昔みたいに踊ることがリハビリのゴールではないよ

  ケガする前みたいにジャンプやポワントをしたい 昔みたいに足を挙げたい   こういった声をリハビリ中のダンサーから聞くことが多くあります。   先日この話をインスタライブでお話したのですが、 もう少し考えをまとめて文章化もしておこうと思いました。   今ケガしている人だけでなく 周りでケガしているダンサーをサポートする側(先生、保護者など)も 読んでもらえると嬉しいです。   完治と前みたいに踊る、は同義語ではない 19歳のバレエ学校留学中、プロを夢見る愛ちゃんがケガをしたとしましょう。   愛ちゃんは、長い間レッスンを見学していて 少しずつレッスンに復帰はしてきたけど、 まだターンアウトは少ないしバーレッスンだけ。   皆が自由に踊っているセンターやリハーサルを見て 「あー前みたいに踊りたいなぁ」 と思う事があったとしたら それはネガティブ思考とか、間違った考え方ではありません。   他の人(過去の自分も含む)が持っていて、今の自分にないものを 欲しいなぁと思う気持ちは当たり前でしょ?   でも、それは 完治したら前みたいに踊れる…

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治療「だけ」じゃ痛みなく踊れるようになりません!

*この記事は2016年3月のものを大幅に加筆修正しアップデートしました。 DLSのセミナーに参加してくださる人やメール、SNSにくる相談などで目に留まるのが 「毎週整体に通っています」 「鍼治療を受けています」 というダンサーの声。   そして彼らの年齢は…小学6年生から痛みが始まってとか、現在13歳!とか。 これらのメールから分かることは、 年齢が若い 慢性の痛み 治療をしても結果、変わらない(多分、その直後は良くなるんだろうけどね)   メールには書いていなかったけれど考えられる点は バレエを頑張っている(当たり前ね、バレエのセミナーにくるんだから) 踊っているときに痛い(普通の生活はある程度できるのでしょう。バレエやっているんだから、普通の生活ができない痛みではないと思われる)   この記事では、習い事で治療に通わなければいけないようなケガをしていることと、治療だけでは痛みなく踊れるようになれない理由についてお話ししていきましょう。 バレエは痛いものではない 確かにね、バレエをはじめスポーツで体を使えば、ある程度の痛みが出るときがあります。 筋肉痛の痛みだったり、疲労が溜まってだるい、トウシューズが下ろしたてだから違和感がある、とかさ。 だけど、これらが週に3~4回、1回2時間のレッスンを受けているだけで「毎日」起こることはありません。   例えばバレエ学校に入ったばっかりで、いきなり毎日5時間、今までとは違うレベルで、違うジャンルのダンスも科目に入っているような、 踊る生活に体が馴染んでいなくて、痛いということはあるかもしれません。   プロになって毎日公演があるっていうときにも、振付の関係上、同じエリアを何度も使うから慢性の痛みが出ることがあります。   だけど、これらは小学生がバレエスタジオでやっているわけないんですよ。 成長期に体の回復が間に合わないくらいの練習量 偏った使い方で痛みが出る…

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ダンサーのリハビリeBook 2nd Edition

  今ケガをしていて、ほかの人のレッスンを見学しなければいけない人へ 手術しろと言われたけど、そうすると踊れなくなっちゃうんじゃないかと不安な人へ 自分の生徒がもしくは子供が、ケガをしているのでサポートしたいと思っている人へ このeBookはそんな人たちのために書きました。 ご購入はこちらから   私がバレエを辞めたのは、長期にわたるケガのためでした。 その後、どうしてケガをしたのか知りたくて解剖学を学び、Diploma of Remedial Massage Therapyという治療家の資格を取り、バレエ学校で働き始めたけれど、 ケガしてくる子たちを「治療」するだけでは、完治ではないし、舞台復帰にはならない、という事に気づきました。 そこからピラティスを学び、オーストラリアバレエ団のボディコンディショニングスペシャリストについて研修し、10年バレエ学校で専属セラピストやフィットネスクラスの講師をしながら ケガ予防(もしくは小さなケガから大きなケガになるのを予防)がどれだけ大事なのか 的確なリハビリがどれだけダンサーの復帰に繋がるか を痛いほど学びました。   文字にすると当たり前ね。 だけど、これが出来ているダンサーやスタジオはほとんどなく、バレエ学校やカンパニーでさえ規模によっては難しいようです。   バレエ指導、治療家、トレーナー。 この3点からダンサーのリハビリに必要な知識部分をまとめたのがこのeBookです。   同じケガの症状や、病名でも、ダンサーの数だけリハビリ方法がある。 だからこのeBookであなたのケガを100%完治させることは出来ないけれど、大きなサポートになってくれたら嬉しいです。 ダンサーのリハビリeBookが向いている人 今ケガをしていて、ほかの人のレッスンを見学しなければいけない人 手術しろと言われたけど、そうすると踊れなくなっちゃうんじゃないかと不安な人…

