DLSポッドキャスト epi602 ダンサーが知っておきたい足の筋肉

「足裏の筋肉を鍛えてつま先を伸ばそう!」

というような言葉を聞いたことがありません?

つま先を伸ばすために必要な筋肉をバレエ解剖学で勉強してみましょう。

足の裏の筋肉”だけ”では強いルルベは出来ません…

Transcript

皆さんこんにちは、DLSの佐藤愛です。

今年頭から変更された、イントロミュージックには慣れて頂けましたか?

イントロやポッドキャストBGMは過去に何度か変更していますが

何度も聞いていると慣れてくるように

骨や筋肉の名前も、バレエのパや、バリエーションの音の取り方も

何度も聞いていると慣れてきます。

今月は有料級のバレエ解剖学、足についてをお送りしていますよね。

ダンサーの足セミナーや、教師の為のバレエ解剖学などで勉強したことがある人達は

100%理解できなくてもある程度分かってくると思うのですが

このポッドキャストが初バレエ解剖学だったり、足の構造について初めてだった人達は

たぶん大変だったと思うのね。

でも、

  1. 慣れていない、練習不足

  1. 才能がない、出来ない

を一緒にしないでください。

慣れていなかったら、出来なくて当たり前です。

練習していなかったら、忘れちゃって当たり前です。

でもそれは、才能がないとか、一生出来ないという意味ではない。

ターンアウトも、つま先を伸ばすことも、ピルエットも、全て体を動かす、つまり運動です。

運動は練習すれば出来るようになります。

何歳でも、筋肉は鍛えたら強くなります。

確かに強くなるスピードや、記憶力は衰える時期があるかもしれませんが

可能か、不可能か、という2択だった場合

年齢やバレエ歴に関係なく、練習すれば出来るようになります。

特に大人たち、忘れないでくださいね。

足が大好きな私は、4回のポッドキャストでは全然話足りないんだけど

1年足だけ話しているポッドキャストなんてやったら

聞いてくれる人がいなくなってしまうと思うので、一応今日が最終回にします。

  1. エピソード599では、必要最低限の知識
  2. エピソード600では、足にある骨について
  3. エピソード601では、足のアーチについて

を学んできました。

先週、アーチについて勉強した際に

足のアーチは、骨、靭帯、筋肉が作っているという話をしましたよね?

誰でも、何歳でも、練習すれば筋肉を鍛えることが出来るとしたら

誰でも、何歳でも、練習すればつま先は伸びるし

アーチを支える筋肉を育てることが出来ます。

偏平足、開帳足は改善するのか?

偏平足、開帳足の私も直るの!?と思った方

これに答えるのはちょっと難しいです。

インスタライブや、過去のポッドキャストでもお話しているけど

アーチがどれだけ下がったら偏平足か、という定義、測り方が世界共通ではないんですね。

そのため、偏平足ですね、とか開帳足(かいちょうそく)ですね、と言われたとしても

そのお医者さんがどうやって診断したかが異なる可能性が大きいです。

もちろん、偏平足かもしれない…と整形外科に行く人達は少ないため

殆どの場合、立っている時にアーチが落ちて見えるから

「私は偏平足なんだ」なんて勝手に自己判断している可能性もあります。

アーチの下に鉛筆が入らないから偏平足、なんて書いてある雑誌もあったりして

こういう質問に答えるのが本当に面倒なんだよね。

「ダンサーの足セミナー」で勉強した人達は思い出してほしいんだけど

膝の方向で、足のアーチの高さは変わるし

プリエしているか、片足で立っているか、それとも両足パラレルで立っているかでも

アーチの高さは異なります。

バレエダンサーで、ロールインしているから偏平足だと思っている場合

ロールインとコラップスアーチ、つまりアーチが潰れた状態はベツモノです。

偏平足、それがどういう意味かは置いておいて

扁平足は痛みが伴わないことが殆どですから

足の痛みがあってお医者さんに行って偏平足と言われた場合

それは痛みがある箇所への診断にはなっていません。

よく分からないって?

歯が痛くて、歯医者さんに行ったとします。

そしたら歯磨きが下手だからですね、と言われました。

それって診断?違うよね?

「歯が痛い原因は虫歯です。虫歯になった理由は、歯磨きが下手だからでした。」

なら分かる?

