DLSポッドキャスト 630 バレエ関係者が知っておきたいダンサーのリハビリ 総集編

バレエで痛みなく踊るには、治療だけで十分だと思う?

レッスンやエクササイズで正しい体の使い方を身につけ、必要な筋肉を強くすることも大切です。

ケガを繰り返さず、目標に向かって安全に踊るために、リハビリについての知識も増やしませんか?

Transcript

こんにちは、DLSの佐藤愛です。

今週は、ダンサーのリハビリについてをまとめた総集編とワークブックをお届けします。

リハビリとは何を指すのか、ダンサーのケガへの理解から、不調をケガに発展させない方法など、

ケガをしていなくても知っておきたいことから、

上達するレッスン見学方法や、治療と舞台復帰の関係など、

バレエ関係者だからこそ知っておきたい知識を一緒に勉強していきましょう!

ワークブックは、こちらからダウンロードしてください

DLSライブラリの3か月会員と1年会員の皆さんは、

ライブラリ内に新しく「音声クラス+ワークブック」というセクションを作ってあります。

ライブラリ詳細はこちらから。

ではどうぞ。

ダンサーのリハビリ

リハビリって言葉を聞いたことがないダンサーはいないと思いますが、

では意味は?と聞くと、たぶんみんなちょっと困っちゃうよね。

ここではリハビリという言葉を紐解いていきましょう。

本題に入る前にマメ知識。

Rehabilitationという英語を日本人らしく(?)短くするとリハビリになります。

私の住んでいる国、オーストラリアも文字を短くすることで有名なのですが、

英語の場合Rehabilitationを略するとRehab、となります。

リハビリは和製英語なんだと覚えておくと、

留学先でのコミュニケーションが上手くいくと思います。

スポーツ医学でのリハビリの定義

スポーツ医学でのリハビリ定義をClinical Sports Medicineという本で見てみると

辞書では、以前の能力、技量、力量、もしくは地位まで回復することがリハビリであり、

それがスポーツ医学のリハビリのエッセンスである、ということが書いてありますが、

その後に記載されていることの方が大事。

治療は選手が痛みがない状態や普通の生活に戻すことができるかもしれないが、

リハビリは選手がケガの前のレベルや機能を取り戻すためにも必要である、と書いてあります。

つまりね、治療だけでは足りないし、日常生活に戻るだけでは足りないってこと。

以前と同じレベルで競技に復帰するためには

「痛いならやらない」とか「痛いなら休む」ではなくリハビリをしなければいけないんですよ。

同じように、舞台前リハが重なると痛いけど普段は大丈夫とか、

ポワントだと痛いけどフラットシューズだと大丈夫、というのは

痛いシチュエーションを避けているだけであり、

リハビリが完了した、ケガが完治したとは言いません。

リハビリのゴールは、最短の時間で選手がスポーツに完全に戻ること、と書いてあります。

スタンディングオベーションが必要ですよね、ここ。

全国の治療家、トレーナーに言いたい。

ただ治すだけでなく、最短の時間で復帰させること。

それがダンサーの願っていることだよね。

ただし、リハビリが不足していた場合は

  • ケガの再発
  • 以前のレベルに戻ることができない
  • ほかの部分をケガをする

危険があるとも書いてあります。

つまりね、

  • 治療してもらったから(痛み止めを飲んだから、テーピングをしたから)痛みが消えた
  • 治療家に診てもらえばそのときは痛みが消える
  • そこまでプッシュしなければ痛くないから踊れる

ではダンサーのリハビリにならないだけでなく、再発や踊りのレベルが落ちる、

常にケガをしているダンサーになってしまうんだよね。

リハビリに含まれるもの

じゃ、具体的にリハビリには何が含まれるのか?となると

残念ながら全員に当てはまる唯一の答えはありません。

「同じケガの症状や病名でも、ダンサーの数だけリハビリ方法がある」ので、

信頼できる治療家に診てもらってください。

くれぐれもグーグル先生に書いてあること「だけ」を信じないようにね。

パラレルユニバースから飛んできたあなたが同じケガをして、

ネットにアップしてくれていない限り、あなたと同じ人はこの世の中に存在しません。

先ほど参考書の例で見たように「選手のケガする前のレベル」もその人によって違うわけだし、

どのケガにはどのエクササイズを何回、というリハビリの神様のレシピみたいなのは存在しない

というのを聞いたらガッカリしてしまうかもしれないよね。

ただ、リハビリに含まれるべき構成っていうのはありますから、そこは勉強してみましょう。

  • 筋肉のコンディショニング
  • 柔軟性
  • バランスや固有受容性感覚
  • ファンクショナルトレーニング
  • バレエ(もしくはダンス)のテクニック
  • 間違った体の使い方や癖を治すこと
  • 心肺機能
  • 心理状態(自信を取り戻すこと)

