ポワントボールに対する個人的考え。

*2014年の記事を読みやすいように+新しい記事のリンクをつけて編集しました。 考えとしては2014年から全く変わっていません。   最近YouTubeでも宣伝が入るようになったポワントボール。 これに対して、そしてこれに似た質問をよくされるのでここで一気に答えてしまいます。 私、佐藤愛の個人的な考えですからね。 まずは記事を読んでみて、そして自分なりに答えを出してみてください。 まず最初に:知識があれば何でもできる どんなエクササイズでもそうですが、しっかりやれば効果が絶大。ちゃんとやらなければただの動き。 正しい知識がある人が、正しく体を見てくれる人がいる必要があります。 自分の癖って自分では分からないから、それを指摘してくれる人がまずは必要ってことね。   自分で何をやっているのか? 何が目的なのか? どうしてこのエクササイズなのか? どうしてこれが目標達成になるのか?   という部分が分かっているダンサーであれば何でもできると思います。   逆にいうと、ストレッチもエクササイズも、上にのせた質問4つにしっかりと答えることが出来なければやらない方がいいかもしれません。 癖があるままでエクササイズをする=間違った癖をどんどん強くする ということだというのは頭に入れておきましょう。 指先への意識を向けることにはなるかも ポワントボールのように足先でものを掴む、という動きは足先に意識を向けることが出来ます。   レッスンのときに他の動きを考えるのに夢中でつま先まで意識が出来ない。 という人はとても効果があるのではないでしょうか?   ですが。 レッスンのときにつま先まで意識が出来ない…

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留学したいダンサーへのアドバイス:練習量を考えよう

先日、日本から3ヶ月間だけ留学しにきている、という女の子の治療をしていました。 ケガの原因はいきなり練習量が増えたこと、と正しいテクニックが身についていないこと。   話を聞いたら、日本では毎日踊っていたけれど1時間程度のクラスだった、という事。 そしていきなりバレエ学校の最終学期で一日5時間踊り、 たくさんのリハーサルが続けばそりゃあケガもするでしょう・・・   でもそれって結構当たり前ですよね?日本だと。 学校が終わってレッスンに来るから一日2時間踊れるといいくらい。 そして毎日レッスンがあるスタジオも少ないから週に4,5日踊れるといいかな?   バレエ学校留学を希望する子は殆ど、 「バレエ漬けの生活がしたい!」 って思っていることでしょう。 宿題とか、試験とかで休まなくてもOKで、バレエに集中できる。 朝から晩まで踊っていたい!!   その気持ちは分かりますが、日本のレッスンからいきなりバレエ学校へジャンプしてしまうと 練習量の差で体にガタが来ます。   オーディションを夢見る子達へのアドバイス、ということで今日はその練習量の差を考えて見ましょうか。         最初にあげた日本のレッスンを計算すると 1日2時間程度×4日=週に8時間。   バレエ留学で一般的なフルタイムプログラムになると・・・ 1日6時間程度×5日=週に30時間。…

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股関節からのターンアウトの一歩先

ターンアウトをすると、ふくらはぎが後ろに落ちてしまいます。 そのせいできれいに5番ポジションに入れようとしても、ふくらはぎが邪魔で入りません。 ふくらはぎをまっすぐ上に立てようとすると、お尻がすごく前にきてうまくバランスがとれません。 というお悩みメールを頂きました。 今日は股関節からのターンアウトの一歩先に進んでみましょう。 股関節からターンアウトしなければいけない最大の理由は 怪我予防(膝関節、足関節の負担が減るため) と ターンアウトをするおしりの筋肉たちは骨盤を安定してるから 骨盤が安定すれば体幹も安定し易くなり、 テクニックも上達するってわけ。 そして クラシックバレエに求められているから。 ちょっとふざけた感じに聞こえるけれど、これも理由のひとつです。 短距離走のランナーは短距離を早く走ることが求められます。 国語の先生は国語の文法を知っていることが求められます。 バレエダンサーはダンスのテクニックを使用することが求められます。 当たり前ね。 バレエのテクニックのひとつにターンアウトがあるから、ターンアウトをしなければいけない。 シンプル。 今日はもう一歩先に進んだことも考えましょう。 それは「股関節のターンアウト」をすると脚についている筋肉たちも一緒に動くという事です。 これね、考えるとあったりまえなんだけど。 レッスン中に忘れ易いんです。 筋肉は骨にくっついていますでしょ? 骨を回したら、くっついている筋肉たちも回ってきますよね? 真っ直ぐに立っているとき、ハムストリングとふくらはぎは後ろを向いていますね? 体の後ろ側にある筋肉だから当たり前。 この脚たちを股関節からくるっとターンアウトしたとき、 ハムストリングとふくらはぎの筋肉たちはお互いが向き合うくらいになりたいわけです。…

