ダンサーは「ありのままの自分」でいいのか?

2021年3月から始まったボディコンサークル(毎週日曜日の朝に行われているボディコンディショニングクラスのこと)も両グループ合わせて50回を超えました。

 

パンデミックになってからバレエ学校生徒(+卒業生)達にオンラインでエクササイズクラスは提供していたんだけど、それは私の元生徒達。

性格も、レベルも分かっている子達を相手にしていたので、ボディコンサークルを始める時は大丈夫か心配はしていました。

 

でも継続してみたら

  • バレエ歴(バレエ歴5年から何十年もやってきた人たち)
  • 年齢(13歳から大人まで)
  • スタジオ(同じスタジオからの参加者はゼロ笑)
  • 地域だけでなく国境も超えて

皆がオンラインでエクササイズをしても効果があるんだということを再確認!

 

特にボディコンでは

  • 毎クラス後に参加者からのフィードバックをもらっている
  • フィードバックであった悩みや問題に個別に対応している
  • 毎月最後のクラスの後にQ&Aがあり、本音を聞ける

という環境を作ったので、一方的に受けるだけになりがちなオンラインクラスの壁を超えられたかな?と思っています。

 

でも、面白い発見もありました。

私が画面で見ている様子と、本人の思っている事がずれている事があるということ。

 

テクニックやエクササイズが正しく出来ているか?という部分ではないですよ。

それ「を」学ぶためにボディコンサークルがあるので。

 

そうではなく、メンタル的な部分っていうのかな?

今日はその部分を紐解いていきたいと思います。

 

ダンサーに見られがちな考え方の癖「自己憐憫」についてはこちら

ありのままの自分、でいいのか?

映画Frozenが流行った事もあるのかもしれませんが、「ありのままの自分を好きになろう」というメッセージが主流になって久しいですよね。

(すでにFrozen2も出てるし遅いって?ごめんね、Disney好きじゃないのよ)

 

Love your selfのメッセージにケンカを売っているのではございませんし、エルサに恨みがあるわけでもありません。

もちろん、氷にされたいわけでもなければ、寒さは身に沁みます…

 

でも「ありのままの自分」というのは非常に難しいトピックだと感じます。

特に教育の場では。

 

ありのままの自分=今の自分

だと仮定しましょう。

 

ダンサーも指導者も、昨日の自分よりも1ミリでも成長した自分になりたいのではないか?

もちろん

  • 自分が嫌いだから変えたい、という否定の気持ちではないですし、
  • 自分のダメなところも認めてあげるのは大切。

 

でも、ダメなところが分かっていたら良い方向に変えていく努力が大切なんじゃないかな?と思うのです。

 

そうじゃないと、前に進めないと思いませんか?

 

ちなみに日本語では「ありの~ままの~姿をみせるのよ」となっている歌詞ですが、

原曲は

「Let it go, let it go, Can’t hold it back anymore」

となっています。

 

直訳すると

「手放せ これ以上隠しておくことは出来ないわ」

になります。

 

そのままでいい、という停止した感じではなく、自分から隠すのを辞めるという行動をとる、という感じっていうの?

ちょっとニュアンスが変わる気がするんですが、皆さんはいかがでしょう?

 

名札をつけると、その先が見えなくなる

例えば、

  • 私は関節が緩いから
  • 私は側弯症だから
  • 私はO脚だから

 

これらが事実だとしましょう。

 

  • 関節過度可動性というのは存在しますし、そういう人達は関節のコントロールが難しく疲れやすいです。
  • 特発性側弯症は原因不明であり、完治の方法はまだ分かっていません。
  • O脚(内反膝)は遺伝で決まることもあります。

 

これらは事実です。

エビデンスがあります。

 

  • 私は関節が緩い(事実)
  • だから疲れやすい(事実)
  • だからこそ他の人より体力をつける努力が必要で(現状突破の手段)
  • だけど、疲れが溜まったら自分を認めてあげてしっかりと休む(体の声を聞くこと)

と出来るのが理想なんですよ。

 

だけど、このような行動を「ありのままの自分」と表現するのか?私には分かりません。

それよりは、self acceptance、つまり自分を認める事だと思うんですね。

 

バレエ学校の生徒達でもself acceptanceの先に進めない子達が多くいました。

  • 私は側弯だから
  • まっすぐの背中にはならないから
  • だから努力もしない

 

