DLSポッドキャスト epi576 5歳児のバレエ指導で忘れたくない3つのポイント

子供は大人のミニチュア版ではない!

5歳児に合わせたバレエレッスン構成、指導中の声かけ、

この年齢だから気をつけなければいけないことなど、

安全に幼児を指導するために、忘れたくないポイントを3つお話しました。

Transcript

今月の5歳児とバレエシリーズを作っていて、

「だから子供は指導しないと決めたんだ!」と再確認した佐藤愛です。

12年目がスタートしたDLSですが、

一番最初から中学生以上のダンサー向けでスタートしています。

長年のフォロワーさんはご存じのように、子供向けのクラスとして

DLSキッズを導入した時もありましたが、それでも10歳がスタートでした。

理由は簡単で、「10歳以下の特化したトレーニングはケガに繋がる」

とエビデンスで分かっているから。

今月のポッドキャストでもお話しているように、

5歳児がバレエをやってはダメ!ではないですが、

5歳はもちろん10歳以下の子供たちは、バレエ1本に絞るべきではないんですよね。

そうそう、この前DLSキッズからスタートし、

年齢がアップしたから15歳から参加できる冬期バレエ講習会に来るようになって、

バレエ留学した子のお母さんとDMでお話していました。

側弯症もあり、多くのケガを体験してきたその子だけど、

今でも留学先で踊り続けることができているそうです。

ちなみに、お母さんも勉強熱心で、保護者向けのセミナーに来てくれていました。

同じくキッズから冬期バレエ講習会に何年も参加してくれた子は、

バレエ留学後、海外のバレエ団でプロとして踊っていて、

その子からは、先月シーズンを怪我無く終えたと教えてもらいました。

その子はプロダンサーになるか、医療関係に進むかで悩んでいたんだけど、

メールでやり取りした時に、今しか踊れないよねってことでダンサーの道を選んだんですよ。

ダンサーのあと、セカンドキャリアとして医療関係に進んでくれたら、

私は嬉しいなぁって思うのです。

2020年3月の来日セミナーがコロナの関係でキャンセルになった時に、

エクササイズと基礎バレエレッスンの連日講習会、DLSキッズや

模擬バレエ留学の形で、朝からエクササイズ、クラシック、ポワント、コンテを行い、

5日目には学校試験の形で発表する場がある冬期バレエ講習会は終わりになりました。

あれから5年。

時々、こういった講習会を戻すべきなんだろうか?と考えることもあります。

バレエ学校で10年以上働いてきて、

海外留学の生活を生徒としても、スタッフとしても体験してきたのだから、

そこで学んだことを日本のダンサーたちに還元すべきじゃないか。

でも、私はバレエの先生としてレベルが高いわけではありません。

もちろん、シラバスは勉強してあるし、バレエのディプロマも持ってますよ。

できるか、できないか?と聞かれたら、指導できます。

だから来日セミナーの合間を縫って、裏で隠れてバリエーション指導をしたりもします。

だけど、一番力を発揮できるのは、解剖学とエクササイズです。

この地球上にいる限られた時間で、

どうせやるんだったら一番力を発揮できる場所じゃないか?

そう考え直して、再度参考書に顔を沈めることにしましょう。

年齢への理解がなくては指導できない

今月は5歳児の脳の発達からスタートし、運動能力の発達を含めて

この年齢に必要で、効果があり、しかも安全にできるバレエレッスンについて考えてきました。

今までお話してきたことはすべて大切ですが、

毎週毎週、私が繰り返してお話しなくても良いですよね。

ポッドキャストは何度も繰り返して聞いている!という人たちも多いみたいなので、

復習はエピソード573から聞き直してください。

過去3回のエピソードすべてで言えること。

それは、「年齢への理解がなくては指導できない。」ということです。

いくらプロダンサーとして輝かしい経歴があっても

バレエシラバスを勉強し終わっているとしても

その子たちの理解力、運動能力を理解していなければ、

クラスの長さ、注意の言葉、レッスンプランは作れないでしょう。

厄介なことに、年齢別に気をつけなければいけないことがあるので、

5歳児への理解ができたからといって、

第二次成長期の子たちを指導できるわけではないし、

シニア世代を指導できるわけではない。

それが難しいところなんですが

  1. この3か月は幼稚園児から小学生低学年
  2. 次の3か月は成長期の体
  3. その先3か月はシニア世代

と勉強すると、1年経たずに年齢別指導のヒントが手に入るはずです。

8月の「教師のためのライブラリ」1年会員さん限定ライブでは、

シニア世代を安全に指導するために知っておきたいことを勉強しましたが、

5歳児シリーズも、ライブラリに追加できるように準備していきますね。

今までのシリーズでも多くをカバーしてきましたが、

今日はそれ以外で、どうしてもお伝えしたい3つのポイントをまとめました。

この3つのポイントは、バレエ指導と関係なく、5歳児を指導するどんなエリアでも、

5歳児がおうちにいるご家庭でも使えるポイントを集めたので、お役に立てますように!