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肩が前に落ちちゃうダンサー必見! 肩周りリハビリエクササイズ

「私は肩が前についているんです…」というダンサーはたくさんいます。 私はそうは思いません。 ただ、今日はそういった解剖学的な事をお話するんじゃなくて、   肋骨の形(肩関節の乗っかっている土台) 胸椎のカーブ(肋骨がついているところ) 上腕骨の安定(肩の方向が目で見えるところ) 肩甲骨の安定(肩がはまるお椀になっているところ) 鎖骨の向き(肩関節の骨の一つ) と関係なく(…だから私は肩が前についているってそう簡単に言えないと思うのよね。だって原因となる骨だけでこんなにあるんだから。筋肉までいれたらすごい長さのリストになるよ) 肩が前に落ちるのを修正するエクササイズをご紹介します。   このエクササイズはローテーターカフという筋肉グループを鍛えるエクササイズで、 その話は教師のためのバレエ解剖学講座、モジュール3でお話していますね。 AGAIN!! 今日は解剖学の話はしない…(ように気を付ける!) すんげーマニアックな人達へ ローテーターカフは4つあるのでもちろん作用も少しずつ違いますが、ここでは肩関節外旋にフォーカスしているので、メインはインフラとテリー。 エクササイズバンドを使っているのでサブスキャップもカバー出来て、スープラはこの姿勢を維持する事で意識。 ただし、スープラをもっと意識するためにはたぶん上腕骨の角度を考えた方がいいけれど、それはダンサーの骨格により変化するので今回はお話しない。 OK? ローテーターカフのエクササイズをお勧めする人 肩が前についている、と思っている人 猫背に悩むにゃんこたち&毎日パソコンに向かう人 肩を開こうとすると肋骨が出てくるダンサー 四つん這いですら、ホールドしていると腕、肩が辛いくらい上半身が弱い人 肩の怪我のリハビリ中な人 リフトやパドドゥの練習を始めたい人 結構ヘビーなリフトやパートナリングが含まれているリハ中のコンディショニングが必要なダンサー  …

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ケガが治っても弱く感じる時にはどうしたらいい? DLSポッドキャスト epi294

  2020年1月に行われたプリエ本先行予約特別イベントのQ&Aセッションより、 長期のケガ回復まであと少し!なダンサーのリハビリプログラムと、バレエノートを書くメリットをお話しました。 体の声を聞くってどういう事か分からないダンサーは特に聞いてみてください。   聞きたい人はこちらから   スクリプト みなさんこんにちは、DLSポッドキャストへようこそ、佐藤愛です。お元気ですか? DLSポッドキャストはプロの現場から健康なダンス生活を応援する情報サイト、ダンサーズライフサポートドットコムのブログ音声バージョンプラス ポッドキャストだけの裏話などを毎週金曜日にお送りしています。   今月はプリエ本先行予約イベントのQ&Aセクションよりいくつかの回答をピックアップしてポッドキャストにしました。 イベントに来てくれた人は復習として、来られなかった人は行きたかったなーと思いながら聞いてください。   最初の質問は結構大きめのケガをした子の話。 2つ目の質問は体の声を聴くってどういう事?という質問の答えの一部より。 1つ目の回答の補足みたいになるのでペアでアップしますね。   ではイベント音声をどうぞ。     (質問者) 今日は貴重な機会をいただきありがとうございます。愛さんに質問があります。 去年の5月に右足首の靭帯を損傷してしまいました。2ヶ月間松葉杖生活をして今は復帰しています。 整形外科の先生にはあまり緩んではいないと言われましたが、いつものレッスンでは感じなくてもポワントのレッスンをしているときに右足首が捻挫をした方向に行ってしまうことがあります。 今は右足のカフライズを左よりも多くしたりしているのですが、体力がないということも関係していると思うので、体力を上げる方法や右足首が強くなるようなエクササイズやケアがあったら教えて欲しいです。   (愛さん回答) しっかりしてるわーって声が!質問が素晴らしかった。…

