肩甲骨が飛び出ちゃう!のはなんで?(翼状肩甲骨)

この前、腕立て伏せのやり方を説明したときにちらっと書いた「肩甲骨がとびでちゃうくらいなら・・・」という部分。 プランクを説明したときにも何度かお話しましたが、しっかりと説明した記事がないのですよね。 質問をされることも多いし、そのわりには見逃されているエリアなので考えていきましょう。 肩甲骨とは? 肩甲骨については記事にしてありますよね。 今日の予習として、まずはこの記事を読んで勉強しておきましょう。 →肩関節:ポーデブラの発祥地を理解しよう! 肩甲骨のウイング=翼状肩甲骨 骨がでっぱっちゃうって困るでしょ?と思いますでしょ。 肩甲骨はちょっと特別なのね。なにが特別か?っていったら肋骨の上に乗っている骨で、たくさん動いちゃうんです。 たくさん動く=可動域が広い=ので腕を色々な方向に動かすことができるっていういい面もあるんだけど、 可動域が広い=コントロールが難しい、というのも事実。   なので肩甲骨のウイングがあるダンサーが多いわけ。 ってその言葉の意味はなによ?って感じですが、解剖学用語ではこの事を翼状肩甲骨、英語ではscapula wingといいいます。 scapula=肩甲骨(ラテン)の wing=羽、だったら肩甲骨のウイングでいーじゃん?という事で ウイングされてるよって呼ばれます。   天使の羽ですーなんていったら可愛いかもしれないけれど、みなさんご存知の様に鬼の愛は「かわいい」なんてやりません。ピンク好きだけどさ。 これね、危険なんです。 なんで危険か?というと肩甲骨が安定していないっていう証拠だから。 どうして翼状肩甲骨が悪いのか? 体の中で球関節は2セットあります。 一つは肩関節。もう一つは股関節。 つまりこの2つは作りが似ているのね。   骨盤が安定しなかったら、股関節の痛みや、脚のコントロールが難しくなるって分かるでしょう? テクニックの発祥地である骨盤。…

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バレエ留学に必要な英語力ってどれくらい?

題名そのまま。 バレエ留学に必要な英語力ってどれくらいですか?って聞かれたので、面白いからピックアップしてみました笑   面白いって…ねぇ。   この質問にはいろいろな真理が含まれているのですよ。 だから掘り下げていこうかと思って。 数値でわかるのか?という疑問 前に「クラスで一番になるために」という記事で書いたものを少し引用しますね。 「数」の質問の裏に隠された秘密は、 「できるだけ短い時間で効果が出る回数が知りたい」 という気持ちがあると思うの。   エクササイズの数。 これもこの質問と似ていると思う。 どれくらいやったらいいのか?というのに答えるためには 何のためにエクササイズをしているのか(リハビリと強化では目的も違うでしょ) 怪我の歴史(弱い方はやっぱり多めにやらないと。) 正確さ(集中した10回とテレビ見ながらの40回だったらどっちのほうが効果あると思う?) ダンサーのレベル(初心者と毎日踊っているプロに必要なものは違うよね) 何ていろいろなことを計算に入れなければいけません。   さらに上のすべてを考慮に入れたとしても、同じダンサーの そのあとクラスがあるからウォームアップにやっているエクササイズというのと オフシーズンで体力を落とさないためにやっているエクササイズ というのでは回数も変わってくるでしょう?   だから数ではわからないと思う。 ただし、数が大切でない!と言っているわけではないですよ。 今日は10回簡単にできた。明日は12回チャレンジしよう!というように目標を明確にすることは大切だから。…

