30分だけエクササイズしても意味ないでしょ、と思っているダンサーへ。
効果的なトレーニングの為には、長時間エクササイズしないといけないのでしょうか?
研究データをもとに検証してみました。
Transcript
こんにちは、DLSの佐藤愛です。
今月はダンサーにエクササイズは必要で、大切だと分かっているけれど
なかなか手が出せない理由だと思われる疑問
「短い時間の、比較的軽めのエクササイズに、効果があるのか?」
について考えていきたいと思います。
オープニングだった先週は
このテーマに至った理由や、マインドセットについてをお話しました。
そちらを聞いていない人は、DLSポッドキャスト エピソード625を検索してくださいね。
今日は1つ目の壁、短い時間のエクササイズで効果はあるのか?についてを
ディスカッションしていきたいと思います。
「長く踊りたいなら、長く指導したいなら、エクササイズしないとダメだよ」とか
「レッスン前にストレッチじゃなくて、エクササイズしてウォームアップしなさいよ」と
伝えても、やらない子達、先生たちの多くは、こんなことを考えていると思うんです。
- 「たった10分のエクササイズで、そんなに変わらないって!」
- 「30分のエクササイズ、辛くないし、痛くないし、効果ないと思うだよね」
そして、こう思うのでしょう。
- だったら、レッスン増やした方が上達するんじゃない?
- だったら、自分でストレッチすればいいんじゃない?今までそれで問題ないし。
長いレッスン≠上達
残念ながら、多くのダンサー達、特に古い考え方で育ってしまっているダンサー達は
- 長いレッスン=良いレッスン、上達
だと思っていることが多いです。
先生たちと話していても「1時間半のレッスン、時間通りに終わってしまったら
価値がないと思われてしまう気がして…」という声も聞くぐらい。
逆に、レッスンが長引けば、得をさせているというか
生徒達に良いものを提供していると思っている先生たちの多いこと。
保護者も同じように考えていることがあるので、厄介ですよね。
まず、良いトレーニングとは、長く行うことと一致しません。
- 夜中遅くまで”頑張った”リハーサル
- 週に7回、休まず通うレッスン
が良い、という考え方を捨ててください。
筋肉やそれを使う運動神経を育てるためには
同じ負荷、つまり、同じようなレッスンを長時間受けていても役に立ちません。
先週のエピソードでお話したように
バレエレッスンって実はあまり運動強度が高くないんでしたよね?
そのため、たくさんレッスンを受けたからって、上達するわけではないんです。
だからって、すごく難しいレッスンをたくさん受けたとしても逆効果。
今度は、オーバートレーニング症候群になってしまいます。
オーバートレーニング症候群とは、それだけでテーマに出来るほど深いものなのですが
今は、本人に合っていない、計算されていない、長時間のトレーニングは
- ホルモンの関係で、筋肉が分解されてしまい逆に弱くなる
- 筋肉の修復や疲労回復がとっても遅くなってしまう
- 風邪や、感染症にかかるリスクが高くなる
- 長くトレーニングすればするほど、動きの切れが失われ、下手になる
という問題を引き起こします。
長時間頑張りました、夜遅くまで頑張りました、だから上手になります。
という考え方は、昭和過ぎます。
既に令和なので、スポコンはマンガの世界だけにしてください。
レッスンとエクササイズがマッチする理由
長くレッスンしていればいいわけじゃないし
ただただ、ハードなレッスンをすればいいわけでもない。
だけど、筋肉や運動神経を育てるには、使わなければいけない。
じゃーどうするのか?
まず、先生たちはしっかりと作られたレッスンプランで徐々に難易度をあげ
上達が停滞しないようにする必要があります。
でも、ポッドキャストを聞いている皆さんの先生たち全員が
こうやってエビデンスベースでレッスンを作ってくれていないでしょうし
先生たちの、長く指導出来る体づくりにはあまり影響しない。
だからこそ、ダンサーに特化したエクササイズが大切なんです。
レッスンやバリエーションで必要な筋肉や運動神経にフォーカスをあて、その部分を鍛える。
レッスンとは異なり、振付や動線、音楽などを考えず、安全に踊れるための体を育てる。
周りと同じ動きではなく、自分に合った形や回数、難易度を選べる。
もちろん、レッスンゼロでエクササイズ100にしてほしいわけではないですが
週に3回以上レッスンを受けているなら
1つはエクササイズクラスに変更してもいいんじゃないかと思うんだよね。
その方が、理論的には上達するから。
1回30分で踊りが変わる
”いやいや、愛さん、私たち、もうエクササイズの大切さは知ってるんですよ。
愛さんずーっと言ってますから。
でもね、やっぱり1回30分とか短い時間のトレーニングや、自分でやるウォームアップで
そんなに体って変わらないんじゃないかって思ってるんです。”
そうでした!今日のテーマは30分トレーニングで上達するのか?って話でしたよね。
でも大丈夫、ちゃんとエビデンスを持ってきてあります。
2017年に発表された研究では、ダンスを習っている大学生24人に
1回30分の体幹エクササイズを、週に2回は先生と、週に1回は自分で
計3回を9週間続けて行い、違いを見てみました。
結果は、ルティレでのバランスをはじめとしたバランス系
ピルエットの回数、筋力チェックがされたそうですが
ルルベの強さ以外は全部上達していたんですって。
まぁ、体幹トレーニングというのは腹横筋、多裂筋など胴体にある筋肉だから
ふくらはぎの強さに影響が出なくてもビックリはしないよね。
これで分かるように
- エクササイズが、レッスンに必要なバランスやピルエットなどに影響した
- レッスンは変えていないのに、エクササイズをやることで筋力がアップした
ということが分かると思うんですが、どうでしょう?