このリストだけを見ても、ちょっとわかりづらいよね。

ただ、ここから何を学んで欲しいか、というと

  • 筋肉を鍛えること、痛みをなくすこと「だけ」がリハビリではない
  • バレエのテクニック、間違った体の使い方などケガの原因になったところを修正する
  • 体力、ファンクショナルトレーニングのように、ケガしていない体全体も視野に入れること

そして

  • 100%で踊っても大丈夫だという自分の体や能力への自信を取り戻すこと

これが大事になってくるわけ。

現実的にダンサーのリハビリを考える

信頼できる治療家が…とお話ししても、リハビリに含まれるべきものをお話ししても

「じゃ、具体的に何をすればいいのよ!」ってなっちゃうよね。

国によって医療機関やシステムが違うので一概には言えませんが、

さっきの「リハビリに含まれるもの」を知っておくと、何を探せばいいのかが見えてきます。

例として、保険の利く近所の治療家さんで、

スポーツ障害が得意な人に診てもらったとしましょう。

バレエ専門の人を探すのは大変だものね。

そうしたらそこでケガの部分のリハビリエクササイズを聞いてみよう。

もしかしたら理学療法士さんをオススメしてくれるかもしれない。

ここがケガした部分の筋肉のコンディショニング。

その間にバレエを知っているトレーナー、インストラクターさんについて

柔軟性、バランス、ファンクショナルトレーニングをしてもらおう。

そのような人たちが周りにいなかったり、

治療でお金がかかってしまって金銭的に不可能な場合、

私の本に載っているエクササイズの注意事項をしっかりと読みながら、自分で続けてみて。

エクササイズの回数より正しく出来ているか?の質に集中するようにしてくださいね。

動けるようになったら、バレエの先生(もしくは外部のコーチ)に相談して、

個人レッスンでテクニックを見てもらうと同時に、

自分で心肺機能系のエクササイズ(水泳、早歩き、ランニングやバイク)をやろう。

ここまでやったら、自信もつくと思わない?

いやーそこまでやるお金も時間もやる気もないよ…という人。

だからこそリハビリは徹底的に、短時間集中したいんです。

長く続けば続くほど、お金も時間もかかるし、モチベーションをキープするのも大変。

痛みを無視せず、ムダに長引かせず、正しい知識を味方に、

きっちり腹を据えてリハビリしてください。

それが結局あなたのバレエ人生を延ばしてくれるカギになってくれます。

お金は作ることはできるけれど、時間は戻ってきません。

リハビリの練習も必要

ダンサーの大多数がケガをするということをお話ししましたよね?

その事実を頭においたら、

小さいケガのときをリハビリの練習のチャンスとして考えるべきだと思う。

ケガしてから、通えるエリアの治療家を探すとか、エクササイズを初めて行うのではなく、

ケガするであろうと仮定してリサーチしておくってことね。

ちょっと痛いからストレッチしておこうとか、

シップ貼ってレッスンしておけばいいよね、ではなく

  • 何が原因でケガをしたんだろう?と自分のテクニックや体の使い方を考えたり、勉強したりする時間にする
  • ケガした部分はプッシュしなくても、体力や気持ちを落とさないように何ができるかを考えてみる
  • 信頼できる治療家やトレーナーを探してみる

とできたらすごくいいよね。

実際にそういう練習や考え方をしてきたバレエ学校の生徒たちは、

ケガについて考えてこなかった子たちよりもケガをしたときに冷静だし、

ムダに焦ったり、悲劇のヒロインになることもなく、

自分の体やスケジュールを考えることができています。

それってダンサーにとって、すごく大事な知識だと思いませんか?