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ダンサーが正しく腕立て伏せをするために

「腕立て伏せを練習しなさいと言われましたが、正しいフォームでできません。 変な筋肉がつくのが嫌なのですが、どうしたらいいでしょうか?」   これが今日の質問です。 腕立て伏せってダンサー、特にクラシックバレエダンサーにとても大事なエクササイズなのですよ。 嫌いな人が多いし、私も嫌いだけど笑 なのでこの質問を使って、どうして腕立て伏せが大事か、正しいフォームって何なのか?そして変な筋肉ってどんな筋肉!?かを考えていきましょう。 どうして腕立て伏せが大事か? 腕立て伏せ、というと腕のエクササイズみたいに感じるけれど、それだけじゃないんですよね。 大胸筋、小胸筋、という胸の筋肉を強化してくれる(なのでバストアップにいいとか言われるのだけれど笑)というのは定番かしら。   ダンサーに向いている最大の理由は、プランクのポジションをキープしながら行うエクササイズだ、ということ。 プランクで鍛えられる体幹の意識、腹筋、背筋をホールドしておく感覚(ピルエットやジャンプのときに大事だね) を腕を動かしていても、体の重心の位置が変わっても、ホールドする。 いわば、腕立て伏せってプランクの応用編の一つになるわけです。   よくプランクをしても、ダンサーの体幹って動きの中で使えないと意味がない、何て言う人がいるんだけれど、私は 動きがないところでホールドできなかったら、動きの中でホールドできるわけないじゃない! だから、最初はプリエとタンジュからレッスンが始まるわけですよね。 確かにプリエもタンジュも、センターで使えなくっちゃ意味がないけれど、だからと言って、バーでのタンジュ、プリエ、もしくはそのためのエクササイズが役に立たないわけないじゃない?   体幹を作るため、というだけではなく、クラシックバレエ、特に小さなスタジオでは、 パドドゥの練習をすることがほとんどありませんね。 そして発表会の時にいきなりリフトやら、プロムナードやらをやると!大変なことになるのは先生方はご存知の通り。   男性と踊る場合、女性の腕の強さも更に大事です。(普通に踊っている時も必要よ!) 腕だけでなく、肩甲骨から背中と腕が繋がっている感覚があるダンサーは踊りやすいわけよ。   そのような練習をすることができないのならば、 自分の体重を支える腕立て伏せはパドドゥのためにもやっておきたいところ。…

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DLSポッドキャスト epi120 筋肉が固くなってしまう原因とケア

  今日のポッドキャストは9月に行われた愛さんに聞いてみよう!ライブの質問回答の音声をお送りします。 高校生からの質問で、筋肉がつきにくく、すぐに固くなってしまう体質についての質問。 どうすればいいのかを考えてみました。   *ポッドキャストだけの特別コンテンツのため、ブログ記事はありません。 音声を聞いて楽しんでくださいね。   聞きたい人はこちらから   次回はエピソード121「オーディションでうまくいかなかったとき 理論編」をお送りします。お楽しみに!     !!ポッドキャストの購読方法!!     DLSのYoutubeチャンネルには過去のポッドキャストだけでなく、ビデオブログやインタビューなども発信しています。 チャンネル登録をお忘れなく!  

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上手な子と上手になる子を研究してみた。

題名をみて、なんだそれ?って思った人が多いと思うけれど、先生方は「そうそう」って思う生徒達をたくさん知っていると思う。   上手な子と、上手になる子。 この事について今日はお話していきます。 上手な子って? 上手な子、というのは文字通り、上手な子です。 回転もできるし、体型もいいし、いつもスタジオではいい役をやってる。 コンクールでも何度か入賞しているし、みんなからはちやほやされる。 単発ワークショップなどでも、講師の人に気にいられる子たち。   これを上手な子と呼びましょう。   上手「になる」子とはどのような子なのか? 努力のできる子のことを指します。 この半年でググッと伸びる子。1年で全く違うダンサーに見える子。 そのような子の事をさします。   確かに、いくら上達した、といっても上手な子と比べてまだ劣っている部分があるかもしれません。 ただ努力ができるのでコンスタントに上手になっていきます。   1日以上の講習会や、予選でバーレッスンから始まるような将来が決まるコンクール、 そしてオーディションで「ポテンシャルがある」と形容されるダンサーはこちらです。   ポテンシャル=伸びしろですからね。 数日でこんなに伸びるんだから、ウチで育ててあげたい!と思わせる事が出来るという子達。   ケーススタディ Aちゃん:上手になる子 バレエ学校に入ってきた時、開脚もできなくって、体力もない。 そんな子がいました。 踊るのは好きなんだけれど、足の甲が自然に伸びる、とかではない。…

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バレエ留学・・・でその後は?

