レッスン中の骨盤を安定させるために

骨盤引き上げて、タックにしないで、ダックにしないで おしりの筋肉使って、おしりの筋肉固めないで 腹筋使って、おなか入れて、コアマッスルで…   バレエレッスン中に骨盤周りの注意をされないことはないと思うのですが、 正直混乱しません?   さっきは骨盤が後ろに逃げていると言われたけど、今度はタックにするなと言われるし おしりの筋肉を使えと言われて頑張っていたら、足は動かないし。 これらの注意は結局レッスン中、動きの中で骨盤を安定させろ、というときに使われるんですね。   この記事では、骨盤を安定させるってどういうことなのか? どうしたら骨盤が安定して踊れるのか?ということについてお話していきましょう。 骨盤の復習 話をこれ以上進める前に、骨盤って何か?の復習とどうしてダンサーにとって大切な知識なのか?をささっとしておきましょう。 骨盤とは3つの骨でできている骨の塊でしたね。 背骨の一番最後となる仙骨&尾骨と、股関節を作る骨の1つである寛骨(腸骨+坐骨+恥骨の3つのセクションがある)骨でできている部分。 つまり上半身と、下半身のちょうど真ん中にあって、両方に影響します。   →背骨の復習+詳細はこちら →骨盤の大切さを深く見る記事はこちら   だからレッスン中に骨盤を安定させるってとても大切になってくるのよ。 体幹の安定(スクエアが正しく保てる) 背骨の安定(上半身が自由に使いやすくなる) 重心の安定(バランスが取りやすくなる) 股関節の安定(ターンアウトがしやすくなる) 大腿骨の安定(軸足、動足も安定しやすくなる) 膝関節の安定(膝関節を作る骨の一つである、大腿骨が安定するから) List…

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大腿骨周りの筋肉と仲良くなろう 内転筋と外ももの筋肉

  *この記事は2014年3月に書かれたものをより分かりやすいように図や説明を増やし、大幅アップーデートしました。   この前大腿骨の前と後ろの筋肉である、大腿四頭筋とハムストリングスについて勉強しました。 今日は大腿骨の内側と外側について見ていきましょう。   大腿四頭筋とハムストリングスの簡単な復習 本格的に内側&外側を見る前に、ちょっと復習しておきましょうか。 大腿四頭筋は4つの筋肉で出来ているグループで、大腿骨の前にある ハムストリングスは3つの筋肉で出来ているグループで、大腿骨の後ろにある 大腿四頭筋は股関節屈曲+膝関節伸展をする ハムストリングスはその逆、股関節伸展+膝関節屈曲をする どっちも大事! 内転筋の名前と場所 内転筋(ないてんきん・adductors)は大腿骨の内側に住んでいるグループで、5つあります。   大腿骨周りにはたくさん筋肉があるって言ったじゃない? 大腿四頭筋、ハムストリングス、内転筋…っていうのは簡単だけど、これを数字にすると 4+3+5=12 になるんですね。   とは言っても、人によって数え方が色々で4つという人や6つという人もいます。 私は内転筋は5つ、と習ってきているのと、DLSでも参考書にしているAnatomy of Movmentにも5つと書いてるので、そっちで行きましょう。 →私のお勧め参考書と理由たち   別に舞台で踊るために、内転筋の数を正確に知っている必要はないですから。   内転筋グループメンバーはこちら…

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大腿骨周りの筋肉と仲良くなろう 大腿四頭筋&ハムストリングス

*この記事は2014年に書かれたものをより分かりやすいように図や説明を増やし、大幅アップーデートしました。   ダンサーにとって一番大事な筋肉とはどこでしょう? 答えは?「わかりません」   プライオリティ、とでもいうのでしょうか? 人間の体にとって一番大事な内臓器官はどこでしょうか?という質問と似ています。 小腸と大腸、どっちが大事か?私には分かりません…   確かにジャンルによっては強くなくてもいい筋肉、というのもあるかもしれません。 例えば、ヒップホップやブレイクダンサーにはクラシックバレエダンサーのような足首の可動域が必要ない、という事のように。 (その代わりにブレイクダンサーのような強い肩関節や腕の筋肉、首の筋肉はクラシックダンサーには使われなかったりしますよね。)   けれど、一番大事な筋肉ってどこでしょう?コアマッスルについてお話ししましたけど、コアさえ鍛えておけばOK?と言われれば答えはNoだし。 骨盤のプレースメントが大事だという話をしましたけど、骨盤についているお尻の筋肉が一番大事か?と言われるとそうでもない。   今日お話する大腿四頭筋とハムストリングス、どっちが大事か?という競争をしたいので一緒に書いているのではございません。 両方大事です。 たとえダンサーの多くが大腿四頭筋が嫌いでも、膝を伸ばしたかったら使わないといけないし、ジャンプのためには使わないといけないんだから。   大腿骨周りにはたくさん筋肉がある 大腿骨(だいたいこつ・femur)は体の中で一番長く、体積のある骨です。 イメージしやすいデフォルトな説明をすると(つまり正確な数値ではないけど考えやすい例として) 体=上半身(50%)+下半身(50%) 下半身=大腿骨(50%)+脛の骨たち(50%) としたら 大腿骨は貴方の身長の25%ってことになるじゃない? (Again! 正確な数値ではないし、個人差はたくさんあるけれどイメージしやすいために) この大きな骨を、体の中心となる骨盤に繋げておくために、大腿骨周りにはたくさんの筋肉がついています。  …