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側弯ダンサーのエクササイズ 四つん這いタッチ

前回の側弯エクササイズはとても人気でした。 側弯でも踊れる!ということは分かっていても、具体的に何をしたら…って悩むダンサー (+指導者、親)が多いんだろうなって感じました。 →側弯用壁ロールダウンはこちらからどうぞ。   今日はスタンス本でもDLSキッズや、スタンスWSでもぜーったいに出てくる四つん這いエクササイズを 側弯レシピにしてみます。   今回のエクササイズは 左右バランスが気になるダンサー だけでなく 四つん這い手足上げが苦手 腕を強化したい ポーデブラをすると肩まで一緒に動いてしまい、体のスクエアをキープ出来ない なんて子たちにも向いています。   四つん這い手足上げって何?と思った人は、私の「バレエの立ち方出来てますか?」本を手にとってくださいな。 そっちに細かな説明と、どうしてこのエクササイズがいいのか?が書いてあります。 四つん這いタッチ セッティング えーっと・・・名前通り四つん這いになります。以上! 注意事項はスタンス本に書いてあるから大丈夫だよね? 四つん這いタッチ やり方 肘を曲げ、手のひらで胸骨にタッチして10秒ホールドします。   (肩甲骨が飛び出ない方がいいんだけど、側弯の子はそれが大変なのと、 自分では分かりづらいため、ここでは肩の高さ「だけ」にフォーカスを絞ります。 もしこの記事を読んでいるトレーナーさんがいたら、肩甲骨も見てね!)   手を地面から外した途端、肩の高さが変わってはダメよ。 *側弯の子は、これが結構難しい。…

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手術後のダンサーへ

手術が終わって、麻酔から覚めたとき泣いたんだよね。これで痛みとサヨナラできるんだって思って… ー 股関節手術をしたダンサー 残念ながらダンサー用のリハビリをせず、術後1か月で舞台に復帰したため、1年半痛みが引かず、100%踊ることができなかった。 術後1か月で昔みたいに踊れるようになる、って言われたけど、まだパンパンに腫れていて、歩くこともできないんだけどどうしたらいい? ー三角骨除去手術をしたダンサー 送られてきたメールと写真を見て、急遽メルボルンに戻って来い、と連絡。その後、手術失敗だったことが分かり、再手術になった。   今まで手術前のダンサーより、手術後のダンサーに会う機会の方が多かったです。 そして手術前より、手術後の方が長く、大変な道のりだというのも彼らを見て知っているつもりでした。 「つもり」。   実際に自分が手術を体験して、リハビリを経験した中で、彼らの気持ちがもっと分かった気がします。 私は時間制限のある中で、プロダンサーになるレベルに復帰を目指しているわけでもなければ、周りから、いつ戻れるの?と言われたり、親から、バレエをやめたら?と言われるわけでもない。   ある程度大人で、手術についてリハビリや治療、治癒期間の変動について知識がある私だから、 あーーーー今日はダメだ!って一日中ソファーでYouTubeを見ていることもできました。 明日はよくなるだろう、って。   でも、彼女たちはどんな気持ちだっただろう… ここでは手術後のダンサーが知っておきたいことをまとめました。 必要な人に届きますように。 →術前のダンサー向けの記事はこちら better than beforeを目指す リピート アフター ミー! 「手術したからって元の自分になるわけじゃない」   元の自分に戻ったらまたケガするでしょ。…