これと、偏平足は似ています。

「足が痛い原因は有痛性外脛骨です。

有痛性外脛骨になった理由の1つに、偏平足があります」というのはあるかも。

でも、今日勉強していくように、アーチが潰れる大きな原因は筋肉なので

偏平足、againそれがどういう意味かは置いておいて

扁平足を悪者にするのではなく、筋力不足や、間違った使い方を考えるべきではないかしら?

歯磨きが下手というのと同じように、立ち方が下手っていうの?

足にある2つの筋肉グループ

話を足に戻しましょう。

エピソード599で、ダンサーが知っておきたい必要最低限の知識の中に

  1. 足には外在筋と内在筋がある

というのがあったの、覚えていますか?

ダンサーはそれだけ知っていれば十分ですが

安全に指導するために先生たちはもう少し勉強しておきましょう。

とっても簡単な知識として

足の中だけにある筋肉を中に存在する筋肉、と書いて内在筋と言います。

足についているけれど、足首を超えて他の部分についている筋肉を

外に存在する筋肉と書いて外在筋と呼びます。

外在筋の代表例は、ふくらはぎの筋肉であるヒラメ筋と腓腹筋。

脛の骨からスタートするヒラメ筋と、脛を超えて、膝関節を超える腓腹筋。

この子達のしっぽはアキレス腱となり、踵の骨についています。

かかとの骨、踵骨は足、フットにある骨なので

足についているけど、足首を超えて他のところについているという

条件に当てはまるのが分かるかしら?

足裏の筋肉、なんてバレエ界で呼ばれる子達は内在筋を指しているのだと思いますが

よく分からないけど言葉だけ使っている先生もいるので要注意だね。

ちょっと余談。

実は足底筋という筋肉は存在します。

でも、足の裏にあるのではなくて、ふくらはぎの深い部分にあります。

しかも、とっても弱くて

参考書では「機能的には無視でき、腱の移植用としてのみ重要」

なんてけちょんけちょんに言われています。

(出典:The Physiology of the Joints P226)

その上、約10%の人達には存在しない筋肉

つまり進化の過程で、いらないから消えていっている子だそうです。

そのため私は「足裏の筋肉」という表現が正しくないんじゃないかなと思っています。

ま、そうは言ってもクララで連載していた時には

会社の都合でその言葉を使うことが多かったですけど

それは大人の事情としておきましょう。

内在筋も外在筋も、筋肉グループの名前です。

内在筋という筋肉が1つだけ、足の裏にあるわけではなく

4レイヤーになっていて、多くの筋肉があるんですね。

同じく外在筋も足首をフレックスにしてくれる伸筋たち

ポイントにしてくれる屈筋たちがいます。

さっき例に出したふくらはぎの筋肉たちは

足首をポイントにしてくれる子たちなので屈筋たちの一部です。

内在筋と外在筋、どっちが偉いという事はありません。

それぞれ協力して同じような動き

例えば、つま先を伸ばす、ポイントする、という動きをしてくれることもあるし

内在筋のメインの仕事の固有感覚と

(これは床の微妙な傾きや、地面の硬さなどと、体の部位や姿勢、動きや力加減などを

感じ取る感覚のことね)

