先に言っておきます。
題名はSarcasm、つまり皮肉です。
育てちゃダメです。
でも、この題名で引っかかった子達のバレエ人生(そして人間としての残りの人生)をHappy Dancingにするために、あえてこのままで行きます。
なーんだ、だったら読まない、って思った人。
それでもいいです。
でもね、ダンサーとして致命傷になるという事だけ知っておいてください。
よーし聞いてやろう、と思った方。
さっそく行ってみようじゃないか!
反張膝とは?
反張膝(はんちょうしつ)って何かわかります?
バレエX脚とかっていうやつね。
膝が伸びすぎる事で、過伸展(かしんてん)とも言います。
関節が伸びすぎるということは、膝だけに起こるのではなく、ほぼすべての関節で起こり得る事。
代表的なのが反張膝、膝の過伸展。
次によく見るのは、サル腕。肘の過伸展。
指が後ろに反る子とかさ、いろいろな関節であるんだよね。
反張膝は”普通”じゃない
いろんな関節で起こるんでしょ?
だったら普通じゃないの?って思うよね。
普通じゃないんだよ。
私も、友達もあります≠普通 だからね。
バレエスタジオに通う子達はそういった体の子達が残りやすいから、結果として「普通」に見えてしまう事があるから十分注意が必要。
言っている意味が分からないって?
みんなは日本語喋るよね?
だからDLSを読んでるんだもんね。
でもさ、日本語を話すことは「普通」だと思う?
「日本」で「日本語」は普通かもしれないけど、アメリカでは?ロシアでは?
世界人口を見た場合、日本語を話すことができるのって「普通」ではないよね?
反張膝はケガしやすい
体は骨が積み木みたいに積み重なっていると、一番楽です。
だから正しいアライメントで踊るという事は楽だし、無駄な筋肥大を防げるし、ケガのリスクも減ります。
靭帯が骨をサポートしてくれてるんだけど、靭帯もエネルギー消費が少ないから、
骨が並んで、靭帯で結んでおく
っていうのは効率がいいです。
この部分の話はバレエの立ち方できてますか?でも書いてるし、
ターンアウトできてますか?でも書いてあるし、教師のためのバレエ解剖学講座でもお話しています。
ので、今日はこれ以上深く見ていきません。
反張膝、膝の過伸展は、
- 骨が並んでいない=骨がサポートできない場所で
- 靭帯が元々デザインされた量以上の体重が乗ります
つまり、
疲れる、安定しない
無駄に筋肉を使ってしまう(筋肥大が起きる可能性が高くなる&ケガする可能性もアップ)
=踊りづらい
となります。
しかも、膝を過伸展させると、靭帯の構造上大腿骨が内旋します。
難しかったね、もう一度。
膝を過伸展させると、靭帯のひっぱりのせいで、太ももの骨がターンインしちゃいます。
つまり、股関節から軸足をターンアウトすることが難しくなるんです!
(この部分もターンアウト出来てますか?ブックに書いてあります。じっくりと読んでください)
- 靭帯への負担
- 骨が整列しない事での筋緊張や使い方の問題
- 軟骨への負担
- ターンアウトが正しく出来ないポジションになってしまう事から来る問題
このように膝の過伸展がケガに繋がっていくのです。
反張膝は育ってしまう
サル腕とか、反っちゃう指と違って、反張膝は危険です。
膝っていうところがキーポイントになるんだけど、体重が乗るから(踊っていない時も)常に体重を使って靭帯をストレッチしていることになるんです。
だから過伸展する関節(特に体重が乗る部分)は年齢が上がれば上がるほど、
体重が増えれば増えるほど(=体が成長する)、角度がひどくなります。
上にのる重さ、長さが増えれば増えるほど、体をコントロールするのに力を使いますね。
だから過伸展している関節に負担がかかり、軟骨がすり減るなどの問題につながります。
特にバレエ人口のように
- 元々体の柔らかい子達が多い
- 女の子が多い(=体が柔らかい、靭帯が緩む周期がある)
- 過伸展した膝を求める人が多い
- ストレッチは好きだが、筋トレ(特に太もも)は嫌い
- ダイエットをしていて、体の組織が健康ではない
という人達がそろうと、この危険性が増すし、過伸展がどんどん育ってしまう問題も加速します。
*体重が減れば、かかる負担も減るよね、と思ってしまった貴方、間違っています。
骨の整列がない分、筋肉が余計に働かなければいけない為、体が強くなければいけません。
体を強くするためには、栄養、エネルギー(カロリー)が絶対に必要です。
膝だけじゃなく、股関節の痛みにも
いままでのところは私のセミナ―を受講した人達だったら復習みたいでしょ?
