バレエ教室の選び方

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*このブログは2013年に書かれたものを2020年に大幅加筆修正しました。

 

「DLSで勉強して、スタジオの指導方針に疑問を持ちました」

という声は毎回若いダンサーが参加できるセミナーを行う度に聞きます。

ダンサーから寄せられる質問の中には、そのスタジオ早く出た方がいいよ、と思う事も(思うだけでなく言うけど…!)あります。

 

ただね、お教室選びはサイエンスではなくアートなんですよ。

相性というものもあるし、最善なスタジオを選ぶ方法という論文があるわけでもない。

スタジオの実績(例えばコンクール入賞歴)がダイレクトによい先生に結びつくわけでもありません。

 

この記事では

  • これを見たら逃げろ!という赤信号
  • 私が思うスタジオ選びで大切な2点

という話をしていきたいと思います。

教室選びの話の前に、自分を見直してみて

スタジオ選びはとても大切です。

いくらダンサー自身が気を付けても、レッスンの内容や発表会の振付は変えられません。

特に幼い子供の習い事であれば、バレエが好きになるかどうかはもちろん、生涯続くケガや痛み、心の傷にならないように、保護者が十分気を付けなければいけないと感じます。

 

そうは言っても、ある程度の年齢になったら、自分のスタジオ内外の努力や知識だって大事。

ダンサー自身の努力(+未成年だったら家族の協力)と、先生の実力の二人三脚が必要だという事は忘れないでください。

くれぐれも、貴方の努力不足、理解不足、レッスンでの態度や集中力欠如などを先生のせいにしないこと。

→レッスンでの態度

→レッスンを最大限に使う方法

→常に100%とはどういう事か?

 

これは、中学生以下の子供を持つ保護者がやりがち、だという風に今までの経験からは見えるのだけど、

  • 雑誌に載ってたから
  • 早くからポワントを履かせてくれるし
  • コンクールには常に入賞しているから…

なんて形で、このスタジオで”効果”が出なかったから、次のスタジオにと移動していくスタジオ転勤族もいますよね。

(きっと多くのバレエの先生がロックコンサートのように首を縦に振ってくれている事でしょう!)

 

何を”結果”として求めているのか?

ここらへんは保護者の勉強不足もあるので今回は取り上げませんが、

「スタジオ」「教室」が「生徒」をダンサーに「してくれる」という他力本願は辞めてくださいよ。

世界トップレベルのバレエ学校で、オーディションで選ばれ、毎年退学させられるところでも、プロに「してくれる」のではないんですから。

スタジオ選びの赤信号

スタジオを探している時に、これを見たら絶対にダメだろ、という事をいくつかご紹介しますね。

ここで挙げている事は日本のスタジオという環境で、特に未成年の生徒の話をしているので、

大人バレエトレーニーさんたち(簡単に通える環境、スケジュールと合うクラスの方が重要かも)バレエ学校(職業訓練校という理解なので)では当てはまらないかもしれません。

学生低中学年以下の生徒に週に4回以上のレッスンをさせる

10歳以下の子供がスポーツに特化しすぎるとケガに繋がるとスポーツ医学では言われますし、

アーティストとしての人格形成の為にも友達と遊ぶとか、ほかの習い事にチャレンジするというのは大切ですよね。

ケガしているのに舞台に立たせる

…もうコンクールに申し込んじゃったから・発表会の振付を変えられないし…などの言葉を聞いたら言い訳です。

生徒の安全やリカバリーを第一に考えてくれていないのであれば、その人から学ぶことが沢山あっても避けた方がいいでしょう。

痛みをプッシュするからこそ、いいダンサーになれると思っているマゾな人や、他人の痛みを感じないサイコパスに指導してもらいたいと思いませんから。

ダイエットさせる&体型について言ってくる

…発表会前だけです、とかパドドゥするためにちょっと絞って、なんて言ってきたら急いで逃げてください。

車にガソリン入れないで走れません。車の才能ではないです。

 

しかもバレエの先生は管理栄養士でもなければ、医者でもないんだから「健康の為に痩せた方が」とか言ってきたら何を根拠にしているのか、聞いてみてください。

→パドドゥするから痩せないといけないの?

