ダンサーが知っておきたい外反母趾について

 

DLSの記事は、

  • バレエ学校であった生徒や保護者との会話
  • 試験やオーディションに立ち会って見たもの、聞いたもの
  • 実際に見てきた、聞いてきた質問&怪我
  • 私がバレエ留学をしてきた体験

を元に作っています。

  

さて、今日の話はともちゃんの親指。

ともちゃんは今年入学した日本人生徒。

短い期間にとーっても上達したって先生方の間でも噂の努力家です。

 

学校で彼女とたまたますれ違い、世間話をしていた時に出てきた一言。

「プリエが使えないんです」

 

でも題名を見ても、プリエの事を書く予定はありません。

今日はその会話の続き、「最近、外反母趾も痛くなってきちゃって」にフォーカスして書いていきましょう。

 

この記事は2014年に書かれたものを、2022年により読みやすくまとめたものですが

2014年にこの記事を書いていた佐藤愛は、まさかプリエに関する本の著者になっているなんて思っていないでしょうね。

(だってプリエの話、飛ばしちゃってるし…笑)

 

外反母趾とは

「最近、外反母趾も痛くなってきちゃって。

でも出っ張りが酷くなってきたわけではないんです」

 

プリエの話の続きとして、ちらっと話に出てきた外反母趾。

 このケガ?症状?体型?に悩んでいるダンサーは多くいると思います。

 

外反母趾には種類があり、原因も色々あります。

 

ツイッターでこの前(と書いていますが、2014年に見つけたツイッターだからね。元を探すことが出来ませんでしたBy2022年の佐藤愛)

 

「外反母趾は治ります!」というツイートをしていた治療家(なのかな?)の人がいましたが、

重度の外反母趾や、遺伝からくる外反母趾が、本当に治るかどうか?

私には分かりません。

 

私の最初の本、「バレエの立ち方出来てますか?」という

ページ数が半端ないため本自体が立つというところが売り(違う)の本の中に外反母趾のセクションも入れておきました。

だって、立つ行為は足が必要だからです…

 

  • 外反(がいはん・valgus)=体の一部が、体の中心軸に対して外側に反っている状態のこと
  • 拇趾*(ぼし・hallex)=足の親指

*拇趾と母趾の記載に違いはないと理解していますが、正式な使い分けがあったら教えてくださいね)

 

となり、親指の付け根を作る第一中足骨と、親指の先をつくる趾骨たちとの関節、

MP関節が足の中心軸に対して、外側に移動してしまっている事、と分かります。

 

まーそんな説明しなくても外反母趾は解剖学を勉強していなくても、お茶の間で伝わる一般用語みたいになっていますよね。

 

人によって何種類も細かく分けていたりするそうですが、

ご存じのように英語圏で解剖学や治療について学んだ私は、医療日本語にしこたま弱いため

+英語ではそのように分かれていないらしい

という事なので、

  • 2種類の外反母趾
  • 3種類の進行状態

をご紹介します。

 

外反母趾の種類

外反母趾のダンサーと向き合う時、私は

  1. 靭帯性外反母趾(じんたいせい)
  2. 仮骨性外反母趾(かこつせい)

の2種類を判断する事を大切にしています。

 

靭帯性外反母趾というのは名前通り、靭帯が原因。

靭帯「が」というよりも、靭帯サポートが「なくなったため」なのですが。

 

足には3つのアーチがあります。

土踏まずだけがアーチではありませんが、この話はスタンス本はもちろん、

DLSでながーくやっているダンサーの足セミナーでも詳しくお話しているので今日は割愛します。

 

外反母趾に影響する靭帯は横アーチを支えているもの。

先ほど、外反母趾はMP関節が外に広がってしまったもの、とお話しましたよね?

 

親指のMP関節から、小指のMP関節にかけて

つまりルルベをするときに曲がる関節を横向きに走っている方向のアーチを支えている靭帯が

(甲だしとか謳っているストレッチなど)何らかの影響で伸びてしまい(=靭帯損傷

骨を支える紐がなくなった為、

MP関節が広がってしまったというものね。

 

仮骨性外反母趾も名前通りではあるのですが、

本来は親指の腹に流れるべき重心や衝撃から体を守るために、

元々骨が作られる予定でなかった部分に体がカルシウムを集めてきてしまって、骨化し出っぱるというもの。

ターンアウトして歩くなよ、というのはここです。

→アップデート版ペンギン歩きの記事を読んでいない人はこちらから

 

この状態になると、骨を削るしか「元の」状態に戻ることはありません。

様々な手術があるようですが、それは私の分野ではないので飛ばしていきましょう。

 

外反母趾の進行状態

ケガや症状には、進行状態があります。

外反母趾ある、ないの2択だけではないという事ね。

 

そして、靭帯損傷や筋挫傷(捻挫や肉離れ)のように、

外反母趾も軽度、中度、重度の3つに分かれるのが一般的のようですね。

 

簡単にいうと、どれだけ出っ張っているか?で進行状態が変わるようですが、

正しくはかる方法はレントゲンなどで骨の角度をチェックする事だそうです。

 

ただし側弯症もそうですが、筋肉のバランスが悪くなり、本来の角度よりも酷くなって見える場合というのも存在します。

その時は筋肉バランスを整えるリリースや、エクササイズなどのリハビリをすることで

「素直な外反母趾角度」に戻してあげることは出来ます。

 

仮骨化が進んでいない段階で、10代であれば

正しく使う事、ケアする事を身につける事で、進行状態を止める事ができるでしょう。

(とはいっても、外反母趾の原因は未だに不明ではあります)

 

仮骨化が進んでいる、大人バレエトレーニーだとしても

レッスンで正しく足の固有筋(”足の裏の筋肉”なんて言われることもあるけれど、裏だけではない)を鍛え、

正しいアライメントで体を保つ筋力や理解が出来たら、リハビリになることは間違いなし。

 

バレエが原因で外反母趾になるか?

