うちの子、本気でバレエがしたいのかしら?

  この系統の質問は本当に良くあります。 すごくいい質問です。     「うちの子、プロを目指しているんです!」   って言い切るお母さん、でも子供の方はそんなにやる気でなかったり。 ママの夢なのか、子供の夢なのか非常に曖昧なケースも多いですから。   来日セミナーでDLSキッズを行う事になった理由の一つもこの質問からです。   「プロを目指しているのでセミナーを受けさせてあげたいけれど、対象年齢ではありません。」   という声が多かったので、北海道セミナーでは14歳より、 DLSキッズは10歳からの参加者を集う事になりました。   今日はそれぞれの年齢層で必要なこと、 親の目線と子供の目線での「本気」について考えてみました。   14歳は、プロを目指すのに大事な年齢 プロを目指しているのならば、14歳ではかなりのレベルの自己管理力と精神力が必要です。 テクニックはもちろん大事ですが、それは基礎がしっかりとできたら後からぐんぐん育ちます。   特に成長期で体も筋肉も育つこの時期、それまでの練習が物をいいます。 ローザンヌでも15歳から、バレエ学校留学は15歳から。 と15になるとダンサーは大人扱いされます。   海外で生活したり、インタビューに答えたりなどしなきゃ行けなくなる前に、自己管理力はつけておきたいものです。  …

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リハーサル生活を覗き見してみました オーディションシリーズ番外編

ただいま、私の働いているバレエ学校では、 年末公演のための準備があわただしく行われています。 いつもは我らが校長先生がディレクターとして作品を監修しているのですが、 今回は特別にMaina Gielgudという方が振り付けをしてくれています。 彼女は日本では有名ではないのですが、元オーストラリアンバレエ団のディレクターを始め、 様々なプロフェッショナルバレエ団で作品を作っている凄腕です。 日本のバレエ団ではどうだか分かりませんが、 海外では、作品を作る人、つまり振付家がキャスティングをすることも多く、 そこで気にいられればいい役をもらえるだけでなく、 キャリアアップのステップになることも。 →wikipedia(英語)に彼女のページがありますよ笑 それだけ有名人   彼女は今までバレエ学校レベルのダンサーと仕事をしたことがなく、 彼女のリハーサルの様子は、まさにプロのダンサーの世界を覗き見している気分になります。 今日の記事では、そんな経験を皆さんにもしてもらえるように、 時系列にリハーサルの様子を追ってみましょう。   リハーサル初期 去年の年末試験で、ゲスト試験官として彼女が来ていました。 その時から、生徒たちをピックアップしていたようです。 いきなり!を手に入れるために。 という記事で書いたように、チャンスはどこに落ちているのか分からないのです。 どんな子にどんな役を渡すか? 全体的なレベルは? なんてことをチェックしていたようですが、 幼いダンサーの卵にお気に入りの女の子を発見! 彼女が使いたい、ということで、急遽新しい役を作ってしまったほどです。 年齢的には彼女は足りないし、身長だって、テクニックだって お姉さんダンサーにはついていけないけれど、何か光るものがあったのでしょう。…

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オーディション 教師、両親編

  オーディションシリーズはこの前の感情編で終わりにしようと思っていたのですが、 先生と親御さんの目線からも見なければいけないトピックだと思ったので もう一つ書きます。 (んでもって番外編も書いちゃいましたので、それは後程・・・)   オーディションの準備について書いた記事 オーディションに失敗したとき 理論編 オーディションで失敗したとき 感情編   バレエ学校入学のためのオーディションであろうが、 カンパニーのためのオーディションであろうが。   これは、オーディションされる側と、する側の2つだけしか存在しません。 教師、親、というのは、 オーディションの前後は関与できても オーディション最中はどうしようも出来ません。   オーディション前:無駄な期待をかけない 誰々ちゃんは上手くいったから。 去年は10人受かったから コンクールで下位だった子も入っているから なんて、勇気や自信を出してもらいたくてかける言葉は役に立ちません。   ダンサーにオーディションは付いて回る、というのは シリーズで何度も書きましたが、 審査される、という事に慣れてもらう事、 オーディションという「経験」を勉強してもらうのが目的です。   よって、オーディションへのメンタル準備や、…