今ケガをしている人、リハビリの練習をするチャンスなんだと思ってあげてください。

もちろん、今大事な時期にケガしてガッカリしていると思うけれど、

痛みをこらえて舞台に立ち、生涯続く痛みになったり、

舞台復帰ができずに夢を諦めることになるよりは、

この時期を「成長の時間」だと考える方が前に進める気がするよね。

そして次になにか辛いことがあっても「あのときを乗り越えられたのだから私は大丈夫!」

と言える精神的な強さをリハビリの過程で手に入れられたら、

舞台でもっと輝くダンサーになると思うなぁ。

ケガしたときの頭の中

リハビリがとか、痛みがとか、お話ししてきても

「私にはムリ」「こんなに長く痛み痛みが続いているもん、変わるわけがない」

「そんなに冷静に言われても、リハビリに失敗してきているからDLSをみつけた!」

なんて声も聞こえてくるかもしれません。

ここではケガしたときのダンサーの頭の中を覗いてみようと思います。

そうすれば自分で思っているほど、あなたが感じている感情は特殊じゃないって分かるし、

そういう感情を抱えても普通なんだと分かると気が楽になるかもしれません。

ペンシルベニア州立大学の大学教員である岩月猛泰(たけひろ)先生のブログによると、

ケガしたスポーツ選手は

  • アイデンティティーを失う
  • 恐怖と不安
  • 自信を失う
  • グループ間の乱れ
  • パフォーマンスの低下

という心理的な反応を起こすそうです。

岩月先生のブログは博士号保持者が、

日本語で分かりやすくスポーツ心理学を書いてくださっているので

このエリアをもっと知りたい人はチェックしてみてくださいね。

4つ目の点であるグループ間の乱れは、

バレエスタジオ内、カンパニー内で起こることなので今回は省いて、

それ以外の点をダンサー視点で見ていきましょう。

ただし、ここに書いていることやアドバイスは、私が自分のケガの経験、

そしてケガに悩んでいた生徒たちを見て学んだことをシェアしています。

カウンセラーや心理士の視点ではないので「これが正解です」ではなく、

こういう考えもあるんだ、というケーススタディとして読んでください。

踊れない自分と出会う

バレエをやってきたことが自分のアイデンティティーとなっている人は、

ケガして踊れないと自分自身を失ってしまったような気持ちになります。

私も「バレエをやっている愛ちゃん」「バレリーナの愛ちゃん」

というアイデンティティーをずっと持っていました。

体育の授業でも体も柔らかいことでとび抜けているし、短期留学したりするし、

スタジオの後輩たちからも憧れの目で見られている。

そこからケガをして踊れなくなるということは

「バレエをやっていない愛ちゃん」つまり「ただの愛ちゃん」になることなんですよね。

今まで私はバレエが身分証明書みたいになっていたのに、

それがなくなったらあなた…誰?となってしまう。

本来ならば「佐藤愛がバレエを習っている」となるはずで、

私のやっていること、行動の中の一つがバレエになるはずなのに、それが逆転してしまった場合

「私からバレエをとったら何が残るの!?」とロミオとジュリエットの墓場のシーンのように

ムダにドラマチックに体を動かして泣きたくなってしまうわけです。

覚えておきたいことは、私からバレエをとっても、私はいなくなりません。

今現在、踊っていませんし、プロダンサーでもないですが、

私は地球上からいなくなりませんでした。

バレエが嫌いになってしまったのでもないし、あえて避けてるわけでもないですよ。

こうやってダンサーのためのDLSをやっているわけですから。

ただ、私自身がバレエに振り回されるのではなく、

バレエの結果やスタジオでのできでもなくって、自分の手に舵が戻ってきたという感じ。

ケガで踊れない時期、自分を探す旅に出てみてはいかがでしょうか?