忘れたくないポイント その1:体温調節が難しい

5歳児のバレエ指導で見逃したくないポイントその1は、体温調節。

というのも、彼らは大人に比べ体温調整が難しく、簡単にオーバーヒートしてしまうのです。

そのため、スタジオの温度の徹底はもちろんのこと、

必要に応じてすぐに脱げるような上着をスタジオのユニフォームに入れるのは大切になりますね。

エピソード572で、日本のスタジオでは花柄のレオタードが人気だとお話しましたよね?

そういった流行りに乗っかるのは、別に問題ないです。

柄があるレオタードは、オーディションでは好まれないですから、

プロを目指しているんだったら

その分、トウシューズに使った方がいいんじゃないか?と庶民な私は思ってしまいますが、

お金があるんだったら、そして気分が上がってレッスンが益々楽しくなるならどうぞ!

ただ、今回お話している5歳児の体を理解すると、

可愛いとか、ファッションだけでレオタードを選ぶのではなく、

安全や特徴を理解した上で、先生が指定したり、保護者が賢く購入したいところです。

もちろん、レッスン中に水分補給するのは大切になるかもしれません。

ただ、特に暑い時期が1年のほぼ半分になるんじゃないの?

と思われるような気候になっている日本では、

そして、学校の授業中に飲んじゃダメ、となっている習慣がある国なので、

スタジオだけでなく、おうちでも、定期的な水分補給の習慣化ができるとよいですね。

くれぐれも、水太りだとか、むくまないように、水分は取らないなど、

科学的根拠のない言葉を発しないでくださいよ。

忘れたくないポイント その2:ストレッチは十分気を付けて

5歳児のバレエレッスンのほとんどは、

床でのストレッチが含まれているのではないでしょうか?

DLSのポッドキャストは576エピソード目ですけど、

いろいろなところでストレッチについてはお話しているから

今日は短く、5歳児へのポイントだけ。

様々な理由を置いておいて、幼児の体は、大人に比べて柔軟性があるのは事実です。

すでにご存じでしょうけど、特に成長期から、一時的に体が硬くなるのも事実です。

だけど、幼児のうちからたくさんストレッチをすれば、

絶対に体が柔らかいままで大人になるだとか、健康でいられるという研究はないのです。

だって、年齢と共に体が硬くなる理由が、努力不足ではなくて

骨の成長やホルモンなど、生理的な部分なんだもの。

エピソード573で5歳児の脳や理解力をお話した際に、

彼らはAということはBだ。と理解できるけれど、

Bということは、Aだ。とも間違って理解してしまうとお話したじゃない?

幼児の体が柔らかいが、成長期になったら硬くなるから、

今のうちにストレッチしなきゃいけない。

と誰も言っていないことを理解してくださいね。

いつも通りストレッチしてはいけない、とは言っていないからね!

ただ

  1. 今だけしか柔軟性をアップできないわけではない
  2. 元々体が柔らかい年齢なので、柔軟性の練習が必要なのか、それ以外の練習が必要なのかを吟味する

そして、過去のエピソードでもお話したけれど、

  1. バレエレッスンのルールを指導するなら、ウォームアップやクールダウンを習慣化する必要があるのではないか?

と考えるのを忘れないでください。

忘れたくないポイント その3:楽しく踊れる場所を作ろう

このシリーズ最後にお伝えしたい、5歳児のバレエ指導で忘れたくないポイントその3。

それは、楽しく踊れる場所を作ってあげるということです。

生徒の体を柔らかくしたい?

緊張や恐怖の感情は、筋肉を膠着させます。

楽しいスタジオを作りましょう。

生徒が辞めないスタジオを作りたい?

楽しいと思えば、子供達は続けられます。

だから、テレビやゲームなどを辞めさせる方が大変なんです。

楽しいスタジオを作りましょう。

生徒のレッスン回数を増やしたい?

楽しければ、もっとやりたいと思います。

美味しければ、もっと食べたいと思うのと同じ。

出来る、と思うと人間は年齢に関係なく楽しいものです。

彼らのレベルに合わせたレッスンで、成功体験を増やしてあげれば、

レッスン回数もアップするはず。

Happy Dancing。

DLS12年目でも、1年目の最初のブログでも使っているこの言葉は、

実はエビデンスベースで、ダンサーを育てる魔法の言葉だったんですよ。

保護者も大人も焦らない。

彼らの年齢に合わせた成長と、今でしか学べないこと。

これから先、バレエと関係なく必要な力となる、

運動能力、集中力、理解力、コーディネーション力や友達関係。

それらも5歳児のバレエ指導で忘れないようにしてあげてくださいね。

とお話して、今日のポッドキャストを終わりにしましょう。

これより上の年齢に備えておきたい保護者は

「保護者が知っておきたい成長期の体」オンデマンドセミナーをどうぞ。

このような安全に指導する知識を、コツコツと勉強したい先生は

「教師の為のライブラリ」をどうぞ。

DLSにはHappy Dancingを作るエビデンスベースのコンテンツがたくさん存在します。

お悩みに該当するコンテンツが見つからない場合、

hello@dancerslifesupport.comにメールしてくださいね。

Happy Dancing!

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