知ってる、やってる、そして極める

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知ってるとやってる、という昔記事にしたこともあるコンセプトが今回の来日セミナーの(勝手な自分)テーマでした。

そして、そのテーマは事前に伝えてあったわけではないけど、参加者のフィードバックシートにもたくさん書いてあったので心が通じた気がした笑。

 

「知っているつもりだったけど、甘かった」

「やっているつもりだったけど、そこまで見ていなかった」

「知識としてあったけど、実践していなかった」

 

  • ちゃんとやると、数回で効果が出ることも、
  • ちゃんとやると、ケガしている部分がいたくないことも、
  • ちゃんとやると、4日で子供が劇的に上達することも、

体験してもらいましたから。

 

そんな約3週間の来日セミナ―で400人と会ってやってきたセミナ―で感じたことを今日はお送りします。

子供を育てるのは親

ダンサーの卵は東京と名古屋で、そしてキッズセミナ―が4日間あった、というスケジュールだったため、

今回の来日では親と子供を一緒に観察することができました。

 

やはり、子供を育てるのは親なんだな、と。

バレエ教師は自分が子供を育てていると思いがちですが、影響はしているけど、育ててはいないと思う。

 

それは親の仕事。

  • しつけ。
  • 礼儀。
  • 考え方。

これは親から来ているみたいです。

 

  • 靴をそろえるという単純作業ができる子は、レッスンでも人の話を聞いている。
  • 親がバレエバックを持ってあげている人は、子供が注意を聞いていない。
  • いきなり挨拶なしに質問してくる親の子供は、おはようございます、も言えない。

など。

 

人の行動を見ているのが好きな私にとって、いろいろな収穫がありました。

愛さん、今日もありがとうございました、今質問してもいいですか?

このセリフを言うには5秒かかりません。

でも、そういってくれるだけで、こっちの気持ちも質問がくるのか!と準備できますし、

何より時間をとって答えよう、という気持ちになります。

 

いきなり、目も合わせず、隣に立ち(怖いよ!)

うちの子を中学受験させるか高校受験させるかで迷っているんです、と言われても、

あなたの娘さんが誰なのか、私にはわかりません!!

 

そういう子に限って、4日間なんだかつまらなさそう。

本当に、心から自分で踊りたいのかなーって思ってしまう。

 

そして受験「させる」という言葉の通り、バレエも「させる」なのかな、とか。

 

去年キッズを受けた子の中で、

「愛さん、去年もお世話になりました。すごく勉強になったので今年もよろしくお願いします。3つ質問があるんですが・・・」と話してくれた子がいました。

おお!ですよね。

キッズセミナ―に参加しているのは9,10歳くらいから大きくて14歳。

練習したらできる。

 

そうしたらプリンシパルになれますか?

そりゃ分かりません。

でも、礼儀や話し方が人生の中で無駄になる事はありますか?

海外組が知っている事

もう一つ気づいたことは海外組、というか元プロ組。

 

年齢ではないですよ、昔海外で踊っていました、とか昔留学していました、とか

今現役です、という人達が今回は多かったのですが、

そういう人達は自分への甘さや、知識不足がどれだけ痛手になるのか知っていたようです。

世界に出たら、自分は一人、ということ、頼れるのは自分であるという事をしっているんでしょうねーそういうコメントが多かったです。

 

プロになる。

どの世界でもそうですが、それってすごく厳しい事です。

そしてその世界に長くいればいるほど、自分に足りない部分が分かるようになります

(私もそーです・・・病気になった時とか、後で振り返って自分突っ込みが必要です)

 

そういう人達はもともと、自分を高めていくという作業が好きなようで、

知識欲もあるようです。

自分で稼ぐことの大変さをしっているから、というのもあるかもしれませんね。

 

勉強したい人は積極的だというのは毎回日本でセミナ―をしていると気づきます。

言われたことがやりたい人と、言われたことを極めたい人。

 

海外留学をさせている生徒が多い先生や、自分の肩書が大きかったりするダンサーで、DLSに来てくれる人は本当に勉強熱心です。

こっちがびっくりするくらい。

 

某大手バレエ団の元トップだった人は、

  • 受講、
  • 家に帰りそれを練習、
  • 次の日までに聞きたいことがまとまっている、

という事を1週間以上続けていました。

これが、トップにいる人の「日常」なのかと思った。

 

逆に、いろいろな人のセミナ―を受けている人は、知識だけ増えていって、

それをやっていない自分に気づかないようです。

 

それ、聞きました、それ知ってます

でも、なんで同じようにケガをするダンサーがいるの?と聞くと

「そういう世界だから仕方ない」。

仕方ない、と片付けられてしまう子達の気持ちを思うと悲しくなります。

リスクがあるならやらない OR しっかりと説明する

ストレッチについてもボディコンディショニングセミナ―の5グループ+新体操コーチセミナ―でもお話しました。

 

平均して一クラス20人だから120人が同じ方法で体を柔らかくしてもらいました。

どうやって?

首をマッサージして。

 

そう、ストレッチってただぎゅーぎゅ―すればいいだけでなくって、身体の構造を考える必要があるのです。

 

本当にそのストレッチでいいの?というゲームもやりました。

デヴァンに上がるには何をすべきか?というお題をグループで考え、それを発表し、クラスにいる全員がやる。

半分以上ストレッチの効果が感じられなかったら失敗!

