肩関節:ポーデブラの発祥地を理解しよう!

*このブログは2013年に書かれたものを2020年に大幅加筆修正しました。   今日は肩関節の構造についてダンサーが知っておきたいことをお話していきます。 でもその前に… ポールドブラじゃないの?と言われそうだから免責を一言。   Port de Bras、フランス語で腕の運びという言葉ですが、これを英語読みすると「t」「s」は小さくって聞こえづらいのでポーtデブラzって感じになります。 なのでオーストラリアのバレエ学校で英語でクラス指導をしてきた関係上、私はポーデブラ、って日本語でも読んでいます。 ポールドブラ、で習っている人は脳内変換してください。   肩関節は肩なのか? 肩関節の構造とか難しい話になる前に、皆が同じ理解でいるかどうか?を確認させてください。 肩関節という解剖学用語って普通の人達がいう「肩」になるのか?と聞かれたらちょっと困っちゃう部分があります。   例えば肩こり、って言った時に自然に手を当てる部分は肩関節ではないんですよ。 肩で息をする、という言葉だと肩関節も上下するけれど、肩関節が乗っかっている肋骨自体が激しい呼吸で動いているのね。 だから動きは肺と肋骨で、肩「も動いちゃった」的な感じになる。 スーツなどの肩幅、と言った場合には一般的には、は左右の鎖骨と肩甲骨がぶつかる関節(肩鎖関節)の距離の事を言います。   今日お話していく部分は肩関節ですのでお間違えなく。 レッスン中に肩を下げて、とか肩を広げてとか言われたら、その都度言われている部分が違う可能性があるという事も頭に入れておいてください。   肩関節を作る骨たち 肩関節と呼ばれる部分は3つの骨で出来ています。 関節っていうのは2つの骨のぶつかるところ、というイメージが強いけれど、今回のように2つ以上の骨の時もあるんだね。   鎖骨(さこつ・clavicle) 胸骨のところにくっついているから、解剖図を見たときに鎖骨は肋骨の一人だと間違えられちゃうことがあるんだけど、こいつは肋骨ではございません。…

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五十肩(肩関節周囲炎)とバレエ

2020年の秋セミナーではこの質問を様々な教師用クラスで聞かれました。 五十肩の生徒さんをどう指導したらいいのか分からない   今までの来日セミナーではなかったので、取り上げたことはなかったんだけど、今日のブログでは五十肩っていうヤツにフォーカスを当てて考えてきましょう。 五十肩って何? まずね、私はこの五十肩って名前が嫌いなの。 すっごく嫌い。なんで年齢なの?(この答えは後で出てきます…)   しかもこれ、ちゃんとした診断名でもないんだよね。 ぎっくり腰=急性腰痛の総称(もしくは診断するのが面倒)とか肉離れ(筋挫傷の総称、でも重軽度は確認していない)とかと同じ類な気がします。 ご存じの方がいたら教えてくださいませ。   英語ではfrozen shoulderという俗称で知られるんですが、正確にはadhesive capsulitisです。 肩関節の関節包(joint capsule)の炎症(ーtisとつく)って意味で、 adhesiveというのは粘着性とかと言われるもの、つまり関節が動きづらくなることを指します。   日本語では肩関節周囲炎というみたいですね。   日本整形外科学会のサイトによると 中年以降、特に50歳代に多くみられ、その病態は多彩です。 関節を構成する骨、軟骨、靱帯や腱などが老化して肩関節の周囲に組織に炎症が起きることが主な原因と考えられています。肩関節の動きをよくする袋(肩峰下滑液包)や関節を包む袋(関節包)が癒着するとさらに動きが悪くなります(拘縮または凍結肩)。 とあります。   そう、一言に五十肩といっても、いろいろな問題・症状があるんですよ。 四十肩と五十肩は違うの? いいや、違わない。  …

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背中の大きな筋肉 僧帽筋を勉強しよう

*このブログは2014年に書かれたものを2020年に大幅加筆修正しました。   ブログのタイトルを見たらすぐに分かるだろうけど、今日の主役は僧帽筋です。 背中にあるかなり大きな筋肉。 なのにダンサーが「背筋を鍛えたい」「背中を強くしたい」と言う場合、この子の事は指していません。可哀そうに…   漢字を見るとお坊さんの帽子の筋肉、ってなっていますが、 お坊さんって帽子被ってたっけ?って思ったのは私だけではないはず。   実はお坊さんはお坊さんでも、昔のカトリック系の人がかぶっていた帽子に似ている形だからだそうです(出典元) 私たちの想像する、典型的な「日本のお坊さん」とはちょっと違いましたね。   僧帽筋はどこにあるか? 僧帽筋(そうぼうきん・Trapezius)は背中にある筋肉で一番皮膚に近いところにあります。 この子の下に、菱形筋(りょうけいきん・rhomboids)とか脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん・erector spinae)だとかバレエ解剖学が好きな人が知っているであろう筋肉たちが住んでいます。   僧帽筋は 頭蓋骨(ずがいこつ・skull) 頸椎と胸椎の棘突起(+項靱帯とかいう靱帯だけど、面倒くさいので無視) 肩甲骨の肩甲棘(けんこうきょく)や肩峰(けんぽう) 鎖骨(さこつ) にくっついています。 頭、背骨の半分以上、肩甲骨と鎖骨。 ね、大きいエリアをカバーする筋肉でしょ?   →頸椎、胸椎、棘突起…背骨の部位を勉強したい人はこちらからどうぞ。 →肩甲骨にトゲ?と思った人はこちらから肩甲骨のでっぱりを復習して。 僧帽筋の仕事は? 大きな筋肉のやっかいなところは、筋繊維の場所によってお仕事が変わること。…

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