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Let’s Talk Aboutおしり! 外旋六筋とターンアウト

このシリーズはダンサーに必要なおしりについて考えたシリーズの続きです。 まだそちらを読んでいない人はどうぞ。 復習がてらに読みたい人もどうぞ。 深く知りたい人は大腿骨の周りの筋肉シリーズからがいいかもしれません。 結局、おしりのきんにくって、おしりのエリアにボテッ!ってついているだけでなく、 骨盤はもちろん、大腿骨についている筋肉たちですから。   ターンアウト。 つまり大腿骨の外旋、という動き (外転じゃーないですよ!!覚えていますか??) を作る筋肉たちは 大殿筋(全部じゃないけれど)と外旋六筋だ、ってお話をしたところでちょん切れていましたね。   今日はその続き、というかおまけ。 外旋六筋(がいせんろくきん)とはいったい誰なのか?を見ていきます。 人によってはおしりのコアマッスル、なんて呼ぶ人もいるみたいですが。   6つの筋肉それぞれに名前がついているのですが、 ダンサーの場合それらを知っておく必要は全くありません。   ま、解剖学マニアの人はどうぞ。 ちなみに私は日本語でこの6つの筋肉を覚えていませんっ! だから聞かれても分かりません・・・聞かないでね笑       ダンサーにとって知っておきたいことは どこにあるのか? どうやって使うのか? どうやってストレッチするのか?…

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バレエと年齢について腹を割ってお話しましょう。

オーディション時期になるとよく聞く言葉。 私はもう年だから。 10歳にそんな事を言われたら私はミイラ化してしまうのではないか?と思います。   ちなみにバレエ学校で働いていると、 16歳の子が「I'm too old!」なんて言っています。   そんな子たちに私、後少しで30だよ?というと目ん玉が飛び出るんではないか?!という顔をされます。   確かにアジア人は年上に見えない、っていうメリットもあるし、 頭にリボンつけてたり、Tシャツにジーンズ、ブーツなんて格好で仕事をしているせいもあるかもしれません。 または、治療している部屋のライトが暗いからかもしれません。   ま、どちらにしても年齢とは不思議なものです。 若すぎたら「若造が生意気な事をいって」と言われますし、年だったら「古い考え」なんて言われますし。   バレエにおける「年だから」っていつの事をさすのでしょうね? プロのダンサーと関わってきた経験から様々な国でのプロ、そして学生、大人バレエトレーニー(大人でバレエレッスンを受けている方々をDLSではトレーニー「トレーニングする人」と呼んでいます)などパターンに分けてみてみましょう。   女性ダンサーに限る! ここで話すダンサーは主に女性だと思ってください。 バレエ人口では女性が圧倒的に多いため、男性は下手でもカンパニーに入れるケースが沢山あります。 2、3年前になりますが、オーストラリアンバレエ団が世界各国からダンサーをよび、ガラコンサートをしたときの、某日本男性ダンサーの酷さったら!   今でも話題になるほどです。 悲しいね。   パドドゥクラスを行う関係上、男性ダンサーと女性ダンサーを同じだけクラスに取る、という学校も多く、女性ダンサーの方が人口が多いから、男性だったら年齢や実力に多少幅があっても大丈夫ってこともあります。…

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ダンサーの膝の痛みの救世主 VMOちゃん 内側広筋について

  VMO(ビエモ)って言葉を知っていますか? なんだか可愛いでしょう? ELMOみたいな感じ?   これって実は筋肉の俗名、あだなです。 どの部分でしょうか?   (音声で聞きたい人は一番下へ。ポッドキャスト・Youtubeで再生できます。)   題名みたらわかっちゃうからクイズではないですね。 これは内側広筋(ないそくこうきん)と呼ばれる、大腿四頭筋のひとつである筋肉のあだな。 覚えていますか? 大腿骨の周りにある筋肉グループのひとつである大腿四頭筋のひとつ。     内側広筋を英語で言うと、Vastus Medialis,またはVastus Medialis Obliqueと言います。 なので頭文字をとってVMO、ビエモちゃん!   って訳です。   この筋肉、とっても、とっても大事な筋肉です。 が、大腿四頭筋の一部であるため嫌われ易い子でもあります。 今日はVMOちゃんと仲良くなること、そして彼らの仕事を知ることが目的です。 (筋肉を固めないで使う、っていうシリーズで説明した通り、大腿四頭筋をスイッチオフして踊れませんよ!)    …