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手術前のダンサーへ

DLSの記事を読んでくれている人の中には、手術後リハビリしているという人もいるかもしれません。 今は過去を振り返るのが辛い人、こうしておけばよかった…と後悔すると、心がもたないかもしれないと思う人はこの記事は読まなくて大丈夫です。   手術前の人、手術も視野に入れているが今はリハビリ中の人、 もしくは生徒・子どものために読んでいますという人用にこの記事を書きました。   ここに書いてある事が「すべて」ではないですが、参考になりますように… リサーチは必須! 手術をするかどうかのリサーチ、術医のリサーチはもちろんですが、 術後のケアがどれだけついてくるのか、どんな手術をするのか?もリサーチが必要です。   手術をしないで治療する方法を「保存療法」と言いますが、手術するか・すべきでないか、の2択ではなく、手術+保存療法を混ぜるなんてこともあります。 この記事でお話ししたように、手術がなくても治るケガがダンサーには多いですが、だからと言って手術したらダンサー生命が終わってしまうわけではないですからね。 ただ、海外にいる治療家として、日本は手術したがる傾向があるとは思います。   ほかにリサーチしておきたいものは、 手術をする病院(施設や立地条件、通えるかどうか) タイミング(季節、家族のサポートが受けやすいスケジュールなど) リハビリの長さ 舞台復帰までリハビリしてくれる人を探す 正しいバレエテクニックをコーチング(個人レッスン)してくれる人を探す などなど。   手術した後にこれらをチェックする、では遅いです。 覚えています?リハビリのゴールは最短の時間で舞台復帰すること。   このようなリサーチは思ったよりも時間がかかりますし、 アポイントメントはいつとれるか? リハビリ、コーチングをしてくれる人のセカンドオピニオン によって全てのスケジュールが変わることがあります。…

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ダンサーのケガ 骨膜炎

ターンアウトできてますか?本の先行予約終了があと2日に迫っているこの時期に、 あえて、ターンアウトとはまったく!関係ないこの記事を書こうと思ったのは、あるメールをもらったからです。   本人に許可を取っていないので、内容を抜粋だけしますが、 子供が疲労骨折をしていて、そのリサーチをしていたらDLSに行きついた。 疲労骨折の記事で説明した私の年齢と、娘さんの年齢が一緒。 親として悲しくなることもあるけど、記事を書いてくれてありがとう。 という内容でした。   あの記事からかなり時間が経っているので、2018年1月に行われたバレエの立ち方できてますか?先行予約イベントでは私の摂食障害についてもお話しています。 だいぶオープンに経験を話せるようになったと思う。   なかなかメールをいただいた全員に返信が出来ない事もあるんですが、全部目を通しています。 そういう悩みがあるんだ、と思ったら記事にすることもあるし、 ポッドキャストに取りいれたり、セミナ―でお話したりすることも。   今回のメールは私に「普通は普通じゃない」って事を教えてくれました。 私にとって、疲労骨折の知識は普通で、バレエ学校でもよく見るから話すけど、 その知識が普通ではないからシェアしなきゃいけない!って事。   だってねぇ、いくらいい知識でも私死んじゃったら意味ないでしょ? その前にどんどん出さなきゃ、便秘になっちゃう笑   治療家トレーナーセミナ―の特化コースで「股関節障害」についてお話したことがあるんですが、 そこでも、私にとっては普通、という情報が日本にはまだ入っていなかたり、 ダンサーと仕事をして、ある程度内輪で繋がっていないと分からない事がいっぱいあるんです。 そちらを受講する予定の人、内容すっごく詰まってるから、前日しっかりと寝て頭シャキーン状態で参加してね。 *私みたいに、ダンサーをサポートしたい!と思っている学生さんも参加できるよ。 難しいけど、様々な職業の人の話を聞けたり、繋がることができます。  …

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不調をケガに発展させないために、レッスンの外で出来ること

  リハビリ中、昨⽇より良い⾃分、右肩上がりでイエーイ!な毎⽇が続くわけではありません。 ときどき気のせいかもしれないけど、ちょっと変だよね、調⼦がイマイチ…なんて⽇があります。   ちょっと良くなったのに、また元に戻っちゃうんじゃないの? と不安になる気持ちもよく分かるから、 ここでは不調を発⾒したら確認してほしいことをお話ししていきます。   でもその前に、そんな体の⼩さな声に気づいた⾃分をまずはほめてあげてくださいね! ちゃんと寝てる? まずはここから確認しましょう。 この記事でも睡眠時間についてもお話ししましたよね。   ついつい夜更かししていませんか? ベッドに⼊った後も携帯いじっていませんか?   眠るというのも仕事の1つ。   寝る前の準備として部屋のライトを落としたり、お⾹を焚いたりしてもいいかもしれません。 携帯をベッドに持ち込まず、アナログな⽬覚まし時計をセットしておくとか、 勉強系ではなくフィクションの本を読むとか、触り⼼地のいいパジャマを探してみるとか…   ⼈間の⼈⽣、3分の1は寝ているんですから真剣に考えてあげてくださいね。 栄養や⽔分補給は? 体の修復には材料が必要です。 その材料は栄養。   ⻝事ちゃんととっていますか? ⼀⽇を通して⽔分補給していますか?  …

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