つま先伸ばしたい!甲出したい!の前に、足の構造分かってますか?
ダンサーの土台となる足を、解剖学的に説明しました。
無理やりストレッチしてしまう前に、足先への知識を深めてくださいね。
Transcript
みなさんこんにちは、DLSの佐藤愛です。
今月のDLSポッドキャストでは
今さら聞けないけど、ダンサーなら知っておきたい、先生なら知らなきゃ困る
つま先についてをお話しています。
先週のエピソードでお話したように、足、フットの部分は私が大好きなエリア。
そのため2013年からダンサーの足セミナーというものを行っています。
ただ、今年はないのでポッドキャストで我慢してください。
でもね、このテーマを選んだ隠れた理由がもう1つあるんです。
それは小鬼合宿。
小鬼合宿とは、DLS公認スタンスインストラクターコースのコース生と修了生
通称小鬼たちだけが参加出来る勉強会のこと。
私の治療とリカバリーのため、今年は来日セミナーをキャンセルしましたが
インストラクターコースと、アドバンスドコース、そして小鬼合宿は行われます。
今年の小鬼合宿のテーマはGrounded
様々な意味がある言葉ですが、”地に足がついた”という意味から
賢明な、精神的に安定したという意味にも使われる単語です。
土台がある、という意味から
「根拠がある」「事実に基づいている」という意味もあるのですが
グランドに触る部分ってどこだと思います?
そう、足。
ということで、足の解剖学やエクササイズについてを学びつつ
事実に基づいた、安定した指導が出来るインストラクターを目指して
勉強する2日間になります。
こんな感じで、一度コース生になると様々なイベントや企画に参加出来たり
小鬼たちだけの特別コースがあったりするんです。
- エビデンスに基づいた指導がしたい人
- エクササイズをスタジオに取り入れて、21世紀のダンサーが必要なレッスンを提供したい人
- 共に学び合い、成長出来る仲間や環境が欲しい人
は、5月中旬からオープンする6期生申込をご検討くださいね。
さ、話をポッドキャストに戻しましょう。
先週はフットのエリアで、ダンサーに必要最低限の知識をお話しました。
今日は、足の骨について深く勉強していくことで
バレエで必要なつま先を伸ばす動きは、どこから来ているのか?を見ていきましょう。
12月のポッドキャストで勉強したように
動きが生まれるところは関節で、関節とは骨と骨がぶつかる場所です。
つま先を伸ばすとか、ルルベをするなどの動きを行いたかったら
その動きが生まれる足の関節を理解する必要があって
その関節に関与する筋肉を鍛える必要がありますものね。
足の骨の種類は?
先週勉強したように、足には7つの足根骨、5つの中足骨、14の趾骨があります。
そして10年以上指導していたバレエ学校の解剖学授業でも
10年以上行っているダンサーの足セミナーでも
これらの骨の名前を細かく勉強することはありません。
なぜかって?骨の名前、筋肉の名前を暗記しても、踊れるようにはならないからです。
でも、構造を知っていると、踊りは上達します。
安全な動きが分かるようになるし、頭の中でイメージ出来ると、動きは鮮明になるから。
この話は、エピソード545 骨と筋肉を知ってるだけで上手に踊れる科学的根拠で
お話しましたよね?
じゃあ、何でポッドキャストで取り上げているかって?
1つ目の理由はより詳しく知りたい人がいるだろうから
そして解剖学に興味を持ってくれる人が増えたら
ダンサーをサポートする治療家やトレーナー、正しく指導が出来る先生が増えるから。
2つめの理由は、どうせ皆エビデンスなんて気にしないで、ネット検索するんだろうから
検索するなら正しい単語を入れて情報を見てほしいからです。
2つめの理由は、保護者の方々に向かってチクリと言っているよ?
足の骨に話を戻しましょう。
- 足根骨とは、踵の骨を含めた骨のグループで、かかとから土踏まずの一番高いエリア辺りまでの場所にあります。
- 中足骨とは、足の真ん中あたりからルルベした時に曲がる関節までの場所にある骨グループ
- 趾骨とは、足指の骨たちを指します。
ダンサーの足セミナーでは、受講した人達は知っているように、
- 足根骨のことを四角いヤツラ
- 中足骨のことを長いヤツラ
- 趾骨のことを短いヤツラ
と呼びます。
これは私が勝手につけたあだ名なのですが、一応解剖学的なあだ名です。
536 骨の種類を勉強しよう!で勉強したように、骨には種類があります。
- 足根骨は、短い骨と書く短骨(たんこつ)と呼ばれる種類
- 中足骨と趾骨は、長い骨と書く長骨(ちょうこつ)と呼ばれる種類
に分類されます。
その中で、
- 足指の方が中足骨よりも短いから、趾骨は短いヤツラ
- 3つのグループの中で一番長く、長骨の典型的な形をしているのが中足骨だから、長いヤツラ
- 分類的には短骨だけど、サイズ的には足指よりも大きく、形も四角いので、足根骨は四角いヤツラ
と名付けました。
一匹オオカミ系距骨とか、すぐにいなくなっちゃうVMOちゃんなど
すぐに名前を付けたがる私ですが
よく言われる鬼の愛とか、今日のエピソードの最初にお話した小鬼は
私が命名したのではなくDLSを応援してくれている皆さんが勝手につけてくれたんですよ。
足の骨の名前
種類が分かったので、次は足の骨の名前を勉強していきましょう。
一番簡単なのが中足骨からスタートしましょうか。
足、フット、という学校の、中足骨という学年には、5人の生徒達がいます。
名前はとっても簡単で
親指側から第1中足骨、第2中足骨、第3中足骨、第4中足骨、一番最後が小指側の第5中足骨と
番号で呼ばれます。
簡単でしょう?