 

失敗したから、いつもやっているストレッチでは全く結果が出ないことも分かりました。

 

  • フィギュアでは、後ろの足が頭の高さを超えなければ点数にならない。
  • 新体操では、頭と後ろの足が使なければ点数にならない。

(これは参加者に教えてもらった!)

これが100人以上の前で今回やった結果発表。
壁にしるしをつけて、完全に同じ条件で結果を確認することで、やってる「つもり」ストレッチから、安全で、簡単で、効果のあるストレッチへ。

 

でも、バレエはそうじゃない。

必要ない事をして、ケガをするリスクがあるならば、やるなよ、と私は思う。

どんなバレエ学校でも、柔軟性を測ってテストされることはありません

 

ワガノワやパリ・オペラ座ではある、と思うでしょ?それは一年生に入る子達だけです。

コンクールで、とか途中留学、とかだったらやりません。

Why? 必要ないから。

 

オーディションで脚を上げるステップまでいけない子達の方が圧倒的に多いのですよ。

書類でおとされるとか、バーでおとされるとか。

そっちの練習(立ち方、基礎、体力・・・柔軟はないくせに、体力テストが組まれているオーディションは多いです)はする必要がある。

 

先ほど挙げたように、スポーツによってはリスクがある事をしないといけない場合があります。

その場合、徹底的に正しくやらなくては

 

どんな薬でも箱の裏に副作用が書いてあるンですよ。そして、それを知った上で、購入するかを決める。

 

未成年だったら、親の承諾が必要になります。

これも話題に出たけど、海外のバレエ学校では触って生徒を直すな、というところも多くなっています。

エクササイズやクラス内容を承諾するのは親であり、未成年ではありません

 

大人になってセミナ―にいく。

というレベルと、

クラスで先生に無理やりやられて(だってどんな体でも同じことするでしょ?)、20歳になった時に手術が必要。

 

は、薬の副作用を読んで承諾するというのと、アレルギーを確認せずペニシリン注射打たれるのと同じリスクがあるんじゃないの?

 

今の文章読んで、分からなかった人、貴方は自分に、もしくは家族にペニシリンアレルギーがないって事。

そしてペニシリンは20世紀の偉大な発見といわれるくらい医学を進めたものだけど、外来患者の10%がアレルギーがあるって言われることもあるくらい。

つまり、病気を治療する尊い薬でも、レッスンにくる10%にとっては毒になる可能性がある。

 

お医者さんが、リスクはありますけど、10%だからやりましょーって子供に言わないだろ??

同じ効用がある、他の薬を出せばいいんだから。

(今回のセミナーでやった筋膜コネクションとかさ!)

 

ケガするリスク、病気のリスク、副作用。

それがあるなら説明をして承諾を得るか、体質(ケガの歴史、年齢、関節弛緩率、生理周期・これと靭帯のケガは繋がっているetc)を調べて、その子に合わせる。

それができないなら「やらない。」

知ってる、やってる、極める

知っているだけではダメだ。

やらないと。

やるって言っても、週に1,2回とかレッスン前にではなく、確実に、しっかりと毎日。

そしてただ数をこなすのではなく、極めるつもりで。

 

知っている知識だけじゃダメだ。

クラスに取り組まないと。

無理やりストレッチはだめですーって言いながら、クラスでエビぞりをさせるなって事よ。

今回のセミナーで100人以上の年齢もケガも、職業も別々の人達の柔軟性を「絶対」向上させたでしょ?

ストレッチ指導するなら、そういうところまで極めないと。

 

この時の「極める」というのはその道のプロになるということではなく、

そのエクササイズを自分なりに極める、ということ。

 

でもまずは、「知る」ところから始めないとね。

 

キッズセミナ―での一部。

元新国立の西山裕子さんが「私を見て勉強してくださいね」って言った後にお手本を見せてくれていたのに、

それを「見ている」子は本当に少なかった。→レッスンを見る技術

 

  • 音の取り方。
  • 手の通り道。
  • 目線。

そこまでやって、振り付けを覚える、なんだよ、と説明しました。→振り付けを覚えることは絶対である

 

みんなは何をみていたのか?

知っているつもり、な子もいたし、

鏡で自分を見ているだけ、の子もいた。

→鏡をみて踊ることについての記事

 

何を見ていればいいのか、わかっていない子もいた。

つまり、スタジオでそのレベルまで毎回やっていないんだね。

それは彼女の責任ではありませんから、今回勉強して、それをスタジオにも持って帰ってほしいなと思う。

 

できないことが分かって初めて、できるように努力できます。

そしてできるように努力する時、どこで満足するか、は本人次第です。

そして情報が簡単に手に入り、みんなが専門家みたいなことを書いている場合、その中で嘘を見極め、自分に必要なものを選ぶ力が必要です。

写真左:ダンサーの足セミナー
右:教師講座
情報がたくさんあるからこそ、勉強だけでなく、自分の体でやってもらい、結果が出ることを立証してもらいます。
じゃないと、ただの暗記。極めるためには、自分が納得する必要がある。

 

(正しく)知る、(確実に)やる、(最大限に)極める。

この三段階が出来たら、誰でも、どの世界でも、ある程度のレベルまで行くと思った来日でした。

 

Happy Dancing!

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