オーバーストレッチや先生が押すストレッチをする・ストレッチクラスがある

柔軟性が不必要だといっている訳ではないですが、関節の持つ可動域の最大限を使う、もしくは可動域を育てる、という場合はオーバーストレッチ、アシストストレッチはしません。

成長中で、骨が形成されていない(=関節も形成されていなければ、筋肉の付着部分も固まっていない)体を押しません。

 

お酒が悪いわけではないです。

でも未成年には飲ませません。たとえ未成年「全員」に悪影響じゃなかったとしても、リスクがあるから飲ませません

スタジオを辞めさせてくれない、脅してくる

これはスタジオ選びの段階で確認できるかどうかは疑問ですが、

スタジオを辞めますといっても「辞めさせないわよ」「今までどれだけ貴方のためにやってきたと思うのよ」的な事を言ってくる先生。

あと「ほかのスタジオの先生に言ってやる」「バレエ界は狭いんだから」的に脅してくる。

 

ただこういう先生たちは、指導中でも情緒不安定だったりしますので分かりやすいかも。

「さっきも言った注意だよね」「先週も言ったよね」

という事自体は問題ないです。だって事実だから。

ただ、その後に「だからあんたはダメなのよ」「頭が悪いんだから」とか貴方の人格に対して言ってくるってことがあったら危険です。

(とはいっても、ここでダンサー自身が被害妄想を持っている可能性もあるので文章でいうのは難しいんだけど…)

幼い子にポワントを履かせる

IADMSでは12歳からポワントが的確、と言われていて、YAGPでは11歳以下はポワントをはかなくていい、と言っています。

ここらへんの年齢だと、まだ成長のスピードに個人差があるじゃない?

小学校5年生で生理が来た子もいれば、中学2年生で急激に身長も伸びた、なんて言う子がいるように。

だけど、10歳未満にポワントを履かせていたら勉強不足の露呈だと思います。

<赤信号を探す方法>

確かに、体験レッスンでは分からないかもしれないけれど、最近はSNSってものがあります。

  • スタジオがアップしている内容
  • フォローしている人や団体
  • サイトに載っている写真

これらから多くの情報を取り入れる事が出来ます。

ぜひ、(安全で法的なエリアから)ストーカーしてみてください。

スタジオ選びのポイントその1 教師

そりゃそーだ!と突っ込まれそうですね。

 

もしかしたら、生徒にとって一番身近な大人になるかもしれないし、家族よりも多くの時間を過ごす相手になるかもしれない。

だからこそ、指導者の質っていうのが大事だと思うんです。

 

人間的な問題笑 はさっき書いたので飛ばしますね。

 

時々指導者の中には、まだ自分が踊りたい人っていうのがいます。

憧れのプロダンサーのレッスンを受けるのは、 インスピレーションにもなるし、カンパニーでどんなレッスンがされているのか?を垣間見る機会にもなると思う。

バレエ学校での葛藤や、様々なディレクターと一緒に仕事をしてきた経験からくるアドバイスも素晴らしいと思う。

 

だけど、その人達が

  • 指導の勉強をしてきたか?
  • 幼い子供の体の構造や成長を知っているか?
  • 生徒の長期的な成長をゴールでクラスを指導してくれているか?

という目線で見たら答えは違うと思うのね。

 

子供であればプロダンサーのレッスンよりも、勉強している指導者を選ぶ方がいいと思います。

バレエ団が同じビルの中でレッスンしているバレエ学校でも、プリンシパルでなく、教師群がクラスを受け持っている理由があると思うのね。

もちろん、講習会やオープンクラスみたいな形で学ぶのは問題ないと思うけど!

 

そうそう、よい先生というのはOOシラバスを使っていたら一番いい!とかそういう事ではないと私は思います。

シラバスとか知識っていうのはツールだから、あればあるだけ便利だけど、結局は道具を使う「人」の腕にかかってくると思うからね。

ただ、常に勉強している先生っていうのは、スタジオ選びですごく大事な項目だと思う。

 

バレエスタジオの先生は誰かに監視されていたり、免許更新テストがあるわけではありません。

だから、自分スタイルで、間違っている事に気づかず指導してしまったり、

知識のアップデートがされていない場合もある。

 

「先生」と呼ばれる人でも勉強し続けているんだよ、という姿をみて育つっていうのはとても素晴らしい環境だと思うし、

自分の時間とお金を使って、生徒のために勉強したいと思ってくれている人についていきたいと思うでしょ?

