脱ペンギン歩き! ターンアウトで歩く弊害

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*このブログは2014年に書かれたものを2020年に大幅加筆修正しました。

 

お団子頭。

大きなバッグ。

足首からちらちら見えるピンクタイツ…

そしてペンギンのようにガニ股で歩く軍団をみたらバレエダンサーの卵を発見したことになります。

 

同じペンギン衆を見かけると、ライバル心からかガニ股度が上がります

バレエスタジオで先生の前を歩くときもそうなりますし、コンクールや講習会でもガニ股度MAXの子達を見かけます。

中にはレッスン中よりも足が開いちゃっている子も。

 

バレエダンサーとしてのプライド?自覚??を持って生活している、というのは良い事なのかもしれません。

でも、体には、特に足(Foot)には非常によろしくない。

ケガにつながる可能性、すでに存在するケガや痛みを酷くする可能性もあるし、関節に大きな負担をかける事にもなります。

すでに外反母趾気味なダンサーだったら酷くなる可能性も。

 

この記事ではダンサーが不必要なケガを防ぐために必要な知識をお伝えしますので、ぜひ脱ペンギンして、人間に戻ってきてくださいね。

ターンアウトして歩くVS普通に歩く

ペンギン歩きの弊害をお話する前に、ターンアウトして歩くときと普通に歩く時にどんな違いがあるか?を比べてみましょうか。

足の裏の体重移動動線

ある程度真っすぐに歩いている場合、体重移動はかかとから親指の付け根(母指球)、そして親指の先に抜けていきます。

あ、そうそう、かかとのどセンターじゃないじゃん!と思った方、かかとの骨って少し外側なので骨で見るとかかとの真ん中、肉をつけた足で見ると少し外側に見えるかもしれません。

 

ターンアウトして歩いていると 体重移動の動線が、踵の外側から親指の付け根ー土踏まずエリアに抜けていくのね。

親指のどこらへんか、土踏まずのどこまでなのか?というのは言及できないので、広いエリアというようにイラストに示しておきますね。

この部分はどれだけターンアウトして歩いているかと、どれだけ足をクロスさせているか?によって変わってくるので。

親指の関節が曲がる方向が変わる

上の続きみたいになるけれど、ここでは親指のMP関節に注目してみましょう。

地面をけるという動きでは、親指のMP関節が(関節のデザイン通り)屈伸します。

 

ターンアウトして歩くと、この関節が動く必要がなくなってしまう。

どれだけターンアウトしているか?によっては親指の先(基節骨&末節骨)が内側に押されるから、

親指の先が内転+内旋してしまう=外反母趾の方向に曲がってしまうことも。

→屈曲、伸展、内転…なんだったっけ?と思った人はこちらの記事で勉強してね

膝の方向が変わる

Footが変わってlegが変わらない事はあり得ないので、足の影響は脛の骨や太ももの骨にも影響します。

真っすぐに歩いている時の膝は、さっき見てみた親指みたいに膝関節も屈伸運動をしてくれるんだけど、

ターンアウトして歩いても膝は前に向いていないと前に進めないじゃない?

ってことは、膝関節にひねりが加わるんですね。

ほら、プリエで膝を落とす時のように。

ペンギン歩きの弊害その1:親指の痛み・外反母趾に繋がる

親指の関節がデザインされた方向に使われていない、という事はヘンな方向に使われている関節に負担がかかっている、という事ですよね?

 

ペンギン歩きをすると、外反母趾の場所にもなる親指のMP関節に大きな負担がかかるという事。

 

  • MP関節の痛み
  • 外反母趾の痛みや発症(進行)
  • 種子骨への負担

なんて問題が起こるかもしれないわけですよ。

 

親指のMP関節が屈伸するという動きはバレエダンサーにとって、すんげー大事です。

 

  • MP関節が屈曲する=つま先を伸ばす動き
  • MP関節が伸展する=ルルベの動き

なんだから。

 

歩いている時に、足の裏を鍛えたり、ルルベを作る関節を動かしているに、ペンギン歩きをしているとその恩恵に預かる事ができません。

→高いルルベのための親指ストレッチはこちら

ペンギン歩きの弊害その2:足のアーチを潰す&足首のロールイン

親指だけでなく、土踏まずを潰すように体重が移動するっていうのも見たよね?