次はもうちょっと複雑な趾骨たち。
足、フット、という学校の、趾骨という学年は、その中で3つの専攻に分かれます。
足の指、爪側から
- 末節骨(まっせつこつ)
- 中節骨(ちゅうせつこつ)
- 基節骨(きせつこつ)
という3つ。
末節骨と基節骨はそれぞれ5人ずつ
さっきの中足骨と同じように番号で呼ばれる子達がいますが
中節骨は4人だけ、親指にはありません。
ここまでを復習しながら見ていくよ?
右足を見ながら聞いてくださいね。
右足親指、爪の方から足首の方向に向かって名前を読んでいくよ?
- 第一末節骨
- 第一基節骨
- 第一中足骨
親指には中節骨がありません。
次は右足人差し指、爪の方から足の甲の方へ順番に名前を読んでいきます。
- 第二末節骨
- 第二中節骨
- 第二基節骨
- 第二中足骨
中指、薬指、小指も同じようになっています。
足根骨に含まれる骨
最後のグループ、足根骨は面倒です。
Again、ダンサーだったら四角いヤツラで十分だからね?
まずは先週話に出た子達から復習しましょう。
- かかとの骨、踵骨
- かかとの骨の上に乗っている、一匹オオカミ系、距骨
この続きは、イラストで見てもちょっと分かりづらいけど
言葉で説明しようとするとかなーり大変なので
まずは最初に残りの骨の名前だけ説明しちゃって
その後にもう少し構造を説明するね。
かかとの骨の前は立方骨(りっぽうこつ)が
距骨の前には舟状骨(しゅうじょうこつ)があります。
立方骨の前には、さっき勉強した第四と、第五中足骨があります。
でも、舟状骨の前にはまだ3つの四角いヤツラが残っているのね。
楔状骨(けつじょうこつ)は親指側から第一、第二、第三楔状骨です。
第一楔状骨の前には第一中足骨があり
その前に第一基節骨と並び、第一末節骨が爪の方になります。
7つある足根骨の名前だけ復習すると
- 踵骨
- 距骨
- 立方骨
- 舟状骨
- 第一楔状骨
- 第二楔状骨
- 第三楔状骨
となるんですね。
ちなみに、「三角骨がある」と言われたことがある人達
三角骨は距骨に出てきた余分なでっぱりです。
「有痛性外脛骨ですね」と言われたことがある人、舟状骨の余分なでっぱり部分。
三角骨も、外脛骨も、折れてしまうと分離するので
エクストラの骨、と数えることも出来ちゃいます。
どちらもダンサーにはやっかいなケガなので、
有痛性三角骨を含めた、足首の後ろ側が詰まって感じたり、ルルベすると痛いケガ
足首後方インピンジメント症候群についてのクラス
有痛性外脛骨を含む、成長している骨に牽引の負担がかかって起こるケガ
そう成長期スポーツ障害についてのクラスは
DLS教師の為のライブラリに含まれています。
そちらで、ケガのメカニズムや予防法、痛みがある時にはどうしたらいいのか?を
お話していますので
生徒さんにこのようなケガがある先生や
お子さんがケガに悩んでいる保護者は勉強してみてください。
ただ、スタジオのケガを予防するためには、けが人が出る前に勉強する必要があります。
先生たちは、生徒のケガに関係なく知っておくと便利だとは思いますよ。
体重移動と骨の構造
四角いヤツラ、長いヤツラ、短いヤツラ。
足は後ろ、真ん中、前と3つにわけることが出来て
それらの関節が動くからつま先を伸ばすことが出来ます。
でも、実は内側と外側、というように分けることも出来るんですね。
内側というのは、
- 距骨→舟状骨→3つの楔状骨→3つの中足骨→3つの趾
外側というのは、
- 踵骨→立方骨→2つの中足骨→2つの趾
そして、これは体重移動の時に非常に役立ちます。
先週、左手のグーと右手のコの字で足首の関節を説明したの覚えてる?
復習で、一緒にやってみようか?
- 左手をぐーにします
- 右手の親指と人差し指を使ってカタカナのコの字を作ります
- 左手グー、手の甲側を自分の顔の方に向けます
- グーを作った左手の人差し指側に右手親指が、グーの小指側に人差し指が来るように、左手の上に右手を重ねてみてください
これが足首の関節、距腿(きょたい)関節でしたね?