<チェックする方法>

  • 先生の経歴
  • 先生やスタジオのSNS(OOセミナー受講の為代講、とかOO受けてきました、などがあるか?)
  • スタジオ見学に行ったら、レッスンで口にしている注意の内容や生徒の反応

スタジオ選びのポイントその2 ほかの生徒たち

小さい子供は憧れのお姉さんダンサーみたいになりたくってワクワクしていますし、

ある程度年齢を重ねたら、周りに合わせようという感情もあることでしょう。

 

ジム・ローンの有名な言葉

You are the average of the five people you spend the most time with

貴方が最も長く時を共にする5人の人間の平均が、貴方という存在だ

というのもありますが、人間だもの、周りの子たちから影響されて当たり前ですよね。

 

ウォームアップをするのが当たり前のスタジオだったら、一人だけ床に座っていたらヘンな感じがするし、

皆が椅子の上でスプリッツしていたら、出来ない自分は練習しなきゃ、と思ってしまう。

サウナパンツやダボダボTシャツでレッスンしているお姉さんたちを見たら、子供達だって真似したくなってしまうでしょうね。

 

つまり、スタジオに正しくレッスンをしている、ポジティブな環境で楽しく踊れている人たちがいるスタジオのほうが、よい影響を与える可能性が非常に高くなります

 

友達と仲良くするためにバレエ習っているんじゃないし、って思うかもしれないけれど、

肯定的な環境で、自分の意見を伝えても、失敗しても大丈夫だと思って時間を過ごせた方が、

コンクールやオーディションで否定的な結果になっても、海外で委縮してしまう環境に行っても力を発揮出来ると思うのね。

 

もちろん、コールド=群舞として皆で協力して舞台を作り上げるという勉強の為にも大事だけどさ。

 

時々、コンクールの結果だけに踊らされているダンサー(そして保護者!)は、バレエというのは個人種目だと思っている事があるんだけど、

バレエは団体で作るアートです。

ダンサーだけでなく、音楽、照明や舞台装置、衣装や特殊メイク、お客さんの相手をしてくれるシアターのスタッフまで、多くの人が携わって、観客へエンターテインメントとアートを提供できるわけですよね?

 

そこ、忘れてしまったらバレエにならなくなってしまうと思います。

<チェックする方法>

  • スタジオ体験に行ったら生徒たちの表情をチェック
  • レッスン前に何をしているかを見る
  • お迎えに来ている保護者がいたら会話してみる
  • 発表会の内容(コールドで踊る作品があるかどうか?など)

最後に:スタジオ選びはアート

最初にも書きましたが、ここに書いてある事は全員には当てはまらないかもしれません。

例えば、

  • 厳しい先生の方が好きだ、怒られた方がダラダラしないなんて性格
  • スタジオ内に何人か先生がいて、嫌いな先生もいるけど好きな先生もいる
  • 学校の仲の良いお友達が通っているから習い事の一環として、受験までは一緒にやらせたい

とかね。

 

ただスタジオ選びで覚えておきたい事は、常に消費者にパワーがあるということ。

  • 最近レッスンに行きたくないって言う
  • コンクール続きで学校の勉強も危ないし、毎日疲れ切っている
  • 痛いところが多い、慢性のケガを抱えているが先生がプッシュする

など気にづいたらスタジオを変えるという自由があるという事を忘れないでください。

 

小さいころからお世話になったから…という感情は良く分かりますが、

大好きな小学校の先生から卒業することがあるように、自分のゴールに合わなくなったらスタジオを「卒業」してもいいんだというのは忘れないでください。

貴方のことを理解してくれて、夢を応援してくれる先生であれば、

発表会にお手伝いに行ったり、時々連絡入れたり、オープンクラスに顔を出したりなどは出来るはずです。

 

生徒のSafetyとHappinessはどのスタジオでもトッププライオリティなはずだというのも忘れないでください。

 

 

Happy Dancing!

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