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長い首を作ろう!肩甲挙筋

*この記事は2014年に書かれたものをより分かりやすいように図や説明を増やし、大幅アップーデートしました。   バレエダンサーというと長い首のイメージが強いみたいですよね。 クラシックバレエ=白鳥の湖=首長い、みたいなところもあるんでしょうか。   確かに正しいポーデブラを練習していたら、そしてエポールマンのつけかたを練習していた場合、バレエでの首回りの筋肉の使い方は、スポーツとは大きく異なります。 バレエに近いスポーツで例に出やすいフィギュアや新体操と比べてみても、腕のポジションに似ているものがあったとしてもポーデブラ、腕の運びは違うのが分かりますよね。   とはいっても、首のラインで悩むダンサーも結構いるので、今日は長い首のラインに大切な(というか敵対する?)肩甲挙筋(けんこうきょきん・levator scapulae)について勉強していきましょう。   ただ、マニアックで難しい話に行く前に。 肩甲挙筋はダンサーが場所や名前を知っておかなければいけない子ではありません。 バレエ解剖学があんまり得意じゃないけど、長い首を作りたい人は「肩は下げればいいわけじゃない」からどうぞ。 肩甲挙筋はどこにあるか? 肩甲挙筋は頸椎1番から4番の横突起から肩甲骨の上のほうについています。 頭蓋骨の下から肩甲骨の上までだから…20㎝くらい? 結構ちっちゃい筋肉だよね。   すでに勉強した僧帽筋上部の下にありますが、ぶっちゃけ経験を積んだ治療家でも僧帽筋上部と肩甲挙筋を手で触り分けることは出来ません。 ダンサー、トレーナー、指導者だったら僧帽筋上部と肩甲挙筋を分けて考える必要もないですよ。     →頸椎について復習 →僧帽筋について復習 →肩甲骨について復習 肩甲挙筋のお仕事は? 名前通り、肩甲挙筋のお仕事は、肩甲骨を挙上(きょじょう・elevate・上に持ち上げる事)です。 ね、僧帽筋上部と一緒でしょ?  …

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「背中から腕を使う」ってどういうこと?

背中から腕を使いなさい!っていう注意を聞いたことがありませんか?   英語ではあまり言われない(と私は感じていますが、国によって違うかな?)言い回しですが 日本では聞いたことがあるし、DLSフォロアーさんからの質問でも 「背中から腕を使うにはどうしたらいいですか?」 というのはよくあります。 (どのエクササイズがいいですか?とか背中から腕を使えない子が多いのですが…など質問内容は少し違ったりするけど)   今日は背中から腕を使うってどういうことなのか?をお話していきましょう。 背中ってどこ? 「背中から」腕を使うっていう場合、腕は誰でも分かると思うんです。 でも背中ってどの部分を指すんでしょうか? 簡単に使っている言葉だと思うんだけど、解剖学的にどこからどこまでが背中?と聞かれたら答えられそう?   人間の背中=胸椎1-12+腰椎1-5+そこにある筋肉たち と言われることが殆どですよね。   同じ背骨だからと言っても、頸椎は首の後ろ側ってなるだろうから「背中がかゆい」言わず「首がかゆい」になるじゃない? また、背骨の終わりである仙骨+尾骨エリアも、お尻セクションになっちゃいます。 骨盤やおしりは背中の「下」にあるでしょう?   そうすると、結論的に肩肩、腰腰のスクエアのセクションになると思いません? →スクエアを保つってどういうこと?   でも、レッスン中に「背中から腕を使いなさい」と言われた場合 よっぽどでない限り、腰を使って腕を使いなさいという注意に脳内変換されることはないよね。 そう、”背中”には大きく分けて3つのセクションがあるんです。   日本語で当てはまるよい言葉が見つからなかったんだけど、英語では以下の言い方をします。 upper…

