですか。

それに追加して、背骨だって捻挫することがあるんだよ。

だからストレッチするなら十分に気を付けて、しっかりと勉強した人に見てもらってね。

安全を最優先してレッスンすること、情報を選択することは、

一生必要な背骨の健康を守るためにも大切なんだよ。

と頭に入れておいてください。

背中を使いたいダンサーが覚えておきたいこと

ストレッチがダメだとは言っていないからね?

背骨を動かしてはいけないとも言っていないからね?

エピソード633でお話したように、背骨は3セクションに分かれ、6方向に動きます。

自分が動かすのが苦手なセクション、方向の可動域を広げる努力をすることは、

結果として、得意で動きやすい部分の使いすぎ系なケガを予防したり、

より左右対称でクリーンなテクニックを作るサポートをしてくれます。

体の構造を尊重しつつ、正しい知識の上で練習することは

あなたを早く上達させてくれるだけでなく、

プロを目指すなら、

過酷なバレエ学校からオーディション期間に、不必要なケガを防いでくれますし、

バレエを辞めたとしても、

バレエの恩恵である音楽性や、古典作品への理解、

コーディネーション力や運動の習慣化をキープしたままで、大人になることが出来ます。

だけどね、残念ながらSNSで広がる系の情報は極端なものが多いのです。

政治も、ニュースも、ストレッチも。

そのため私みたいな仕事をしていると、

そういう世界で見られづらい、危険性や問題点に焦点を当てなければいけないの。

知ってるよ!と思わず、このようなメッセージを広めるサポートをしてくれたら嬉しいです。

ポッドキャストにレビューを残したり、YouTube動画にイイネやコメントを残してくれると、

より多くの人達に、エビデンスベースの情報が届きやすくなります。

ころころ変わるアルゴリズムは、現在、シェアと保存を優位に見ているそうですので、

DLSの投稿をこっそり保存してくれるのも、大きなサポートになります。

自分の背骨の癖を知って、正しい方向に、安全に練習したい人は

ダンサーに特化したエクササイズ、ボディコンエクスプレスをどうぞ。

毎週5つのタイムスロットから選べる、オンライン30分エクササイズクラスです。

安全な背骨のモーバライゼーションは、

バリエーションの練習をしている発表会やコンクール前のダンサーたちはもちろん、

いつも同じ方でデモンストレーションをしがちなバレエやダンスの先生、

そして私も含め、パソコン、座位での生活が長い大人組は、絶対にやっておきたいこと。

1週間に30分だけでも、

毎日重力に反して体を支えてくれている背骨をいたわるようにしてくださいね。

もう少し背骨のマニアックな解剖学話をしていこうかとも思ったのですが

来週は「バックベンド麻痺」という言葉と共に社会問題になった幼稚園生の背骨のケガについて

をお話していきたいと思います。

愛さん、ストレッチについてとか年齢とか、もう聞き飽きたよ。

他のこと話せないの?と思っている人たちもいると思うんだけど、

どうして私がこの手の話を13年以上し続けているかの答えになると思うので。

背骨についてもっと理解したい人はもちろん、

幼稚園生から小学校低学年を指導している先生、

そのような年齢の子供がいる保護者の方は、

見逃したくないエピソードですので、

まだの人は、チャンネル登録とベル通知をお忘れなく。

Happy Dancing!

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