2019年1月13日にあったターンアウト本イベントのQ&Aの時間で
参加者からの質問の質も、質問方法もレベルが高くてびっくりしました!!
年齢に関係なく、様々な方が質問してくれたんだけど、
内容の準備が良く出来ていたし、300人の中だったのに、しっかりと話されていて、
「学生の時に、質問しない子=いい子ちゃん、だと教えられてきている日本人」という私の予想はいい意味で崩れました。
とは言っても、まだ質問ヘタッピとは出会います。
面白い事に、イベントに配置してあった質問箱に入っていた質問のレベルと、
皆の前で手を挙げて聞いてくれた質問では、質問のレベルが違いました。
まー当たり前だよね!!
だって、人の前で質問するってすごく怖い事じゃない?
だからある程度自信がある人、喋り慣れている人が質問したのかもしれないね。
でも、「質問する力」はダンサーにとってすごく大切です。
今日の記事では上手に先生に質問する方法を考えてみようと思います。
*これから先はダンサー向けに書いていますが、質問ヘタッピは大人でも多いですよ。
セミナ―会場で長蛇の列なのに、よく分からない小さな声でモゴモゴとお話されていたり、空気が読めなかったり。
セミナーを見学されている場合、
「こんにちは」とか「お疲れ様です」という言葉なしに
いきなり「うちの子が~」と喋りかけてくる保護者は多いです。
貴方の子供、どの子か分かりませんから!!
質問と愚痴の違いを理解しよう
質問なつもりなんだけど、愚痴になっているっていう類をよく見かけます。
誰かの愚痴を言う=自分も下がる
たとえ本人は愚痴っているつもりはなくても、あまりいい印象は残りません。
相談と愚痴は全然違うじゃん!
って思うでしょ?
- ダンサー曰く「スタジオの先生が見てくれません。」
- 保護者さん曰く「先生(スタジオ)が良くなくて困ってます。」
- バレエの先生曰く「うちの生徒はここが出来ていないんですよ。」
これらは相談にも、愚痴にもどっちにも聞こえる言葉です。
特に、質問に値する言葉が出てこず、どれだけ酷いか?を延々と話している場合。
愚痴の部分をすっ飛ばして、「じゃ、OOとXXをやってみたら?」と答えた後の反応に、
愚痴族だったのか、質問族だったのかが見えます。
「おーそういう手があったか!」
というような反応、相槌、表情が出る人と、
でもさー、でもさー、って顔になってしまう人。
顔が見えなくても、でもさー族はメールやDMで発見する事があります。
長々とした相談メールがきて、「これをやってみたらどうですか?」答えても既読スルー系。
「あー、質問の形をとった愚痴だったのね」と分かります。
先生(スタジオ)が良くなくて困ってます。
というケースはもっと不思議で、
「お子さんはどう思っているのか?」と聞いてみると
「話したことはありません」と戻ってくることもあります。
「先生に相談しましたか?」とか
「通えるところにある、ほかのところの発表会を見に行ったりなどしましたか?」
という質問も「やっていません」。
確かに先生に直接言うことが出来ないという場合もあるかもしれませんし、
他のスタジオに見学も難しいかもしれないけど、
発表会見学とかできる範囲の行動があるはずなんですよね、本当にスタジオ移転を考えているなら。
「そーだ、そーだ」と思っている先生たちも気をつけて。
よくある、生徒の愚痴、保護者の問題行動でも、
- 保護者に説明しましたか?(説明会は行っていますか?)
- 保護者が学べる資料や、スタジオの規約はありますか?
- 同じような問題行動を防ぐために、何をしましたか?
と聞いてみると、答えが出てこないケースが多くあります。
もちろん、「何をしたらいいでしょうか?」が質問内容だったら別ですが…
質問する力を育てる最初の行動は、
質問がしたいのか、愚痴が言いたいのかを正直に考えてみることです。
愚痴がダメ!ではないですが、
先生の前では言わないように。
プロを目指すなら、質問力をアップしよう!
質問と愚痴の違いが分かったら、次は、ダンサーに必要な質問力について考えてみましょう。
確かに、日本のスタジオでは
- 先生に話しかけることが怖い!