本を熟読してくれた人たちもあー、そうそう。って思ってくれたよね。
じゃここで、新しい情報を出します。
反張膝は股関節のケガともつながっています。
!!
そう、ルティレにしたら、アラセコンドにしたら
- 痛い
- 詰まる感じがする
- うまく股関節を曲げられない(スムーズにプリエができない)
なんて問題になるんです。
なぜかって?
大腿骨って膝関節をつくる骨だけど、股関節をつくる骨でもあるから。
膝の方(大腿骨の終わり)が後ろにいったら、股関節の方(大腿骨の上の方)は前に出ますでしょ?
骨がおれない限りね!?
だから、股関節に大腿骨の骨頭がしっかりとはまらない。
(教師講座受講者はここで股関節の形を思い出すこと)
よってさっき上げたような痛みに繋がります。
股関節に問題が起こるという事は
- 脚を高く上げる事
- 軸足の安定
- ターンアウト(股関節外旋)
にも影響が出るってことですね。
反張膝は足首のケガにもつながる
膝も痛けりゃ、股関節も痛い。
それだけじゃないんですよ。
足首の問題にもなります。
この部分はこのまえ、FBライブで後方インピンジメントを説明した時にもお話しましたね。
あの内容、そのうち記事にしようと思っているんだけど、今は、ビデオを見てください。
ビデオで詳しく説明しているから今はここだけポイントを押さえておこう。
反張膝の角度がつけばつくほど、つま先が伸びなければポワント(デミポワント)で立てません。
そのポジションに「無理やり」いくので、足首が詰まったり、痛くなったりします。
ポワントの問題だけでなく、立っているときの体重も
骨盤ー膝ー足首ー地面とまっすぐに降りるはずが、過伸展コントロールが出来ていないとうまくいきません。
重心が正しいところに落ちない。
そうなると、ダンサーにとって唯一の地面との接点である足に影響するのが分かりますよね?
ほら、ジャンプの着地とか、バランスをとる時とか。
反張膝はバレエに必要か?
昔の記事で、(プリエのように)膝が前に曲がっていようと、(過伸展のように)後ろに曲がっていようと「曲がっています」
- バレエで膝をまげていいのでしょうか?
- 骨盤を一番高い位置に持ってこなくてよいのでしょうか?
膝が痛くて、股関節が痛くて、しっかりとルルベに立てなくて踊れるのでしょうか?
答えは否。
確かに見た目、で必要だというのもよく分かります。
ただね、その「見た目」って最後の飾りなんですよ。
イチゴのショートケーキのトッピング生クリーム。
その前においしくて、しっかりとしているスポンジケーキが必要で、
旬のイチゴや新鮮なクリームが挟まっている必要がある。
そして、
それらがすべてできたところで飾り付けをする、と。
(同じような内容で、材料を持ってくることという記事もあるね)
飾り付けの部分だけ必死になっても、
ケーキの形していなかったら、ただのクリームだからね。
見た目ばかり見ていても、踊れていなかったら、ダンサーとは言わないからね。
バレエ学校で働いていますもの、オーディションやビデオ審査で体型を見られるのは知っています。
同じ実力のダンサーが二人いたら、膝のラインを優先するディレクターがいるかもしれません。
でも飾り付けには好き嫌いがあるので、
- ジャンプができる子
- ビザがある子
- 身長がある子
とかで選ばれる可能性だってあります。
そんな小さい部分に、あなたのダンスキャリアを賭けますか?
その前に練習しなきゃいけないことってたくさんあるんでしょ?
だったらそっちをやりなさいって。
いつだって私たちのゴールはHappy Dancing
踊れなかったら意味がない、と覚えておきましょう。
Happy Dancing!