自信をもってレッスンを指導するために

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勉強すればするほど、自分の指導に自信がなくなってしまう。

 

この質問、悩みは2015年から行ってきた教師のためのバレエ解剖学講座も、最近のプログラムであるボディコンでも、

そして一番長い時間を私と過ごす、DLSインストラクターコースの小鬼たちからも聞きます。

 

勉強すればするほど、自分の間違いに気づいちゃうし

情けなくなっちゃうし、生徒に申し訳ないとも思ってしまう。

だから勉強しない(=傷つかないため)という人も実は結構多い。

 

ちょっとドキとしましたか?

 

  • スタジオ経営+クラス指導、レッスンプラン作りに保護者対応…忙しいから
  • 今は発表会(コンクールが、コロナの対応が…)に集中しないといけないから
  • 家族が小さくて手を離せないから

 

これらは全て言い訳ではありません。

真実です。

 

個人事業主で、クラス指導だけでなく裏方もやらなければいけなくて、しかもお家に帰ったら家族との時間もある。

これは嘘でもなく、弱音でもないです。

バレエの先生、というか、世の中の全てのsmall businessを運営している人達は大変なんだよね。

 

Small business ownerの私もよく分かります。

忙しくない日なんてないでしょ!?

やることリストなんて作ったら、それだけで1日終っちゃうよね笑

 

でもね、「自分がやっている事に自信がない」って苦しいですよね。

今日は指導者の自信にスポットライトを当てて考えてみました。

勉強すればするほど自信はなくなるもの

ポジティブに!自分のいいところを!!自分だけの輝きが!!!

というのもいいかもしれませんが、DLS歴の長い方々は私がキラキラ系指導者じゃない事はご存じですよね。

 

いつも通りデータを見てみましょう。

 

Dunning–Kruger effectというのは、DLSセミナーでも出てきたことがあるので知っている人もいるかもしれません。

これは心理学の世界の言葉で1999年にだされた研究から来た言葉だそうです。

元の研究を読みたい人はこちらから

 

色々と解釈されて元の研究から離れてしまっている情報も多く見られますが、定義でこう書かれています。

The Dunning-Kruger effect is a cognitive bias in which people wrongly overestimate their knowledge or ability in a specific area.

ダニングークルーガー効果とは、知識や能力を過大評価するという自分認知バイアス。

 

それだけだと良く分からないんだけど、Ted-Edにとても分かりやすいビデオがあるのでリンクをつけておきますね。

 

知識が能力が足りない人は、2つの問題があるそうです。

1つは知識や能力が足りないから間違いを起こすんだけど、

知識や能力が足りないから、間違えた部分も自分で分からないので、直すことも出来ないし気づくことも出来ない

 

だから勉強しはじめると、自分の出来ない部分が見えてくるんですね。

今まで分からなかった部分。

 

それを「分からない事は、分からないから、わからない」というブログ記事でも書きました。

 

リサーチとかビデオとか関係なく、理解力の問題として

勉強すればするほど、自分の出来なかった部分が見つかるので、自信がなくなっていく

という事は頭に入れておきましょう。

 

逆に自信がいっぱいだったら、もうちょっと勉強しましょう笑

「何」に対して自信がないのかを明確に

ケガしたときでもそうだけど、何か問題が起こったとき、まず最初に行うべきことは、「何」が問題なのか?を理解することです。

 

膝が痛い!となったら、

  • タンスにぶつけたから痛いのか
  • ジャンプの着地でひねって捻挫したのか(捻挫は足首だけに起こるケガではないですからね)
  • 過伸展をコントロールしていないので、長時間経っていると靭帯や周りの組織に負担がかかっているのか

という「何」が問題なのか?を考えないといけないじゃない?

上であげた3つは全くもって違う事をしないと改善しないんですから。

 

タンスにぶつけたんだったら、いくら筋肉を鍛えても、レッスン回数を増やしても、タンスの位置を移動させなければ改善されないでしょうね。

 

逆に過伸展コントロールが出来ていないんだったら、タンスの位置を変更している時間があるんだったら、エクササイズしてほしいわけです。

 

勉強しました→自信がなくなりました。

だけでなく「何」に対して自信がなくなったのか?を考えてみましょう。

 

  • 指導内容?(レッスンプラン?発表会の振付?)
  • スタジオ方針?(ポワントの年齢?コンクールの量とか??)
  • 声掛け?(レッスン中の注意?バレエと関係ないのに色々と口出していた事実??)