- 先生に質問したら、なんでわからないの!と怒られる
と思っている人もいるかもしれません。
授業で手をあげて質問したら、
クラスメイトから変な目で見られる…という経験がある学生さんもいるかもしれません。
でもね、プロダンサーを目指していたり、バレエ留学を目指していたら
質問をする力を育てていかなければいけません。
Do you have any questions?
という質問は、
コンクール後のディレクターインタビューや
バレエ学校のオーディション面接の一番最後に出てくるんですよ。
ほぼ100%の確率で。
そういう方向に進みたいと思っている子達は、
上手に質問するっていう練習をしておいた方がいいよ。
同じ実力だったら、最後の印象が良い方が受かりやすいから。
リハーサル中にAny questions?と聞かれることもあるかもしれませんね。
質問されても、どう答えていいか分からないからヘラヘラ、ニヤニヤする。
だけど、分かっていないもんだから、間違った事をしてしまうと、
「あの子、聞かなかったくせに分かってもいない。話聞いていないんだな」
と思われてしまったら悲しいじゃない?
上手に質問するために
では、本題である上手に質問するためには、何を練習すればいいのか?を考えてみましょう。
そう、質問をする力も練習することが出来ます。
しかも、質問が出来る相手がいなかったとしても、
自分の考えをまとめるためにはとっても大切な力なんですね。
脳みそは完結させるのが好きなので、「?」を作ると、どうにかして答えを探そうとするそうです。
ということは、
自分の考えをまとめる=答えを見つける可能性が高くなる
とも言い換えることができる。
だから、先生が怖くて聞けない人も、メモを取りながら読んでね。
その1 何を聞きたいのか?をクリアにする
- 質問の顔をした愚痴にならないため
- 同じことを何度も言い続けないため
- 途中で何を聞いているのか分からなくなって、フリーズしないため
まずは、何を聞きたいのか?をクリアにしましょう。
例えば、
「膝が伸びないんです。どうしたらいいですか?」
というのは良い質問ではありません。
質問したいことは以下のどちらでしょう?
- お家で出来る膝を伸ばす方法?
- レッスン中に何を意識したらいいのかのアドバイス?
2つは全く違う答えが返ってきそうだと、想像できませんか?
その2 必要な情報を追加する
何が聞きたいか?がハッキリしたら、
次は答えやすいように、必要な情報を追加しましょう。
先ほどの「膝が伸びない」を例にとりましょうか。
- どういう時に注意されるのか?
- 現在何を試しているか?
の2点は伝えられると良いですよね。
人によっては
- 膝が伸びなくなった原因となるケガについて
も伝えると良いかもしれません。
バーレッスンやゆっくりな動きの時は問題ないのですが、
アレグロとポワントでは、膝が曲がってしまいます。
現在、寝る前に長座で膝を伸ばす練習をしています。
この練習方法以外に、何かできる事はありますか?
と聞けたら、素晴らしいと思いません?
レッスンで先生に言われたことを意識しているということや
レッスン外で努力している様子も先生に伝わる事でしょう。
その3 いつ、誰に聞くか?を考える
先生に質問する場合、タイミングは気をつけなければいけません。
他の子達もいるバレエレッスンの場合、質問をする環境ではないかもしれませんね。
その場合、
- レッスンの前に早くスタジオに到着して聞く?
- レッスンの後、先生を捕まえる?
次のクラスがすぐに始まる場合、もしかしたら、
- 質問があるのですが、いつお聞き出来ますか?
という確認が必要かもしれませんね。
良い質問だからって、誰に聞いても良いわけではありません。
いつもの先生ではない人に聞く場合、
「膝が伸びないとスタジオで注意されるのですが、今日のレッスンではどうでしたか?」
と変えた方がいいかもしれませんよね。
ただし、人、シチュエーションによっては失礼になるかもしれないと理解しましょう。
外部でワークショップを受けたとします。
そしてそのクラスでは「肘を突っ張らせないで!」という注意をされたとします。
それなのに、「他の」先生が言った注意について聞くと、
私が伝えた注意を聞いていないの?
