「のんびり」「ゆっくり」と「丁寧」の違いを説明できますか?
時間をかけてレッスンをすることと正しくレッスンが出来ているかは別問題です。
丁寧な指導=のんびり・ゆっくりな指導ではなく、上達するためには適切な指導が必要です。
上達の早道になる「基礎を丁寧に身につけること」はどのような指導で実現できるのかを考えてみました。
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みなさんこんにちは、DLSポッドキャストへようこそ、佐藤愛です。お元気ですか?
ダンサーズライフサポート、通称DLSは”生徒の安全と将来の健康を第一に考えるレッスンを「当たり前」に。”を合言葉に、
元オーストラリアの政府認定バレエ学校専属セラピスト兼、セミプロフェッショナルレベルのダンサー向けエクササイズ、解剖学とケガ予防のクラスの講師を担当してきた佐藤愛が、
大好きなバレエを心ゆくまで続けたいダンサー、バレエの先生へ情報をお届けしています。
似て非なるものシリーズをお送りしてきた、今月のポッドキャストも最終回となりました。
どの回がお気にいりでしたか?どの回がグサッと刺さりましたか?
ポッドキャストの感想はhello@dancerslifesupport.comにメールか、インスタ@dancerslifesupportにDMして教えてくださいね。
まだまだ、バレエ界には似て非なるものシリーズのネタになるようなお話が多くあると思います。
厳しい指導と体罰や罵倒の違いを理解していない先生や、コンクール入賞とダンサーの才能の違いを分かっていない人達も多いでしょう。
このシリーズへの反響が大きかったら、また戻ってきますので「こういうのもあるよ」という現場の声と共に感想を教えてもらえるのを楽しみにしています。
最終回の今日のポッドキャストでは、「のんびり」「ゆっくり」と丁寧な指導は違う、についてお話していきましょう。
- 年齢に合わせたレッスン内容を!
- ケガしないようにレッスンプランをしっかりと考えて!
- そのストレッチやテクニックが、その子のレベルに必要でしょうか?
などお話しているDLSですが、一度も
- のんびりレッスンをしていきましょう
- ゆっくりとレッスンを続けていきましょう
とはお話していません。
焦らずに、とか着実に、しっかりと、とはお話していますけど、のんびり、は私のボキャブラリーにありません。
理由は、このシリーズの名前通り、似て非なるものだからです。
「のんびり」や「ゆっくり」という言葉の定義は別に必要ないでしょう?みんな分かるよね?
「丁寧」という言葉には「礼儀正しい」という意味もありますが、礼儀正しくレッスンする事を、のんびりレッスンすること、と間違える人はいないと思うので、
今回の定義は注意深く念入りであること、細かいところまで注意が行き届いていること、としましょう。
お掃除でも、テスト用紙を提出する前の確認でも、レッスンに忘れ物がないか?を確認する作業でも同じですが、
注意深く、念入りに、細かいところまで注意して、と行うと、確かに時間がかかりますよね。
でも、丁寧な対応って、別にゆっくりな、のんびりな対応ではないでしょう?
お店に買い物に行ったとき、丁寧な対応は嬉しいけど、ゆっくり、のんびりされたら…ねぇ。
違い、伝わりますか?
今までシリーズで挙げてきた内容とは違い、ゆっくり、のんびりレッスンしていてもケガしないよね?と思うかもしれません。
確かに、被害は少ないと思います。
でも、1つ大きな問題があるんです。
バレエを習いに来る人達、それがプロを目指していても、自分のために踊っているとしても、上達すると嬉しいですよね?
成長が見えるって、人間はやはり嬉しいんです。
もっと出来るようになったら、思ったように動けたら、憧れの衣装が着れたら、やっぱり嬉しいです。
そんな中、先生が丁寧な指導とは、ゆっくり&のんびりと同じだと思っていたら、生徒達は上達が見えづらくなります。
大好きなバレエ、時間をかけて、お金をかけて、長く通っている。
なかなか上達が見えない…としたらどんな行動をとると思います?
そんなに好きじゃなかったり、ちょっと試してみようかな?と思っている人達だったら辞めると思います。
とってもバレエが好きで、将来踊って食べていきたいと思っている人達だったら?