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オーディションでうまくいかなかったとき 感情編

  オーディションシリーズになっちゃいましたね。 オーディションで気を付けたいことを書いた記事はこちら オーディションでうまくいかなかったときの理論を書いたのはこちら。   でもね、オーディションで落ちた理由が運だった、 というのを 「あーそっかー。じゃ次にいこう!」 という心を持てる人って多くないと思うの。   オーディション失敗 = 私はダンサーになれないんだー とか、 オーディション失敗 = 完全自己否定 とか、 時々見られるのが オーディション失敗 = 体型のせいにして、摂食障害 とかね。   バレエ学校のオーディションをした人は知っている通り、 オーディションの時に少しくらい太っていても 入学許可は出ます。 そのあとに、もう少し軽くなった方が、踊りやすくなるよ、 とかはいわれますが。   逆にフォトショなんかで少し細く見せた写真で失敗したケースは たくさんありますよー笑   写真と本人が違う、とか、 オーディションの時の体型ではないっていって 落とされたり。…

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オーディションでうまくいかなかったとき 理論編

オーディション、ということは、全員が全員、スポットをもらえるわけではないですね。   それは理屈では分かっているけれど、 いざ、自分が落とされた立場になると難しいもの。   毎年、バレエ学校ではかなりの人数を落とします。 その様子を見ていて気が付いたことは、上手な子が必ずしも受かるわけではないということ。   私も2016年冬期バレエ講習会のオーディションで、何人かNo,といわせてもらいました。 ごめんなさい。   その中には、将来の才能がある若いダンサーもいたし、 ある程度踊りが完成しているであろう、という人もいました。 ということで、オーディションで落とされる理由を考えてみました。 規格外 一番最初にくるのが、これ。 規格外。   どういうことか?というと、バレエ団は特に決まった見た目、というのがあります。 こうやって書くと、体重の事かしら?って思われるけれど、体重は変えられるのです。 それよりも身長。   コールドバレエでは一人だけずば抜けて大きい子や、小さい子は使えません。 大きい子の例として、私と同期だった女の子。 175cm以上の長身に、すごく大きな足のサイズで、ポワントで立つと180cmを超えてしまっていました。   すごく上手でね、ローザンヌでも決戦に行ったりしたけれど、役をもらうのが難しかったみたい。 彼女はそのあと、コンテに強いカンパニーに変更し、 男の子が踊る役を初めて女の子が受け持つ、などという活躍をしています。  …

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ダンサーのオーディションについて

2016年冬期バレエ講習会は、写真と書類審査がありました。   写真オーディション、というか、 写真をオーディション書類とともに送る、というのは当たり前なのである程度みんな知っているかな?って思っていたのですが このようなところって日本では勉強しないんだった!って、 みんなから写真をもらった後に気づきました。   プロのダンサーを育てる学校なので、普通のアカデミックな勉強はないのですが、うちのバレエ学校では、勉強の一部に オーディション書類の書き方と、カバーレターの書き方があります。   今や、バレエ学校のスタッフとして写真審査の様子を毎年見ているし、留学を目指す人向けに一応ルールみたいなのを書こうと思います。 これが、絶対!ではないけれど、参考になったら嬉しいです。   顔写真 サマースクールだろうが、オーディションに行くための書類だろうが、 顔写真というのは必要です。   日本で履歴書の顔写真、というとパスポート写真のようなものを考えますが、 バレエダンサーの顔写真は「ダンサーのための」顔写真です。 つまり、カンパニーレベルのオーディションならば、プログラムの顔写真のようなものを指します。   バレエ団のウエブサイトにいくと、カンパニーメンバー紹介のページがありますので、それを見ながら研究するといいでしょう。 生徒の場合は、お団子頭が無難ですが。   笑顔が固い、緊張が見える、というのはおおきなNG。 写真ごときで緊張していたら、舞台で踊れるのかしら?!って思われてしまいますよ。   この人と一緒に仕事がしたいな、この子を教えたいな、と思わせるような笑顔、 自信がある姿が必要です。 ライトにも気を付けて。…

