リリースとストレッチの違いとバレエダンサーが知っておきたいこと

DLS歴が短くても、私がストレッチ大好き人間ではないということは殆どの人が知っていると思います。(100%そうではなく、ボディコンサークルでも指導してますが、白黒つけた方が分かりやすいんだろうね、だったら「嫌い」のカテゴリで結構です)

 

レギュラーさんになったら、愛さんの前でストレッチとダイエットは口が裂けても言えないだろうし、

この前終わったばっかりの家族で学ぶダンサーのケガシリーズに参加してくださった保護者の皆さんにも、

良かれと思って子供に推奨していたことが、ケガのリスクを上げてしまうという事実をお話しました。

 

でもさ、ストレッチはダメでもリリースはいいの?

(小声でぼそっと)リリースって何?と思わず呟いてしまった方々に朗報です。

今日は「ダンサーにとっての」ストレッチとリリースの違いをお話していきましょう。

 

*長いです!

読むのが苦手な方はオニカツで同じ内容を会話形式でご紹介していますので、そちらをどうぞ。

言葉の定義

「ストレッチ」も「リリース」も英単語なんですよね。

よって、ストレッチ=椅子に両足を載せたすプリッツでもなければ、リリース=ヤムナボール、というわけでもありません。

まずは、言葉の定義を辞書で調べてみましょう。

ストレッチ Stretch

  • 引き伸ばす、引っ張る
  • ピンと張る
  • (道など)が続く
  • お金や食料を長く持たせる

 

リリース release

  • 解放する
  • 自由にする
  • 緩める
  • (新商品を)発売、公開する

 

オニカツライブでは以下のようにイラストを書いて説明しました。

どっちがストレッチで、どっちがリリースか分かる?

 

点と点を引っ張る、遠くにする方向で引き伸ばすのがストレッチ(イラスト左)で

点を様々な方向に解放する、緩めるというのがリリース(イラスト右)ということになりますね。

オニカツビデオのこの部分で実際にリリースをやってみているので、一緒にやりたい方はどうぞ。

ストレッチには色々な種類がある

静的ストレッチ、動的ストレッチ、ダイナミックストレッチ、専門的なことを知っている人であればPNFとかね。

ストレッチには様々な種類があります。

 

でもDLSでは「バレエダンサー向け」に記事を書いているので、

  • 多くのバレエダンサーが思うストレッチ
  • スタジオ内でよく見るストレッチ

にフォーカスしていきましょう。

 

スタジオでよく見る光景としてはダンサーが

  • 床に座っている
  • 開脚、前後開脚をしている
  • 大体の場合、脚をローラーの上に載せたりとしてオーバースプリッツと言われる、180度を超える開脚をしている

と思うのですがいかがでしょうか?

(ライブでは多くの人達がそうだよ!と教えてくれましたよね)

 

2つ目の点は開脚でなくても

  • エビぞり(バーをもって後ろにそる、など)
  • 胡坐(のような姿勢、膝をまげて大腿骨外転+屈曲)で体を前に倒す

でも構いません。

 

このようなストレッチのことを静的ストレッチと呼びます。

名前の通り、動きがミニマムな、静かなストレッチってことね。

 

しかも、

  • 自分の持っている最大可動域で止めている
  • 能動的でなく、受動的な可動域を作っている

の2点もメモが必要な部分。

 

なので、ここから先敢えて説明を加えていなかったら、ストレッチ=バレエダンサーが思うストレッチということでお話していきます。

関節最大可動域って?

関節には動く幅があります。これを可動域(かどういき・Range Of Motion/ Range Of Movement)というんでしたね。

関節最大可動域というのは、その関節の持っている、一番大きな可動域を指します。

 

最大可動域を超えるとどうなるか?