これではダンサーになるのは難しいでしょう。

側弯だからダンサーになるのが難しいのではなく、今の自分よりも先に進む気持ち、つまり向上心がないから。

 

ダンサーからケガの相談を受ける時、ケガの名称をもらうと安心する子たちがいます。

そしてそこで終わっちゃうの。

「OOというケガでした」ちゃんちゃん。って。

 

ケガの正しい診断は最初のステップです。

その次がリカバリーに大切な事。

  • どのリハビリが一番効果的か
  • ケガの原因となったテクニックの間違いはどこか
  • 回復を早めるために日常生活で変更出来る部分はどこか
  • ケガで踊れない時間を有効に使うためにはどうしたらいいか

 

  • ここまで考えること
  • 考えただけでなく、遂行すること

それが前に進むという事です。

 

→ダンサーのリハビリebook

変化は気持ちが悪いもの

この説明は月一勉強会スタンスWSなどでも何度もしています。

変化は気持ち悪いんです。

 

人間の脳みそはサバイバルを#1ゴールに掲げています。

今までやってきたこと死ななかった事(サバイバルした!)

なので

今までの習慣、癖を変えるには大きなエネルギーが必要になります

出来ない訳じゃないですよ?

習慣は変えられますが、努力が必要だし、変更期は居心地は悪いです。

 

神様にお願いするときのように指を組んでみてください。

私は、右の親指が左の親指の下に行きます。

やってみてくれました?

では、手を逆にしてみてください。

 

右の親指が上だったら、左の親指が上に来るように組みなおすってこと。

 

気持ち悪いでしょ?

  • 別に解剖学的に不可能な動きではありません。
  • 別に指を組む手を変えたからって、命に別状はありません。

でも気持ち悪いんです。

 

これ。

だからね「ありのままの自分」は時々「楽な方に逃げているだけ」の場合があるんです。

 

これらも「ありのままの自分」だよ

  • 誰かが見ていないと努力出来ない
  • どうしてもレッスンで痛いところまでプッシュしてしまう
  • 硬いな、と思った筋肉があったら執着してオーバーストレッチしてしまう
  • 忙しいって分かっていながら、スケジュールを詰めすぎる

 

これらも「ありのままの自分」です。

これらを放っておいて、成長出来ると思いますか?

 

誰かが見ていないと努力出来ないとしたら、見てくれる人が居なくなった途端周りに遅れをとってしまいます。

今のスタジオでは皆の憧れのお姉さんだとしても、バレエ学校にいったらその他大勢になります。

それで努力が出来なかったら、何のために留学したんでしょうね?

 

これ、私です。

私が留学した時の考え方でした。

 

ケガしていても、レッスンで痛いところまでプッシュしてしまう。

だけど肝心の強化エクササイズはつまらないし、踊らないし、

やってもやんなくても、ケガが良くなった様子が見られないからサボってしまう。

これでは、ケガは良くなりません。

 

はい、これも私でした。

 

硬いな、と感じた筋肉があったらエクササイズのフローは無視して、いきなり停止状態になるダンサーは多くいます。

これは私…ではありません笑

 

これはボディコンサークルで注意した部分でした。

ダイナミックストレッチ、エクササイズだったのに、ちょっと硬いなと思ったらそこでストップしてしまう。

思考も止まるし、何かが憑いたかのように目線が定まらず、その位置で停止

 

笑えると思ったでしょ、でも自分でもやってると思うよ?

ストレッチ信仰の奥深さ+ロボットダンサーの組み合わせは恐ろしいよ。

 

忙しいは言い訳になる

忙しいのが嘘だとは言いません。

でもね、忙しい、って言い訳になってしまうんですよ。

 

他人に対してもだけど、自分に対しても。

  • 今は忙しいから勉強しない
  • 今週は忙しいから体のケアをしない
  • 仕事が忙しいから落ち着いたら、好きな事をしよう

 

忙しくない日があった事あります?

大人になってからは勿論だけど、子供の時から毎日忙しくなかった?

 

忙しくしているのは自分である、という事実も頭に入れておきましょう。

そうでしょ?

最終的に自分がYESと言ったものがスケジュール帳に載るんだから。

 

  • 今は忙しいから集中しよう
  • 今週は忙しいから、寝る前5分だけでも体をケアする事で次の日がベストコンディションになるようにしよう
  • 仕事が忙しいから、O月までは新しいことに手を出さないようにしよう

 

これらはself acceptanceの上に今できる対策をしている事になりますよね?

