良い先生って何だろう?
エビデンスベースの視点から、バレエレッスンを指導する際に大切な6つのポイントを解説。
先生なら知らなきゃ困る、目標設定、集中できる環境づくりまで
生徒の上達を支えるヒントが詰まっています。
Transcript
こんにちは、DLSの佐藤愛です。
今月のポッドキャストは、エビデンスベースとは何か?から始まって
科学的根拠がある、生徒が上達するレッスンガイドラインを読み解いています。
エビデンスベースという言葉の定義や意味
歴史を見ながら、バレエレッスンもエビデンスベースで指導すべきか?
をお話してきました。
エビデンスベースのバレエ指導って具体的には何なのよ?
ということを考えてきましたよね。
最終回の本日は
論文「Teaching the Dance Class」に載っている16のガイドラインのうち
セクション2の6つのポイントを見ていきたいと思います。
エビデンスベースなバレエ指導、セクション1の「プロセスとゴール」に載っていた
4つのポイントは先週のエピソードを聞いてください。
エビデンスベースなバレエ指導 セクション2
セクション2は「ダンスに影響を与える要因」という名前になっていて
6つのポイントが載っています。
1、ロールモデル
1つ目のポイントは、メンター
もう少し日本語で分かりやすい言葉で言うと、ロールモデルの大切さについてが書いてあります。
様々な指導スタイルがあるけれど
生徒の成長に影響を与えるさまざまな要因の中で、先生は中心にあると書いてあります。
だからこそ、先生たちは、自分が強い影響力を持つ存在であることを理解した上で
ロールモデルとして、エネルギッシュで前向きなレッスンの雰囲気を保ちつつ
建設的な注意や称賛を通じて、ダンサーたちを励ますべきだと書いてありました。
先生が、生徒の人間そのものを尊重しつつ、各生徒のニーズや違いに対して努力することで
生徒達もまた、そのような人間性を持てるようになるんでしょうね。
2、学べる人間を育てる
2つめのポイントは、かなり長く説明が書いてありました。
それだけ大事なポイントなんでしょう。
若い生徒達にとって、バレエレッスンはテクニック取得だけでなく
人として総合的な成長をサポートする環境と経験を提供出来るそうです。
もちろん、生徒は上達したいという意欲をもってクラスに参加しなければいけないけれど
先生がそのパやアンシェヌマンの背景、仕組みなどを説明することで
レッスンの質が高くなるそうです。
例えば、生徒の骨盤のプレースメントを先生が直してしまうのではなく
クラス全体で、正しいアライメントの必要性を学んだうえで練習する方が良いってこと。
先生が振付を与えた後に、生徒に質問させたり
カウントや軸足がプリエだったかどうか、などクイズを出すのも良いんですって。
生徒の学びの幅を広げてあげるのも、良い先生の仕事だそうです。
お手本を見せて踊るという、視覚的な学びではなく
パの名前を聞いて動いたり、ビデオなど他の教材を使うことも
生徒側が様々な視点を身につけられる方法だそうです。
このポイントの最後には、生徒の心理的なサポーターとしての指導者像が話されています。
生徒が苦戦しているとき
先生が生徒を信じている姿勢、効果的なキューイングや
努力を続けられるように励ましの言葉をかけること。
もちろん、上手く出来た時には褒めること。
これらは言葉だけでなく、先生の声のトーンやボディランゲージなども
学び続けられる人間を育てるためには大切なんですって。
さ、先生と保護者は考えてみましょう。
皆さんが発している言葉は、応援になってますか?
その言葉を聞いたらポジティブに努力しようと思えますか?
意見するなら、的確な言葉をかけていますか?
どうでしょう?