脱臼、骨折、靭帯・腱損傷などのケガになりますね。

 

多くのダンサーが肘を伸ばし切った場合、筋肉が伸びている感じはしないでしょう。

でもそれ以上肘を伸ばすことはできません。

(ダンサーが、と言っているのはテニスや卓球など肘をまげて使うスポーツを行っている人であれば、関節周りの筋肉を使っているので固まっている場合があるので。)

 

これ以上肘を伸ばそうとするとどうなるか?

骨、折れます。

 

関節には動く方向、動く幅があり、それを超えたらケガをする。

これは頭に入れておいてください。

伸ばしているのは筋肉だけじゃない

関節最大可動域で止まっている場合、筋肉が伸びるだけでなく(硬かったら…肘のように必要ない場合もある)

  • 関節包
  • 靭帯
  • 関節を超えてついている腱

に負担がかかります。

 

もちろん、血管も神経も体の中にありますね?

  • ストレッチした次の日に青あざになっていたら、血管を切ったことになります。
  • ストレッチして、1か所に長くいたらしびれた感じがした場合、神経を圧迫している可能性があります。

 

腱は筋肉のしっぽですから、負担は少ないかもしれないけれど、関節包も、靭帯も、伸びるようには作られていません。

彼らの仕事は関節を止めておくことですから。

 

特に、その関節が空中に浮いている場合危険度が増します。

だって床のサポートがないんですから、押しているプレッシャー「全て」が伸びない組織の上にかかるってことです。

 

ゴムを引っ張ったら伸びるけど、紐を引っ張ったら伸びないでしょ?

もっと引っ張ったら紐、切れるよね?

そういうこと。

筋肉の長さにも終わりがある

あれ?

でもゴムも、引っ張り続けたら切れない?

そう気づいた方、素晴らしい。

 

私たちの大好きな、すごくキツいポニーテール(私だけ?でもお団子で緩くなってきたら気持ち悪いもんね!)

これでもか!とゴムを引っ張ると切れますよね。

それでまた、髪の毛を集めるところからやり直し…

 

筋肉は伸びるように作られてはいますが、長さには終わりがあります

ハムストリングスを毎日ストレッチしていたとしても、ハムストリングスが地球1周するほど長くなることはあり得ないんです。

 

筋肉は無理に引っ張られると

  • ケガをしないように(防御作用)
  • 筋肉の長さを保つために(ホメオスタシス)

短くなります。

これをストレッチリフレクス(Stretch Reflex)と言います。

 

せっかく柔軟性を上げるために、痛いのを我慢して”努力”しているのに、

  • 体の組織に負担をかけている
  • 筋肉を逆に硬くしてしまっている

可能性があることがお判りになりましたか?

静的ストレッチの直後は筋出力が低下する

涙をのんで、痛いストレッチをしてきたのに効果がないどころか、ケガのリスクが高くなると分かったところで、

もう1つ、泣きっ面に蜂。

 

静的ストレッチの直後は筋出力、つまり筋肉の出せる力が一時的に弱くなります

大丈夫、一時的というのがキーワードで、10分くらいすると戻ってくるそうです。

 

*色々な研究が証明している事実ですが、2008年のNew York Timesに論文形式ではない分かりやすい英語で書いてあるのでリンクをつけておきますね

そう、最新の研究ではなく10年以上前から分かってるのよ。

 

一文を引用するとこんな感じ

In a recent study conducted at the University of Nevada, Las Vegas, athletes generated less force from their leg muscles after static stretching than they did after not stretching at all.

Other studies have found that this stretching decreases muscle strength by as much as 30 percent.

Also, stretching one leg’s muscles can reduce strength in the other leg as well, probably because the central nervous system rebels against the movements.