もしかしたら

勉強してこなかった自分が、生徒に自主練しなさいよと言い続けてきた矛盾に気づいてしまったという場合もあるかもしれませんね。

勉強し続ける

「何」に対して自信がないのか?が分かったら、その部分を勉強しましょう。

って当たり前のことを書くな!って思われそうですよね。

 

では、こんなシチュエーションはいかがでしょうか?

  • 本番2週間前の合同リハ。自分の踊りに自信がないと言っている生徒がいます。
  • でもその子はリハも休みがちだったし、先週言われた注意すら覚えていない…

としたら心の中でそりゃそーだ、と思いませんか?

 

自分の振付が分からない+言われた注意も分からない=そりゃ自信なくなっちゃうよね。

本番は鏡もないし、やり直しも出来ないし、(コロナ対策で少なかったとしても)お客さんもいるしさ。

 

これこれ。

 

「何」に対して自信がないのか?が分かったら、そこを時間をかけて修正しないと、ポジティブシンキング☆でどうにかなる訳はないんですね。

 

  • 自分の振付が分からない=自分の指導内容が分からない
  • 言われた注意も分からない=生徒に注意している言葉の「本質」が分からない
  • 本番は鏡もない=指導中は誰かがサポートしてくれるわけでもない
  • やり直しも出来ない=ごめん、先生先週言ったの間違ってた!って言えない
  • お客さん=生徒

 

ほらね、さっき例で挙げた生徒と、自分との繋がりが見えてきたでしょ?

 

ボディコンサークル参加者の先生方にも良く言うんだけど

生徒に言っている事、自分でやってごらん?

ってやつね。

 

練習しなさい!リハ休まないで!といっても最近の子は

学校もあるし、部活もあるし、他の習い事もあるから忙しい。

友達付き合いもあるし、コロナ対策で授業の感じも慣れないものかもしれないし…

 

あれ?この記事のスタートで書いた状況と似てません?

 

そう、これも真実で、言い訳じゃない。

だけどその「真実」の中でどう対応するか?は自分「が」できる事

現状を理解しつつ、どの方向に変化していくか?も自分「が」できる事

自分を信じる=自信

勉強する時間を捻出する方法とかは、他の記事かミニワークショップにしてご紹介したいと思います。

でも今日のテーマは「自信をもってレッスンを指導すること」。

自信を持つって、言葉通り、自分を信じる事なんですよね。

 

もちろん、来年の発表会ではもっと上手になった自分をお客さんに見せたいけれど、今の自分が出来る最大限で舞台に立つって大事だよね。

逆に、直前にケガをして思ったように仕上げられなかったら、不安もあるだろうし、

成功率が低いテクニックがあったら、その場所だけでなくバリエーション全体に自信が持てないと思う。

 

私はここまで練習したから大丈夫。

そう思える事で、緊張はなくならないと思うけど、自分のやってきたプロセスには自信が持てると思う。

 

指導者も同じではないでしょうか?

 

  • コツコツと努力し続ける
  • 今現在の自分が知っている事100%で指導する
  • 逆に分からないことは指導しない
  • 嘘はつかない

この4つを行っていれば、自分の「プロセス」を信じる事は出来ると思う。

 

あ、プロセスっていうのはチーズの事ではございません。

行程、過程、道のりという意味の方です。

 

OOさんはどうだから…ではなく、自分のプロセス(道)を歩くという事ね。

他人と比べるときは正しいデータを比べる

とはいえ「他人と比べないで!」は社会動物の人間として不可能だと私は思います。

集団行動でマンモスを狩ったり、お互い役割分担してトライブを守ってきたんだから。

 

他人と比べるというのは、ビジネス面でも大事だと思うのですが、正しいデータを比べましょう

 

バレエ教師が他の先生のスタジオに見学に行くことはほぼないと思われる(特にコロナ渦中は)ので、

他の人と比べる場所は

  • コンクールの引率(生徒の結果)
  • SNSで見るスタジオの様子

だと思いますがいかがでしょう?