バレエが原因で外反母趾になることがあるか?

と聞かれたら、答えはうーん…となります。

 

  • どんなレッスンをしてきて、
  • どんな踊り方をしてきて、
  • どんなシューズやトウパッドを選んできたか?

に大きく影響されるからです。

 

ダンサーの場合、本来は外反母趾ではなかったのに長年のレッスンでの

無理矢理なターンアウトが原因で外反母趾になってしまった!

という事が多くみられます。

 

また、足に合ってなく、”見た目”を重視した細いポワントシューズを選ぶことで酷くなる事も、

長年何百人というダンサーの足を見てきた「ダンサーの足」セミナーで分かっています。

 

ともちゃんの足を研究してみましょう(写真左)

他の指に比べて、親指が短いのが分かりますね。

そして、親指と他の指たちの間が空いている形をしています。

 

親指の趾骨たちが内側に曲がるスペースがあること

これが、ダンサーがターンアウトで外反母趾になりやすい環境となります。

 

ともちゃんの普通に立っているときの足。

ともちゃんの普通に立っているときの足。

 

ターンアウトの足を見てみると(写真真ん中&右)

  • アーチはつぶれ、体重が足の裏の3点に均等に乗っていない(アライメント)
  • ロールインしてしまうのを防ぐために、足の指たちがぎゅ!っと力を入れている(固有筋ではなく、外在筋が働いている)

というのも見られます。

 

 

  • 偏平足だから
  • 外反母趾だから

と諦めている(というか、何も自分で出来ると思っていない)ダンサー達が多くいますが

  • 無理やりターンアウト
  • 正しく立つ力が育つ前に難しいテクニックを行う
  • 無理やりの”甲だし”で靭帯を意図的に緩める

をしているのは大きな原因になりますよ。

 

外反母趾、ターンアウトとアーチの関係性

 

ここでいくつか実験をしてみましょう。

ちなみに、彼女に何をするのか?は説明しませんでした。

嘘だろ、って思う人は実際にともちゃんを探し出すか、自分の足でやってください。

 

いつもの1番ポジションから、右足の親指のみを”解剖学的正しい位置”に移動させました。

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上から見た写真(左)も、前から見た写真(右)も土踏まずがあがったのが見えますね。

その他に見えるのは

  • 足指をギュっとしている様子が軽減(写真左)
  • 横アーチの幅の軽減(写真左:一番最初に彼女の足写真を見た時にお気づきかもしれませんが、右の外反母趾の方が出っ張りが酷かったのです)

 

実験の続き。

先ほど正しい位置に持ってきた親指のままで、右足のみ、ほんの僅かターンアウトを減らしました。

 

 

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  • 右足指から無駄な力が抜けた(写真左)
  • 親指にかかるプレッシャーが減った(写真右:左の外反母趾部分はプレッシャーがかかり、肌が黄色くなっているのが見えます)
  • ポジションとしてのターンアウトは減らしたが、膝の方向は変わっていない(写真右)
  • 右ふくらはぎが前に出てきている=足首のターンアウトを減らしたが、ひざ下のターンアウトは増えている
  • アーチの高さが出来たため、右の膝蓋骨の位置が高くなり、ひざ下が長く見える(写真右) 

 

外反母趾のダンサーへ

写真では聞こえませんが、彼女はここら辺で「うそー」なんて叫んでいます。

嘘ついてどうするんだか…

 

また立ちやすくなった、という感想をもらいました。

それは、写真からも見えますよね。

あれだけぎゅ!っと足の裏に力を入れないと1番ポジションで立てないとしたら、

踊っているときの疲れ具合が伺えます。

 

外反母趾は治らないかもしれません。

ただし、これ以上進行しないようにケアやリハビリをしてあげる事は可能です。

 

トウセパレーターを使うという単純で、努力がいらない行動から

スタンス本に乗っているエクササイズとリリース(3種類あります)

を行うこと。

 

ターンアウト本に乗っている、ベーシックスのエクササイズで

股関節からターンアウト出来るようにすることで、親指のMP関節にかかる負担を減らすこと。

 

特にともちゃんの足のように、

親指と人差し指とのギャップが大きい人は、日常生活からセパレーターを入れておくこともケアに繋がります。

 

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彼女のように毎日バレエ学校でポワントクラスがある場合、自分の足にあったポワントだけでなく、トウパッドも大切です。

→リサーチと共に見るトウパッド

 

どんなケガでも、症状でも体への理解があれば、”改善”は絶対に可能

その知識がなく、足に合わないポワントで1000回エシャッペをやることが努力だとはき違えている人は、

”バレエが原因で”外反母趾が悪化してしまいますので十分気をつけてくださいね。

 

自分の足について深く学ぶダンサーの足セミナーはこちら

正しく立ち、強く踊るための体を作るボディコンサークルはこちら

先生方が知っておきたい、生徒のポワント選びのための知識はこちら

 

Happy Dancing!

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