多分、他のスタジオを探すか、ネットで自宅で出来る上達方法なんて言うのを調べると思います。
ネット検索で、正しい情報なのか、そうではないのか?を見極められるだけ知識がついていればいいですが、
そういう知識がある人は、そもそもネット検索をしないでしょう。
他のスタジオを探すときの言葉は「OO先生はすごくいい人なんだけど、もっと挑戦したい、同じように上を目指している子達と切磋琢磨したい」なんて感じでしょうか。
そして、コンクール受賞歴が羅列しているスタジオを選んでしまうかもしれません。
もちろん、今まで上げてきた努力を無理とはき違える行動(エピソード459)や、向上心を競争心と間違えているほうが(エピソード461)、ダンサーの身体的、精神的なケガリスクは大きくなります。
だけど、一見「のんびり」「ゆっくり」レッスンは害がないように見えるかもしれないけれど、
私は振り子が逆にスイングする危険性も見てきました。
貯金したら利子がつくように、丁寧なレッスンとは最初は結果がゆっくりにしか見えないかもしれないけれど、どんどん利子が溜まっていくものです。
だって、間違って学んでしまったテクニックをやり直したり、癖を直す時間が必要ないから。
そして、バレエのテクニックは全て、基礎のパーツがパズルのように合わさって出来るから。
32回フェッテも、32回のアントルシャシスも、32回のプリエ、ルルベ、もしくはジャンプの繰り返しです。
プリエ、ルルベ、両足ジャンプは、初心者クラスでも学びます。
だから、基礎のパーツがしっかりと身についていれば、応用は結構簡単に身に着くのです。
正しいレッスンは最高の早道なんですよね。
バレエだけでなくても、算数、ピアノ、スポーツなど全て同じだと思います。
忘れてはいけないこと。
それは「のんびり」「ゆっくり」やっていても、正しく出来ているか?は別問題だということ。
基礎、正しいポジションを指導する際に、丁寧に説明し、何度も繰り返す必要はあるけれど、
のんびりしないと、基礎が身につかないわけではありません。
のんびりしていたら、バスに乗り遅れた。
ゆっくりしていたら、レッスンに遅れた。
ということもあるわけじゃない?
もちろん、敢えて「のんびり」「ゆっくり」を差別化に使っているスタジオだったら、今までの話は無視してくださいね。
例えば、60歳以上のシルバーダンサーレッスンは、のんびり、ゆっくり、同じ趣味の人達と集まって、
コミュニケーションをとりながら、体や頭を使います、だったら素晴らしいじゃない。
小さい時から続けていたバレエだけど、学校が忙しくなってしまった受験生が、周りと比べることなく、週に1度ストレス発散の為のバレエクラスとか、
出産後、安全に体を動かす場所として、ジャンプやハイレッグなテクニックが出てこないレッスンを受けて、自分の時間を確保するとか。
こういった理由が明確で、受講する人達もクラスの趣旨が分かっていて参加するんだったら、全く問題ないですよね。
明確に理由を説明出来る時点で、「のんびり」と「丁寧」をはき違えていないことが分かりますから。
現在、インストラクターコースの3期生が教科2を勉強中です。
コース全てを通じてお話するのは、「指導者が明確に理解が出来ていなかったら、生徒に指導する事は出来ない」ということ。
だって、指導者が100%わかっていなかったら、生徒が危険な事をしているのか?を見極めることは出来ないでしょう?
エクササイズ理論を全て理解して!とか、世界のすべてのシラバスを熟知していなければいけない!ではないけれど、
自分のスタジオで、自分がお金をもらって、時間をもらって行っている内容くらいは、自信をもって説明出来るようになっていたいですよね。
何をするとどんな危険性があるのか?という理解や、ケガについての知識があれば、早期発見がしやすい、などという理由でDLSライブラリをバレエの先生方にお届けしていますが、
今月のポッドキャストが、先生たちはもちろん、ダンサーや保護者の皆さんの考え方、ものの見方へのチャレンジになっていたら嬉しいです。
ということで、今日のポッドキャストはここまで。
でもエピソードを終わりにする前に、素敵なお知らせを1つお送りします。
レギュラーリスナーさんだったらすでにご存じの、ダンサー専門管理栄養士、ふみさんが運営者の一人となっている「Taste」グループが
この夏「ボディイメージについて話そう」というオンラインイベントを行うことになりました。
7月16日、日本時間19時30分から21時、オンラインで行われるこのイベントでは、+サイズモデル、エッセイスト、漫画家の3人がゲストに、ボディイメージについて気軽に学べます。
学割もありますが、席に限りがあるため、参加をご希望の方はお早めにTasteから申し込んでくださいね。
自分を磨くということと、ダイエットすることの違い。
痩せるときれいの違い。
自分に自信を持つ、と体重計の数字との違い、を理解できていない人、これらも似て非なるものじゃない?と思う人達は、必ず受けてくださいね。
お申込みリンクはこのポッドキャストの文字起こし版にリンクが付いていますが、
インスタで@taste.food.and.lifeをフォローしたりDMを送ってみてください。
DLS主催のイベントではないため、私たちは質問にお答えすることができません。
では、また来週のポッドキャストでお会いしましょう。
Happy Dancing!
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