そこまで考えていれば問題ないと思うんだけど、

 

忙しい、忙しい…と言いながらやりたくない事(もしかしたら、やりたかったことかも!)を後回しにして、

結果思ったように人生が生きられなかったら悲しいよね。

 

習い事がいっぱい過ぎて、自分が好きな事に没頭出来ない。

結局興味があった事への愛情も薄れてしまい、大人になったら仕事しかできない。「趣味」ってなんだろう?となってしまう。

習い事をたくさんやらせているご両親の本心は、いろいろと知ることで、人生の幅を広げる事だったんじゃないかしら?

 

仕事が忙しくて勉強出来ない。

その間にどんどん生徒がケガしていき、自分だけでなく多くの生徒のバレエ人生が無駄になってしまう。

これは自分だけの問題じゃなくなりますよね。

 

頑張り過ぎちゃう…という場合は?

頑張りすぎちゃう癖があるんです。

という意見もダンサー(特に年齢が上の人)から聞きます。

 

これも私は「忙しい」と同じく言い訳になっちゃうこともあると思うんです。

 

頑張り過ぎちゃう、と分かっているなら All or Nothingの考えを改めて、調整する方法を学ぶ

それが前に進む方法になるじゃないかしら?

 

昔、生徒の一人でずっと足首の痛い子がいました。

せっかくレッスン休んで、リハビリエクササイズをしているのに

踊らない分バイトを凄い量入れていたんですね。

結果、朝起きられず、授業に遅れる。

 

ケガしている関係上、レッスンの最初の方しか踊れないのに、その時間がなくなってしまう。

レッスンで遅れをとるかも、という焦りからやるな、と言われている動きまでやってしまう。

夜遅いシフトが祟り、見学しているときに眠くなってしまうため、先生にサボっていると思われしまうし、

何より、ケガの回復が遅れます

 

それを「彼女、今踊れないからほかの事で頑張り過ぎちゃうんだよね」という事も出来ると思いますが、

頑張り過ぎなのかな?

それとも、頑張る方向が間違っているのか?

どう思います?

ちなみに、頑張って!と言われる事が負担になる人もいると聞きます。

でも、周りから何を言われても、それをフィルターする能力がダンサーには必要だと思いますよ。

一般の人達もそうだけど、プロダンサーになったらある種のセレブになるため、

ネット上で自分のパフォーマンス(だったらいいけど、見た目や踊りの癖など)について色々言われるので

 

でもその話は長くなるのでまた今度。

 

Good BadじゃなくてIt is

忙しい事も、側弯症も、関節過度可動性もGood Badという名札を貼らないでください。

体力がない自分も、調子にのって踊っちゃう自分も Good Badで分けないでください。

 

そうじゃなくて、It isで見てみましょう。

良し悪しをつけるな、ってこと。

 

英語で習ったでしょ?

It isは現在形だって。

ということは、ここがありのままの自分じゃない?

 

そして、そこから先に進むことが未来、現在進行形。

側弯症だから現在は「体の左右差を感じられるように感覚を育て、コルセットの代わりに筋肉で保てるように強化中

これが現在進行形。

 

足の手術をしたからレッスンは出来ない。

だから現在は

足に負担をかけないままで、踊りに必要な筋力を作り、庇って動いているだろうからケガしていない方のケアに時間をかけるように意識してます。

だけどストレスは回復を遅くするから、その日の気持ちを整理するために日記をつけてます

は現在進行形。

 

そうできたら、エルサの言うところの

I don’t care what they’re going to say

(周りが何を言おうと気にしない)

 

the fears that once controlled me can’t get to me at all

(恐怖が私をコントロールしていたけど、もう大丈夫)

 

No right, no wrong, no rules for me I’m free

(正しいも、間違いも、ルールもなくて、私は自由になれる)

とじゃないかな?と思うのです。

 

Happy Dancing!

  • <お知らせ>

    体の声を聞く練習と共に、弱点を克服し踊り続ける事、長く指導し続ける事が出来る体を育てるボディコンサークルは毎週日曜日にZoomにて行われています。

    スケジュールやトピックの詳細はこちら

  • <お知らせ>

    DLS教師のためのバレエ解剖学講座モジュール1&2を受講された方々向けに、毎月ダンサーに見られやすいケガ予防とレッスンの作り方についてを勉強する「教師のための月一勉強会」があります。

    モジュール受講者は毎月のテーマとスケジュールをこちらからご確認くださいね。

  • 佐藤愛著シリーズ



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