バレエ学校の年末試験も近づいてきまして、リハーサルもいそがしくなり。 忙しい毎日が続くのがバレエ学校の最終学期です。 卒業生はこの忙しい時期、もしくは少し前からオーディションのためのDVDを作ったり、オーディション巡りをしていたり。 学校のカリキュラムだけでなく他の活動も必要になってきますので忙しさが増しますね。     バレエ学校を留学した子たち全員がプロになれるわけではありません。 プロになった子たち全員が1-2年で契約更新をしてもらえなくなる事もよくあります。 団員になってもみんながプリンシパルになれません。   こんなことを言っていたら、なんだかネガティブになっちゃいますよね。 だけれど、バレエ留学したらすべて花色!って訳ではないという事を知ってほしいと思っています。   よーく考えてみると、これって結構普通なんですよ。 高校勉強だけでは受験の準備ができるわけではなく(バレエ学校+プライベートレッスンとか、トレーニングとかが必要) 大学に入ったらみんな就職出来るわけではないですね。(バレエ学校に入ったから100%ダンサーになれるとは限らない) 就職しても、みんながみんなCEOや社長になれるわけでもないですね。(団員になってもソリスト、プリンシパルは遠い)   ただ、「バレエの世界では・・・・」というと難しく感じちゃうんですね。 この記事ではバレエ留学が終わってからどんな道があるのか(当たり前なのを含め)お話していきましょう。 ただ、可能性は無限大ですからね。 ここに書いてあること以外でもたくさんの道はありますよ。 →バレエの知識を使ったプロのダンサー以外の職業     またまた留学 これは年齢が若い子たちがよくやるケースです。 例えば、うちの学校では15歳くらいの子たちがフルタイムコースに入ってきて練習を続けます。 2年コースが終わってもまだ16,17歳の場合、その後他のバレエ学校最終学年に入ることも、研修生として入ることも可能です。  …

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スカラーシップ?コンクール??バレエ留学のヒミツ

毎回プロを目指すダンサー向けのセミナ―を行うと聞かれる「スカラが出ない」という言葉。 よく聞いていると、バレエ留学は コンクールに出場 ↓ スカラーシップをもらう ↓ バレエ学校に留学 と考えている人達が多いのですね。   バレエ留学ってもちろん、その過程で行われることも多いです。 大きなコンクールではよくある道ですが、本当にこうやって留学している人達が殆どなのか?というとそうではないんですよ。 留学だけでなく、プロ契約も含まれるし、ジュニアスクールからプリプロフェッショナル、と呼ばれるカンパニー研修でも見られる道をいくつかご紹介します。     オーディションツアー 大きなバレエ学校の場合、国の中、もしくは海外でオーディションをやって回ることがあります。 オーストラリアの場合、シドニー、メルボルン、なんて都市を回るアメリカのバレエ団・カンパニーがあるほど。 バレエだけでなく、ディズニーのダンサーのオーディションも世界各国の都市でこのように行われています。   この場合、書類審査、実際にレッスンを受ける、という流れになり、その後コールバックが来た人達が、次のステージに進みます。つまり現地オーディションに行ける、って事なんです。 ここではスカラなんて出ません。 それよりも第一次を合格することにみんな必死。 多くの人数が集まるこのオーディションプロセスでは、どれだけ輝けるか、記憶に残れるか?が大事になってきます。   学校でのオーディション ただ今うちのバレエ学校では駆け込みオーディションに追われています。中堅どころ、もしくは小さなバレエ学校の場合、学校が都市を回ることはありませんが、学校がホリディになるときにオーディションを開始します。 この場合、書類審査の後、日にちを言われ、その時にバレエ学校に来て個人レッスンをします。 見られているのは、今までどんなレッスンをしてきたか?そしてその時に言われた注意をどのように解釈し、直していくか? 体の動きもそうですが、小さな学校の場合、この子が本当に学校に合っているのか?なども見られます。 その年によってオーディションに参加する人の数がかなり左右するのはこの形です。…