バレエ以外で好きなこと、興味があること、得意なことを探すのはもちろん、

自分視点でバレエを見るのではなく、客観的、俯瞰的にバレエを観察してみるとかね。

いつ戻れるのか不安で怖い

ケガでレッスンを休んでいるとき、楽しそうにアレグロをしている友達を見ているとき、

私はいつレッスンに戻れるんだろうと不安になったり、

先が見えないリハビリが怖くなったりしますよね。

私も留学時代、(当たり前ですが)昼間にしか予約ができないので

レッスンの合間にMRIを撮りに行ったり、フィジオのアポイントメントに行ったりしました。

学校に戻ってくると、自由に踊っているクラスメイトの姿。

何度となく窓からスタジオを眺めながら泣きました。

不安に思うのは当たり前です。

今までがむしゃらに踊ってきて、留学という夢を掲げてきたのに、

ぱっくりと空いてしまった時間には、ぐるぐるとネガティブなことを考えたり、

答えが出ない質問を自分にしたりしてしまいます。

時間を忘れてできることを探してみてください。

自分を敢えて忙しくさせることで、不安に感じる時間をなくしてあげるんです。

オンラインで勉強をしてもいいし、クリエイティブな趣味、

例えば写真とかドレスメイキング、メイクなどを探してみることでもOK。

元ジョージア国立バレエ団ソリストの武藤万知さんにケガのインタビューをしたとき、

リハビリプログラムがたくさんあって、朝から晩までやっていた、と言っていました。

リハビリはケガした部分だけでなく、体全体やマインドも含める必要があるので、

プログラムを作ると結構忙しくなるかもしれません。

生徒の一人、三角骨の手術をした子は、ケガの後、

自分のエクササイズとセルフケアをするだけで5時間かかると言っていました。

それはちょっとやりすぎじゃない?とは思ったけれど、彼女なりに、

時間をかけて不安の原因である体と向き合うというルーティンとリラックスの時間なのだそうです。

ダンサーでありつづける自信を失う

ある程度の年齢になったダンサー、結果が出なくて悩んでいるダンサーは

「このケガは神様が踊りの道に行くな、と言っている証拠だ」

なんて言われることも(もしくは自分で思い込んでいるケースも)あります。

神様だろうが、仏様だろうが、何を信じても個人の勝手ですが、

あなたの人生なので神様に決めさせないでくださいませ。

確かに、このリハビリをしても将来ダンサーになれないかもしれないんだから、

いっそのこと諦めちゃった方が楽なんじゃないかと思いますよね。

私はそれでバレエをやめた一人なので、その思考回路が良く分かります。

バレエをやめて、バレエダンサーをサポートする仕事について、

自分のときよりも多くの生徒のケガと向き合ってきた経験「だけ」からお話しすると、

最後までリハビリをして、完璧にチャレンジしてからバレエから去っても良かったかなと思います。

結果は同じかもしれませんよ。

だけど解剖学を勉強し理学マッサージ師の資格をとった学校はまだ健在だし、

6か月遅くても、1年遅くても、3年遅くても、DLSを始めるのに不利だったとも思いません。

2012~3年にDLSを始めたときはインスタもないし、FBライブもなかったので、

もしかしたら後から始めた方が良かったのかもしれませんしね。

そうは言ってもバレエをやめることが悪いことだとも、逃げだとも思いません。

ただダンサーであり続ける自信がなくなったら、

1年休んでも、2年休んでも世界はあんまり変わらないということは

経験談としてお話ししておきますね。

パフォーマンスの低下

パフォーマンスの低下というのは

ケガのために100%の力を発揮できなくてパフォーマンスが低下した、

ということではないそうです。

ケガしたときの心理的状態が、

ケガ本体と関係なくパフォーマンスを低下させてしまうということ。

そりゃそうですよね、

  • バレエをやっていない自分が誰なのか分からなくなってしまった
  • 常に不安と恐怖を感じている
  • ダンサーとしての自信を失う

となって一番いいパフォーマンスができる人はいないでしょう。

でもこの3つであれば、ケガしている組織の修復(例えば骨がくっつくまでの物理的な時間)

と関係なく、今からどうにかできる部分ではないでしょうか?

簡単だとは言いません。

でも

  • こういう気持ちになって当たり前なんだということ
  • こういう気持ちをどうにかすることを建設的に考えること

はできますよね。

ここに書いてあること、みんなが感じている気持ちは、

私自身もバレエ留学中感じてきた気持ちです。

だから私もそうだったよ、と先輩目線でお話ししつつ、

こういう風にしたらよかったのかなぁというアイデアをシェアできていたら嬉しいです。

不調をケガに発展させないために、レッスンの外で出来ること

レッスン1時間半で気を付けていても、

それ以外の生活で無理していたら怪我の修復は遅くなります。

もちろん、今怪我していない人も、予防として使えるから聞いてね。

では本文です。

ちょっと変…?不調をケガに発展させないために

リハビリ中、昨日より良い自分、右肩上がりでイエーイ!な毎日が続くわけではありません。

ときどき気のせいかもしれないけど、

ちょっと変だよね、調子がイマイチ…なんて日があります。

ちょっと良くなったのに、また元に戻っちゃうんじゃないの?

と不安になる気持ちもよく分かるから、

ここでは不調を発見したら確認してほしいことをお話ししていきます。

でもその前に、そんな体の小さな声に気づいた自分をまずはほめてあげてくださいね!

ちゃんと寝てる?

まずはここから確認しましょう。

ついつい夜更かししていませんか?ベッドに入った後も携帯いじっていませんか?