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保存版 レッスンの痛みを説明する言葉たち(日本語・英語)

このブログで、痛みは体の出しているサインだとお話ししました。 ここでは、そのサインを言語化して、バレエノートに残したり、治療家に伝えたりする方法をお話ししましょう。 留学先にいる人たちも多いと思うので、日本語と英語、両方を勉強していきましょうか。 変な感じがする:discomfort 動けるんだけど、痛くはないんだけど、なんだか変・・・ 痛みというよりは調子が悪いって感じですね。不調を感じたらできることはこちらの記事でも説明しているので、詳細はそっちを見てください。   ときどき、feeling odd、 feels strange、なんて言われることもあります。 チクチクする、ピリピリする:pins and needles 脚がしびれた感じ、神経っぽい痛み、それらを英語ではpins and needlesと言います。針とかで刺されている感じ? stabbingと表現された場合、同じような痛みだけれど、チクチクのレベルを通り越して痛いときに使います。   エクササイズでは少ないんだけど、ストレッチしていてこの感覚があったら急いでback offしてくださいね。 神経は伸ばされるのが嫌いですし、挟まっている場合もあります。 びりっ!とする、痛みが走る:shooting, electric like 動かしたときにビビッときたり、いきなり痛みが走ること、これをshooting painと言います。 electricは電気。電気が走ったみたい、ということになりますね。 さっきの神経系の痛みとも似ていますが、このように感じたらその動きをやめましょう。 いつも痛い、地味に痛い:constant…

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ダンサーがケガする前に考えておきたいあれこれ

リハビリって言葉は知っていますよね。 これね、ケガをした「後」に日常生活に戻るため、もしくは舞台に復帰するための行動なんですが、 リハビリの「前」の方を今日はお話したいと思ってるの。   なぜか?という説明の代わりに、ダンサーとケガの研究データをご紹介していきましょう。   2006年にSusan Simpsonによって書かれた Dance Injury Management によると 80%のダンサーがキャリア中にケガを体験するそうです 65%のケガがオーバーユーズ、そして35%がアクシデントで起きたケガだそうです 90%のケガはダンサーが疲れているときに起こります 98%のダンサーのケガは手術なしで治療されます   もう少し新しいデータですと、2014年5月のJournal of Science and Medicine in Sportに発表されたものでは 260人のエリートバレエ生徒を一年追ったところ76%のダンサーがケガをし、そのうち72%はオーバーユーズ、残りはアクシデントだった と書いてあります。   これらのデータから学べること4つは ほとんどのダンサーがケガをする ケガの大部分はオーバーユーズ…

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将来への投資。ダンサーのお金がない!時間がない!を見る

将来への投資なんて言ったら、 なんだか怪しい保険の勧誘みたいですよね。   投資ってお金だけをさすのではないんですよ。 時間。 エネルギー。 それらも立派な投資です。   DLSってバレエ情報サイトじゃなかったっけ??? 何を話しているのさ?? って感じ?     話はかなり前に戻ります。 自分で踊りながら、指導もしているという何人かのダンサーと話す機会があった時です。     「体の事を知りたいと思うけれど、時間が/お金がない」 「レッスンのときに汗をかく事がない」 「正しく体を使っていないとは思うけれど、教える時は自分が教わって来たように教えている」     もちろん、こんなにはっきりとは言っていませんでしたけどね。 あのーとかえーっととかイライラする言葉や 。。しようと思っているんですけどね なんていう自己慰めの言葉を省いたらこうなりました。   ハッタリ倒したくなりましたけど、 それは暴力なので辞めました。  …

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