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方程式を暗記してもダンサーは指導できない

毎回、日本に行くたびに思うこと。 それは、日本のみなさんって暗記が素晴らしく上手! バレエの先生方は、先生以外にも家族のお世話や、お掃除やら色々こなしている上で、先生やってるでしょ。 努力家だし、勉強熱心だし、バレエへの愛情をたっぷりと感じます。   でもね、それでは生徒を指導するのは難しくなります。 治療するのは、トレーニングするのはもっともっと難しくなります。 problem solving。問題解決の力は学校システムであまり重きを置かれないのよね。 「猫背」もいろいろ 2016年5月の教師のためのバレエ解剖学では初めてモジュール3を持ってきました。 そこでは上半身についてお話していたんだけれど、 肩、肋骨を直す時に気を付けたいこと。 それは 肩が原因なのか? 他から来ているのか?   肩という1か所VS他、という無限大の可能性だったら、 無限大のほうが確率が高いでしょ笑   だから、そっちを理解しないとだめですよーってお話しました。 モジュール3に行く前に、モジュール1&2を繰り返してねっていうところはココ。 骨盤、背骨を見る目が育っていないと、その上にある肋骨、肩関節を指導できませんよね。 体って繋がってるから。   猫背、って言っても色々な姿勢の問題があるのです。 つま先を伸ばすために必要な事も色々 足の固有筋さえ鍛えておけば!! つま先が伸びるようになったら私の仕事はないわけで。  …

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表現力と解剖学ー舞台で光るために

この前表現力セミナ―でお話したことを、ブログにします。 題名通り、表現力と解剖学。 セミナ―受講してくださった人達のグループ2は復習がわりに、グループ1はこういう見方もあるのか、という応用のために。 今回受講できなかった人は・・・うらやましーだろーって事で笑 バレエ解剖学 私の考えるバレエ解剖学はバレエテクニックを助けるための解剖学。 骨盤を正しいところに置くと、効率よく動ける=踊りがスムーズになる ひざを伸ばす筋肉が分かる=しっかりと伸ばされた膝に、強いジャンプ力が生まれる とか、解剖学がバレエの悩みやテクニックに直結するもの。   これは指導では絶対に必要なことだけれど、踊っている本人も先生の言うことを理解するためには必要。   足のアーチを上げて! といわれたときに、土踏まずだけあげればいいんだーってレッスンしてたら、 小指重心になって、軸の強さが生まれないだけでなく、 捻挫や第五中足骨の疲労骨折に繋がりかねない。   だけど、足のアーチっていくつあって、どこにあるのか?分かれば、 先生に言われたことが「安全に」できるわけ。   表現力って練習できるんですよ、って何度も記事にしていますが、 表現力もテクニックの一つだとしたら、解剖学が助けてくれます。 表情筋の筋トレ 表情を作る筋肉、つまり顔にある筋肉たちはたっくさーんあります。 どの文献を読むかにもよるけれど、一般的には30個以上、私は43個だと習っています。 すごい量だよね。   って事は、これらの筋肉を「コンディショニング」したら、すごい量の表情が生まれる。 つまり、表現の幅が広がるのです。  …

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治療家・トレーナーのためのセミナ― 2016年9月 赤裸々日記

9月来日最終日は治療家・トレーナーのセミナーでした。 嬉しいことに、前回4月に大阪で出会ったメンバーのほとんどが再度参加してくれたの。   これって素晴らしいと思いません? ダンサーをサポートしたいな、っていう方が定着していってくださっている証拠ですね。   今回は前半が「バレエの世界へようこそ」 ダンサーの世界って不思議なんですよ、ということを理解してもらうための内容でした。 もちろん、ダンサーの世界だけが不思議なんではありません。   オリンピック選手の世界。 歌舞伎など家業の世界。 宝塚の世界・・・ やっぱり不思議なものはたくさんあるのです。   それを知っていると、その世界にいる人達をサポートできる。 ということで、舞台の見方だったり、年齢的なもの、リハビリまで考えてもらいました。   今回はスペシャルゲストで、ケガしている若いダンサーに来てもらってありました。 様々な人に診てもらって、やっぱり痛みはよくならず、途方に暮れていた。 こんな話、ダンサーにはよくあります。 彼女を使って、ダンサーの言葉だったり、痛みだったりを研究していったの。   例えば「レッスン」という言葉と「練習」が指しているものの違い。 レッスンは普通のレッスンで、 練習は発表会だったり、コンクールだったりへの練習を指します。 そしてリハーサル、というとだいたい、全部を通すもので、一人ではリハと言う人は少ない、とかね。   そうすると彼女の生活が見えてくるってわけ。 そして痛みがあるのが生活なのか、踊りだけなのか?…

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