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ダンサーのケガ 三角骨と足首の後ろの痛み

*このブログは2014年に書かれたものを2020年に大幅加筆修正しました。   いつもセミナーを行うときは、私も一緒に色々なことを学んでいます。 同じケガ、痛み、年齢、バレエ歴でも一人ひとりの体が違うので新しいストーリー(ケーススタディ)をたくさん聞きます。   2014年春のセミナーで学んだことのひとつは「ひよこ骨」という言葉。 聞いたことがなかったのですが、三角骨のことだそうです。 ということで、今日は一緒にひよこについて勉強していきましょう! 三角骨って何? 三角骨(さんかくこつ・Os Trigonum)というのは、距骨(きょこつ・Talus)に三角の出っ張り?余計な部分??がついている部分の事をさします。 ひよこ骨と呼ばれる理由は、このでっぱりがひよこのクチバシみたいに見えるからだそうで。   足首にこっそりとひよこを飼っている人達は結構多くて、10人に1人だそうで。 今度電車に乗った時に、一緒に車両に乗っている人達の10%がひよこの飼い主なのかぁ、と見てみてください。 世界が少し違った形に見えるかもしれません…   生まれたときからひよこと一緒、という人は少ないらしいので(そりゃそーだ、赤ちゃんの足の骨は大人と全然違うからね!)、 本人がひよこの飼い主だって自覚がない事が殆どです。   →距骨というプリエやポワントで大事な骨の説明は「プリエ使えてますか?」P40 に書いてあります。 三角骨と足首後方インピンジメント症候群 足首ひよこがいたとしても、そいつが全くもって問題にならない人達もいます。 だから三角骨=いつも痛みが出る、ではないのです。   三角骨「が原因」で痛みが出るケースを有痛性三角骨障害(ゆうつうせいさんかくこつしょうがい・symptomatic os trigonum)というそうです。  …

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筋肉を固めないで使うってどういう事? 筋肉の収縮

*このブログは2014年に書かれたものを2020年に大幅加筆修正しました。   筋肉を使う、これはダンサーにとって当たり前ですよね? 筋肉を使わないで踊れないでしょう? (とスタートしたは良いけれど、未だに筋肉を使わずに踊れると信じて、筋肉を緩めることに命をかけている時代遅れダンサーがいるのも事実だしなぁ…)   でも、バレエ界の摩訶不思議な「事実」として伝えられている  筋肉を遠くに伸ばして! 踊っているとき、筋肉を固めないで!!   いや、間違っていないんですけどね? でもこれらの言葉をしっかりと理解できないと、 正しく指導はできませんし、危険すぎます。 バランスのゴールは「止まる」事ではない よくよく考えてみると、バレエの振付、 アンシェヌマンの中で「止まる」事はないんですよね。 たとえ「バランス」をとっていても。    例えばピルエットの後、バランスをとって止まる、という美しい見せ方がありますね? これも、ルティレでがちっ!って止まってしまうのではなく、 止まっているのに伸び続けるエネルギー、みたいな。   スピードが落ちているけれど、止まっていないっていうの? 視覚的?感覚的??には動きの余韻が残っているような、そういうバランス。   でもバランスとは、停止という意味じゃないでしょ? 調和、つり合い、均等が取れた様子ってことじゃない?   そういう意味で「筋肉を固めないで」と言われているのならば意味が分かりますよね。  …

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舞台裏からこんにちは ツアー中バレエ団から学んだ事

DLSのFBをフォローしてくださっている方々はご存知のように、 先週末、私は地下にもぐってツアー中のバレエ団の治療に励んでいました。   今日はそこから少しだけ、舞台裏をご紹介!     舞台裏で、って何をしているのかって?     普段はバレエ学校専属セラピストとして働いているので、 治療するのは生徒たちです。     でも、時々バレエ団に呼ばれてシーズン(ひとつの演目が行われている時期)に働きに行ったり、 舞台裏でスタンバイしたりすることがあります。     今回の仕事は舞台裏スタンバイ。 しかもメルボルンでのツアー期間が短いため、私は一度しかダンサー達に会いません。   つまり、リハビリでもなく、ただメインテナンスの治療を行います。     ツアー中ダンサーたちはとても疲れています。 毎日舞台。 時にはマチネとナイトショーもあります。 そして1、2週間後には次の街に行くんです。     カンパニーが小さい場合、怪我してもシーズン中は踊り続けなければいけません。…

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