 

バレエ系で読みたかったらオーストラリアバレエ団のphysioのインタビューもこちらにつけておきます。

 

話を元に戻して。

レッスンの直前に開脚(=内転筋を伸ばす)をしたとしましょう。

レッスンの最初のタンジュ+プリエでは内転筋が一時的に弱くなる。

よって、内ももが感じられず、外ももを使う練習&準備をしてからレッスンを始める。

→内もも、外ももについてはこちら

 

レッスン直前に

  • 前後開脚でハムストリングスを伸ばす→脚の後ろ側が使えず、前モモに頼る
  • お尻をストレッチする→ターンアウトの筋肉が使えず、膝を足首をひねる
  • エビぞりでおなかを伸ばす→腹筋が使えない

ということが考えられるわけですね。

 

大丈夫、最初の10分だけだもの。

うちの先生話すの長いから心配ないよ、という人もいるかもしれないけど、

最終的にはダンサーがお好きなほうを選んでいただければと思います。

 

筋肉が凝り固まっているならどうぞ。

関節の最大可動域に到達していないならどうぞ、ストレッチをしてくださいませ。

いつするか?のタイミングは大切だからこの後説明します。

リリースの問題は?

今までストレッチが悪!みたいな感じに聞こえるような書き方だったかもしれませんね。

うまく使えばストレッチは効果的なんですよ。

ただ、ダンサー、スタジオ、というキーワードで見たときには問題点が結構あるよ、ということね。

バレエの先生が、このような事実(解剖学+ストレッチ理論)を知らないことが多いのに、ストレッチ指導をしている場合が多いので、

指導者のレベルも大切です。

 

じゃ今日のテーマの2つ目である、リリースには問題がないのか?

と言われると「ストレッチに比べて問題は少ないかもね」とお話しておきます。

ただ、頑張り屋さん?というか、痛みがなければ努力ではないと思いがちなダンサーは、

リリースしてます!と見せてくれたふくらはぎが、指やボールのマークに青あざになっていることがあります。

 

あのねぇ、青あざ=ケガだからね。

内出血だからね。

けが予防のために、上達するように、って頑張っているならケガしないでくれよ?

ケガしている時 ストレッチ VS リリース

ではここからは、クイズ形式でストレッチとリリースを見ていきましょう。

 

ケガしている時、ストレッチしますか?リリースしますか?

答えはNOです。

 

ケガしている=組織が壊れている

ということなので筋肉を引っ張ったり、開放するのではなく、

切れてしまった部分をくっつけておいて、早く治ってほしいんですね。

 

でも、ケガしている場所でなければいいかもしれませんね。

例えば右足首捻挫して、松葉づえです、という場合

左足がいつもより頑張らないといけないため、左足全体の筋肉リリースはとてもいいケアになると思います。

 

なれない松葉づえでちょっと背中を丸めて歩く、ということで肩や背中が痛くなってしまう場合、

背中や肩回りストレッチもいいかもしれませんね。

 

足首を動かさないようにしているから、足先が血行不良になっている、という場合も

優しく足の裏やふくらはぎをリリースやセルフマッサージしてあげるのはいいともいます。

 

でも、この場合、ストレッチはできません。

足首関節を動かすことになっちゃうので。

レッスン前 ストレッチ VS リリース

ではレッスン前はどうでしょう?

先ほど説明したように、レッスン直前のストレッチは避けたいですね。

ではリリースは?

 

リリースはウォームアップではありません。

ビデオと一緒に自分でやってみて、心拍数上がったり、汗かいたりしませんでしたよね?

→ウォームアップについてはこちら

 

レッスンの前は準備運動、ウォームアップが欲しいんだと考えると

ストレッチもリリースもウォームアップの代わりにはなりません

 

ただ、レッスン1時間前にスタジオについている、という場合であれば

ちょっとストレッチしてみて、体の調子を感じてみたり(どっちが硬いか?どんな風に動くか?などを比べる知識があるダンサーに限る)

学校やお仕事で座る時間が長かったので

  • 胸の前をストレッチして猫背解消
  • 太もも前をリリースして座り姿勢をリセット

なんていうのは理にかなっています。

 

ただ、ウォームアップは20分程度欲しいと考えると、

  • かなり早くスタジオについていること
  • ストレッチをしてもほかのダンサーの邪魔にならない場所があること

の2点は大切になります。

特にこの記事を書いている2021年はコロナイヤーですので、ソーシャルディスタンスなどの関係上、スタジオスペースが限られているかもしれません。

 

学校から直接スタジオにくる子の場合、ストレッチよりも、間食をおすすめします。

だって、最後に食べたのはお昼ごはんでしょ?