眠るというのも仕事の1つ。

寝る前の準備として部屋のライトを落としたり、お香を焚いたりしてもいいかもしれません。

携帯をベッドに持ち込まず、アナログな目覚まし時計をセットしておくとか、

勉強系ではなくフィクションの本を読むとか、触り心地のいいパジャマを探してみるとか…

人間の人生、3分の1は寝ているんですから真剣に考えてあげてくださいね。

栄養や水分補給は?

体の修復には材料が必要です。

その材料は栄養。

食事ちゃんととっていますか?一日を通して水分補給していますか?

リハビリ中、汗をかくようなグランアレグロをしないからといって、

水分が必要ないわけではありません。

むくみを気にする人も多いけれど、むくみの大きな原因は水分不足なんですよ。

体にとって必要だけど、あまり補給されないものは、貯めておこう、としてしまうから。

同じく、リハビリ中動かないからダイエットしよう、

なんて考えている人がいたら大間違いだと覚えておきましょう。

だって、ケガしているということは、何かが壊れているんだよね?

光合成ができない人間にとって、

ケガしている組織を修復する材料は食事でしかとれないんだというのをお忘れなく。

ストレッチしてみる?

DLSをフォローしている人ならば知っているように私はストレッチが嫌いです。

でもここで、ストレッチしてみる?とオファーしています。

愛さんどうしたの!?

ストレッチ、特に静的ストレッチはウォームアップになりませんし、

筋出力、つまり筋肉の出せる力を一時的に弱くしてしまいます。

なので、レッスンの前にやったらケガの材料になります。

だけどね、リラックスさせるため、という目的であれば、

そして最大可動域で止めるなどの動きをしなければ、

副交感神経のスイッチを入れて体や心をリラックスさせたり、

よい眠りへと導いてくれたりします。

  • 柔軟性向上が目的ではない
  • 運動の前ではない
  • 関節の可動域の最大限で止めない

の3つの点をしっかりと頭に入れた後、

YouTubeのDLSチャンネルでセルフケアビデオを見てみてください。

セルフケアしてみる?

軽いマッサージやボールを使ったリリースも、先ほどご紹介したストレッチと同じように

体の声を聴いたり、リラックス、つまり副交感神経優位の状態を作ることができます。

頑張ってリハビリしているのはあなたの体も同じ。

ケガを修復したり、昔の癖を修正するために頑張っている体にありがとう、という時間や、

ちょっとおかしいよ、と不調を伝えてくれたお礼をしてあげてください。

ただし、治療家に指導されていない場合は、

マッサージやリリースをするとき、ケガしている部分は避けた方が無難です。

体は一つ、全ての骨や筋肉、皮膚や神経が繋がっていますから、

ケガと関係ない場所をケアしても効果はありますよ。

日常の癖も再確認してみて

自分では気づかない、

ちっちゃな日常の癖がケガしている部分に負担をかけていることがあります。

  • 片足重心で立つ(片方の腰にのる)
  • 片足重心で座る(脚を組むなど)
  • 荷物をいつも同じ肩で持つ
  • ターンアウトして歩く(通称ペンギン歩き)
  • 片方の足だけターンアウトして立つ、座る(足首だけ見るとよく分かるよ)
  • タック、ダックで座る、立つ
  • 頬づえ、猫背、首だけ前に落として携帯ゲーム