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胸を開いて堂々と踊るために:大胸筋&小胸筋

*このブログは2014年に書かれたものを2020年に大幅加筆修正しました。   たとえウォーキングロール(少ししか踊らず、舞台を華やかにするために存在する役)だとしても、堂々とした上半身の身のこなしはダンサーにとって必要不可欠です。 敢えてここで「上半身の身のこなし」という書き方をしたのは、英語では「Carriage」なんて表現の仕方をするから。 今日はそんな舞台の存在感を作るときに考えてみたい筋肉達である、大胸筋と小胸筋についてお話していきます。 大胸筋はどこにあるか? まずは大胸筋(だいきょうきん・pectorias major)から見ていきましょう。 こいつは僧帽筋の時と同じく、ちょっと面倒なんでダンサーだったらこれだけ知っていればOKという事を2つだけ。 胸にある大きな筋肉 実は上腕骨にくっついている   もうちょっと深く知りたい人としては 鎖骨、胸骨、肋骨から上腕骨の上の方(上腕骨大結節稜なんてご立派な名前がついている)についている大きな筋肉。   すんげーマニアックか、暇な人は 鎖骨から始まり、斜め下向きに上腕骨についている部分を鎖骨部 胸骨から始まり、筋繊維がほぼ真横な部分が胸骨部 みぞおちの分かれている部分あたり(正確には腹筋群の筋膜)から斜め上に向かってついている部分が腹部繊維 なんて言われ方をする事がある、と知っていても…まぁ踊りには役に立ちませんが、 脳みその皴を増やすためにはいいかもしれません。   →ダンサーの腹筋事情を解剖学とエクササイズの視点からみたeBookはこちら 大胸筋のお仕事は? 大きな筋肉は複数のお仕事があって面倒なんですが、ダンサーで知っておきたいレベルでは 腕を体の方にもってくる(上腕骨内転) 腕を内側にひねる(上腕骨内旋) 息を吸う時に、肋骨を持ち上げるお手伝いをしてくれる もうちょっと深く知っておきたい人は  …

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バレエで必要な「しなやかな」背中を手に入れるには?

背中の動きを「しなやか」と形容するスポーツ、芸術って多くはないと思うんですが、 バレエダンサーは背中がしなやかであることがスキルの一つとなっていますよね。   でも、しなやかな背中って何か?とバレエの先生に聞いたらどう答えるでしょうね? 柔らかい事? たくさん反れる事?   しなやかな背中を手に入れるために、どんな努力をしていますか?とダンサー達に聞いたらストレッチ、というのかしら?   でもさ、背中を柔らかくするためのストレッチ=反る動きだと思われがちだけど、 反る動き=背中は縮まり、おなかが伸びる だからね? だよね??   腹筋を伸ばすと、しなやかな背中になる、ってどうして思っちゃうの??? という謎はまた次回解いてみる事にして、 今日はバレエで必要な背中について考えていきましょう。   今回、解剖学用語がたくさん出てくるし、長いので文章を読むのが苦手な人はこちらのビデオからどうぞ。 「しなやか」という言葉の意味は? ネット辞書によると、   しな‐やか [形動][文][ナリ] 1 弾力があってよくしなうさま。 2 動きやようすがなめらかで柔らかなさま。 3 姿態などがなよなよして上品なさま。たおやかなさま。…

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背骨の癖を理解してレッスンに生かそう!

*このブログは2013年に書かれたものを2020年に大幅加筆修正しました。   背骨のカーブをこちらの記事で勉強しましたよね。 この記事では、頸椎、胸椎、腰椎のそれぞれのカーブにある癖をお話していきます。 背骨の癖というか性格を理解することで、レッスンの注意やテクニックを考えるきっかけ、もしくは安全にエクササイズやストレッチをする知識にしてくださいね。   *骨の形や動きを模型と共に説明しているバレエ解剖学YouTubeビデオはこちら 頸椎:首の部分 頚椎(けいつい、Cervical Vertebra) は全部で7つあります(C1-C7) この部分が脊柱の中で一番よく動く部分。   棘突起(きょくとっき、クリオネのしっぽだったね)もほかの部分に比べて小さく、内臓や肋骨の重さがかかっていないため首の筋肉が固くなっていない限り、色々な方向に首を動かすことが出来ます。 頸椎の1番と2番はほかの子と違う 7つのうち、一番上と2番目の頚椎は形や大きさが他の5つと全く違うところに注目。 第一頚椎は環椎(かんつい、atlas、C1)とよばれ、横長ドーナツ?みたいな変な形をしています。 頭蓋骨がこの上に乗っかるようになっているの。   その下にあるのが第二頚椎、軸椎(じくつい、axis、C2)と呼ばれる骨。 これもまた変な形をしていて、とんがりがついています。このとんがりの部分に第一頚椎の穴が輪投げのように合わさっているのね。 だから、第一頸椎とその上に乗っている頭蓋骨が左右にエポールマンやスポットをつける時に、胴体がねじれたり、肩の高さが変わらないで済むんだね。 →ピルエットのスポットがつけられない人向け記事 →踊っている時に、首がリキんでしまう人向けの記事 →首が短いからバレエに向いていない? 頸椎の棘突起と伸展 特にC4の棘突起が短く、C5も短め。 だからこの部分が背骨の伸展をしやすいのね。 伸展しやすい=後ろに反りやすい。 なので気を付けていないとカンブレデリエールやアラベスクの時に首の後ろが縮んだり、顎が上がってしまうんです。…