これから夜まで踊るとなると、体に栄養を入れておくのはとても大切です。

 

これはけが予防だけでなく、レッスンでの集中力や筋組織を柔軟にするためにも。

栄養+水分補給は筋繊維を健康(=柔らかく)保つためにも大事ですからね。

 

食べて、飲んで、ちょっと休んで消化させる。

そのあと着替えて、ウォームアップしてレッスン!

というのが学生ダンサーにはいいのではないか?と感じます。

エクササイズ=筋肉は伸びている

でも、バレエでは柔軟性が必要じゃない。いつストレッチするのよ?って思うよね。

 

ウォームアップでエクササイズをしている場合、筋肉は縮んでいるし、伸びています。

動きを作る筋肉(主動筋)の反対側で、ブレーキとなる筋肉(拮抗筋)が伸びないと、

関節は動かないんです。

 

よって関節が動いている=筋肉は伸びているから安心して。

 

ストレッチというのは点と点を伸ばすことでしたよね?

別に関節最大可動域で止まっていること「だけ」をストレッチというのではありません。

なので、ウォームアップでエクササイズを取り入れていれば、筋肉のストレッチもしている。

人間だったらね。

 

*ここでいうエクササイズはプランクのように1か所で止まっているアイソメトリックなエクササイズだけでなく体を動かすものね。

ボディコンサークルメンバーは分かるよね?

レッスンのあとは?

ここまで来れば、きっと分かってくれると思いますが、レッスンのあとであればクールダウンが必要です。

→クールダウンについて

 

大きく体を動かすような動きで動的ストレッチ(=ダンサーが思うエクササイズ)を入れてもいいし、

クールダウンを5-10分ほどやった後に、使った筋肉のリリースをしてもOKです。

 

レッスンのあとであれば、ストレッチをしても

  • 体が温まっている
  • お家に帰るだけ

なので筋出力とか考えなくていいですよね。

柔軟性を上げたい時は?

ではここで、最後の質問。

柔軟性を上げたいときは、ストレッチをすべき?それともリリース?

 

これはひっかけ問題です。

答えは「その人によります」です。

ライブではずるい、とコメントも来てましたねw

 

理由は、なんで体が硬くなってしまったのか?によってやることが変わるから。

  • 防御作用として不安定な関節を守るように筋肉が硬い場合
  • 骨が折れているので動かさないために一時的に固まっている場合

であれば、ストレッチしてもリリースしても危険です。

 

そのような人であれば

  • 不安定な関節周りをコントロールできるだけの強さ(筋力)を作る
  • ケガを直す

方が、早く、安全に、長期的な柔軟性を手に入れることができます。

 

もし、

  • 学校で身長に合わない机に座らなければいけない
  • 会社で残業続き、ストレスがある

であれば、6時間とか固まっている部分をストレッチしてあげるのはとてもいいでしょう。

 

栄養不足、水分不足、睡眠不足で筋肉が硬い場合、

そっちをどうにかしなければ、筋肉は柔らかくなりません。

 

なので「どうして」体が硬くなってしまったのか?が分からなければ

リリースがいいか、ストレッチがいいか、は答えられないんです。

ストレッチ、リリース&ダンサー

まとめとして、ストレッチとリリースについての知識を入れたうえで

自分に必要かどうか?を吟味してください。

 

  • 努力するなら結果が出る方を。
  • 健康のために行うならば、ケガしない方を。
  • 踊りの上達のためにするのであれば、本当に必要な事を。

 

頭の柔軟性はダンサーにとってとても大事ですよというのもお忘れなく。

 

 

Happy Dancing!

  • 佐藤愛著シリーズ



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