足首周りを通過し、足首の方向やグラグラなどを感じる外在筋

それぞれ違うエリアの感覚を集めて、転ばないように、バランスをとるなんていう

優秀な仕事をしてくれたりします。

だから、どっちが大事?という優越はつけられないわけ。

でも、使い方や過去のケガなどから、どちらかのグループが弱いという事はあって

強い方が弱い子をかばおうとしてケガしてしまうケースもあるし

弱い子がギブアップしちゃってケガに繋がることもあります。

2013年から、全国様々な会場で行っている「ダンサーの足セミナー」参加者を見ていて

ダンサーの殆どがシューズのサイズや、立ち方などで内在筋が弱いというのを感じるのだけど

セミナー内で行うプレ・ポワントテストで、その場16回片足ジャンプが出来ないのを見ると

つま先だけの話ではなく、外在筋、そして全身の筋力不足を感じます。

いくら”足裏の筋肉”を鍛えたとしても

つま先が伸びるスペースが出来るだけのジャンプをしない限り

アレグロでつま先を伸ばすことは出来ません。

去年行われた「ダンサーの足セミナー」と、2024年に依頼を受けたワークショップ会場で

トウシューズを履いている大人バレエ生徒の何人かが

ピルエットの手と足が分からなかったのを見ると

単純にトウシューズのレベルに達していない人達もいることに気づきます。

そういう人達は、どのトウシューズが足に合うとか

どうやってつま先をかがったり、リボンを変えるかなどの話の前に

バレエの上達が必要です。

先生たちは、彼らのケガを防ぐためにも

ポワントが履けるレベルになっているかを厳しく見てあげるべきだと私は思う。

理論的に、こういう理由でまだポワントが履けるレベルになっていませんと提示したら

スタジオを辞めてしまうなら

発表会でもレッスン内容でも、文句をいう生徒さんなんだから

放っておけばいいじゃないって思ってしまう。

スタジオを辞めてほしくないから…と早くからポワントを履かせてしまう場合

危険性があるのが分かっているのに、お金の為にやっているという事だろうから

指導者として不適切だとも思います。

ま、この部分は、保護者が理解していない可能性もあるので、親の責任でもあるけどね。

ダンサーは親指命!

ま、お説教はそこまでにして、解剖学とエビデンスの世界に戻ってきましょう。

研究によると内在筋たちのうち、38.61%が

(分かりづらいので約40%と言わせてください)

親指に影響する筋肉だと書いてあります。

母趾外転筋(ぼしがいてんきん)と母趾内転筋の斜めの方がカギなんですって。

母趾外転筋は、先週も出てきた踵骨隆起、かかとのでっぱりから始まり

第一基節骨の付け根、第一中足骨骨頭近くについています。

復習が必要かな?

  1. 第一というのは親指という意味
  2. 基節骨は、足指の小さな骨の1つ
  3. 第一中足骨とは、親指の長い骨で、骨頭とはデミポワントで曲がる方

だったね?

そう、この筋肉は先週勉強した内側縦アーチをサポートしてくれる部分にある筋肉です。

母趾内転筋の斜めの方と言うのは、「母趾内転筋」が2つに分かれる子だから。

1つは第一基節骨の付け根、第一中足骨骨頭近くから、第2、3,4,5中足骨骨頭

つまり横アーチ部分についています。

この子も大切なんだけど、サイズ的には、斜めに走っている子の方が大きいのね。

同じく第一基節骨の付け根、第一中足骨骨頭近くから

立方骨、第3楔状骨(けつじょうこつ)、第2-4中足骨についています。

つまり、足のアーチを3Dで見た際

一番高い位置にくる部分辺りを作ってくれている子。

筋肉の世界では、短い+太い=強いので

この子達は強い筋肉、つまり体にとって大切な筋肉だと言えるんですね。

今お話した子達は内在筋グループだけど

親指に関与する外在筋には、長母趾屈筋と長母趾伸筋もあります。

長母趾屈筋はアーチを持ち上げるだけでなく

つま先、特に親指をポワントの方向にしてくれます。

エピソード600

歩く時の体重がどの骨に乗るか、ルルベにするときに体重はどこに乗るか、を説明しました。

親指の強さはルルベやポワントにも影響するって分かったよね?

長母趾伸筋は逆の動きを行うので

つま先をフレックスする方向、アーチを落とす方向に働きますが

オンポワントでバランスをとるなら

屈曲筋だけでなく、伸筋も一緒に働いて関節を保たなければいけないので大事です。

屈曲筋ほどじゃないかもしれないけど、無視はできません。

ということで、アーチを保つ、作るためにも、つま先を伸ばすためにも

足を守るためにも、ダンサーは親指の筋肉を育てなければいけません。

だから私の本「バレエの立ち方できてますか?」では親指のエクササイズが乗っているんです。

ただ、正しくやらなきゃ、間違った癖がつくだけですよ?

ダンサーはしっかりと本を読んで、しっかりと行ってください。

このように、エビデンスベースでダンサーが上達するエクササイズを指導したい先生は

DLS公認スタンスインストラクターコースへどうぞ。

4月中旬から詳細が発表されて、5月中旬からお申込み開始です。

親指の筋肉の話を終わりにする前に、もう1つだけ言わせて。

さっき出てきた母趾外転筋(ぼしがいてんきん)

名前で何か気づきましたか?