1回だけ、短時間では全く問題がないかもしれないけれど、

日常の癖の怖いところは気づかないところでずーっとやっていること。

いくらリハビリプログラムを1時間やり、体力アップのトレーニングを45分、

その後体ケアを1時間やり、オンラインで上半身エクササイズビデオを見ながらやってみる、

などしていたとしても起きている時間のほとんどは悪い癖で生活していたら本末転倒です。

痛みの前の小さな声である、体の不調。

声を聴く耳と、何をすればいいか?のアイデアを知っていれば

ムダに不安になることもないでしょう。

痛みと同じように無視せず、冷静に、行動に移してくださいね。

レッスンを見る技術 

ケガしているときってどうしてもレッスンを見学しなければいけない時間があると思います。

みんなが上手になっていくのを見ると焦るし、

レッスンを真面目にやっていない子を見るとイライラするし、

いつになったら踊れるんだろうって不安にもなると思うし。

ここでは、レッスンをただ見て凹む…というだけでなく、

自分の勉強用に見る方法をお話しします。

ここで紹介している方法でレッスンを見学し、たくさんノートをとって、

上手になる子に当てはまる方程式を探してみてください。

上手な子を徹底的に分析する

全部が上手な子を探すのではなく、一人ひとりが持っている、光る部分を探すんです。

  • プリエの使い方が上手な子
  • 表現力がある子
  • 脚が高く上がる子
  • 回転が得意な子
  • 動きが滑らかな子
  • ポーデブラが正確な子

先生の注意を言われたらすぐに直せる子、なんていうのも見えてきますね。

すごい子を発見して終わり、ではなく、ここからが大切。

どうしてなのか?を分析するのです。

  • どうして彼女は目につくのだろう?
  • 何がほかの子と違うのだろう?
  • 良いところが引き立っている理由は何だろう?
  • 逆に直せばもっと飛び抜ける部分はどこだろう?

その後に自分に当てはめます。

私ができることはなんだろう?

「今」の私でも取り入れられるエッセンスはどこだろう?

例えば、回転が上手な子を研究したら、毎回確実にスポットを付けていると発見しました。

今、ピルエットはもちろん、センターレッスンができない私にもできることは?というと

  • 首のムダな緊張をとること(リリースプログラムに取り入れる)
  • スポットの可動域を得ること(首を左右に完全に使う練習をエクササイズ内でも取り入れる)
  • 日常の姿勢でも首の位置に気を付けること(アライメント)

というように、今できることが見えてくるはずです。

レッスンの流れを研究

上手なところを分析していると、

レッスンの中での得意・不得意があることにも気づくと思います。

  • バーでは正確な足さばきだったけど、アレグロになると疲れちゃうのか、シャープさに欠ける
  • アダージオでは柔らかなプリエが使えていたけれど、ジャンプの着地では固まってしまう
  • バーでは目に留まらなかったけれど、センターになると踊り心が見える

体力が原因?集中力?苦手意識、それともただ飽きてる…?

最初から最後までレッスンをコンスタントに受けている子はどんな子たちでしょうか?

ムラがないという言い方でもいいかもしれません。

レッスンを見学しているとき、研究材料は目の前にあるのです。

穴が開くほど見つめて、彼らが何をしているのか?から学んでみましょう。

  • ほかの子が踊っているときにはどんな態度なのか?
  • 先生に注意された「後」は何をしているのか?
  • レッスン前、レッスン後にどんなことをしているのか?

よく「上手な人から盗みなさい」なんて言い方をされることがありますが、

本当にこうやって盗むんですよ、やっていることを。

先生の言葉を徹底分析

レッスンを受ける最大の理由は先生に注意されることではないでしょうか?

そうでなければ、レッスンDVDを見たり、自主練していれば十分だものね。

  • 先生はどんな言葉遣いをしているのかしら?
  • どんなときに、どんな注意を言っているのかしら?
  • 直した子は、何をどうやってなおしたの?
  • 直せなかった子の原因は?

先生の言っている意図を理解したら、

レッスンに復帰したときに同じことを言われてもすぐに直せます。

先生の言っていることが分からなかったら、今なら調べたり確認する時間があります。

ステップの理解が間違っていたり、ポーデブラの場所が正しくなかったり、

そういった知識の部分は、 レッスンに参加していない今でも直せます。

あまりいい先生についていない場合、ワールドバレエディだとか、カンパニーレッスン、

ローザンヌ国際バレエコンクールの公開レッスンの様子だとかをYouTubeで見て、

先生が言っている言葉を書き出してみましょう。

英語の練習にもなるけれど、トップレベルの人は何を求められているのか?が分かると

オーディション前に練習すべきことや、注意すべきエリアが見えてきます。

ダンサーの仕事は「見られること」

やりたいように踊る自己満足ダンサーではなくって、

ほかの人から客観的に見たときにどうやって目に映るか?

それを観察するのは、コンクールや舞台、

オーディションでどうやって見られているかの研究になりますよね?

いくら美味しいごはんでも、ベタベタ指紋のついた、

フチが汚れているお皿に乗って出てくると、うーん…と思いますよね。

プレゼンテーションの仕方というのも、

視覚で楽しむ芸術であるバレエでは必要だと私は思います。

どんなダンサーを「見たいか?」という立場からの研究もやってみてください。

  • この態度、ボディランゲージはどうだろう?
  • クロワゼがこの角度ではどう見えるだろうか?
  • このお団子の高さ、レオタードのカットは…

クラスメイトをジャッジしろ!という意味ではありません。

自分がレッスンを受けている立場だと、

振付、音楽、先生の注意、位置取りなのでいっぱいいっぱいだろうから、

私だったらどうしたいかな?オーディションだったらどうだろう…など、

生徒の立場を客観視することができるはずですよね。

クラスメイトのレッスンを見るほど辛いことはない、っていうのは私も良く分かります。

でも、ここで書いたことをヒントに自分の糧にしてみてください。

冬、葉っぱがついていない木でも、春に花咲くためにエネルギーをためています。

たとえ外見からは何も変化がなくってもね。 

治療「だけ」じゃ痛みなく踊れるようになりません!