3、みんなが楽しくチャレンジできるように
3つ目のポイントはHappy Dancingの元になっている事実ですね。
チャレンジでありながらも楽しい環境にいる生徒は上達します。
クラスの進行が遅すぎたり、ゴールが低すぎると
生徒は退屈で、意欲を失ってしまいますが
進みが早すぎたり、ゴールが高すぎたりすると
出来ない自分にイライラしたり、出来るようになるか不安になってしまうのだとか。
この塩梅が、先生の腕の見せ所ですよね。
4、生徒に力を与えよう
4つ目のポイントも、DLSでは何度もお話しているので
復習だと思って聞いてください。
体型、体格的な要素、例えば柔軟性やプロポーションなどではなく
ダンサーの信念や態度、音楽性、表現力、芸術性やもちろんテクニックなど
良いダンサーを作る要因を、生徒が理解するように指導する必要があります。
体型や体格的な要素だけが、良いダンサーを作ると思ってしまうと
生徒達はその部分は自分ではコントロール出来ないので
諦めてしまうか、無理やりコントロールしようとして摂食症に傾いてしまうことも。
彼らが練習する部分、努力出来る部分についてを説明することで
努力出来るダンサーになる。つまり自分の夢は自分で叶えられる!と
ダンサー達をエンパワー出来るとのこと。
同じく、「どうせ私は…」などネガティブな言葉を発する、考えるダンサー達に
そういった考え方、マインドセットが
どれだけ成長を遅らせ、踊りを下手にするのかを説明することも大切だとか。
自分で、自分の弱点を知っていることは大切ですが
常に否定的な思考に支配されていると、集中力や挑戦する意欲が妨げられるそうです。
5、集中!
5つ目のポイントは集中力について。
もちろん、指導者の集中力という意味ではなく
生徒が集中出来る環境を作ることについてです。
集中してレッスンに参加していたら、上達が早いというのは
今更私に言われなくても分かっていると思いますし
ライブラリ1年会員さんなら、去年のシークレットライブで
生徒の集中力がどれくらいケガに繋がるか?の勉強もしているので
大丈夫だと思います。
でも、ただ集中しなさい!と叫ぶのが先生の役目ではないですよ。
周りとの比較に意識が向くと、自分がどれだけ上手かを証明しようとするそうです。
それでは自分の課題に向き合っているとは言いません。
また、体型を比べたり、OOちゃんは3回転したのに…とか、考えているのも問題です。
先週のエピソードでお話したように、クラスのゴールが決まっていて
生徒達が自分の課題が分かっていると便利ですが
それだけでなく、先生が
- 周りの子を比較するような言葉をかけない
- 出来たところを褒める
- 鏡の方を向かない、など様々な方法で指導する
- 他の子を見ていたら、声をかける
ことで集中できる環境を作ってあげましょう。
6、自分の学びスタイルを理解する
自分がどんな学び方が得意なのかを考えさせることが
セクション2の最後のポイントでした。
- 振付を覚える時、自分が動いたほうが頭に入る?それとも、じーっと観察する?
- 動画を何度も繰り返して見ると理解が深まる?音楽を聴きながらイメージした方が良い?
- 言葉にした方が覚えやすい?文字に書いたら記憶に残りやすい?
自分がどういう形で学ぶのか?が分かると、上達は早まるので
生徒にとって力になるそうですが
そのうち、他のスタイルで学ぶことも練習すれば
オーディションやスタジオ外のリハーサルなどの自信にもつながるんですって。
科学的根拠を1つずつ取り入れよう
ということで、16こあるガイドラインのうち
先週4つ、今週6つを学んでみましたがいかがでしたでしょうか?
たくさんあって、全部いい感じだけど
どうやって取り入れたらいいのか分からない!
そんなこと考える時間がない!!