そう、足の親指を外転させる筋肉と書いて、母趾外転筋と言います。

つまりこの子の仕事は親指を外転させることでもあるのね。

外転とは何だったっけ?

そう、体のセンターから横に行くこと。

タンジュアラセコンドは外旋、ターンアウトした足を

外転、体のセンターから横方向に動かします。

親指を外転させるという事は

外反母趾で中に入ってしまった親指を元の位置に戻してくれる筋肉でもあります。

外反母趾とは、3つのアーチのうち、2つのアーチに影響する骨の部分の問題。

そのためダンサーにとって外反母趾予防やメンテナンスはとっても大事になります。

外反母趾について詳しく勉強したい人は

DLS教師の為のライブラリより、「外反母趾」クラスをどうぞ。

ダンサーはふくらはぎの筋肉を甘く見るな!

たくさんある外在筋と内在筋、全てを紹介したいところではあるのですが

今日のエピソードはふくらはぎの筋肉で終わりにしたいと思います。

先ほどもご紹介したように、ふくらはぎの筋肉とは

  1. 腓腹筋
  2. ヒラメ筋

の2つで、両方とも、足首の底屈、つまりポイントの方向に動かしてくれる筋肉です。

フットの骨、踵骨についているけれど

足首を超えて脛もしくは、膝関節を超えて大腿骨についているため

グループは外在筋になるんでしたね?

足首をポイントの方向に伸ばす筋肉はたくさんあります。

時間の関係上、全ての筋肉をご紹介しませんが

”ふくらはぎの筋肉”と、”そのほかの屈曲筋”と呼んでいきましょう。

ふくらはぎの筋肉と、その他の屈曲筋のポワント方向への力比べをしてみると

ふくらはぎの筋肉が6.5KGなのに比べ、そのほか屈曲筋は0.5KGしかありません。

(出典:The Physiology of the Joints P226)

そのため、ルルベやポワント、つま先、特に足首をしっかりと伸ばす筋肉の王様は

ふくらはぎの筋肉たちなんです。

ふくらはぎの筋肉は足指にはついていないので

足の指を丸めて、足首をフィッシュのようにひん曲げてつま先を伸ばしているダンサーは

ふくらはぎの筋肉たちが正しく使えません。

アキレス腱伸ばしばっかりしているダンサーも

静的ストレッチで一時的にふくらはぎの筋肉たちを弱めてしまっているし

足に合っていない、サイズの小さなポワントを履いている子達も

足指を曲げる方向、特に大切な親指を外反母趾の方向に曲げてしまうため

使いたい内在筋も、サポートに入るふくらはぎの筋肉たちも使えなくなってしまいます。

解剖学的に、足にあったシューズの探し方は「ダンサーの足」セミナーでお話しているので

来年を待ってくださいね。

セミナーの最新情報を見逃したくない人は、DLSのメルマガに登録しておくのをお忘れなく。

まとめ:ダンサーが知っておきたい足の筋肉

ダンサーが知ってきたい足の筋肉知識としては

  1. 外在筋と内在筋というグループがある

という必要最低限の知識の他

  1. 外在筋も内在筋も両方大切で、アーチ、立ち方、つま先の動きに影響する
  2. ダンサーというつま先を伸ばし、ルルベやポワントをする職業の人達にとって、親指の力とふくらはぎの力は大きなカギになる

が分かっていると素晴らしい。

このような知識があれば

  1. 昔からやっているから、という名目のレッスン前、レッスン中に行われるアキレス腱伸ばし
  2. ふくらはぎが太くなるからエクササイズはいらないけど、”足裏の筋肉”は鍛えるべきというよく分からない考え
  3. 見た目、フィッターさんの意見”だけ”で選ぶトウシューズ

などを避けることが出来るでしょう。

もちろん、足のアーチの為にも、強いつま先の為にも

  1. 正しく、ダンサーに特化したエクササイズを、エビデンスベースで勉強している人の元で練習する必要

も分かると思います。

ということで、今月はダンサーの足について勉強してきました。

小鬼たちは、3月末に行われる小鬼合宿で足についてもっと勉強していくのでお楽しみに。

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