DLSのセミナーに参加してくださる人やメール、SNSにくる相談などで目に留まるのが

「毎週整体に通っています」「鍼治療を受けています」というダンサーの声。

そして彼らの年齢は…小学6年生から痛みが始まってとか、現在13歳!とか。

これらのメールから分かることは

  • 年齢が若い
  • 慢性の痛み
  • 治療をしても結果、変わらない(多分、その直後は良くなるんだろうけどね)

メールには書いていなかったけれど考えられる点は

  • バレエを頑張っている(当たり前ね、バレエのセミナーにくるんだから)
  • 踊っているときに痛い(普通の生活はある程度できるのでしょう。バレエやっているんだから、普通の生活ができない痛みではないと思われる)

この記事では、習い事で治療に通わなければいけないようなケガをしていることと、

治療だけでは痛みなく踊れるようになれない理由をお話ししていきましょう。

バレエは痛いものではない

確かにね、バレエをはじめスポーツで体を使えば、ある程度の痛みが出るときがあります。

筋肉痛の痛みだったり、疲労が溜まってだるい、

トウシューズが下ろしたてだから違和感があるとかさ。

だけど、これらが週に3~4回、1回2時間のレッスンを受けているだけで

「毎日」起こることはありません。

例えばバレエ学校に入ったばっかりで、いきなり毎日5時間、

今までとは違うレベルで、違うジャンルのダンスも科目に入っているような、

踊る生活に体が馴染んでいなくて、痛いということはあるかもしれません。

プロになって毎日公演があるっていうときにも、

振付の関係上、同じエリアを何度も使うから慢性の痛みが出ることがあります。 

だけど、これらは小学生がバレエスタジオでやっているわけないんですよ。

  • 成長期に体の回復が間に合わないくらいの練習量
  • 偏った使い方で痛みが出る

という状況になるのはおかしいのです。

それは頑張って練習している努力家ダンサーのレベルではなく、指導者の勉強不足です。

踊りの量 VS 体の強さ

バレエが特殊とか(そうでもない)

若いスポーツ選手は頑張らなきゃいけない(それも間違い)とかを置いておいて。

とっても簡単に身体的なケガを理解するには「運動量 VS 体」って考えてみてください。

痛みが出るときって、やっている「運動量 VS 体」で、体が負けているときです。

長時間座っている姿勢が悪くて起こる腰痛を例にとると

座っているという「運動量 VS 体」で体が負けた、と考えることができます。

腰が強くて痛くなったなんてことありませんし、

姿勢が良すぎて痛くなったというのもありません。

ポワントで踊ると甲が痛くなります、というケガを例にとりましょうか。

足が強すぎて甲が痛くなるはずはないですが、

自分の体重を支えられなかった足、脚、そして体全体の弱さが原因です。

つまりポワントで踊るという「運動」にあなたの「体」が負けたってこと。

この例を挙げると、じゃあ体重を軽くすればいいの?とダイエットにつっ走るダンサーや、

体重が重いからケガするのよ、というバレエの先生がいるので

ひと言お断りの文章を入れておきましょう。

体重が重くてケガをした、とは私は書いていませんよ。

体を支える強さがない、踊るという運動に体が負けている、と書いてあります。

ちゃんと文章読んでくれましたか?勝手に頭の中で変換していませんか?