左手のグーが距骨
右手の親指が脛骨の終わりとなる内果
人差し指が腓骨の終わりとなる外果です。
体の重心なんて言われる骨盤から、大腿骨を通り、体重は脛骨に乗ります。
腓骨に体重は乗りません。
そして体の重さは、脛骨から距骨に伝わり
舟状骨、楔状骨、中足骨と親指の方へ抜けます。
これが歩いている時の足に伝わる体重の流れ。
もちろん、踵骨→立方骨→2つの中足骨→2つの趾に体重が乗らないと
話しているのではないですよ?
足のアーチを作っている踵の骨、小指の付け根があるので
体重を受け取るところではあります。
でも、推進力、つまり前に進む動きという意味では、さっき見た内側を通ります。
(参考書:Anatomy of Movement by Blandine Calais-Germain)
その原理から、ルルベしたり、オンポワントで立つときには
体重が第一、第二、第三趾、つまり親指、人差し指、中指の部分に乗るんですね。
指が3つあるということは真ん中は第二趾、つまり人差し指になりますので
骨のアライメントを見る時には膝のお皿の真ん中が第二中足骨と並ぶ
というように見るわけです。
これは、私の勝手な推測だけど、第一、第二、第三中足骨のサイズを考えたら
真ん中は完璧に第二中足骨ではなくて、第二中足骨の第一中足骨側くらいに収まる気はしますが
視覚的には第二中足骨と膝蓋骨で問題ないはず。
親指だけに乗っかった、フィッシュした足首の形でのルルベはしませんからね?
足の骨と年齢
今週のポッドキャスト、まとめに入る前に大切な事を1つお話します。
今お話した骨の数や形などは、大人の話です。
先週赤ちゃんに足のアーチはない、とお話しましたでしょう?
足のアーチは7歳くらいで出来ると言われるのですが、足の骨の成長はもっと遅いです。
2人の足専門ドクターとリサーチアシスタントによって書かれた記事によると
- 中足骨の骨端は1.5-2歳の時に現れ、13-16歳で閉じる
- 舟状骨は2-3歳で現れ、12-14歳で閉じる
と書かれています。
骨端線が閉じる年齢は、性別や成長スピードによって異なるのですが
一般的な見方では成長期のあたり
でも骨によって完全に成長が終わるのは20,21歳な場所もあります。
細身の子達が多く、体重と運動量から生理が来るのが遅めなバレエ界では
骨が閉じる年齢は遅いはずです。
だからいつも伝えている
- 子供達のつま先を押して、つま先を伸ばそうとしないでよ!
- 12歳以下はポワント履くんじゃないよ!
の2点を再度復習しておいてくださいね。
トウシューズに憧れがあっても、小さい時から習っていても
受験や興味、進路などでバレエは辞めるかもしれません。
でも、人間として、二足歩行はその先何十年も続きます。
研究によると、ウォーキングは
心血管疾患、高血圧、2型糖尿病、がんといった加齢関連の慢性疾患リスクを低下させ
筋骨格系疾患における痛みや機能を改善し
睡眠やメンタルヘルスを促進し
レジリエンスを高めることが分かっています。
つまり、早くからのポワントや、年齢に合わないつま先の”ストレッチ”(皮肉だよ?)で
足を痛めてしまったり、アーチや骨の問題が残ってしまったら
バレエ以外の生活や健康に大きく影響してしまうのです。
指導者は十分に責任を理解すること
保護者はネットで見たから、SNSでいいねがついてるから
好きなダンサーだからなどの理由で、自分の子供の将来を他人に預けないこと。
- 早くからポワントを履いても、オーディションに影響しない
- 足の甲に貼って使う、甲パッドも出ている
- カンパニーのPR写真も含め、多くのSNS写真はフォトショされている
と言うこともお忘れなく。
まとめ ダンサーが知っておきたいつま先の骨
では、今日のエピソードをまとめてみましょう。
足にはつま先の方から
- 14個の短いヤツラ、趾骨
- 5個の長いヤツラ、中足骨
- 7個の四角いヤツラ、足根骨
があり、それぞれ名前がついています。
それが分かると、どこが関節なのか
つまりつま先を伸ばすときにどこが動くのかが想像できるようになります。
また、足を縦に割って、内側と外側という見方も出来ます。
そうすることで、歩く時、走る時、そして踊る時に
どのように体重が移動するのかを考えることが出来ます。
今見たように、足にはたくさんの骨がありますが
骨には成長のスピードやケガのリスクがあります。
足は、唯一の地面との接地面です。
先生たち、保護者達は
足の骨の成長を考えて、レッスンやストレッチを選択すること。
大人の役割として、子供達の体を徹底して守ってください。
来週は骨の並びで作られる、足のアーチについてを深く勉強していきましょう。
エピソードを聞き逃さないように
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Happy Dancing!
