猫背を直せ! ダンサーが知っておきたい菱形筋について

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*このブログは2014年に書かれたものを2020年に大幅加筆修正しました。

 

バレエやってるのに姿勢が良くない…と悩んでいるそのの貴方、

今日の記事はそんな猫族の皆様のために書きました。

 

勉強、運転、パソコン、もちろんスマホ姿勢からも育ってしまう猫たち。

かといって、本やスマホを目の高さでホールドすると腕は疲れるし、第一見た目がヘンな人になりますからね(特に電車の中)。

 

猫背になる原因の1つは、この前勉強した僧帽筋、特に上部。

今日勉強していく筋肉は、菱形筋。

こいつも猫の友達です。

菱形筋はどこにあるか?

菱形筋(りょうけいきん・Rhomboids)というのは実は2匹いて、

  • 大菱形筋(だいりょうけいきん・Rhomboid major) 
  • 小菱形筋(しょうりょうけいきん・Rhomboid minor)

になります。

 

ダンサーだったら菱形筋という1グループを理解しておけば問題ないですよ。

どうせ隣同士だし。

 

大菱形筋の方は、第1胸椎から第4胸椎(T1-4)の棘突起(きょくとっき)から、肩甲骨の内側についています。

小菱形筋の方は、その上にある第6と第7頸椎(C6&7)の棘突起から、肩甲骨の内側、大菱形筋の上にくっついています。

 

このサイトとか、英語の方のwikipedia、私の大好きな本でDLSの参考書でもあるAnatomy of Movementなど、英語で調べるとRhomboid Major = T2-5, Rhomboid Minor= C7&T1となっているんですが、理由を知っている方います?

なんで一個ずつズレてるの?

 

 

まー背骨1つ分ずれていたとしても、あんまり変わらないし、大菱形筋と小菱形筋は隣同士という事実は変わりません。

サイズ的にも、付着部分も同じエリアにある僧帽筋と比べると本当にシンプルだよね。

ちなみに僧帽筋の下(深部)に菱形筋が隠れて住んでいます。

→頸椎、胸椎、棘突起…背骨について勉強したい人はこちらから

菱形筋の仕事は?

背骨の点と、肩甲骨の点。

これらを縮めるとどんな動きが出来ますかね?

 

そう、肩甲骨を内転(ないてん・adduction)、背骨の方に寄せてくるって動き。

 

それだけでなく、ちょっと斜めに筋肉がついている関係上、

 

  • 肩甲骨の挙上(きょじょう・elevation)
  • 下方回旋(かほうかいせん・downward rotation)

 

もします。

下方回旋=腕のソケット部分がななめ下を向くように、肩甲骨がローテーションすることね。

 

腕を動かしている時に、肩甲骨が出っ張らない+動きすぎないようにおさえてくれているというサポート役もしてくれます。

 

だから肩甲骨が飛び出してしまう、翼状肩甲骨(よくじょうけんこうこつ・scapula wing)の人も、この子の強化が必要なんですね。

 

猫と翼問題を解決する筋肉、素晴らしき菱形筋

→翼状肩甲骨の弊害やどうやって治すか?の説明はこちらの記事で

巻き肩と菱形筋

私は巻き肩だから…という言葉(言い訳?)をよく耳にするのですが、ローリングショルダーという英語や巻き肩という医療用語はございません。

こいつもまた、一般的に広がっているけれど俗称。

ぎっくり腰、肉離れとかと同じ類ですかね。

 

もちろん、世界にいる人間の数だけ骨格は違う(そしてそれを個性という)わけですから、肩関節の位置に違いが出ても問題ないんだけど、

腕が生えているところというのは肩甲骨のソケット部分(解剖学的には関節窩)であり、

  • 肩甲骨は様々な方向に動く事ができる
  • 肩関節は体の中で一番可動域が広い関節である

という2つの事実を考えると、巻き肩という骨格ではなく、肩関節周りの筋肉のインバランスが問題でしょうね。

 

ソケット部分が前に向いていると、つまり肩甲骨が外転してしまうと

上腕骨のスタート位置が前に落ちてしまいます。

ここで、肩甲骨を逆方向(=外転)してくれる菱形筋の登場ですよ。

 

もちろん、バレエレッスンの中で両方の肩甲骨をぎゅーっと近づけておけばいい!というわけではありませんが、

菱形筋が肩甲骨を猫背姿勢から戻してくれるお仕事をしてくれます。

 

「菱形筋の上に、僧帽筋が乗っている」と先ほどチラっと書きましたよね?

(正確に言うと、さっきは菱形筋が隠れてると書いたけど…意味は一緒だから)

 

ということは、菱形筋をエクササイズすると、その上に乗っている僧帽筋中部から下部も一緒に働いちゃいます

一石二鳥とは、まさにこのこと!

 

僧帽筋の中部、下部の筋繊維も一緒に働いてくれたら、

  • 肩甲骨の内転
  • 肩甲骨の下制

をしてくれるので、猫背ダンサー、ポーデブラが肩から動いてしまう問題を抱えているダンサーにとってはとっても嬉しいよね。

肋骨の開きと菱形筋

「肩を開きなさい」「胸を開いて」と言われると、どうしても胸椎を反らせて、肋骨を開いてしまうダンサーがいますよね

そういう人も、菱形筋が上手く使えていない可能性があります。

 

「左右の肩甲骨を寄せてこい!」

という運動の指令が

「肋骨を前に押し出すことで、左右の肩甲骨の距離を短くしよう!」

と変更されてしまっているから。

 

レッスンで「肩を開きなさい」と言われたら、菱形筋を意識して、肩甲骨をそっと寄せてきてあげましょう。

 

肋骨や胸椎には影響が出ないはずです。

 

AGAIN!

左右の肩甲骨の間に隙間がないくらいぎゅーっとするのが正しい姿勢だ、と言っているわけではありません。

日々猫生活をしていて、伸びってしまった菱形筋を正しい位置に戻してあげるんだってこと。

 

→肋骨(+胸椎の関係)を知りたい人はこちら

→肋骨が開いてしまう事を研究した記事はこちら

菱形筋についてダンサーが知っておきたい事は? 

  • 2つあるけど、1グループで考えてOK
  • 肩甲骨を正しい場所に保つ大切な筋肉
  • 猫背、巻き肩&ウイングダンサーはしっかりと鍛えて欲しい!

やっぱり正しいスタンスを日常生活からキープする事が、レッスン中の悩みを解決するってことですよね…

エクストラ・リソース:実践編

菱形筋エクササイズは「バレエの立ち方」P118に載っています。

ペアとして一緒にやりたいタオルストレッチは「バレエの立ち方」P116 に書いてあるけれど、

  • 小学生以下
  • 肩関節を脱臼した過去がある人

はこのストレッチよりは、P110のブックオープナーの方がより安全に出来ると思います。

 

順番としては

  • 軽くウォームアップ
  • ブックオープナー
  • タオルストレッチ
  • 菱形筋エクササイズ

がいいかなーとは思いますが、あまり神経質にならなくて大丈夫。

 

腕の動きに左右差がある人&側弯症の人は菱形筋エクササイズを片手ずつ行うのもいい練習になりますよ!

(左右差が分かりやすいし、弱い方にターゲットを絞る事ができます)

 

いつも使わない菱形筋をエクササイズしたら次の日大変…という人はこちらの記事でボールを使ったリリース方法を説明しているのでチェックしてね。

 

 

Happy Dancing!

ai

 

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