 

コンクールの結果では当日の結果であり、ダンサーのプロセスではありません。

試験官がその子が3か月前どこにいて、どうやって練習してきたのか?を知ることはないです。

 

自分の生徒が予選落ちだったとしても

  • 緊張したけど、初めてソロを踊った
  • 自分でバリエーションを決めて、役のバックグラウンドまで考えて表現方法を考えた
  • 練習を一度も休まず、しっかりと体のケアをしてケガゼロで挑めた

などがあったら、それは生徒の成長であり、それを応援した皆さんの手柄の一つでもあります。

 

比べるデータは当日の結果ではなく、その子の伸びた幅です。

比べるデータはその子に対し、自分がどれだけ正しくサポートが出来たか、です。

 

SNSに寝起きですっぴんの写真をアップする人がほぼゼロなのを考えて
(私は寝起きすっぴん、パジャマでVlogをアップする変人ですが)

スタジオの写真、投稿は「造られたもの」だというのを忘れずに。

 

造られたものが悪い!のではないですよ。

バレエなんて超!造られたものじゃない。何度もリハするし、メイクも照明も衣装もあるし。

 

ただデータとして比べる時に、

時間をかけて、PR材料として(プロが?)撮った写真と、自分が毎日見るスタジオ風景を比べない事

 

子供たちのレオタード姿を一般の場所にアップしてしまうと、どんな変態がダウンロードしているのか分からないから、私はアップしない。

とした場合、それはスタジオオーナーとして生徒を守る行為であり、インスタ映えを狙っている訳ではない。

 

ただし

  • 今日はOOを勉強してきました
  • 生徒達と一緒に舞台を見てきました

などがアップされていて

  • 自分は最近、ちゃんと時間とお金を払って勉強してないな
  • 生徒に舞台芸術を見てもらう大切さを語っていないな

と気づいたら、それは他人と比べて学んでくださいませ。

ボディランゲージとハッタリ

今までいい事言ってきて(?)、ハッタリ…

そう、時にはハッタリも大事だと私は思います。

 

辞書にある「相手を威圧するために、大袈裟な言動をしたり、強気な態度をとったりすること」の方であり、「殴ること」の方のハッタリではございません。

くれぐれも、DLSブログに書いてあったから、と生徒を殴りにかからないでください。

捕まりますよ?

 

余裕がないけど、自信があるように見せる方法という記事では、ダンサー向けに同じトピック「自信」をお話しました。

そこでも書いたけれど、ボディランゲージってとても大切です。

相手(生徒)に与える印象もそうだけど、自分の体(ホルモン)に影響するという研究を一緒に見てみましたよね。

 

分からない事があったら、堂々と

「先生も分からないけど、来週までに調べてみますね。OOちゃんも調べてみて教えてね」

と答える。

分からなくてごめんなさい、でもなければ

分からないけど嘘をつく、でもないです。

 

ただし信頼関係の為にも「調べてきます」と言ったらちゃんと調べてきてくださいよ。

そういう時に、質問・相談出来るメンター(コーチ、同志)がいると便利ですよね。

 

  • 先生は神様ではないから、質問してもいいんだ、と分かること
  • 大人は全部を知っている訳ではないから、言われた通りだけでなく、自分で考える力をつけること
  • 興味があることに対して、周りと(リスペクトフルに)ディスカッションする楽しみ

これらを学んでくれたら嬉しいじゃないですか。

 

何を言わないか?という記事でも書いたように、先生の言動が生徒に与える影響って大きいんですよね。

まとめ:自信をもって指導するために

  • 分からない事、不安な事が増えたら、知識が増えた証拠
  • 「何」が分からないのか、自信がないのかを明確にする
  • 勉強はしようよ!
  • 自分のプロセスを信じる事ができる事=自信
  • 正しいデータを比較する
  • ボディランゲージ、ハッタリも大切

リストの上から順番にこなしていってね。

 

おまけとして、

  • 同じ気持ちを分かってくれる人がいる環境を作る(バレエ学校の友達なイメージ)
  • 苦手な教科も含めて、勉強をし続けられる環境を作る(バレエ学校のイメージ)
  • 何かあったら相談出来る仲間、先生をもつ(ルーク・スカイウォーカーとヨーダなイメージ)

があると、よりプロセス(過程)に自信を持てるようになるんじゃないかな?と思います。

 

同じ山登りでも、一人で行くより、音楽(他人の声)があったほうが、音楽だけでなく仲間と応援しあいながら、途中で休憩してご飯食べながら行く方が、楽しいとおもいません?

(全員商売敵!みたいに考えるんじゃなくてさ)

皆さんの地域でそんなグループが見つけられるかもしれませんが、

DLS内で探すんだったら、ボディコンサークルは国・地方に関係なくオンラインで参加出来ますよ。

 

 

Happy Dancing!

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