ということは

  • 偏平足の進行
  • リスフラン関節(中足骨と内側楔状骨のぶつかるところ)の慢性捻挫
  • 足首のロールイン(足首関節の回内)を癖にしてしまう

ってことなんですよ。

 

もちろん、足のアーチは衝撃吸収をしてくれる作りになっているので、歩行時に多少上がり下がりしますよ。

でもターンアウトして歩くと、デザインされたアップダウンよりも大きく、そして体重が乗っかるので負荷もかかっているから問題になるんだと理解してくださいね。

ペンギン歩きの弊害その3:膝関節靱帯への負担

膝がひねられるという事は、膝関節をサポートしている靱帯に負担がかかるってこと。

一日にどれくらい歩いているか?にも左右されますけど、

 

  • レッスンで無理やりターンアウトしてバリエーション踊って

(=膝関節をひねり、ジャンプの着地で痛めつける)

  • 日常生活でローキーにひねり続ける

(=膝関節をひねり、引き上げとか、柔らかい着地とか考えない)

なんてしていたら膝が痛くなると思いません?

椅子に座って、この文章を書いているだけで、膝が可哀そうになってくるのは私だけ?

ペンギン歩きの弊害その4:内転筋がお留守に…

ターンアウトして、足をクロスさせて歩くと自分の足を自分で蹴っちゃいます。

なのでペンギン歩きと共に見られる傾向は、俗に言うガニ股歩き。

大腿骨を外転させて、体の真下に足がなく、ペタペタ歩くようになります。

(ペタペタ歩いちゃう原因の一つが、膝関節や親指をはじめとする足の指が使えていないのもあるんだけど)

 

日常生活で内転筋を自然に鍛える方法の一つとして「歩く」っていうのがあるのに勿体ないよね。

 

  • 真っすぐ歩く
  • 脚を組まずに座る

これが日常生活で出来たら、内転筋が自然とスイッチオンされるようになります。

(と書きながら、おもむろに組んでいた足を直す…)

ペンギン歩きの弊害その5:ターンアウト筋の異常緊張

ターンアウト、つまり股関節の外旋をペンギン歩きでしているか?と聞かれたらちょっと疑問は残ります。

もしかしたらひざ下だけひねる、嘘つきターンアウトだけをしている場合もあるので。

 

ただ、ある程度テクニックがあるダンサーだったら、ペンギン歩きでもターンアウトの筋肉を使っていると仮定しましょうか。

そうしたら、ターンアウトの筋肉が縮こまった形で24時間過ごしているってことになるよね。

(筋肉を使う=筋肉が収縮する=縮こまる、だからね)

 

筋肉が異常に緊張している場合、ちゃんと働いてくれません。

凝り固まった肩の筋肉を考えてみてよ。

確かに緊張しているけれど、肩関節が強く動かせるようになったわけではないでしょう?

1つの姿勢で縮こまっているというのは、鍛えていると言いません。 

バレエではターンアウトで歩くじゃない?

ここまで読んでくれた人の頭の中には、1つの疑問が浮かんでいる事でしょう。

日常生活で脱ペンギンをしたとしても、レッスンの中ではターンアウトして歩くじゃない?

それもダメってこと?

 

ターンアウトはバレエのテクニックの一部ですから、ターンアウトしないで踊るとバレエじゃなくなっちゃいます。

ただ、レッスンでは

という行動をとっているはず。

しかも限られた時間の中で、踊りに適した床で。

  • 普段の生活で会話中にマイムしないじゃない?
  • レオタード+タイツが動きやすいからって、お家で着ないでしょ?
  • レッスンではお団子にするだろうけど、毎日ヘアスプレーとキツイポニーテールしてたら頭皮に良くないよね?

バレエで必要な事と、日常生活を分けて頂戴ねってこと。

 

無駄なケガを減らして、一生付き合う関節を守るためにも、

人間としてのプライドをもち、いくら可愛いからってペンギンにならないようにするためにも。

是非今日から、ターンアウトで歩く癖を直してくださいね。

 

 

Happy Dancing!

ai

 

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