と思う人も少なくないです。
- 上半身のエクササイズクラスなのに、膝のストレッチについて聞く
- 解剖学講座なのに、発表会の演目について聞く
とかはちょっとおかしいですよね。
(もちろん、許可が出ている場合は別です)
その4 語尾までしっかりと話す
日本語は、最後まで聞いていないと文脈が分からない言葉です。
終わり良ければ総て良し、ではないけれど、
語尾が流れないように注意する癖をつけてみよう。
話し言葉の場合は、雰囲気や表情で通じることもあるかもしれませんが、
メールやDMの場合、
「XXでして…」
など「…」で終わらせる人が少なくありません。
それでは質問形になっていないじゃない!
あと、絵文字で終わらせる系にも気をつけて。
生徒の場合、先生たちには使わない方が賢明です。
とはいえ、先生たちからのメールでも絵文字がいっぱいなメールが届くことがあるのですが、
💦とか🙏とか送られても、
何が言いたいのか分かりませんからね。
→オーディション、バレエ学校でも大事なメールの書き方について
セミナー会場でよりよく質問するために
私がセミナーや講習会を受講する際にやっていることの1つに、
話を聞きながら、気になった部分、質問したい部分を書きだす、というのがあります。
資料が配布されている場合、
出てきた質問を、その場所に(スライドなど)に書き込みます。
ワークショップのどこら辺でその話がでたのか?というのを伝えると
より正確だし、回答者にとっても親切だと思うので、
- スライドOO番
- この話の後
とか場所が分かるものを入れておきます。
- 休憩の前に
もいいかもしれませんね。
便利な質問フレーズ
先生の話すスピードに、メモが追い付かない場合や、英語が聞き取れなかった場合、
以下の質問フレーズを活用しましょう。
- もう一度言ってください (could you go over that part once again?)
- こういうケースはどうですか?(How about this situation? )
- このような理解でいいですか?(Is this what you mean?)
この3つは使い回ししやすいです。
私が指導している場合、生徒達には暗記をするのではなく、
考える力を育ててほしいため、
3番のような質問が出来るように伝えています。
質問出来る人がいない場合
質問出来る相手がいなくても、自分のために質問を作るのは大切です。
先生が怖くて質問出来なくても、バレエノートに今日のレッスンで生まれた質問セクションを作る。
1か月経って読み返したら、その質問に自分で答えらえるようになっているかもしれないし、
質問の内容が少し変わっているかもしれない。
DLSブログの検索タブにキーワードを入れてみて、ネットの検索もできるでしょう。
答えが出なかったとしても、言葉をまとめる練習は出来ているので
DLSのインスタストーリーズで質問を募集しているときに聞いてみることができるよ!
(DLSアカウントはフォローしてくれてますよね?)
質問も大事だけど、行動も大事!
今までダンサーには質問する力が必要だよ!とお話してきましたが、
終わる前にもう1つ。
質問する前に、言われたことをやってみる
つまり、行動をとることも大切です。
例えばレッスンで言われた「床を足の裏の3点でしっかりと押して」という注意。
まずは、自分なりに解釈してやってみます。
それで「よくなった!」といわれた場合、あーこの解釈で間違っていなかったんだな、ってわかりますよね。
先ほどの膝が伸びないケースも、
これをお家でやってます、と説明出来るからこそ、良い質問になりました。
特に勉強が好きな人、答えを出すことが好きな人は頭でっかちになりがち。
体を使う事に対しての質問は、実際にやってみてから質問してくださいね。
いい質問は記憶に残る
いい質問は、記憶に残ります。
オーディションに立ち会ってもよく聞きますし、先生方との会話でも気づきます。
名前は憶えていないけど、「あの質問をした子」っていう形で。
オーディションや面接だったら、それっていい事だよね。
いい質問は先生の態度も変えます。
答えが分からない質問をされたら、先生だって勉強しなきゃって思うのです。
私に「うちの先生は勉強したがらない」と愚痴る前に、質問攻めにしてみましょう
上手に質問ができるというのは、コミュニケーション力の1つ。
振付師と作品を作るシチュエーションでも役に立ちます。
カンパニーに入った後、毎年ディレクターとインタビューがある場合も多く、
お給料交渉とか、配役交渉なんてこともあるそうです。
質問する練習してもケガしないし、
バレエを辞めても、質問する力が社会で無駄になることもありません。
質問する力、育てていってくださいね!
Happy Dancing!