というちょっとパニック気味の先生の声が聞こえてきそうですが、大丈夫。
まずは、指導しているレベル全部で、新学期の年間ゴールを決めましょう。
そして各月のゴールを決めて、毎回のレッスンのゴールを決めます。
どうやったらいいのか分からなかったら、DLS教師の為のライブラリに入会しましょう。
そして最初のクラスに「レッスンプランの立て方」を受けてください。
次は、生徒のロールモデルとして、生徒にとってあこがれの先生になるために
立ち振る舞い、言葉、レッスンを考えてみましょう。
自分が踊っていた時、どういう声をかけてもらいたかったか?を考えると、自然に分かります。
もちろん、その際、他の子と比較する言葉は使わないように十分注意して。
集中しつつ、ちょっとチャレンジになるけど、何よりも楽しいレッスンを意識しましょう。
先生が怒鳴らない、怒らない、イライラしない、疲れを顔に出さない、は最低条件ですので
良い先生になるためにも、ご自身の継続したエクササイズ、体づくりは大切だと思いますよ。
ライブラリ内で、解剖学やケガについてなどを学ぶことで
年齢やレベルに合わせたレッスンとは何か?が分かってくるはずです。
もう少し前に進みたい人は、DLS公認スタンスインストラクター6期生を検討してください。
確かにエクササイズを勉強するコースなのですが、エビデンスベースの指導とは何かを学べます。
- 適切な生徒への声掛け、注意
- 一人一人をしっかりと見る方法
- それぞれに必要な課題を理解すること
- 選択権の与え方
など、レッスンでも使える指導法も学べます。
指導者なら、勉強を続けよう
ちょっと愛さん、まとめに入っちゃってるけど
16個のガイドラインのうち、残りの6つはやってないじゃない?
と思った方、素晴らしい記憶力です。
そうなんですが、残りの6つは今までのポッドキャストでいっぱいカバーされているんです。
- 順序だてた、解剖学に沿った基礎の徹底
- 偏りのないレッスンプラン
- 体の声を聴く
- 健全なボディイメージとコンディショニングエクササイズ
- アライメントを徹底し、ケガ予防や管理がされている、安全なレッスンの提供
- 良い注意と共に、何度も繰り返して練習させる
ね、さっきお話したように、ライブラリで勉強していたら、というか
ポッドキャストを毎週聞いて、実際にレッスンに取り入れてくれていたら
既に指導に反映されているポイントなんですよ。
たしかにエクササイズだけは、音声聞いていても出来ないですし
ライブラリには含まれていませんが
毎週様々な時間で行われているボディコンエクスプレスや
さっきお話したインストラクターコースで学べます。
そんなに勉強しなきゃいけないの?と思った方
この論文に書いてある一文をお送りします。
「教師は、解剖学・運動学・バイオメカニクス・運動学習・ダンス心理学などを含む
ダンスサイエンスといった関連分野への理解を深めることで
クラス内容をより広げ、質を高めることができます。」
つまり、生徒を上達させたいと思ったら
バレエへの知識は必要最低限というか、持っていて当たり前で
その上に様々なダンスサイエンスの理解が必要だということですね。
まとめのセクションにはこうとも書いてあります。
「教師とダンサーは、高い技術的要求がある中でも
”健康的に踊ることの大切さ”を共有できます。
その結果、技術の向上と自信が両立し、自立した優れたダンサーが育ち
将来は次世代を導く指導者へと成長していきます。」
去年のポッドキャストは
現在のダンサー達は、昔に比べ、高い技術を求められていると
お話したところから始まりました。
より高いジャンプ、より多くの回転、より高い足や、インスタ映えする
つまりお客さんに喜ばれる数々の技…
そういった踊りが普通だと思っている保護者やダンサー達を指導するには
昔ながらのバーレッスンでは足りません。
だからこそ、私たち指導者は勉強を続けなければいけないんでしょうね。
大丈夫、今年もDLSポッドキャストは勉強熱心な先生たち
子供達を守ってあげたい保護者、夢を叶えたいダンサー達へ
科学的根拠のあるダンスサイエンスをお届けしていきます。
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見逃さないようにしてくださいね。
Happy Dancing!