  • 筋肉の方が脂肪より重い
  • 骨密度が高い骨の方が重い
  • 地球には重力があり、運動方程式(EOM)がある

などを考えて、体重の重さの話をしているのではないと理解してくださいね。

子どもがレッスンをしている場合、バレエの先生はレッスンの量や内容を、

保護者はほかの習い事との関係をコントロールしてあげなければいけません。

運動量をコントロールするのは子どもたちができることではないからです。

そして子どもたちはまだまだ体が成長中、

つまりまだ骨も関節も、筋肉だって完全体ではないのだから、

いくら体を強くしろ、と言っても時間がかかります。

このように体が成長中のときに、ムリをして生まれるケガは成長痛と言われ、

これはスポーツ「障害」であり「ケガ」です。

成長しているみんなが成長痛になるのではありません。

この説明はDLSのブログに書いてあるのでそちらを参考にしてください。

治療とリハビリは一緒ではないと心得て

話を元に戻しましょう。

腰の痛みがひどくて正しい姿勢を維持できないのでまずは治療を受ける、

というのが必要な場合もあります。

足の甲に乗っかってしまう癖を治すために、

筋肉のバランスを整える必要があるかもしれません。 

正しい診断と効果的な治療は、ケガを早く治すためには必要不可欠。

だけどね、治療「だけ」では踊れるようになりません。

毎回つま先を伸ばすたびに痛む足首の後ろ側。

治療をしてもらうとつまりがとれた感じになるけれど、1週間後にはまた元に戻っちゃう、

としたらね、もっと治療が必要!ではないんですよ。

正しいつま先の伸ばし方を理解して、

それが毎回レッスンでできるようになるだけ体に入って、

それでもって、何時間踊っても正しい筋肉がしっかりと働くように強くする。

ここまでやらないと痛みなく踊れるようになりません。

アンデオール整体に行ってターンアウトができるようになったとするでしょう?

それね、自分でできたことにならないから。

ターンアウトはムーブメントです、と「ターンアウトできてますか?」で書きましたが、

ターンアウトは踊りの中で、あなたが使えなければ意味がないの。

関節の可動域を誰かにマッサージしてもらって広げることで、自分の可能性を知り、

私こんなにターンアウトできるんだ!とモチベーションにすることはできるけれど、

バリエーション1曲の中でターンアウトをキープしたかったら、

アダージオのデベロッペデヴァンの脚でやりたかったら、

自分で使う、っていう練習が必要です。

つまり、先ほど言ったみたいに「運動量 VS 体」で、体が勝つようにしないといけないのよ。

治療とリハビリは別物であり、ダンサーのリハビリでは、

最短の時間でダンサーが舞台やレッスンに完全に戻ることがゴール。

日常生活では痛くない、治療後はスッキリ!だけでなく、

踊りの中で痛みがなくなるレベルまで行わなければいけません。

体が強くならないといけないんだったら、

痛みを無視して練習すればいいのね!ではないですよ。

  • 痛くないギリギリで順序立てて少しずつ練習すること
  • 痛みのない動きの中で強化していくこと
  • 痛みが出ないようにしっかりとウォームアップし、レッスンの後は体のケアを行うこと

このような対策が必要です。

リングに上がるのはあなただけ

ボクシングの試合を見たことあります?

ボクサーが試合の合間にコーナーに戻ってくるでしょう?

そうするとセコンド(っていうのか?あの人たち)が来て、

水をくれたり、ケガの手当をしてくれたり、汗を拭いてくれたりするじゃない?

ダンサーのコーナーには治療家、トレーナー、バレエの先生、保護者、友達など

素晴らしい人たちがあなたをサポートしてくれています。

倒れたら、背中を押してくれる仲間がいます。

でも、ステージに出るダンサーは一人。

つまり、自分の体が自分を支えてくれるようにならないと舞台では使えない。

踊れない。

いくらいいコーチがついていてもリングに上がるのは自分だけなんだから。 

確かに、ケガをしているときって藁にもすがる思いでさまざまな先生を捜すと思います。

連日のリハーサルや痛みに心が負けているときは、誰かに何かをやってもらった方が楽ですし、気持ちいいよね。

治療の後、少し痛みがなくなったら、

今まで踊れなかった分頑張らなきゃ!っていきなりレッスンに戻ってしまうと思います。

その気持ちよく分かるよ。

だけど舞台に上がるのはあなただけ。

信頼できる強さを作るのも、あなたの体だけ。

孤独な感じがするけれど、環境や状況に関係なく

「あなた」がどうにかできるっていうのはパワーになると私は思います。

そして、筋肉は使えば強くなるという事実も頭に入れておくと、勇気になりますよね。

いかがでしたか?

かなり長いエピソードだったので、何人がアウトロまでたどり着いてくれたでしょうか…

ここまで聞いてくださった方は、YouTubeのコメントか、インスタのDMで自慢してください。

そうだね、合言葉の代わりに、骨の絵文字(🦴)を私たちだけのサインにしましょう。

来週は、ケガを予防し、上達するためのマインドセットについてをまとめて

エピソードとワークブックをお届けします。

お楽しみに!

Happy Dancing!

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