しかも、1回30分。
確かにこの研究では1回30分を3セットやっていました。
だけど、そのうち1回は自主練で、2回は先生とやったことになっています。
ちなみに30分3セットって1時間半でしょう?
これって1回のレッスンの時間なんですよね。
しかも、9週間って2か月くらいでしょう?
たとえ週に1回しか30分エクササイズが受けられないとしても
レッスンの前のウォームアップとして10-15分やっていたら
3か月で同じような変化が出ると思いません?
15分でも効果がある
”いやいや愛さん、それは大学生だからでしょう?
私たち大人組は、そんなに簡単に効果出ませんって”
って思ってしまった先生たちや大人バレエ生徒さん達のために
次の論文も探してきました。
2025年に発表された研究は、会社勤めの人達1万人以上を集め
6週間にわたり毎日15分間のエクササイズを促してみた、というものです。
その結果、自己申告ではありましたが、全体的に健康になったり
睡眠の質が上がったり、メンタル(気分)、やる気(活力)も良くなったとのこと。
確かに、この研究はバレエのテクニックに繋がったとは書いてありません。
だって、もっと大きな人口をみた研究だからね。
しかも、決まったプログラムをこなしたのではなく
自分が楽しいと思えるエクササイズをチョイスできたそうです。
私はこの研究にはいくつかのキーポイントがあると思います。
1つ目、楽しいと思うものを行う。
やはり、人間は楽しいと続くわけですよ。
継続するから上達すると仮定した場合、痛い、辛いエクササイズでは継続しづらい。
よって、楽しい、痛くないというのは大切なポイントになるはずです。
2つ目、テクニックより大切なものがレベルアップ。
確かにエクササイズを行うゴールの1つはテクニック向上ですが
この研究のようにエクササイズの効果には
メンタルケア的なところやモチベーションアップという部分もあると思うんですね。
それって、舞台前の緊張や、将来の不安を抱えているダンサーはもちろん
日々の指導のストレスがある先生たちには大事なことじゃない?
もちろん、睡眠の質が上がれば、回復は早まるので
体が強くなるとも考えられると思うんですが。
3つ目、誰かと一緒にやったこと
この研究では、携帯のアプリがあって、職場の人達とやっていたそうです。
自分でやろうとしても、続かないのが忙しい大人たち。
だけど、既に申し込んであるからとか、リマインダーがあるから
時間が決まっているから、などの理由があれば、継続しやすくなるのでしょうね。
エクササイズの時間が短くても効果はある
結論。エクササイズの時間が15分だろうが、30分だろうが効果はあります。
15分1回じゃダメだよ。
だけど、自分が継続できる長さで行うことは
長く踊れる体をサポートし、より上達できるようにしてくれます。
時間より内容の方が大事になってきますので
インフルエンサーのマネではなくて、ちゃんと作られたプランを受けてくださいね。
結果が見えるまで、時間はかかるかもしれませんが、絶対に上達します。
8月はDLSお誕生月間。
今年で13年目を迎えるため
30分のダンサーに特化したエクササイズクラスが、現在13%オフで受けられます。
今月は私のエクササイズクラスもあります。
テーマは体幹安定。
中学生以上のダンサーや先生たちはこの機会をお見逃しなく。
といっても1回目は既に終わってしまいましたが。
13周年イベントの詳細やお申込みは、https://www.dancerslifesupport.com/13th/にて。
もしくは、メールhello@dancerslifesupport.comや、DMで教えてくださいね。
来週も引き続き、エクササイズの悩みを解決していきますので、お楽しみに。
Happy Dancing!