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背骨の構造とカーブについてダンサーが知っておきたい事

*このブログは2013年に書かれたものを2020年に大幅加筆修正しました。   バランスをとったり、ターンをしたりする際にとっても大事な事、それは「軸をとる」こと。 軸をとるってバレエだけの特有な言い回しなのか私にはわかりませんが、軸になるところは名前の通り軸足と、背骨、つまり胴体のセンター(中心)になるところです。   レッスン中に聞く「引き上げなさい」という注意もあいまいな言葉ではありますが、大体は背骨を引き延ばす、という事を指していると思われます。 (思われます、って書いた理由は先生によって意図する事が違うから。)   バレエダンサーならだれでも知っているワガノワバメソッドで有名なアグリッピナ・ワガノワは バランスの源は、背骨にあります といったそうです。   でも、背骨っていったいなんでしょう? みんな、解剖学を勉強していなくたって背骨がどこにあるのか知っていると思います。 背中を丸めたら出っ張るし、指でもごつごつした部分をかんじることができるでしょう? コンテのフロアワークをしていたら床にぶつかるからよく分かる、 っていう人もいるかもしれないね。 (そうそう、コンテのテクニックが強ければ床に体がゴツ!とぶつかる事はないんですって。ま、それはまたほかの機会にお話しましょう。)   でも、脊柱はいくつの骨からできているでしょうか?と聞かれると分からないし、首はなんとなくわかるけど、どこからが腰?と思ったりすることはありませんか?   バランスの源である背骨を頭の中で漠然と…何となく…ではなく精密に頭の中で思い描くことが出来たら、 バランス系のテクニックを含むダンスステップのすべて、軸や強い体幹が必要なテクニック全てを向上することが出来るはずだよね。 背骨の個体の形を研究 背骨っていうのはたくさんの骨が集まって出来ています。 個体、つまり背骨という骨のカタマリを作っている積み木はこんな形をしています。 背骨の場所によってサイズがちょっと違うんだけど、だいたい 椎体(ついたい・body)というボディになる部分 横突起(おうとっき・transverse process)というクリオネの手が2つ…

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レッスン中に注意される「スクエアを保つ」って何?

  レッスン中に「スクエアを保って!」と言われたことあります? この通りの言い方でなかったとしても 上体を強く保って・上半身がぐにゃぐにゃしない! 軸を保って・背骨を保って・反らないで 体幹を強く・胴体を強く・おなかを強く 骨盤のプレースメント、肋骨のプレースメント というのは聞いたことがあるかな?   骨盤系の注意(骨盤の前の三角形、タック・ダックなど) 肩系の注意(両肩の高さを一緒に、ポーデブラしたときに肩をずらさないなど) もあるでしょ? 実はこれらが全て「スクエアを保つ」の中に含まれるんです。 今日は今更聞けないバレエの基礎を解剖学的に紐解いていきましょう。   *文章読むより、聞いたほうが頭に入る&忙しいから何かしながら聞き流したい…という方は YouTubeにて文字起こし付き版があります。   そんな注意されたことない? それは困ったな。 バレエの基礎レッスンをやっていてこういう部分の注意がなくレッスンしていたら上達はしません。 つま先伸ばせ 引きあげろ ターンアウトしろ 足高く だけしか言われたことがない、と思った人はレッスン中にもっと気を付けてレッスンに言われた注意を聞いてください。 もしかしたら、自分の頭の中で「これしなきゃ!」という(偏った)考えがあって 先生に言われた注意を取捨選択しちゃっているかもしれません。   いや、どう考えてもこういう注意記憶にございません、という場合…

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